ラブラIb〜太陽の笑顔が織りなす物語〜【完結】 作:名前はまだ無い♪
若「兄より優れた妹はいない!」
穂「そこの君。私の名前を言ってみろぉぉぉ」
イメ「「キャーホノカサーン」」
ギ「本当本当によくできた妹なのよ」
暗い世界の中メアリーは座り込んでいた。
そこが地面なのか、床なのか、はたまた何かの上なのか、そんな事は分からなかった。
長い年月少女は明るい窓の外を眺め続けた。窓の向こうには日替わりで様々な人が行き交って、時に少女を見ては感心した様にじっくりと見続けていた。
窓と自分の家を往復する毎日、そんないつも通りのツマラナイ日常。しかしその日常はある日壊れる事になった。
ある日いつもの様にただの惰性で窓の外を見ていると、メアリーの目を引く三人の人が窓の外を通った。
一人は茶髪のロングヘアーに白のブラウス、赤いリボンとスカートを着た、少女と同い年くらいの少女。
一人はボロボロのコートを着た紫色の髪をした、少女より年上の青年。
一人は茶髪をサイドテールにしている笑った顔がまるで太陽を思わせる、青年よりすこし年下の少女。
メアリーは三人に直接会いたいと思った。会って窓の外の話しをいっぱいして、友達になりたいと。
だが同時に、それを望んではいけないとも思っていた。それを叶えてしまった場合彼女達を危ない目に合わせてしまう。
そんな事は嫌だ!
しかし暗い世界は残酷だった。
メアリーのすぐ横の空間に暗い中でもハッキリと読める塗料で文字が浮かび上がってくる。
彼女達にアイタイノカイ?
……ううん会いたくない
アハハハ! 嘘はダメダヨ。サッキ、キミハ彼女達にアイタイト思ったヨネ
そ、そんな事……!
ダッタラ簡単ダヨ! 彼女達をコノ世界二ショウタイシヨウ! ソウシヨウ!
ダメ! お願いやめて!
少女の悲痛な叫びは聞き入れられる事はなく、塗料が怪しく光った後何事も無かったかの様にその場には何も残っていなかった。
ごめん……なさい……ごめんなさい、ごめんなさい! ごめんなさい!!
再び暗くなった世界で少女は謝罪の言葉を繰り返しながら、目的も定めず走りだした。その目に大量の涙を浮かべながら。
どのくらい走っただろうか、気付くとメアリーは電気の点いている廊下を走っていた。
少女はずっと涙で視界を歪ませ、下を向いて走っていた。故にすぐ近くの曲がり角から人影が現れたのに気付かずにぶつかってしまった。
「きゃっ!」
「おっと。大丈夫?」
メアリーはぶつかった拍子に後ろによろけるも、ぶつかった相手に咄嗟に腕を掴まれた為倒れることはなかった。
「あ、あの、ありがとう」
「いやいや、オレも考え事してたからお互い様だよ」
メアリーがぶつかった相手を見ると、先ほど窓のそばを通ったサイドテールの少女に似た少年が立っていた。
メアリーは謝罪をしようとし、相手の名前を知らないことを思い出す。
「あの、えっと……」
「あぁ、オレは高坂若葉。よろしくね」
「私はメアリー。さっきはごめんなさい」
メアリーが頭を下げて謝ると、若葉は笑顔でメアリーの頭を撫でる。その撫でられ心地の良さにメアリーは抵抗もなく撫でられる。
「さてと、メアリーはここがどこだか知ってるかな? なんか突然ここにいて状況についてこれてないんだけど」
「その、実は、私も気付いたらここにいて……」
「なるほど」
頭を撫でるのを止めた若葉は顎に手を当て考え込む。メアリーはそんな若葉をジーッと見上げる。それからしばらくして若葉は二人がそれぞれ歩いていた道の他にある一本の道を見る。
「取り敢えずここを進むしかないね」
「大丈夫かな……」
メアリーは、自分を追いつめる要因になった作品達がまた現れるんじゃないかと心配になり若葉の服の袖を掴む。袖を掴まれた若葉は振り返り、怖がっているメアリーを見る。
「メアリー、大丈夫だよ。安心して」
「う、うん。でも……」
「そうだな……じゃあほれ」
「え……?」
メアリーは目の前に現れた背中に戸惑いを見せる。若葉はいつまで待ってもメアリーが乗って来ないことを不思議に思い、首だけ後ろに回す。
「どうしたん? おんぶだよおんぶ。これなら少しは安心できるでしょ」
「一人で歩けるもん」
「って言ってもなぁ、実際怖がられても困るわけで……」
どうしたものかと頭を掻く若葉は少しの間天井を見上げていると、手をポンと叩く。
