大海賊時代の天使 作:キソケドゥ
てな感じで書き始めました。
「何処だ?ここは…?確か、私はウアサハ殿に殴られて…記憶が無いな。流石だ。」
とりあえず、状況の整理をしよう。私はローエングリン。ブリテンを守護する騎士だ。うむ、自分の事は分かるな。次は周りの状況の確認だ。見たところ海岸だな。反対側は鬱蒼と茂る森だ、どうやら島の様だな。人の気配がない…無人島か。と、なると空から確認した方が良いな。
「うむ。問題無く翼も出るな。身体に不調も無い、さて…行くとしよう。」
私は最初に居た無人島を離れ、海の上を翔んでいた。場所の情報を得る為だ。しかし、いくら翔んでも、海ばかりだ。途中に見える島は無人島ばかりで人も居ない、このままでは日が暮れてしまう。そんな事を考えていると、ようやく港町が有る島を見付けた。よし、早速情報を貰うとしよう。
□□□□□□□
私が港町に降りると、どうやら港町は取り込み中だった様だ。
「テメェら!!命が惜しければ、町の金目の物を全て寄越しな!!」
「少しでも出し惜しみしたら全員殺すからな!!」
「わ、分かりました…ですから、皆の物の命だけは…!!」
ふむ、どうやらこの町は賊に襲われているらしいな。賊と話していたのはこの町の責任者だろうか?町の人間を助ける事を優先するのは良い事だ。うむ、助けるとするか。
「後は良い女でも居りゃあ最高なんだけどな…ん?」
どうやら賊の一人が私に気付いた様だ。こっちに近付いてくる。
「へぇ…結構良い女だな。だが、武装してんのは関心しねぇな?まるで俺達に逆らおうとしてるみてぇじゃねぇか。」
賊は私に得物を向けながら、まじまじと視てくる。うむ、不快だ。それに、逆らおうとしてるみたい、ではなく、逆らうからな。
「言い残す事は無いな?」
「は?」
私は賊を斬り捨てた。それを見て居た他の賊達が私を囲む。
「テメェ!!巫山戯てんのか!?死にてぇみてぇだな!!」
どうやら賊の全員が私を囲んでいる様だ。想像よりも規模が少ないな。20人程度か?
「ぶっ殺せ!!」
一際体格の良い男が叫ぶと、一斉に私に襲い掛かってくる。どうやらあの男が頭の様だな。
「さて…正義の剣を振るうとしよう。」
□□□□□□□
「さて。お前で最後だな。言い残す事は無いな?」
「そ、その翼…悪魔の実の能力者か!?」
私の翼を見て、賊は狼狽えている。
「失礼だな。悪魔ではなく天使と言って欲しい。」
「ぐわっ!?」
私は賊を気絶させた。勿論全員殺してはいない。最初に斬った奴も傷は浅いから、命に別状は無いだろう。
「あ、あの…助けて頂き、ありがとうございました!!」
先程の町の責任者らしき人物が私に礼を言った。
「別に構わんよ。そうだな…代わりと言っては何だが、少し情報を貰えないだろうか?」
そう提案すると、町の責任者らしき人物は家に案内してくれた。
□□□□□□□
「つまり、貴殿方はブリテンと呼ばれる大陸も、外敵と呼ばれる存在も知らない…と?」
「は、はい。」
私の質問に、町の責任者らしき人物は申し訳無さそうに答えた。
「ふむ…となると、ここはブリテンも知られていない遥か彼方か、異世界かのどちらかになるな…しかも、世界地図を見た限りでは、異世界の可能性が高いか…難儀だな。どうしたものか…」
私が考えていると、町の責任者らしき人物が私に質問してきた。
「えっと…失礼ですが貴女様は、行く宛が無いんですか?」
「まあ、そうなるな。おっと、済まない自己紹介が遅れてしまった。私はローエングリンだ。宜しく頼む。」
「あ、私はこの町の町長をやっている、ウルバ・コダと申します。」
やはり町の責任者だった様だな。自分の勘が当たるというのは嬉しいものだ。
「ローエングリン様。行く宛が無いのなら、この町を守護して頂きたいのですが…」
コダ殿が私に頭を下げてくる。が、私の答えは決まっている。
「済まない、私にもやるべき事が出来た…ブリテンに帰る方法を探さなければならない。」
