半端な色廃さんのブリーダー日誌   作:時雨オオカミ

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メイン連載の合間に書いていますので不定期更新です。
読者の皆様には大変ご迷惑をかけています。申し訳ございません。


ルクリアのリベンジ?ポケモンセンターでのバトル!

 

 

 ユウカさんと別れた後、私たちはすぐにコトブキシティ内部に入った。

 ここにはトレーナーズスクールがある。将来入学する場所なので見学したい気持ちはやまやまなのだが、まずはポケモンセンターで梔子の足を治療してもらわないといけない。紫苑は大してバトルしていないが、洞窟内にてズバットやらイシツブテやらとバトルしていたので彼女も預けることにする。

 ルクリアもタマザラシ達を預け、手持無沙汰になってしまったのでポケモンセンターに泊るための予約を済ましておく。ポケモンセンターはトレーナーカードを所持していないと有料なので、両親から預かったお金で清算。

 

「え、泊まるの? ここまま行けば夜には着くと思うわよ?」

「それはルクリアさんが迷子にならなければの話ですわ。あなた、あっちこっち行くでしょう? 聞く耳も持ちませんし…… 観光しながら行くのならば明日の朝ゆっくりと向かった方がいいです。それに……」

 

 ポケモンセンターの中には大人も子供も、トレーナーズスクールの生徒だっているのだ。隅っこにある掲示板には日付と日時、希望レベルの書かれたバトル募集の紙が複数張ってある。

 ポケモンセンターでは泊まる客同士でバトルができる。希望レベルや日時の合う募集用紙を見て受付に話すと、その募集を張った人物を呼んでバトルフィールドを貸し出ししてくれるのだ。

 勿論、意気投合した二人で受付に連れだって行けばそのときもフィールドを貸してくれる。

 

「バトル、お好きでしょう?」

「…… そうね。今日は泊まろう!」

 

 チョロイ。チョロイぞルクリアちゃん!

 

「でも、その前にお部屋に行ってみましょう」

「分かったわ、どっち?」

 

 先程取った二人部屋のルームキーを見せる。

 勝手に二人部屋にしても良かったのかと冷や冷やしていたが、彼女は気にしていないようだ。良かった。

 

「あちらですわ」

 

 いたるところにある売店と、グッズ屋さんに吸い込まれるように消えて行くルクリアを、どこにも行けないようにガッチリと掴んでようやく部屋へと到着する。

 

「お買い物は後で行けばいいじゃないですか」

「だってさー、美味しそうなものばっかりなんだもの」

 

 この食欲魔神め。

 部屋は二人部屋にしては結構広かった。コリンク達とタマザラシくらいの大きさならボールの外に出していても大丈夫そうで、お風呂場もポケモンを洗うためなのか広めになっている。ありがたい。これなら一緒にお風呂に入れる。

 ただリッキーやルクリアのジュゴン、シャワーズを同時に出すのはできないので、遊ばせるのならばポケモンセンターの裏手にある水場へと行く必要がある。バトルフィールドもそちらの方に2つあるようで、窓からそおの様子を見ることができた。

 

「あら、キモリとはこちらでは珍しいですね」

「へ? キモリって南の方のポケモンじゃなかったっけ」

 

 手前のフィールドでキモリを連れた男の子とムックルを連れた男の子がバトルをしていた。

 森に近く、こちらのフィールドは芝でできているようだ。奥のフィールドは普通に地面が剥き出しとなっていて、隠れる岩場もある。両者は訪れるトレーナーのためにあえて違う雰囲気のフィールドになっているのだろう。

 

 キモリのトレーナーは私たちと同年代くらい。ムックルのトレーナーはどうやらトレーナーズスクールに通っている子のようだ。鞄から教本や学生証が覗いている。もう夕方近いので帰り道にポケモンセンターに寄ったのだろうか。

