半端な色廃さんのブリーダー日誌   作:時雨オオカミ

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改造ポケシリウス実況見ていて気付いてしまいました。
ポケモンブリーダーのセイジっているじゃないですかーやだー!
主人公の父親とは同姓同名ということで一つ……


氷上に咲く花、対決ルクリア!

 

「使うポケモンはお互いに一体。技は四つまでで道具を持たせるのはなし、使うのもなし。範囲はお互いが見える位置まで、でいいですか?」

「うん、それだけあれば十分ね!分かってると思ってるけどこっちはゼルゼルよ」

「タマー」

 

 少し離れたところに円を描き、トレーナーはその中に入り待機。ポケモンはその円の前に待機。審判はいないけれど、野良バトルならこんなもんだろう。

 

「行くわよ!ゼルゼル!」

「タマァ!」

「お行きなさい、梔子」

「ウミャ-!」

 

 どちらともなく話し、バトルを始める。そしてやる気満々で飛び出して行った梔子の様子を見ながら相手のタマザラシの様子も同時に見て大体の分析。

 

 梔子は絶好調。コンディションも悪くない。先ほどまでリッキーの背の上で寝ていたからか鬼ごっこをしたあとでも紫苑に比べれば疲労もあまり溜まっていない。

 ルクリアのタマザラシは能天気な顔をしているから性格も読めないし体調もよく分からないが疲れているわけではなさそうだ。だが先ほどケムッソを倒していたことから考えるにそこそこPPを消費しているはずだ。技も二つ割れているし一応こちらのほうが有利なはずだ。

 

「梔子電光石火!」

「ゼルゼル避けて氷の息吹!」

 

 一直線に向かって行く梔子に向かってタマザラシが横に転がり、顔を正面に向けたまま通り過ぎていく梔子へと氷の息吹を浴びせようとする。

 

「横にステップしてからアイアンテール」

「ゥゥゥミャァァ!」

 

 あえて回転してから、という言葉はのみ込んでいる。

 

 そしてタマザラシの頭上を飛び越えることで氷の息吹を避けた梔子はそのまま空中で回転し、勢いを乗せてタマザラシをアイアンテールで打ち付ける。

 

「タマッ!?」

 

 驚いたように声を漏らしたタマザラシが反射的に地面へ水鉄砲を放ってアイアンテールの軌道から逃れる。しかし全部は受け流せなかったようでコロコロと地面をバウンドしながらルクリアの近くまで転がっていった。

 

「タマタマ!じゃなくってゼルゼル!大丈夫ね?」

「タマッ!」

 

 キリッとした顔で手を敬礼のように掲げるタマザラシに私は驚愕した。

 

「性格補正付きのアイアンテールが同レベルなのに平気なのか…… よく育てられていますね、その子! 梔子、電磁波で突っ込みなさい!」

「あらありがとう、そっちの梔子ちゃんもよく育てられてるわね。ゼルゼル地面に水鉄砲!」

 

 電磁波を纏いながら擬似ボルテッカーで突っ込む梔子に転がったとしても素早さの低いタマザラシでは避けることができない。だからか水鉄砲を地面に当ててその勢いでちゃんと避けていくタマザラシに関心する。

 指示に対する反射神経もあるし、咄嗟の機転も効く。それにしてもあの子、本当に私と同い年か?

 

「ウァウ!」

 

 逃げていくタマザラシを目で追っていた梔子が指示もなく雄叫びを上げながら無理矢理身をよじる。そうすることで辛うじて電磁波を纏った尻尾がタマザラシにかすり、痺れさせて吹っ飛ばしていく。

 

「タマー!?」

「お、ナイスです梔子! 追撃で辻斬り!」

「ゼルゼル!? 一か八か、冷凍ビームよ!」

 

 黒い波動を爪に纏い突進していく梔子に飛んでいくタマザラシが無理な体勢で冷凍ビームを放つ。

 

「ウウウウミャアァァァ!」

「タママー!」

 

 だがタマザラシの無理な体勢での冷凍ビームは空中で踏ん張りが効かないからか、それとも不慣れなのか明後日の方向へと外れていく。チャンスだ!

