ラブラIb〜太陽の笑顔が織りなす物語〜【完結】 作:名前はまだ無い♪
「明日に絶望しろ! 未知に絶望しろ! 思い出に絶望しろ!」
メ「私達は諦めたりしない。飽きたりしない。捨てたりしない。絶望なんかしない」
『希望は前へ進むんだ!』
「お姉ちゃんここにいたんだ。探したよ?」
「……雪穂?」
突然横から声を掛けられた穂乃果は、きょとんとした顔で声の主、雪穂を見る。
「まったく、後ろにいたと思ったらいないんだもん。お兄ちゃんの方向音痴がうつった?」
「そうだっけ? ごめんごめん。ていうか雪穂。方向音痴はうつらないからね?」
「そんな事知ってるよ。それよりお姉ちゃん何見てたの? すごい真剣に見てたけど」
雪穂に言われ、穂乃果は自分の正面にある作品を見る。作品名は『裏切り』。穂乃果はどこか寂しそうに絵に手を伸ばし途中で引っ込めると、姉のいきなりの奇行に首を傾げている雪穂を見る。
「そういえば、亜里沙ちゃんは?」
「亜里沙とは手分けしてお姉ちゃんを探してたんだよ」
穂乃果が見当たらない亜里沙について聞くと、雪穂は携帯を取り出しながら訳を説明する。そして穂乃果を見つけた旨の連絡を済ませると、すぐに亜里沙から返事が来る。
「亜里沙今受け付けにいるってさ」
「じゃあ受け付けに行こっか」
「あ、お姉ちゃん。ちょっと聞いていい?」
亜里沙の現在地が分かり、そこへ向かおうと踏み出した穂乃果を雪穂が呼び止める。穂乃果は不思議に思い振り返る。
「あのさ、その右手どうしたの?」
「右手?」
雪穂に言われ、穂乃果は自分の右手を見る。そこには包帯のように裂かれ、巻かれている血で真っ赤に染まった自分のハンカチと、その上から見覚えのない上質なハンカチが巻かれていた。
一体自分はいつ怪我を負い、応急処置をしたのか。一連の事に記憶がない穂乃果は首を傾げる。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「うん。もう血も止まってるみたいだし、大丈夫だよ」
心配そうに右手をみる雪穂に笑って返し、巻かれたハンカチを外すため左手で触れる。
その時、穂乃果の脳内に砂嵐やノイズと共に映像と誰かの声が響き渡る。
『お姉ちゃん! しっかりして!』
『いい穂乃果。たとえ自分よりも怖がってる人がいるからって、あなたがそれを我慢する必要はないのよ。怖かったらアタシじゃなくてもいい、お兄さんを頼ってもいいのよ』
『どうして、会ってまだ数時間もしない私にここまでするの!』
『いっせーの!』
それはもう一つの美術館での思い出。それがハンカチに触れた時に頭の中を駆け巡る。
「これって……」
「? お姉ちゃん?」
「雪穂ごめん! 先に行ってて!」
「お姉ちゃん!?」
驚く雪穂を置いて穂乃果は美術館の中を早歩きで歩く。
雪穂は穂乃果を追おうか迷うも、亜里沙を待たせている事を思い出し、受け付けに向かう。
「私がこっちに戻れたってことは、三人もこっちにいるはず……」
早歩き出歩きながら辺りを見渡し、人を探す。
「ねぇ、これ何?」
「これはね……」
「うぅ~……」
二階から一階に下りて『深海の世』の前に着いたとき、聞き覚えのある三つの声を耳にする。穂乃果は声のした方へ足を向ける。
穂乃果が声のした方へ行くと、赤いスカートをはいた茶髪の少女と、ボロボロのコートを着た紫の髪の青年が話していた。その横では緑のワンピースを着た灰がかった紫色の髪の少女が難しい顔をして唸っていた。
「いた……!」
穂乃果はその場で立ち止まり、深呼吸をしてから三人に近付く。
「こ、こんにちはー」
穂乃果の声に真っ先に反応したのはメアリーだった。メアリーはの声を聴いた瞬間に顔を上げ、穂乃果の顔を見て顔を綻ばせる。
「ホノカ!」
「メアリーちゃん!」
穂乃果は飛びついてきたメアリーを受け止め、抱き締める。
「メアリー、その子と知り合いなの?」
「ねぇメアリーちゃん。もしかして」
「うん。ギャリーとイヴはあっちでのこと忘れちゃってるみたいなの」
ギャリーのよそよそしい態度を見てもしかして、と先ほどの考えが頭をよぎりメアリーに確認を取ると、メアリーは少し寂しそうにそれに頷く。
「ギャリーさん、イヴちゃん。思い出して。あの不思議な世界で一緒に過ごしたじゃん」
「そんな事言われても……て、なんであなたアタシの名前知ってるの? 前にどこかで会った事あったかしら?」
「だーかーらー! もう一つの美術館で会ったって言ってるじゃん!」
「その……ごめんなさい」
「別に謝る事じゃないよ」
穂乃果もメアリーと一緒に話すも、最終的にイヴに謝られてしまい困ってしまった。
「う~んどうしたら……そうだ。メアリーちゃんあの人形持ってる?」
「人形? これ?」
穂乃果はこちらの世界に戻ってくる時にメアリーの頭の上にいた青い人形についてメアリーに聞く。メアリーは頷き鞄から人形を取り出す。
「この人形使えないかな?」
「……! なるほど! 二人ともこれ見て!」
「……?」
