ラブラIb〜太陽の笑顔が織りなす物語〜【完結】   作:名前はまだ無い♪

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前回のラブラIb!

若葉「親方(ギャリー)! 空からオブジェクトが!」
ギャリー「見せてあげよう! オカマの雷を!」
イヴ「三分間待ってあげる」
穂乃果「四十秒で支度してね!」
メアリー「私の名はゲルテナ・パロ・ウル・メアリー」


※若葉以外は前回と関係ありません


絵の具玉

 扉を潜った二人は広い部屋に出た。ギャリーが一番近い扉に近寄りドアノブに触れるとまるで氷のように冷たく、ギャリーは思わず手を放してしまう。

 

「何これ、冷たいじゃない」

「そんなに冷たいの?」

「えぇ、少し触るのが限界ね」

 

 ギャリーは手をヒラヒラ振りながら答えると、若葉もドアノブに手を触れすぐに引っ込める。

 

「確かに難しそうだね。それじゃあ先に奥の探索をしちゃおうか」

 

 若葉は気を取り直すように手を叩き部屋の奥へと歩き出す。それを見たギャリーは慌てて後を追いかける。そして二人が入り口とは反対側まで来たとき、再び青い人形を見つける。

 

『ずっと、あなたについていくね。わたしのおうち、すぐそこなの』

 

 人形のそばの壁に書かれたメッセージ、それを読んでギャリーは辺りを見る。若葉はじーっと人形を見た後そっと抱き抱える。

 

「若葉、気味悪くないの?」

「ん? いや特には。それにこの人形もここの世界のものなんでしょ? だったら何か役に立つかもしれないじゃん」

「アタシ達に危害を加える可能性もあるのに……まぁいいわ。その代り、若葉がちゃんと持ってるのよ」

「大丈夫大丈夫……ちゃんと分かってるじゃん」

 

 ギャリーは少し嫌な顔をしつつも肩を竦めて隣の部屋の扉を開く。若葉の最後の呟きは扉の開ける音で掻き消され、ギャリーの耳には届かなかった。

 

「若葉? 何してるのよ、早くこの部屋調べちゃいましょ」

「了解了解」

 

 若葉が笑みを浮かべていると、部屋の中からギャリーが顔だけを覗かせ急かす。若葉もそれに頷き返し部屋に入る。

 部屋には、七つの台座があった。台座は丸くくぼんでおり、何かが嵌るように設計されている。ギャリーは、部屋の奥の壁に貼ってある紙を見る。

 

『七つの色彩……絵の具玉を集めよ

 さすれば 部屋は色づき

 そなたの 架け橋となるだろう』

 

「これ、どういう事かしら」

「そのままの意味じゃない? むしろ絵の具玉が何か気になるところだけど」

「そうね。どこにあるのかも気になるし」

 

 二人は部屋を見渡すも、それに該当すると思われるものは見当たらない。部屋から出て通路を調べ始める。

 

「ギャリー、あった?」

「それらしき物ならあったけど……」

 

 ギャリーが通路の先に転がっている黄色の玉を拾って若葉に見せる。

 

「あれ?」

「消えたね」

 

 若葉が黄色の玉を認識出来るか出来ないかというタイミングで、ギャリーの手の中にあった玉が消える。

 

「なによ、集めろって言われたのに消えちゃうなら無理じゃない」

「……もしかしたら」

 

 若葉はぼそりとそう呟き一人で台座のある部屋に戻り、少ししてジッと待っていたギャリーの元へと帰ってくる。

 

「何か分かった?」

「うん。あの七つの台座、その一つに黄色の玉が嵌ってたよ」

「なるほどね。私たちが拾ったら自動で向こうに行くのね」

 

 ギャリーは納得のいった表情で頷き、玉の捜索を再開させる。玉を探して部屋中を歩き回っていると、異様な熱気を放つ扉を見つける。

 

「どうしたのギャリー。入らないの?」

「入りたいんだけどねぇ。開けた途端に襲われたりしたら大変だし」

 

 ギャリーが扉の前で立ち止まったことで、後ろを歩いていた若葉も立ち止まり横に並ぶ。若葉の質問に対し、ギャリーは考え込むように顎に手を当て、扉を見つめる。そんなギャリーの様子がじれったく感じたのか、若葉は一歩踏み出し気構える様子もなく扉を開ける。

 開けるまでの一連の動作に不自然さが無く、ギャリーが気付いたときには若葉は既に、熱気で溢れる部屋の中へと歩き出していた。

 

「うわっ! なによ暑いなんてものじゃないじゃない!」

 