私の答えを聞き、コダ殿は残念そうにした。少しばかり良心が痛むが、私も帰らなければならない。それに…
「済まない。それに、一所に落ち着いて居るのは性分では無くてな。折角の異世界ならば、楽しみたいんだ。」
「そうですか…分かりました。それならばローエングリン様、この世界で生きる為に必要な事をお教え致しましょう。」
「それは助かるな。是非お願いする。」
その後、私はコダ殿からこの世界の大まかな概要を聞き、今の世界の情勢や色々な事を聞いた。
「ふむ、ならば私は賞金稼ぎ等が向いているかも知れないな。」
「そうですね…少なくとも、この東の海ならば、ローエングリン様の実力を以ってすれば、問題は有りますまい。」
コダ殿も太鼓判を押してくれた。ならば、単刀直入に聞こう。
「東の海以外でも私は戦えるか?偉大なる航路とまではいかずとも、西や北の海はどうだろうか?」
「……何とも言えませんな…東の海は『最弱の海』ですからな。ですが、2000万ベリーまでの相手なら、ローエングリン様の実力ならば問題は有りますまい。」
2000万か…捜索出来る範囲は広い方が良いからな、出来れば西や北の海にも行きたい。ブリテンへ帰る手掛かりが見つかれば良いが…
「そうか。済まないな、助かった。そう言えば、さっき倒した海賊には賞金首は居なかったのか?」
居れば旅の資金になるからな。それに、大物ならば私にも賞金稼ぎとして箔が付くからな。それ以降の仕事がしやすくなる。
「先程の海賊の船長には、1000万ベリーの懸賞金がかかっておりますな…東の海ではかなりの高額ですな。」
「そうか…この町には海軍の駐屯所は無いんだったな…」
あれば海賊等に襲われてはいないだろうしな。
「はい。この町には有りませんが、ローグタウンと言われる町には海軍の駐屯所も有りますので。」
「わかった。あの大男を連れていくとしよう。世話になったな、感謝する。」
私は大男を担いで翔ぶ準備をする。それにしても、結構重いな…。雑魚の海賊達は即席の牢獄にぶちこんでおいた。海軍へ連絡したから、3日後には到着するだろう。何やら海軍も立て込んでいるらしい。
「さて…では、失礼する。」
「「ありがとうございました!!」」
町の人々からの感謝の言葉を背に、私はローグタウンに向かって翔んだ。やはり重いな。途中で大男が目覚めて暴れだしたが、腹を殴ったら大人しくなった。全く、海に落ちたらどうするんだ。
□□□□□□□
ローグタウンに到着した。大男を担いで持ってきた事に海兵が驚いていた。中々おもしろいリアクションだったな。ついでに手配書リストも貰っておいた。見た感じはやはり東の海出身の海賊は少ないな、一際金額が高かったのは『麦わら』の3億だったな。もうそこまで行くと別次元の強さなんだろうな。
「なんだ?お嬢ちゃん…賞金稼ぎか?手配書なんざ見つめちまって。」
酒場で休息を取っていたら、酒場のマスターに声をかけられた。それにしても、ここのオレンジジュースは美味い。
「賞金稼ぎ見習いと言った所だ。絶賛売り出し中だぞ。」
「へぇ…誰か捕まえた事は?」
さっき引き渡した男の手配書を見せる。
「確かこいつだな、『大腕のドムラ』だったか?只の大男にしか見えなかったが。」
「懸賞金1000万ベリー!?本当にお嬢ちゃんが捕まえたのか!?」
マスターは大袈裟に驚いている。手配書リストを見る限り、そこまでの金額では無いのだが、やはり東の海では高額な部類なんだろうな。
「凄いな…今度の狙いは誰なんだ?」
「まだ決めてはいないな。それに、調べものを優先しなくてはならないからな、所持金が少なくなれば、適当に狩ろうかと。」
「いやいや、賞金首は少ないぜ?ここは最弱の海…裏を返せば賞金首の数は少ないって事だな。居るのは海賊モドキや100万以下の山賊ばかりだからな。」
成る程。それは確かに言えるな。資金が無ければ話にならないな…ふむ、先に資金を蓄えてからブリテンへ帰る方法を探すとするか?