 窓を開けても声は良く聴こえず、キモリとムックルの動きだけが唯一どんなバトルをしているかの判断材料になる。

 ムックルは空から奇襲をしかけていて、キモリは避けるのに精いっぱいになっている。体当たりと電光石火ばかり繰り出しているのでレベルはそんなに高くないし、飛行技も覚えていないようだ。キモリにとっては苦手な飛行技が飛んでこないので有利なはず。それに、たまに電光石火を使って変な避け方をしているのでレベルもキモリのほうが良く分か高いはずなのだ。 「すいとる」 という特殊技もあるのに、どうして押されているのだろう。

 

「どうしたのかしら、あのポケモン。さっきから避ける方向が変ね」

「避けれる方向に避けていない、んですかね。なぜでしょう」

 

 男の子は焦ってしまっていて少し声を荒げている。

 キモリはそんな男の子に目線を取られ、ムックルの電光石火を受ける。よろけて片足が宙に浮き、踏ん張ろうとしたところでなぜかそのまま体を捻って倒れてしまった。

 ムックルの追撃が入る。キモリはそれを受けながらやっと体を起こし、さらに追撃して来ようとするムックルに電光石火で向かいながら飛び込んで行く。しかし、下を向いたままムックルに向かったキモリの攻撃は僅かに外れる。

 その間に鳴き声をあげていたムックルは再び体当たり。次いで動きの鈍いキモリに電光石火を当てる。

 そこでキモリは動きを止め、力尽きる。ずっとあの調子で戦っていたのだろうか。キモリのトレーナーは泣きそうな顔でキモリを抱き上げると対戦相手にチップを払ってポケモンセンターの中に戻って行った。

 

「なんだか、大変そうね」

「そうですね……」

 

 他の場所に目を向けると既に別のバトルが始まり、水遊び場ではパチリスを連れたお姉さんが一緒に遊んでいる光景が見える。

 

「そろそろ時間かな」

「もうそんな時間ですか。では、下に行きましょう」

 

 予定時間丁度で私たちへの放送がかかり、ポケモン達が帰って来る。

 そうしてから私たちは暇つぶし目的で掲示板を見に行くことにしたのだ。

 

「あれ?」

「どうしました?」

 

 大人たちの群がる掲示板の前で音にかき消されそうになりながら彼女の声に耳を向ける。

 中々バトル好きが多いらしく、掲示板には溢れんばかりの紙が貼られている。その隅っこを指さしてルクリアが言う。

 

「あれ、さっきの子のじゃない?」

 

 そこには年齢と手持ちのポケモンが書かれた募集要項が載っていた。

 確かに年齢は5歳。パートナーがキモリになっている。しかし誰もその募集には触れずに、自分とレベルの近い人物とのバトルを求めて動いている。まだトレーナーカードもない少年を相手する大人はいないようだ。

 

「さっきもバトルしてたけど、まだするのかな?」

「どうしますか、ルクリアさん? 年齢も近いですし」

「でも回復するのに時間かかるよね?予定も一時間後になってるみたいだし…… 予約だけとって先に私たちでバトルしない? リベンジしたいのよ」

「いいですよ、ではそういうことで」

 

 受付の人物に話しかけ、募集要項を手渡す。

 それから時間になるまでフィールドを使う許可を貰って私たちは外に出た。

 

 フィールド前で図鑑を起動する。洞窟でのバトルなどもあったためか、紫苑は素早さの伸びが良い。更にレベルが1上がって12となっている。主力となる特殊電気技を覚えるまでもう少しだ。こんなに成長が早いとは、進化も思ったより早く来るかもしれないな。

 梔子もレベルが1上がって10になっている。充電を覚えているが、まだ電気技を覚えていないので自分の特防を上げるくらいでしか使えないが、打たれ弱いこの子たちには必要になってくることもあるだろう。

 ルクリアのタマザラシもどうやらレベルが上がっているらしい。

 

「さて、ケイカさんはどうするの?」

「さて、どうでしょう。この子たちによりますね…… ね?」

 

 そう言って見たコリンク達の顔は輝いていて、どちらもバトルに出たいように見える。

 