「……ひっ! メ、メアリーその人形こっちに近付けないでね! 絶対よ! ……あれ?」
メアリーが人形を二人に突き出すと、イヴは首を傾げ、ギャリーは怖がったあと目を見開き穂乃果とメアリーを見る。
「ほ……のか?」
「ギャリーさん!」
「ギャリー!」
穂乃果は一連の様子と名前を呼ばれた事でギャリーの記憶が戻ったことを悟り、メアリーと一緒に思わず飛びつく。
「あぁ、なんで忘れてたのかしら。思い出した、思い出したわ。穂乃果、メアリー、そしてイヴ」
「まったく遅いよ」
「ふふ、ごめんなさいんね」
メアリーが少し頬を膨らませて言うと、ギャリーは笑って穂乃果とメアリーの頭を優しく撫でる。
「これでギャリーさんは大丈夫だね」
「そうね。これで残るは」
「イヴだけだね」
メアリー、穂乃果、ギャリーの三人はどのようにイヴの記憶を戻させるかの話し合いを始めようとした時、そのイヴから声を掛けられる。
「あの……」
「もしかして、記憶戻ったの!?」
「あ、その。お困りでしたら警察呼びますか? ギャリー」
「誰がロリコンワカメヘアーよ!」
「落ち着いてギャリー。誰もそんな事言ってないから」
イヴの思いもよらない言葉にギャリーがツッコミを入れる。メアリーは呆れたように首を振りながら横からギャリーにツッコむ。
「まぁまぁ、取り敢えず落ち着いて……ワカメさん」
「そうだよ。ここは美術館なんだから静かにしないと。ワカメさん」
「ねぇねぇワカメさんワカメさん」
穂乃果、イヴ、メアリーから注意される
「へ、へぇ~。あなた達良い度胸じゃない。いいわ、ここらでアタシを怒らせるとどうなるか」
「どうなるの?」
ギャリーのただならぬ雰囲気を感じ、メアリーとイヴは穂乃果の後ろに隠れる。
「これ以上怒らせたら今度マカロン奢らないわよ」
「「「ごめんなさい。ほんの出来心でした。反省しています」」」
ギャリーの一言に一斉に頭を下げて謝罪する三人。そこでギャリーは気付く。いつの間にかイヴからよそよそしさが無くなっていることに。
「ね、ねぇ。もしかして、イヴって記憶戻ってる?」
「うん」
「いつから?」
「ついさっきだよ」
イヴの言葉に一緒になってふざけていた穂乃果とメアリーを見る。
「二人は気付いていたの?」
「もちろん!」
「う~ん、なんとなく?」
二人が頷くとギャリーは俯き、肩を震わせ始める。そんなギャリーの様子を見て今度こそ怒らせたか? と不安になり、顔を見合わせる三人。
そしてギャリーが顔を上げ、三人を抱き締める。
「もうっ! あなた達は!」
「ごめんねギャリー」
「でもこれで全員が揃ったね」
「うん!」
四人は笑顔で顔を見合うと、ギャリーが三人を放す。
「そういえば、穂乃果とメアリーはあっちの記憶があったみたいだけど、どうして?」
「今説明してもいいけど、せっかくだからまた今度どこかに集まらない? そっちの方がいいと思うし」
メアリーの言葉に穂乃果とイヴがハッとなる。
穂乃果は一緒に美術館にきて現在進行形で待たせている二人を思い浮かべ、イヴもまた美術館の作品を見ている両親を思い出す。
「ギャリーさん携帯持ってたよね」
「えぇ」
「これ、私の番号だから。イヴちゃんとメアリーちゃんもはい」
「あ、これ私の家の番号」
「二人ともありがとう!」
穂乃果、イヴ、ギャリーは番号を交換した後、それぞれの行くべき道を歩き出した。
~数年後~
国立音ノ木坂学院の校門の前に、音ノ木坂の制服に身を包んだ二人の少女が立っていた。
「ここがホノカの通ってた音ノ木坂かぁ」
「ふたり一緒に入学できてよかったね」
灰がかった紫色の髪の少女と茶髪の少女が顔を見合わせて笑顔になり、校門を潜っていった。
これにて「ラブラIb! ~太陽の笑顔が織り成す物語~」を完結させていただき……おいお前! ここでなにしてる!
ワ「いてっ! せっかくお知らせに来たのにこの仕打ちはあんまりだと思うんだ。長々と話していてもこの後に支障が出るからサクッと言わせてもらうね。次回、おまけが投稿されるよ。きっと読者の皆は色々納得のいってない部分があると思うんだよね。主に最後の部分とか、ボクの正体とか、色々とね」
若「はいは~い。お前が話すと長くなるから帰るよ~」
♪♪♪
方向音痴
病気みたいにうつるのかな?
怪我した右手
向うでの怪我はフィードバックされます。って何話か前にも書いたな。
思い出
どのシーンを選ぶか迷った。読み返さないでどこか分かったら凄い。特に一個目の台詞
いじる穂乃果、メアリー、イヴにいじられる
日常に帰ってきた証拠
ロリコンワカメヘアー
誰が豆粒ドチビかーっ!!
誰もそこまで言ってません。
怒らせると怖いおかま
おかまの人に限らず、普段温厚な人が起こると怖いよね。
騒ぐ四人
作中では注意されている描写はありませんが、美術館や学校の図書室、図書館ではお静かに。偶に騒がしい方々がいるので静かにしてほしいです。
連絡先を交換した四人
数年後
音ノ木坂学院の前に立っていた少女二人は一体誰なんだ