「そうだな。そのアドバイスはありがたく受け取るとしよう。ならば一先ず資金を蓄えよう。ありがとう、暫くはこの辺りに拠点を構えるとするかな。」
駐屯所も近いからな、小さな事からコツコツとやっていくとしよう。
□□□□□□□
それから暫くして、辻斬り等を捕まえて生活していた。やはりあまり高額な奴等は居なかったが、町の人々とは打ち解けた。しかしこの辺りの賞金首は粗方捕まえてしまったし、ブリテンへ帰る手掛かりも無さそうだったので、そろそろ拠点を変えようかと思っている。何より、そろそろ新しい場所を見てみたくなった。
「えぇ…この町を出て行くんですか?」
「ああ、この辺りの賞金首は粗方捕まえてしまったし、一所に落ち着いて居るのはあまり好きでは無いからな。」
山賊を受け渡しに駐屯所へ行くと、いつも懸賞金を渡してくれる海兵と話をした。
「でも、東の海だと駐屯所と換金所が併設している所って少ないんですよね~。」
「ん?そうなのか?」
てっきり全ての駐屯所が併設している物かと思っていたのだが。
「ローエンたんが賞金稼ぎ見習いって話は本当だったんだ…東の海では賞金稼ぎとか、賞金首とかが少ないですからね。常識ですよ?今は賞金首になっちゃいましたけど、『海賊狩り』とかは居ました。でも、割りに合わないんですよ、賞金首を探し回る労力と懸賞金の金額が。だから、実力が有る賞金稼ぎは懸賞金の安い東の海を出ていくんですよ。」
「そうなのか?確かに見付けるのは大変だが…」
「じゃあ聞きますけど、『大腕のドムラ』以外にローエンたんが捕まえた1000万以上の賞金首って居ました?」
そう考えると、確かに居ない。見付けるのは大変と言ったが、私は空を翔べる。最悪の場合は空から海賊船を見付ければ、それなりの収入が得られる訳だ。が、普通の賞金稼ぎは空から海賊船を見付けるのは無理だ。それならば、確かに割りに合わないと言える。
「そうだな…割りに合わないのは確かの様だ。」
「ね?だからローエンたんも賞金稼ぎなんて危ない仕事をやめて、最近出来たメイドカフェなる店で…」
海兵のアドバイスで私の決心は固まった。
「ならば、やはりここを離れるとしよう。」
「えぇ!?マジすか!?」
ガーン…と言う文字が見えるが、どうやらこの世界では、これが普通の様だ。私はいくらやっても出来ないが。
「ああ、マジだぞ。資金ももう少し蓄えなくてはならないしな…」
「そ、そうすか…去らば、俺の初恋。」
「ん?何か言ったか?」
「いえ…」
何やら海兵がゴニョゴニョ言っているが、具合でも悪いのだろうか?ああ、そう言えば。
「世話になった礼だ。受け取ってくれ。」
「?なんすか、この袋…」
「魔除けらしいぞ?中身は知らないが、効果は有るらしいぞ。」
「はあ…ありがとうございます。」
海兵は受け取ってくれた。やはり元気は無さそうだが。
「理由は分からんが、元気を出せ。」
「そうっすね…ローエンたんもお元気で…」
「ああ、余裕が出来たらまたこの町のオレンジジュースを飲みに来る。また会おう。」
「また会えるんですか!?」
今度は目に見えて明るくなったな。情緒不安定なのだろうか…心配だ。
「ああ、また会えるさ…」
こうして私はローグタウンを離れた。やはり行くべきは…偉大なる航路か?出鱈目な事が起こると言われている海…ブリテンへ帰る手掛かりも有るかも知れないな。
「目指すは偉大なる航路…行くとしよう!!」
私は翼を広げ、偉大なる航路へと向かった。
制圧型ローエンマジ天使。