「それじゃあこうしましょうか」
「え、ちょ、ま、きゃあ!」
若葉は戸惑っているメアリーの膝の裏と、わきの下にそれぞれ腕を通した。突然お姫様抱っこをされて顔を赤くして悲鳴に似た叫びをあげるメアリー。しかし落ちない為にとしっかり若葉の首に両腕を回す。
「ちょっとワカバ! 急に何するのよ!」
「ははは。その元気なメアリーが見たかったんだよ」
メアリーが文句を言うも、若葉はそれを無視してそのまま歩き続ける。
時折分岐路に差し掛かるも、若葉は迷いのない歩調で正しい道を選び、歩く。
二人は気付いていないが、現在二人がいるのは『
そして十数分歩いたところで二人は無事ゴールまで辿り着くことに成功する。
途中、突然床が消えたり、壁が徐々に迫ってきたり、壁から黒い腕が出て来たりするものの、若葉はそれら全てがまるでそこにあることを知ってるかのように避け続ける。
「ワカバってすごいね!」
「このくらいならヨユーだね」
『
「ねぇ、どこに向かってるの?」
「その内分かるよ」
メアリーの問いに若葉は答えずに歩き続ける。暫く歩いていると、突然何もなかった空間に扉が現れ、なんの前触れもなく開く。
「うわっ!」
「きゃっ!」
扉から出て来た少女と若葉がぶつかった。若葉は倒れずにメアリーの時同様、腕を掴んで支える。
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「って言うのがホノカ達と会うまでの私達の、私の出来事だよ」
メアリーは穂乃果とイヴが寄りかかっている壁の反対側に座って話を終わらせる。そしてこれから自分へと降り注がれるであろう罵声に備える。
しかしいつまでたっても来ない罵声に疑問に不思議に思い顔を上げる。
「メアリーちゃんこっちおいで」
「……でも……」
「メアリー」
メアリーが顔を上げると穂乃果とイヴが片腕を差し出していた。メアリーは困惑の表情を浮かべ、固まる。
「どうして、なんで……」
「だって今の話を聞いた限りじゃメアリーちゃんは何も悪くないじゃん。ねえイヴちゃん」
「うん、メアリーは何も悪くない」
穂乃果の言葉に頷くイヴ。それでも近付かないメアリー。それどころか俯き、壁に身体を押し付けるように後ずさり、自身の体を抱き締める。
「なんで私を責めないの! 私が望んだからホノカとイヴはこの世界に来ちゃったんだよ!」
「でも実際に私達を招いたのは他の絵画でしょ」
「それに私はメアリーに会えて、友達になれて嬉しいよ」
「とも……だち……?」
「そうだよ。私達はもう友達」
「だから謝らないで」
身体を震わせるメアリーを穂乃果とイヴは優しく抱き締める。メアリーは突然の事に目を見開き驚く。
「私、友達になってもいいの?」
「友達になってもいいも悪いもないよ」
「うん。だから全員で一緒にここから出よ!」
「……うん」
メアリーは目に溜まった涙を拭うとにっこりと笑い頷く。三人は立ち上がり、並んで大部屋に再び入る。
部屋は最初に入った時と何も変わらず、三人の足音だけが響く。
「そういえば、ホノカあの時ワカバを呼ぶの嫌がってたけど、なんでなの?」
「う~ん、アレは本物のお兄ちゃんじゃないから、かなぁ?」
「本物じゃない? なんでそう思うの?」
イヴが穂乃果を見上げて質問する。本物ではないと言い切るからには何かしらの理由があるはず。そう思いメアリーもイヴ同様見上げる。二人に見上げられた穂乃果は、頬を掻きながらワカバを偽物と断じた理由を述べていく。
「最初におかしいなって思ったのはあの人形の部屋に入った時なんだ」
「人形の部屋って、あの蔦で分けられる前に入ったあそこ?」
「うん。あの時、メアリーちゃんを守った後に私に手を見せたじゃん? あの時の手に傷がついてなかったんだ」
「間に合ったんだから怪我がないのが普通じゃないの?」
イヴの当然の言葉に首を捻るも、若葉を知る穂乃果は首を振る。
「お兄ちゃんはね、昔ちょっとあって右手と脇腹に傷があるんだよ」
「右手に傷……?」
「よく見ないと分からないけどね。でも怪しいのはそれだけじゃなくて、その後もなんだ」
「あの後って何かあったっけ?」
イヴとメアリーはその後の出来事を思い出すも、特に不審なことはなく首を捻る。
「あのあと、『嫉妬深き花』の所で私を突き飛ばしたじゃん?」