「…… 梔子は一回ゼルゼルとやったから、今度は紫苑でもいいでしょうか? あとでまたバトルがあるから、そのときに梔子はバトルしましょうね」

「ミーゥ」

 

 そう言って梔子はリッキーやジュゴン、シャワーズの元に向かう。観戦を決め込むようだ。

 

「さて、やりましょうか」

「今度は負けないよ!」

 

 紫苑とゼルゼルがフィールドに入り、私たちはトレーナー用の円の中へ。

 そしてどちらかと言う間もなく、私たちは同時に指示を出し始めた。

 

「水鉄砲!」

「スピードスター!」

 

 同時に発射された技が拮抗することもなく、フィールドの真ん中で拡散する。水飛沫と砕かれて黄色い燐光となったスピードスターが散って行く。

 お互いの場所を隠したその瞬間、私は充電を指示する。

 水飛沫が晴れる頃を狙い、死角からやってきたタマザラシが転がるで突っ込んでくる。

 

「避けてから電光石火で追いついて雷の牙です!」

 

 ここで紫苑に向かって〝 よく見て 〟避けろなんて言ったら見過ぎて轢かれることが分かっているのであえてそれは言わない。あの子にあんまり難しいことを言ってしまうと混乱してしまうのだ。あくまで真っすぐな彼女には真っすぐな指示が合う。

 

「みぃ!」

「タママー」

 

 ドップラー効果を残しながら転がって行くタマザラシに向かい紫苑が走る。そして戻ってきたタイミングで真横から雷の牙を叩き込んだ。

 

「ゼルゼル、横回転して水鉄砲!」

「はい?」

「タ、タマ?」

 

 困惑しつつも素早く立て回転から横回転に変化することができるタマザラシも凄いな。

 

「紫苑、離脱!」

「み、みぃっ」

「タママ~」

 

 少し遅くなった指示で紫苑はすぐさまバックステップしたが、突然のことだったので軽くよろけてしまう。

 

「氷の息吹よ!」

「タマー!」

 

 転がるをなかなかやめられないタマザラシが横回転をしながら氷の息吹をまき散らす。よろけていた紫苑にそれが当たり、慌てた紫苑が体勢を立て直して距離を取る。

 

「転がるは途中でやめられませんね」

 

 そう言って私は彼女にシグナルビームを指示する。

 

「みう、みー!」

「回転しながら水鉄砲!」

 

 シグナルビームがタマザラシの周りに展開する水鉄砲に威力を落とされながら着弾する。タイプ的に更に半減された威力ではあまりタマザラシに効いていないだろう。すぐさま私はスピードスターを指示した。

 

「タマッタマー!?」

 

 体勢を立て直す前に撃った星がタマザラシに降り注ぐ。続いて充電を指示し、これで2積み。そうして更にスピードスターを指示しようとしたときにタマザラシがその手を合わせてパシパシと拍手するのが見えた。

 

「タママッタママッ、ターマーマー!」

「み?みぃ…… みみみ!」

 

 忘れていた。タマザラシはアンコールを覚えるのだ。

 

「し、紫苑!?」

「やったぁ! ゼルゼル、近づいて冷凍ビーム!」

 

 流石に近づけばタマザラシの熟練度の低い冷凍ビームも当たるだろう。

 

「紫苑距離を取って!」

 

 紫苑はタマザラシに褒められて嬉しいのか 「うみみ」 と笑いながら毛を逆立て、充電を繰り返している。一切こちらを見ていない。そんなおバカなところも可愛いけれどこれはまずいって!

