大海賊時代の天使 作:キソケドゥ
新世界を統べる四人の海賊、通称“四皇”その強さは圧倒的で、新世界で生き残る為には、四皇の傘下に入るか、四皇に挑戦するかの2択であり、四皇に挑戦した海賊は殆どが海の底に消えた。しかし、少し前に発生した“白ひげ対海軍本部”の戦争が起こり、四皇の一角を担う大海賊である、エドワード・ニューゲートが戦死。それによって海のパワーバランスが崩れていた。
~海軍本部会議室~
海軍本部の会議室にて将校達が集まり、会議が行われていた。会議の内容は七武海の空席および、“黒ひげ”の対応についてだった。
「ですから!!七武海の空席を埋める為にも、“道化のバギー”を七武海にすべきです!!インペルダウンの強力な囚人達を従えているあの男は政府の駒にした方が得策です!!」
将校達を目の前に力説するのは、海軍准将のブランニュー。基本的に会議の進行役なのだが、いっこうに話が進まないので、進行役本人のブランニューが意見を出すことになったのだが。
「それよりも!!儂はローエングリンを海兵にするんじゃ!!」
「ガープさん!話の焦点が合ってないです!」
主にガープのせいで話が進んでいない。ローエングリンに出会ったせいで、海兵にしたい病が発生していた。
「ローエングリン…ねぇ?最近東の海で賞金稼ぎをやってるって奴でしょ?ガープさんが気をかける程の奴なんスか?」
「……潜在能力は測り知れん。能力者では無いと言っていたが、翼が出せる。空島の出身の可能性もあるが、翼の形が普通の物よりかなり大きい。」
ガープに質問をしたのは海軍大将である通称“青雉”本名はクザン。ガープはクザンの質問に対して、自分の意見を述べた。そしてその意見を聞いて、会議室内がざわついた。英雄ガープが潜在能力は測り知れんと言わしめる程の人物…一体どんな者なのかと。
「おんどれガープ!!話が進まんわ!!老害は黙らんかァ!!」
「なんじゃとサカズキ!!」
((また始まった…何とかならない物か…))
大将と中将の小競り合いが発生した。一触即発の空気の中、突然会議室の襖が開いた。
「何事だ?会議中だぞ!?」
「も、申し訳ありません!!し、しかし早急にご報告すべき事態が!!」
会議室に入ってきた海兵は酷く焦っており、事態の深刻さが伺えた。
「分かった。聴こう。」
海軍元帥であるセンゴクの一言を聞き、海兵が口を開いた。
「“四皇”カイドウの傘下の船が…3隻沈みました!!」
「!?赤髪の仕業か!!」
赤髪…カイドウと同じく“四皇”の一角を担う海賊、赤髪のシャンクスの事である。赤髪のシャンクスは頂上戦争が発生する直前に、カイドウと小競り合いをしたとされており、今回の事件はシャンクスの物かと思われた。しかし…
「い、いえ…それが…」
「ハッキリせんかァ!!」
サカズキが声を荒げる。その声に萎縮した海兵だったが、クザンが助け船を出した。
「相変わらずキツいじゃないの…気にしなくて良いから、続きを話してくんない?」
「は、はい!カイドウ傘下の船を沈めたのは、赤髪ではなく…一人の女と言うか…その…」
またも言い淀む海兵。その様子を見て、サカズキが立ち上がる。
「……死にたい様じゃのぅ!!」
「だから、待ちなさいって。赤髪じゃないとしたら、とんでもないバケモンじゃないの。その女って海賊じゃあ無さそうだな?」
クザンの質問を受けて、海兵は頷いた。
「はい。配書もなく、海賊では無いようです。」
「だとしたら、賞金稼ぎだとでも?ガープさんが言ってたローエングリンとか?」
一人の将校が口にするが、ガープは首を横に振る。
「それは有り得んじゃろう。偉大なる航路の前半で別れたんじゃ。新世界に居る筈は無い。」
「なら、一体誰じゃい!!さっさとおどれも特徴なり何なり話さんかァ!!」
サカズキの苛立ちが最高潮に達し、怒鳴り出す。その瞬間、不意に背後から声がした。
「さっきから見てたけど、沸点低いね?挑発とかに引っ掛かるタイプ?」
将校全員が振り返ると、そこには黒い服装、黒い髪、紅い瞳をした女性が居た。
(全く気付かんかった…敵なら、全員死んでたかもしれん…)
「誰だ?って顔してるね!自己紹介しちゃおうかな?私はファルサリア…まあ、自由気ままな妖精だよ!因みに、カイドウ…だっけ?その仲間の船を壊したの私だから!!空を翔んでたら撃ってきてさぁ…鬱陶しかったから、壊しちゃった♪」
「…………お主…敵なのか?」
全員が臨戦態勢を取る。ここに居るのは海軍の最強の将校達。その覇気は半端ではなく、並みの人間なら何も出来ずに気絶してしまう程だ。しかしそんな状態の中でも、ファルサリアは平然としている。
「うーん…敵かも知れないし、味方かも知れないよ?まあ、私って気紛れだから…」
ファルサリアは言い切る前に吹き飛ばされた。海軍大将“黄猿”ボルサリーノに蹴り飛ばされたのである。ボルサリーノはピカピカの実を食べた光人間。光に近い速度で動けるのだ。その蹴りを喰らった人間は無事では居られない。その筈だった。
「いやー!!速いね!!ちょっと痛かったなぁ♪流石は大将だね?」
平然としているファルサリアがそこには居た。それだけではなく、またも将校達は背後を取られていた。
「冗談にしては……笑えないねェ~?」
蹴り飛ばしたボルサリーノ本人が驚いていた。ピカピカの実を食べて以降、経験上初めて相手を目で追えなかったのだ。
「ドアドアの実の様な、転送系の悪魔の実の能力者か?」
将校達は百戦錬磨の経験から、ファルサリアの能力を予測する。
「あ、お煎餅だ。好きなんだ~!1枚頂戴!」
ファルサリアはガープの席に置いてある煎餅を見て、ねだる。その姿を見て、サカズキは怒りを爆発させた。
「馬鹿にしおって!!死ねェ!!」
「邪魔。」
ファルサリアがサカズキの体に触れると、サカズキが気を失った。
「大将赤犬が一撃で!?」
将校達に戦慄が走る。大将が一撃でやられる等、信じられる筈がなかった。しかしファルサリアにはそんな事は関係無いと言わんばかりに、再び煎餅をねだった。
「ねぇ!!お煎餅頂戴よ!断絶の時代のお菓子の中では結構好きなんだから~!いいでしょ~!!」
(この娘…あまりにも強すぎる…無邪気でもあるが、根底には破壊しか無い。なんて恐ろしい娘じゃ…)
(ガープさん…どうします?情けねェ話だが、俺じゃあ太刀打ち出来る相手じゃ無さそうだ。)
小声で話すガープとクザンであったが、答えを出せずに居た。
「……ファルサリア…だったな?おかき食うか?」
「あ、食べる!!おかきも好きなんだ~♪」
(センゴクさん!?まさかの餌付け作戦!?)
(単純じゃが、一番いいかもしれん。)
美味しそうにおかきを食べるファルサリアを見て、毒気を抜かれたガープとクザンだった。
ローエングリンも良いけど、ファルサリアも可愛いですよね…カード化はよ。