「うん。そのおかげでこうしてホノカに助けられたんだけど」
「それのどこがおかしいの?」
「お兄ちゃんならたとえギャリーさんを一人にしようとも、こっちに来ると思うんだ」
穂乃果の言葉に少し引き攣りながらも、笑顔を浮かべるイヴとメアリー。それを誤魔化すようにメアリーは話を進める。
「他には何かあったの?」
「う~ん、この時点じゃまだ半信半疑だったんだよね。右手の傷だって私が見逃してただけかもしれないし、突き飛ばしたのだって、そうするしかなかったからかもしれないからね」
「じゃあなんで偽物だって分かったの?」
「半信半疑が確信に変わったのは、メアリーちゃんの話を聞いた後なんだ」
「私の?」
メアリーが首を傾げる。穂乃果はそうだよー、と笑い返す
「メアリーちゃんの話だと、お兄ちゃんの姿したアレは一回も迷わなかったんでしょ?」
「うん」
「あ、お姉ちゃんのお兄ちゃんって確か……」
そこまで言ってイヴにも心当たりがいったのか、もしかして、と言う。穂乃果はそれを聞いてピッと人差し指を立てて言い切る。
「そう、お兄ちゃんは極度の方向音痴なんだよ。だから迷いなく迷路を抜けるなんて無理なんだよ」
「えぇ……」
「あ、あははは」
穂乃果の言い切り方にメアリーは脱力し肩を落とし、イヴは苦笑いを浮かべる。二人の反応を見て穂乃果もなんとも言えない表情を浮かべるも、それが事実なため何も言えない。
「ま、まぁ、と言う訳であのお兄ちゃんの姿をしたのは偽物なんだよ」
「え、でもあのワカバが偽物なら、一緒に行動しているギャリーが危ないんじゃない?」
「「……あ」」
メアリーの呟きにイヴと穂乃果が声を上げ、立ち止まる。メアリーが二人を順に見ると、共に顔に冷や汗を掻いていた。
「ふ、二人とも大丈夫?」
「大丈夫じゃないからちょっと急ごう。メアリーちゃん二人と合流するにはどうしたらいいの」
「え? えっと、あそこの先にある扉なら下に繋がってるけど……」
「……メアリーの力か何かで先に進めない?」
「さすがに無理……だと思うよ」
メアリーの視線を追うと、そこには熱を帯びた赤いガス地帯があった。イヴは思わずメアリーを見るも、さすがのメアリーにもどうすることも出来ないようで首を横に振る。
それから三人はメアリーを主導に大部屋の謎を解いていった。
『釣り人』の絵からいつの間にか持っていた傘を受け取り、それを『傘をなくした乙女』に渡し、部屋に雨を降らせる。
「なんでこの部屋に雨を降らせるの?」
「あそこに開いた穴から下の部屋に滴らせて、花瓶に水を貯めるためだよ」
「へぇ~」
二人は濡れない雨という不思議な雨に打たれながら、穂乃果の開けた小さな穴を見る。それからその部屋を出て少し休憩を取った後、白黒だった部屋に入る。
「あれ? 入る部屋間違えたかな?」
「ううん、合ってるよ。たぶん下の階でギャリー達が謎を解き進めていったんだよ」
「ギャリー大丈夫かな……?」
「大丈夫だよ! だから早く迎えに行ってあげよ」
「うん」
イヴは不安そうに頷くと、大穴を跨ぐようにかけられた虹の橋を渡っていく。メアリーも不安そうに穂乃果を見上げてくる。穂乃果はメアリーにも同じように笑いかけると、左手でメアリーの手を取り、並んで虹の橋を渡る。
渡った先ではテーブルの上に置かれていた鍵を持ったイヴが二人を待っていた。
「こっちにはこれしかなかった」
「それでいいんだよ。この部屋にはこの鍵しか置かれてないし。けど……」
「問題はあのガス、だよね」
三人は鍵を手にすると再びガスの噴き出していた場所に戻る。
「あれ……?」
「ガスが……」
「なくなってる……?」
三人がガスの噴き出していた場所に辿り着くと、ガスは止まって通れるようになっていた。
ガスの噴き出ていた通路を進むと、メアリーの言って通り一枚の扉があった。イヴは持っている鍵を挿し込み、鍵を開ける。
「どうしたのイヴ」
「……鍵が入らない」
「えっ!?」
イヴの言葉に驚く穂乃果。イヴと穂乃果は何か知っていると思われるメアリーを見る。二人に見られたメアリーは頬を掻きながら苦笑いを浮かべる。
「あの~……私この扉に鍵が掛かってるって言ってないんだけど……」
メアリーはそう言ってドアノブに手を掛け開ける。扉には鍵が掛かっておらす、あっさりと扉は開く。
「ね?」