 

「ターマー!」

「みっ!?」

 

 気づかないまま冷凍ビームで吹っ飛んだ紫苑が観客席となっている森側のリッキーの元へ飛んで行った。すっかり目を回している紫苑の首元をリッキーがくわえてこちらに戻って来る。

 

「勝ったぁ!」

「負けてしまいましたね……」

 

 紫苑をモンスターボールに戻し、ルクリアに賞金を渡す。

 

「やった! これで美味しい物食べよう。金欠気味だから助かるわ」

「そうやって使ってしまうから金欠なのでは? ご両親から旅費は渡されているんですよね?」

 

 呆れ気味に言えば彼女は頬をかいて 「お土産代に飛んでるのよ」 と視線を彷徨わせながら言った。それは、なんというか…… 彼女らしい理由だ。

 

「一旦センターに紫苑を預けて来ます。梔子のことちょっとの間見ていてください。あ、それとこれ、ソノオ名物の甘い蜜です。これをあげますからあまりお金は使わないでくださいね」

「ありがとう! わぁ、楽しみだなぁ。明日の朝使うわ」

 

 甘い蜜とオボンの実を渡しながら彼女のタマザラシを見る。そんなに傷を受けていないのでオボンの実とおいしい水があれば回復できるだろう。さっそくオボンの実をかじるタマザラシを一撫でしてセンターに向かう。

 

 ボールの中で申し訳なさそうな顔をしている紫苑に 「いいんだよ、楽しかったでしょ?」 と宥めつつジョーイさんにボールを渡す。

 ついでにミックスオレとサイコソーダを二本ずつ買ってバトルフィールドの方に戻ると、ルクリアのほかにもう一人、緑色の髪をした男の子がいることに気づく。

 

「あ、ケイカさん。梔子ちゃんバトルするでしょ? 私たちは少し休憩しようと思って」

「分かりました。えっと、あなたがシブキさんですか?」

 

 ルクリアにサイコソーダとミックスオレを一本ずつ手渡し、腰にモンスターボールを二つ付けた男の子に向き直る。すると男の子は緊張した面持ちで頷き、自己紹介を始めた。

 

「オレはシブキ。パートナーは、キモリのマキ。よろしく」

 

 彼が自己紹介の途中で出したキモリは、まん丸の目をぱちくりとさせて周囲を見渡し、そわそわしながら私にお辞儀をしてくる。かなり礼儀正しいキモリだ。しかも通常のキモリが持つ鋭い雰囲気もなく、ほわわんとした穏やかな気性が感じ取れる。

 

「私はケイカと申します。パートナーは、このコリンクの梔子と、もう一匹コリンクの紫苑がいるのですが先程のバトルでセンターに預けています。今回はこの、梔子をバトル相手にさせてもらいますわ」

「あ、ああ。オレはマキで行くけど……」

「ルクリアさん。観戦するなら審判をお願いします。簡単な審判でいいので」

「ん、分かった。私はルクリア! よろしくね」

「よろ、しく……」

 

 メスのキモリとはまた珍しい。

 それよりも、キモリがどこかそわそわして視線を彷徨わせているのは気のせいだろうか。

 

「シブキくんはキモリでいいのね? んで、ケイカさんは梔子くんと…… さ、円に入って。初めの合図だけさせてもらうからね」

 

 移動して今回は芝のフィールドだ。

 

「よし、定位置に着いたわね。よし…… 試合、はじめ!」

 

 どんなときも同じ、試合の始めで同時に指示が飛ぶのも同じ。

 時間は夕方、相手は初対面の男の子、シブキとキモリ。

 窓から見たときと同じように険しい顔をしているシブキを見て、私はわくわくしながら梔子に最初の指示をした。

 

 

 





 タマザラシ
 N.N ゼルゼル
 Lv 10
 性格 ずぶとい
 特性 厚い脂肪

 ・氷の息吹
 ・転がる
 ・水鉄砲
 ・冷凍ビーム
 ・アンコール

 コリンク
N.N 紫苑
  Lv12
 性格 素直
 特性 責任感

 ・雷の牙
 ・電光石火
 ・アイアンテール
 ・手助け
 ・シグナルビーム
 ・スピードスター
 ・充電
 ・つぶらな瞳

 コリンク
 N.N 梔子 色違い個体
 Lv10
 性格 意地っ張り
 特性 根性

 ・氷の牙
 ・電光石火
 ・アイアンテール
 ・辻斬り
 ・電磁波
 ・空元気
 ・充電

 キモリ
 N.N マキ
 Lv??
 性格 ??
 特性 ??


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