 

「ウミャミャミャミャミャミャミャ、ミャァー!!」

 

 飛び上がった梔子の辻斬りが綺麗に急所に当たり、具体的には目元の近くに当たり盛大にタマザラシを吹っ飛ばす。

 

「ターマーマー」

 

 間延びする悲鳴を上げながらタマザラシはくるくると回転しながら飛んでいき、やがてルクリアの胸元へと着地する。

 

「ゼ、ゼルゼル!」

 

 彼女が抱きとめたタマザラシは目を回していて、一目で戦闘不能になっていることが分かった。私の勝利だ。

 

「負けちゃったかー。いやぁ、手も足も出なかったわね。強いのね、ケイカさん」

「私もあんなに攻撃を避けられるとは思ってなかったからビックリしました。…… 梔子もしっかりダメージ受けてますし」

 

 私の言葉に盛大に肩を揺らした梔子が明後日の方向を向いて目を逸らしながら申し訳なさそうに一声鳴く。電磁波を尻尾を使って当てたときに空中で無理な体勢をとったからか腰にダメージが溜まってしまっているらしい。後ろ足の動かし方がなんだか変だ。対人バトル中だったから咎めることはなかったが、これを日常で行っていたらすぐさまバトルは中止にしていた。ブリーダー(見習いだけれど)が手持ちのポケモンの変化に気づかないわけがないのだ。あんまり無理はさせたくない。

 

「ウミミミ」

「梔子はコトブキシティまでバトル禁止です」

「ミー!?」

 

 言い訳はなしだ。麻痺があったからこそバトルが有利になることがあるが、体を痛めてまで当ててその後足が動かないんじゃ意味がない。今回は短期決戦だったから弊害はなかったがまったくこの子は。

 

 ポケモンセンターで専門の人に見てもらうまでバトル禁止だ。私も大まかな応急処置くらいは習っているが今回のような場合ではどこを痛めているか、それによってどこが動かしづらそうかなんかの判断はできるが治療はできない。筋肉の問題だから薬草を貼っても意味ないし、オレンを摩り下ろして食べさせることくらいしかできない。

 

「はい、オレンの実。ルクリアさんもゼルゼルにあげてください」

「その子、厄介な性格ねぇ。ありがと助かるわ」

「あら、分かりますか?」

 

 単品のオレンをかじらせている間にリュックを下ろす。

 

 そしてタッパーに詰めた甘い蜜とすりおろしたオレンを混ぜた自作の栄養剤を取り出し、スプーンに乗せて梔子の口元に運ぶ。前世でいうはちみつレモンを子供向けにしたものだ。これのモモンの実バージョンもあるが、あれは味を想像するだけで垂涎モノだ。

 

「ンンン~」

 

 意地っ張りなこの子は辛いものが好きで甘いものは苦手だが甘さが控えめなものなら嫌いなわけではない。ほんのりと甘味を感じる程度のハニーオレンなら簡単な回復薬として使えて便利だ。嗜好品としても優秀なのでおやつ感覚で食べられるのが長所だし、私にとっては必需品なのである。

 

「みっ! みっ!」

 

 しゃがんだ私の足に片手を乗せ、可愛らしい顔でハニーオレンをねだる紫苑にもスプーン一口分を口元に持って行ってやると美味しそうにぺろぺろとハニーオレンを舐めていく。とろけるような〝 美味しい顔 〟をして食べていくので片手で頭を撫でる。

 

「リィ」

「リッキーはちょっと待ってくださいね」

 

 年長者のリッキーだってハニーオレンは好物だ。でもリッキーは子供用のすりおろしたやつではなく、オレンを大きくスライスして漬けたハニーオレンをあげる。手で一切れ掴んで口元に運ぶと喜んで口に咥え、咀嚼していく。

 

「ゼルゼルの性格って能天気か呑気ですか?」

「惜しいわね。この子は〝 図太い 〟よ。梔子ちゃんは意地っ張りかな? その甘い蜜に漬けたやつすっごく美味しそうね!」

「おお、合ってます。この子は意地っ張りですね。あ、一つ食べます? 人も普通に食べれますし、ゼルゼルにもどうぞ」

「やったー! ありがとー!」

 

 図太いタマザラシか。打たれ強く、直接攻撃が苦手分野。そんな性格。トドゼルガに進化させるなら中々良い性格だと言える。トドゼルガ自体が種族特性として打たれ強い傾向にあるから性格と種族に合った育て方ができるだろう。

 

 この世界では意味なく卵を産ませて捨ててしまえば犯罪になるし、ブリーダーでも一匹に多数卵を産ませる行為は虐待に当たるので厳選も容易ではない。

 といってもゲームでは雌雄厳選くらいしかしたことのない私には関係ないことだけれど。色違いだって自然に出会ったのを捕獲する主義だし、性格もよっぽどのことがなければ拘りはない。ただ知識として知っているだけだ。そもそも性格に拘りがあったら素直な性格の紫苑がどうなっているか分からない。想像もしたくないね。