 部屋のあまりの暑さに、部屋に踏み込んですぐの所でギャリーはそう叫ぶ。そんなギャリーとは反対に、先に入室した若葉は何食わぬ顔で部屋を眺め回しギャリーの元へと歩く。

 

「ギャリー大丈夫?」

「大丈夫、とは言い難いわね」

「そっか。取り敢えず一度この部屋から出よっか」

 

 若葉の提案にギャリーは頷き揃って退出する。

 部屋とは対称に涼しい廊下に出たギャリーは、扉から少し離れた位置で膝に手をつき額の汗を拭う。一方の若葉は汗ひとつ掻かずに壁に背を預けてる。

 

「それで、部屋の中に何かあったかしら?」

「あった、って言えばあったよ」

 

 ギャリーの質問に若葉は歯切れの悪い返答をし、ただ、と続ける。

 

「もう少しこの部屋の探索をしたいんだよね。まだ何かありそうだし」

「そ、そう。アタシも一緒に出来たらいいんだけど」

「大丈夫大丈夫。世の中適材適所も大事だよ。その代りギャリーにはオレがこの部屋を探索してる間に他の所の探索をお願いしたくて」

「分かったわ。それじゃあまたあとで落ち合いましょ」

 

 ギャリーは若葉が再度部屋に入るのを見届けるとその場を離れる。

 通路を進み曲がり角を曲がると、『釣り針』というタイトルの絵の額縁から針が飛び出していた。触らぬ神に祟りなし、とギャリーはその針に触れずに前を通り過ぎていく。

 それから部屋のあちこちを調べていると、鍵の開いている部屋を見つける。ギャリーは脱出のヒントがあるかも、と思い中に入る。

 

「ここって……書斎?」

 

 部屋の中にあったのは多くの本棚と、そこに仕舞われている本の数々だった。本棚を撫でるように見渡していると、他とは違う一冊の本が目に入る。気になったギャリーはその本を棚から抜き、タイトルを見る。

 

『色彩の極意』

 

「……少し気になるわね」

 

 大学で美術関係の教鞭とっているギャリーとしては内容が気になり、表紙をめくる。

 

「って、なによこれ。何も書かれてないじゃない」

 

 しかしページをめくってみたらそこには何も書かれてなく、ギャリーはがっくりと肩を落とす。それでも何かないかとページをめくっていくギャリー。ちょうど本の真ん中辺りに達した時、本からコロン、と何かが落ちる。

 

「これって絵の具玉?」

 

 ギャリーは足元に転がっている緑色の玉を拾う。少しして緑色の玉は黄色の玉同様消えてなくなる。

 

「これで七色中二色が揃ったことになるのかしら? 一旦見に行ってみようかしら」

 

 ギャリーは書斎を出てまっすぐ絵の具玉の部屋を目指し、中に入る。入ったギャリーは台座を見て違和感に襲われる。最初に入ったときは一つもなかった絵の具玉が、三つ台座に置かれているのだ。

 

「あれ? 三つ?」

 

 ギャリーはもう一度台座に嵌っている絵の具玉の数を確認し、今まで見つけた絵の具玉の数を思い出す。

 

 一つ。この部屋を出てすぐに見つけた黄色の玉。

 

 二つ。先ほど書斎で見つけた緑色の玉。

 

 では今台座に納まっている三つめの紫色の玉は?

 

 少し考えたところでギャリーは政界に辿り着く。

 

「もしかして若葉が見つけたのかしら。ていうか、アタシじゃないってことはそれしかないわよね」

 

 ギャリーは納得して頷き、その部屋から出て行く。そして他に探す場所はないかとグルグル回るも、見つけたのは鍵のかかった部屋だけだった。

 

「お~いギャリー!」

 

 行く先を亡くしたギャリーが最初に入ってきた扉の前で立っていると、傘を持った若葉が手を振って歩いてきていた。ギャリーは手うを振り返して二人は合流する。

 

「そうそう、若葉ありがとね」

「何が?」

「絵の具玉の事よ。どこにあったの?」

 

 ギャリーの言葉に若葉はポン、と手を叩くと手に持っていた傘を見せる。

 

「一個はこん中に入ってて、もう一つは絵画の問いに答えたら貰えたよ」

「もう一個?」

「そ。傘から出て来たが紫で、絵画から貰ったのは青の絵の具玉だったよ」

 

 二人は扉の前から動かずこの後の行動について話し合いながらお互いの報告を行うも、これといった案も出ず困り果てる。

 

「こうなったら穂乃果に電話してみよっか」

「電話通じるの? さっき急に切れたじゃない」

「ま、物は試しってやつよ」

 

