ラブラIb〜太陽の笑顔が織りなす物語〜【完結】 作:名前はまだ無い♪
他にも書いているので更新ペースは不定期ですが、どうぞよろしくお願いします。
「ねぇお姉ちゃんお願い!」
とある休日の朝。和菓子屋「穂むら」に少女・高坂雪穂の必死な声が響く。雪穂は居間に横になってノンビリしている少女の姉・高坂穂乃果に両手を合わせて何かをお願いしている。
「えーやだよー。お兄ちゃんとか、お母さんに頼めば良いじゃ〜ん」
「お兄ちゃんは今日はバイトに出掛けちゃうし、お母さんもお父さんと一緒にもう出掛けちゃってるから居ないんだって」
「だからって何も練習が休みの日に態々美術館に、それも雪穂のお守りとして行くのは嫌だよ〜?」
穂乃果が畳の上をゴロゴロしながら言うと、雪穂は溜め息を吐き、幾つかある手札の内一つを切る。
「亜里沙にお姉ちゃんが来るかもって言ったら凄く喜んでたよ?」
「うっ……亜里沙ちゃんがそこまで喜ぶなら、仕方ないか…」
雪穂は思惑通りに行った事で内心ニヤリと笑うと「よろしくねー」と言って二階の自室へと着替えに向かう。
穂乃果は雪穂が着替えている間に先程お願いされた事を思い出していた。
「え〜と。確か学校の宿題で美術館に行くんだよね。それでこれから行く美術館でやってるのが……なんだっけ?」
「ワイズ・ゲルテナ展でしょ。雪穂と亜里沙ちゃんはそこに行ったレポートを書いて、来週末に提出するって張り切ってるよ」
「あ、お兄ちゃんおはよう」
穂乃果の分からなかった部分を補足したのは穂乃果の双子の兄・高坂若葉だった。若葉は「おはよう」と欠伸交じりに返すと、そのまま居間に座り机に肘を付いた。
「それにしてもゲルテナ展かぁー。俺も行きたかったなぁ」
「だったら代わってよ。穂乃果、折角今日はμ'sの練習がないからゆっくりしようと思ったのに」
「代わってあげたいのは山々なんだけど、今日はバイトがあるんだって」
「もしかして、美術館のバイト?」
若葉は様々なバイトを行っているのでもしかしたら、と思い穂乃果が聞くも若葉は首を横に振って答える。
「今日のバイト先は親方の所。最近人手不足で急遽俺が駆り出される事になったって、昨日話さなかったっけ?」
「そう言えばそんな事言ってた様な…」
「ま、そういう訳だから俺の分まで楽しんできてね。それと美術館では静かに、だよ?」
「はーい」
穂乃果の返事を聞いた若葉は、ニッコリ笑うとそのまま居間を出て行った。それと入れ替わりに中学の制服に着替えた雪穂が入って来る。
「雪穂、制服で行くの?」
「そうだよ?亜里沙も制服で行くって言ってたし。て言うかお姉ちゃんそろそろ着替えないと亜里沙来るよ」
「…え?」
雪穂の言葉に穂乃果は今の自身の服装を見返し、寝巻きのままである事に気付き慌てて二階の自室にて着替え始める。
着替えが終わり全身鏡でおかしな所が無いか確認する。赤いシャツにオレンジのパーカー、ショートパンツに黒のストッキング。
「うん。おかしな所は無い…よね。よし!」
と気合を入れたタイミングで階下からインターホンが押された音がした。扉が開き、雪穂の嬉しそうな声で穂乃果は亜里沙が来た事を悟る。
穂乃果が階段を降り裏口に行くと、そこには金髪をポニーテールにした女子と、雪穂と同じ制服を着た亜麻色の髪の少女がいた。
「絵理ちゃん!」
「あ、穂乃果。今日は亜里沙の事よろしくね」
穂乃果がポニーテールの女子・絢瀬絵里に近付くと絵理は頭を下げて妹・亜里沙の面倒をお願いする。穂乃果はそんな絵里に慌てた様に手を振ると「まっかせてー!」と胸を叩く。
絵理の隣では同じ様に「今日はよろしくお願いします!」と元気に頭を下げる亜里沙。
「じゃあそろそろ行こっか」
「そうだね。場所もちょっと遠いし、早目に出ないと」
「それじゃあお姉ちゃん行ってきまーす!」
「穂乃果と雪穂ちゃんに迷惑掛けちゃダメよー」
亜里沙が絵理の注意に「はーい」と手を振って答えると、穂乃果、雪穂、亜里沙の三人は最寄りの駅に向かって歩き出した。
☆☆☆
電車に乗って幾つかの駅を通り過ぎ、目的の駅で降りた三人はバスロータリーで美術館の近くまで行くバスに乗り込む。
「それにしてもゲルテナ展楽しみだね!雪穂!」
