ラブラIb〜太陽の笑顔が織りなす物語〜【完結】   作:名前はまだ無い♪

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前回のラブラIb

「若葉、なぜここに! まさか自力で脱出を!?」
「彼は若葉ではない」(無言の腹パン)


「嫉妬深き花」

 五人は一度休憩を兼ねて自己紹介と、お互いのこれまでの経緯を話し合う。

 

「それじゃあお兄ちゃんもこの世界のことについては知らないんだ」

「あぁ。オレも目が覚めたらこの世界にいて、そこでメアリーと出会ったんだ。そこから一緒に探索してたんだけど、突然暗くなったと思ったらここにいたんだよ」

「それであっちから出ようとしたらアタシ達、ていうか穂乃果とぶつかったのね」

 

 ギャリーの言葉に若葉は頷く。それから隣で座ってイヴと笑って話しているメアリーを微笑まし気に見る。

 

「まぁこうして穂乃果も無事だったし、あの角の先に行ってみる?」

「そうね。先に進まないとどうしようもないし、休憩も取れたしアタシは大丈夫よ。穂乃果は?」

「私も大丈夫だよ。イヴちゃんとメアリーちゃんも大丈夫?」

「うん!」

「大丈夫だよ!」

 

 穂乃果がイヴとメアリーに聞くと、二人は元気に答える。それから五人は立ち上がり、若葉とギャリーを前に、イヴとメアリーは穂乃果を挟むようにして手を繋いで歩き始める。

 

「そういえば若葉って薔薇持ってる?」

「薔薇?」

「そう、これよ」

 

 ギャリーはポケットから青い薔薇を取り出し若葉に見せる。若葉は青い薔薇をジッと見つめた後、手をポンと叩いてポケットから赤茶色の薔薇と黄色の薔薇を取り出す。

 

「これらのことか」

「ん? なんで二つ持ってるの?」

「あぁ、こっちがオレのでこっちはメアリーのだよ。用途不明だったけど、さすがにメアリーに持たせておくのも不安だしね」

「でもさワカバ。イヴだって自分の薔薇は自分で持ってるよ? だから私も自分で持つ!」

 

 イヴが自分で薔薇を持っているのを知ると、メアリーは若葉の服の裾を引っ張り頬を膨らませて強請る。若葉は困ったような表情を浮かべ薔薇をメアリーに渡す。

 

「分かった分かった。そのかわり、大事に扱うんだよ」

「分かってるって!」

「メアリーの薔薇は黄色なんだね。すごくきれい」

「そうかな? イヴのもきれいだよ」

 

 二人のやり取りに、それを見ていた三人は微笑みを浮かべ先へと進む。そして五人がしばらく歩くと、まっすぐと左に分かれている道へと着いた。

 

「正面の道には扉が見えるね」

「左の道は曲道になってて先がわからないわね」

「また二手に分かれる?」

 

 穂乃果は右手をグーとパーにしながら提案する。それには皆が賛成し、結果穂乃果、ギャリーと若葉、イヴ、メアリーの組み合わせで分かれることになった。

 

「それじゃあお兄ちゃん。二人のこと頼んだよ」

「あぁ兄ちゃんに任せなさい」

 

 若葉はそう言うと、メアリーとイヴの手を掴んで左の道へと進んでいく。

 

「それじゃあアタシ達も行きましょうか」

「うん」

 

 三人が行ったのを確認した穂乃果とギャリーは正面へと続く道を歩き始める。

 

「それにしてもアタシ達がこっちで良かったのかしら。イヴとメアリーがいることを考えたら若葉達がこっちの方が良かったんじゃないかしら」

「大丈夫だよ。だってお兄ちゃんが一緒なんだもん。それよりもメアリーちゃんとお兄ちゃんが離れなくてよかった」

「あら、どうして?」

 

 ギャリーは穂乃果の言葉に疑問を抱き、それについて質問する。穂乃果は先程までメアリーと繋いでいた右手を見る。

 

「メアリーちゃんの手ね、怖かったのか緊張してたのか、ずっと冷たかったんだ。だから少しでも長く一緒にいたお兄ちゃんといた方が安心するかなって」

「そうね。少しでも安心できる方にいた方がいいものね」

 

 穂乃果の言葉にギャリーは頷きつつも、ふと思った事を聞いてみることにした。

 

「穂乃果はアタシのこと怖くないの? ほら、アタシって自分で言うのもアレだけど、話し方おかしいじゃない?」

「え? 別に怖くないよ?」

「そ、そう?」

 

 穂乃果が笑顔で返すと、ギャリーは嬉しそうに顔を綻ばせる。そして二人は正面の扉へと歩を進める。やがて扉の前に着いた二人はノブに手を伸ばし、捻る。しかし帰ってきた反応は鍵のかかっている感触。

 

「こっちは行けないみたいね。てことは」

「うん、お兄ちゃんの方が正解みたいだね」

 

 二人は再度、扉が開かないことを確認すると来た道を戻り、左の道を進む。

 