 

 てか、ルクリア二切れ目食べてるし。

 

「食べるのが好きなんですか?」

「うん、美味しいものを巡りっていいわよね。ああそうそう、ケイカさんってブリーダー志望だったりする?」

 

 いきなり確信を突かれて言葉が澱む。

 

「ええ、まあ…… そうですね。ということはルクリアさんも?」

 

 同い年のわりには色んなことを知ってるし、梔子の性格を当ててきてるしなんとなくそんな感じがした。栄養剤代わりのハニーオレンに興味津々だし、味見しながら目を回していたタマザラシにも与えているし。

 

「あたしは氷タイプ専門のブリーダーになりたいの。ケイカさんは…… 電気タイプかレントラー専門?」

「専門もいいですけど、私はオールマイティですね。手持ちはあまり拘りたくありませんし」

「そっかそっか、タイプ統一とかは考えてないのね。あ、ケイカさん何歳!?」

「ええと、5歳…… ですね」

 

 改めて年齢言うと違和感あるなー。

 

 でも、まあ、この世界での成人が10歳だから5歳は前世での10歳に当たるって思えばまあ納得できるかな。6歳からトレーナーズスクールに通って、9歳で卒業試験。その後に進学するか旅に出るかは人それぞれだ。

 

「一緒だ!ってことは来年入学だね!コトブキのスクールだよね?」

「ええ、同じクラスになれるといいですね」

 

 彼女とはもっと話していたい。一緒にいれば同じブリーダー志望としてお互いためになるかもしれないから。それに彼女といると懐かしい感じがするのだ。

 氷統一といい、前世でバトルの約束をしていたあの子と似ている雰囲気があるからだろうか。私の中ではもう友達ってことでいいのかなと思い始めている。ま、友達っていうのは自然になっているものだしこのままでいいか。

 

「よーし、そうとなったら早くマサゴまで行かなきゃね! 今日中にコトブキまで行かなきゃ」

「そうだ、有耶無耶になってましたがあちらのオボンを収穫してからでもいいでしょうか」

 

 急がないといけないのは分かっているがこんなに一杯あるオボンを採っていかないのは勿体無い。

 

「んじゃ待ってるわ」

「一緒に行っていただけるのです?」

「目的地は一緒なんだから当たり前じゃない」

 

 リッキーの背に乗った梔子が欠伸をしながらくつろぎはじめ、足元をうろちょろしている紫苑が近場の木へと登っていき、高いところに生っている完熟したオボンを落とす。私はそれをキャッチしては木の実ケースに入れていく。ビーフの実とヘアの実の肉を模した木の実も時折紫苑が落としてくるので一緒に収穫。それから近場のヒメリの実をもぎ取ってリュックに入れる。

 一人と三匹分食事が増えるから気合を入れよう。

 

「そういえば、そのボールの中のポケモンはどなたです?」

「あ、この子達? お母さんのシャワーズとジュゴンよ。ハクタイから来てるから護衛にね。ケイカさんのキリンリキと一緒」

「ん、分かりました」

 

 水タイプか。なら魚肉味のシュシュの実も探さなければ。水タイプの好物は小魚系だが今は手持ちがない。だからこの林で魚の代わりになる木の実を探しておくのだ。ルクリアも料理はできるだろうがテンションが上がっているのでご馳走しちゃう! ついでにソノオ秘伝の甘い蜜をひと瓶プレゼントしちゃう!

 

「終わりました」

「よし、じゃあ出発ね!」

 

 そういってルクリアは歩き出したがすぐさま錆びついた機械のようにギギギとこちらに振り向き、立ち止まる。

 

「あたし迷ってたんだった」

「え」

 

 早速リッキーに頼ることになったのは言うまでもない。

 

 

 





 タマザラシ
 N.N ゼルゼル
 Lv 9
 性格 ずぶとい
 特性 厚い脂肪

 ・氷の息吹
 ・転がる
 ・水鉄砲
 ・冷凍ビーム

・ビーフの実
 牛肉味の木の実。栄養も大体一緒なので本物の肉の代用品にもなる。

・ヘアの実
 兎肉味。野生の兎が「ヘアー」と言うので。

・ソノオの甘い蜜
 一家に一匹ミツハニー!大きな家ではビークインも育成してます。ソノオに住んでいるブリーダーは皆一匹は手持ちに入っている。





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