「うん!まさかお兄ちゃんがチケットを持ってるとは思わなかったよね」
二人掛けの席に並んで座って話している二人を見て穂乃果はふふっと笑顔を浮かべる。二人は穂乃果の笑みに気付かないまま、若葉に渡されたパンフレットを見て声のボリュームに気を付けながら盛り上がっていた。
『次は参内美術館前。参内美術館前でございます。お降りの方はバスが止まってから席をお立ち下さい』
そうこうしている内に目的地の美術館・参内美術館にバスが止まる。三人はバスから降りて美術館の中に入って行く。
「ねぇ先に見てていい?」
「もう仕方ないわね。いい?美術館の中では静かにしてなきゃダメよ?」
「はーい」
中に入ると受け付けカウンターで三人家族が受け付けていた。穂乃果達がカウンターに近付くと茶色の髪を伸ばした少女が母親と話しているのが聞こえた。
少女は母親の注意に返事をするとそそくさと美術館の奥に歩いて行ってしまった。
「じゃあ私達も受け付け済ませちゃおう?」
「そうだね。じゃあお願いします」
「はい、三名様ですね。パンフレットはもうお持ちで?」
雪穂がチケットを三枚渡し、受け付けの初老のおじいさんの質問に頷いて答えると、おじいさんは「左様でございますか」と頷き返し、館内での注意事項を三人に話す、
「それではごゆっくりとワイズ・ゲルテナ展を心行くまでご堪能下さいませ」
おじいさんはそう言ってお辞儀をし、穂乃果達は館内に歩を進める。三人は固まって館内を歩き、作品ごとに立ち止まりスケッチや展示物の説明を読んではメモを取って行った。
中でも穂乃果が気になった作品は
ただ渦巻きが書かれただけの「幻惑」
何かを切った様な線が引かれている「裏切り」
頭の部分だけがない「無個性」
チョウチンアンコウが大きく描かれた「深海の世」
大きな薔薇を模した「精神の具現化」
などがあった。
事が起こったのは二階の中央廊下に置かれた大きな絵画「絵空事の世界」の前を訪れた時だった。中央廊下には穂乃果達三人の他に、先程受け付けで見かけた少女しか居なかった。
その時、突然廊下の照明が点滅した。穂乃果は照明が点滅した事に驚きはしたものの、それよりも先に何かしらの違和感を感じていた。先程まで館内には小声ながらも美術品を見ていた人達の声や、館内を歩き回る足音が聞こえていた。なのにだ。今はそのどちらも聞こえない。その出来事に穂乃果は後ろにいた雪穂と亜里沙を振り返る。
しかし
そこには
二人の姿は無かった。
「ゆき…ほ……ありさ……ちゃん……?」
先程の照明の点滅。
先程まで後ろに居た二人の消失。
そして、まだ確認していないが館内の人達の消失。
その三つの要素から保護課は館内には自分しか居ないと、そう結論付けた。
しかし
「あ、あの、お姉さん…」
「…!?」
館内の散策に出掛けようとした穂乃果は声のした方を驚きながらも、振り返る。
そこには白のブラウスに赤のリボン、赤いスカートを履いた少女が不安そうに穂乃果を見上げていた。
これが少女と穂乃果の出会いだった。
最後に出て来た少女は彼女です。
♪♪♪
高坂穂乃果
ラブライブ!の主人公てあり、この物語の主人公。音ノ木坂学院に通う高校二年生。明るい茶髪をサイドテールにしている。スクールアイドル「μ's」のリーダー。
高坂若葉
ラブライブ!の二次小説「アニライブ!」の主人公。音ノ木坂学院に通う高校二年生。穂乃果の双子の兄。方向音痴を持っている。
詳しくはタグのアニライブ!で飛ぶか、アニライブで検索検索〜♪
高坂雪穂
穂乃果の妹で中学三年生。穂乃果と違ってこちらは少し暗めの茶髪。描写には無いが今回は勉強モードとして眼鏡を着用している。
突然穂乃果の前(後ろ?)から姿を消した。
絢瀬亜里沙
絢瀬絵里の妹でこにらも中学三年生。雪穂の親友で同じ中学、同じクラスである。亜麻色の髪が特徴でロシアの祖母をもっているクォーター。口癖は「
絢瀬絵里
音ノ木坂学院に通う高校三年生であると同時に、生徒会長でもある。亜里沙同様クォーターで文武両道。綺麗な金髪をポニーテールにしている。穂乃果同様スクールアイドル「μ's」に所属している。
それでは次の更新までごゆるりと当美術館をご堪能下さい。