メアリーは振り返って二人を見てから扉を通っていく。穂乃果とイヴは呆気にとられた後、メアリーに置いて行かれないようについて行く。
扉の先は階段になっており、メアリーはその踊り場で二人が降りてくるのを待っていた。
「こっちこっち~」
「ちょっと待ってよメアリーちゃ~ん」
「待って~」
メアリーは二人が階段を下りてくるのを見ると、踊り場から駆け出してさらに降りていこうとするも、穂乃果とイヴに止められ数歩進んで止まる。
「でも早くしないとギャリーが」
「ギャリーがどうかしたの?」
メアリーが急かそうとすると、それを遮って階下から人影が現れる。メアリーはその人影を見て思わず穂乃果達の元まで後ずさる。メアリーが後ずさったことで人影は踊り場に現れる。
「や、さっきって程でもないけどさっき振り。三人とも無事だった?」
「お、兄ちゃん」
踊り場に上がって来たのはギャリーを背負った若葉だった。
若葉を見て穂乃果の服の端をギュッと握るメアリーに、なんとか言葉を紡いだ穂乃果。若葉はあまり気にしない様子で三人に近付く。
「っと、穂乃果。悪いんだけどギャリー持つの変わって貰ってもいいかな?」
「う、うん。いいよ」
穂乃果はワカバから様子のおかしいギャリーを受け取る。穂乃果にギャリーを渡したワカバは先ほどから気になっていたことを聞くためにメアリーを見る。
「それで? メアリーはオレの事睨んでるけど、どうしたの? 何か後ろにいる?」
「……別に。ただよく騙したなーって」
「何の事かな?」
冷たく言い放つメアリーの言葉にワカバは笑みを浮かべる。メアリーは笑顔を向けられてもなお、ワカバを睨んでイヴの手を引いて後ろに隠す。
「私は、私達はアンタの正体知ってるんだから!」
「……」
メアリーがワカバを指を指して言うと顔を伏せて黙る。穂乃果も黙ったワカバに恐怖心を感じ、イヴとメアリーの元に移動する。
「出会ってからずっと私を騙してたのね!!」
「…………」
メアリーが悔しさを込めて叫ぶと、ワカバは汗を掻いた顔を上げる。
「う……うぅ……んん……んぐぅ……! んんんんんんんんんんんぅぅぅぅ……!」
どこか喉を締め付けたような声を出しながら頭を掻き毟る。穂乃果達が二歩、三歩と後ずさるとワカバの口が弧を描き、声が漏れる。
「……あはっ……! あははははははははははははははははははははははははははははははは! 最高だよ、メアリー! 一体いつからボクが偽物だと気づいていたのかな?」
「……さっきホノカに聞いて知ったんだよ」
「はははははっ! まさか妹の穂乃果さんにバレルなんてね。まぁそんな展開もアリかな?」
「逃げるよ、二人ともっ!」
不気味に笑って話を続けるワカバを無視して穂乃果はメアリーの手を握って走り出す。
「ははっ! 逃げても無駄だよ。キミ達はギャリーという荷物を抱えている。ボクから逃げ切れると思わないことだね」
次の瞬間イヴの立っていた場所にナイフが突き刺さる。ナイフの刺さる直前にその場から離れていたイヴは目を見開き、走る足に力を入れ手を引っ張っていたメアリーの隣に並ぶ。
「どこまで逃げ切れるか見物だね! あぁ、キミ達は手を出さないでね? 彼女達はボクの獲物だから」
ワカバはナイフを両手に抜き取り、天井を仰ぎ見ながら誰にともなく向かって言う。言われた相手達は、それに廊下の照明を二度点滅させることで了承を伝える。ワカバはそれを見て頷く。
「さぁ、楽しい鬼ごっこを始めようか!」
ワカバは心底楽しそうに狂った笑みを浮かべながら、ゆっくりと四人の後を追い始める。
感想が……欲しいです!(切実)
♪♪♪
迷わず迷路をクリアした若葉
方向音痴が素直にクリアできるはずがないでしょう
オリジナルのつもりが、見直した時に本編内にありました(苦笑)
メアリーの出会うまで
こんな感じになりました
友達
友達ってなんなんだろうね……いやほんとになんなんだろう……
若葉が偽物だと気付いた穂乃果
双子に備えられたテレパシー! ではなくある程度の証拠を元に推理? した結果です。
確信したのはやはり方向音痴だった。
さくさくプレイ
さすがにメアリーが協力的だと、ねぇ?
雨漏れ
雨漏れする程の床の厚さだったら、叫べば会話できそうですよね。
狂気なワカバ
希望厨発生注意報
このキャラ書くの楽しいです。