 そういうと若葉は携帯を耳に当てる。ギャリーはその様子を壁に寄りかかりながら眺める。少し経った頃若葉は携帯を仕舞いながら首を横に振る。

 

「ダメ。通じなかった」

「じゃあアタシたちだけでどうにかするしかないわね」

「だね……そういえばギャリーは部屋一周した時、何か気になる物なかったの?」

「気になった物……そういえば額縁から飛び出した釣り針の絵画があったわね」

 

 ギャリーは件の絵画の前まで行くと、後ろからついてきていた若葉がジッと釣り針を見ると手に持っていた傘を針に引っ掛ける。針は傘が引っ掛かっるのを待っていたかのようにするすると絵画の中へ、そのまま絵画の上まで上がっていき消えてしまった。

 

「若葉、これって」

「いや、オレも好奇心でやってみただけだから……」

 

 目の前で起こった現象と戻ってくる気配のない傘に汗を垂らす二人。暫く待っても針も傘も戻ってこない為、二人は場所を移すことに。

 

「さて、本格的に手段がなくなった訳だけど」

「もう一度別れて探してみる?」

「そうだね。穂乃果達と早く合流するにはそれが一番だね」

「それじゃあ、またここで落ち合いましょ」

 

 絵画の前でギャリーは右へ、若葉は左へと歩き出す。

 

「って言ってもこっちには書斎と鍵のかかった部屋しかないのよね」

 

 ギャリーはもう一度鍵のかかった部屋のドアノブに手をかけるも、やはり鍵は開いておらず再び書斎に入る。

 再び書斎に入ったギャリーは首を捻る。先ほどここを訪れた時は本棚によって塞がれていたはずの場所が、今は本棚がズレて通れるようになっていた。

 

「これは……」

 

 通路の先にある小さな空間。そこの床に転がっている桃色の絵の具玉を拾う。

 

「やっぱり消えちゃうのね」

 

 ギャリーは手の中から消えた絵の具玉の感触を確かめるように、二度三度手を握り締める。

 それから壁際の本棚に近寄り、適当に本を取りパラパラとめくる。

 

「う~ん、特にこれと言って脱出の手掛かりになりそうなものは……ん?」

 

 一冊、また一冊と読んでいく内に『ゲルテナ作品集 下』という本を見つけた。表紙を捲ると目次表が目に入る。

 

 ・Tのページ

 ・Uのページ

 ・Mのページ

 

「……最初から読んでみましょうか」

 

 Tのページ

『吊るされた男』

 一時期のゲルテナは雑誌の装丁に仕事をしており、ページの埋め合わせにこの絵を載せたとされている。毎回挿絵を載せていった所これが好評で、後にこの雑誌で使用した絵をタロットカードにして、期間限定で販売してこともあった。現在、このタロットカードを入手することはほぼ不可能となっている。

 

 Uのページ

『裏切り』

 まるで絵の裏側を切っているような作品で、それは見る者によって変わる。人によっては裏ではなく表を切っているように見えると言われている。実際に裏を切っているかはゲルテナ本人にしかわからない。

 

 Mのページ

『メアリー』

 ゲルテナが手掛けた生涯最後の作品。まるでそこに存在するかのように佇む少女だが、もちろんのこと彼女も実在しない人物である。

 

 紹介文の反対側のページに描かれている絵を見てギャリーは固まる。そこに描かれているのは緑のワンピースに青いリボン、同じく青い瞳に金色の長髪。今現在穂乃果とイヴと行動を共にしているメアリーと瓜二つだった。

 

「これって……実在しない……!? どういうことなの……それじゃあ今穂乃果とイヴといるのは……二人が危ない!」

 

 ギャリーは本を棚の中に戻すと慌てて部屋を飛び出す。部屋から走り出たギャリーは気付かなかったが、壁に掛けられている『聞き耳』という絵画は上下に動き、壁には赤い文字で

 

 《知っちゃった知っちゃった。メアリーと##の秘密知っちゃった》

 

 と浮かび上がっていた。

 

「若葉! どこにいるの! 二人が大変なのよ!」

「オレならここにいるけど、そんな大声出してどうしたのさ」

 

 ギャリーは通路を走りながら若葉を探す。若葉は絵の具玉の納められている部屋から顔を出し、ギャリーを呼び止める。

 

「大変なのよ! アタシ達といたメアリー。人間じゃなかったのよ!」

「ふ~ん」

「ふ~んって若葉アナタね。穂乃果はアナタの妹でしょ、心配じゃないの!?」

 

 無関心そうな若葉の肩を掴み、ギャリーは揺さぶる。若葉はギャリーの手を払い退け、呆れたように溜め息を吐く。

 

「あのさ、もし仮に二人が大変な目に遭ってるとして、合流するためにはこの部屋の謎を解かないと先に薦めないじゃん」

「それは、そうだけど……」

 

 若葉の一言でギャリーは落ち着こうとするも、どこかソワソワしている。

 

「そうそう。絵の具玉なんだけどあと一つで揃うんだけど、ギャリーどこかに心当たりない?」

「絵の具玉の心当たり? そういえばあっちに鍵のかかった部屋があったわね」

 

 ギャリーが後ろを指して言うと、若葉は壁から背中を離し鍵のかかった部屋に向かう。

 

「おっと……?」

「どうしたの?」

「……いや、あの人形が動いてどっかに行っちゃったんだけど」

 

 若葉が進行方向先を見ながら答えると、若葉が持っていた青い人形が宙に浮いて鍵のかかった部屋の扉をあっさりと開け中に入っていく。

 

「鍵、開いたね」

「開いたわね」

 

 二人は僅かに開いたままの扉をジッと見つめ、互いを確認しあうと頷き合い、ギャリーが先に部屋に入る。

 

「なに、この部屋……」

 

 ギャリーが部屋の中で見た物、それはあの青い気味の悪い人形だった。それも一つや二つではなく、足の踏み場すらまともにないほどの数の人形が部屋中に置かれていた。そして正面の壁には何も描かれていない一際大きい額縁と『青い世界』と書かれたプレートがあった。そしてその近くには白の絵の具玉。

 

「若葉、最後の絵の具玉が見つかったわよ……若葉?」

 

 白の絵の具玉が消えたのを確認したギャリーは、後ろにいるはずの若葉に話しかける。しかし若葉からの返事はなく、不思議に感じたギャリーが振り返る。そこでギャリーが見たのはあと少しで閉まりきる扉だった。

 ギャリーは慌てて扉に駆け寄るも時すでに遅く、扉の元に着く頃には完全に閉まり切っており、押しても引いてもびくともしなかった。

 

「どうして……」

 

 ギャリーは僅かに声を震わせ扉が閉まる前に見えた情景を思い返す。

 

「どうしてこんな事をしたのよ!」

 

 そう叫ぶギャリーだが、その問いには返事が返ってこない。代わりにとでも言うかのように扉に文章が浮かび上がってくる。

 

『たからさがし しようよ  だれがカギを もっているかな?』

 

 その文章が消えると同時に部屋中にゴーン、ゴーンと金の音が響き渡る。

 徐々に青暗くなっていく部屋でギャリーは床に転がっている人形を拾い、中に鍵がないかを確認する。そして不意に背筋に悪寒が走り部屋中を見渡し、その正体に行き着く。

 

 部屋の奥に掛けられていたなにも描かれていない『青い世界』の絵画。そこに青い人形によく似た怪物のようなモノが現れ、ギャリーに手を伸ばしていた。

 ギャリーはその腕に掴まれる寸前、怒りを露わにした表情を浮かべる。

 

「覚えてなさいよ…………若葉!」

 

 そこでギャリーの意識は暗闇へと誘われた。

 

 

 




次回はイヴ、穂乃果、メアリーパート!

♪♪♪

絵の具玉
七つ揃えると何かが起こるらしい。神の龍とか出てくるのかな?

虹の絵の具玉
「あ……ありのまま今起こった事を話すわ! アタシは絵の具玉を手にしたと思ったら消えていた。な……何を言っているのかわからないと思うけど、アタシも何をされたのかわからなかった。頭がどうにかなりそう。催眠術だとか超スピードだとか
そんなチャチなもんじゃあ、断じてない。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったわ」byギャリー

暑い部屋
「頑張れ頑張れ!  どうしたどうした!  そんなもんかぁ!?  もっと頑張れよ!  気合だ気合だ!  どうしてそこで諦めるんだ!  他人なんかの言いなりになるなよ!  お前はお前の思う通りに生きろ!  頑張れ頑張れ!  頑張ればなんにだってなれる!  気合だ!  根性だ!  いいか、お前は頑張れば何にだってなれる!  あのデッカイ富士山にだってなれる!  いいか、お前は今日から富士山だ!!」

裏で動く若葉
一応こっちの主人公はギャリーだから、描写はないかもね(震え声)

T・U・Mのページ
関係ないけど、この三つを並べると顔文字に見える不思議。

裏切りの若葉
裏切り者(若葉)アタシ(ギャリー)の名前を知っている

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