「……これ」

「その絵がどうかしたの?」

「うん。なんだか動いてる気がして」

 

 分かれ道の壁にかかっている絵画「嫉妬深き花」。穂乃果が立ち止まりその絵を見ると、ギャリーも横に立ちジッと絵画を見つめる。

 

「う~ん、アタシには普通の絵画にしか見えないわね」

「そっか。じゃあ私の見間違いかも。ごめんね」

 

 あはは、と笑いながら謝る穂乃果は、突然ギャリーに抱きしめられ黙ってしまう。

 

「ギャリー、さん?」

「いい穂乃果。たとえ自分よりも怖がってる人がいるからって、あなたがそれを我慢する必要はないのよ。怖かったらアタシじゃなくてもいい、お兄さんを頼っていいのよ」

「……うん」

 

 穂乃果はギャリーの背中をギュッと掴みギャリーの胸に顔を埋めたまま頷く。穂乃果が自分から離れるのを待ち、二人はイヴ達の行った道を進む。

 

「あれ? 扉が開きっぱになってる……?」

「そうね。もしかしたら先に進んじゃった、とか?」

 

 二人は開いたままになってる扉を開け、中に入る。部屋の中には、様々な色の置物がたくさん置いてあり、正面の壁には人形と同じ絵画が飾られていた。二人が部屋に入ると、人形を持ち上げたり、見ていたメアリーとイヴが気付き手を振ってくる。穂乃果とギャリーも手を振り返し、近付いてきた二人に若葉の所在を聞く。

 

「ワカバならあそこにいるよ」

 

 メアリーが指さした先を見ると、若葉は絵画のそばにある本棚の前でジッと動かないで本を読んでいた。

 

「若葉どうしたの?」

「いや、これ読んでみて」

 

 若葉は読んでいた本をギャリーに渡し、部屋の中を歩き始める。ギャリーは横から覗き込んでくる穂乃果にも見えやすいように、少し腰を落とし本を読み始める。

 

 タイトルには一言『心壊』

 

『あまりに精神が疲弊すると そのうち幻覚が見え始め 最後は壊れてしまうだろう そして 厄介なことに 自身が『壊れて』いることを 自覚することはできない』

 

「これ、どういうことかしら……?」

「う~ん、あんまり抱え込みすぎないようにってことかな?」

 

 二人は本の内容について話し合うも、いまいち要領が掴めずにいた。そんな時イヴが穂乃果の服の裾を引っ張る。手には部屋に飾られている人形。

 

「ちょ、それあんまり近付けないで。ていうかそれ、よく持てるわね」

「そうかな? 可愛いと思うけど」

 

 イヴの持ってる人形を見て一歩後ずさるギャリーとは逆に、笑顔で人形をなでる穂乃果。

 

「なんで二人とも平気なのよ。メアリーと若葉からも何か言ってよ」

「え、なんで? 可愛いじゃん」

「オレは……ノーコメントで。ってメアリー危ない!」

 

 ギャリーの呼びかけにメアリーは人形に頬擦りしていたのを止め、首を傾げて聞き返す。若葉は苦笑いで返すも、すぐにメアリーの手を引く。次の瞬間メアリーのいた場所に人形が落ちてくる。

 

 ガシャン!

 

 人形が床に当たると同時に何か陶器が割れる音が部屋に響く。

 

「あ、ありがとう」

「どういたしまして。でもこれからは気を付けるんだよ」

 

 メアリーが若葉を見上げながらお礼を言うと、若葉は笑いながら肩に手を置きながらメアリーに注意する。

 

「それよりお兄ちゃんにメアリーちゃん、二人とも怪我なかった?」

「うん大丈夫だよ」

 

 穂乃果達が近付きながら聞くと、若葉は傷の無いの右手を振って返す。ギャリーとイヴはホッと胸を撫で下ろす。

 

「穂乃果? どうかした?」

「……え? う、ううん別に何でもないよ。でもこの部屋も行き止まりだね」

 

 若葉は何かを考え込むような顔をしている穂乃果に気付き聞くも、穂乃果は首を横に振り話題を変える。穂乃果の言葉に他の四人も部屋中を見回す。

 

「そうね。ひとまずさっきの分かれるところまで戻る? もしかしたら新しい道があるかもしれないし」

 

 ギャリーの提案に五人は部屋から出て分岐場所まで戻ると、どこかからか音が聞こえ始める。五人は音の源を探し辺りを見渡す。そして穂乃果が壁に飾られた絵画『嫉妬深き花』を指す。

 

「なに……? この音……近付いてくる……」

「……! 皆すぐに離れて!」

 

 絵画から蔦と花弁が迫ってきて地面に罅が入るのを見た若葉は、穂乃果を突き飛ばし、その後ろにいるイヴとメアリーを下がらせた後、ギャリーの手を引っ張り反対側に倒れこむように下がる。地面の罅からは迫ってきていた蔦と同じものが飛び出し、通路を塞ぐ。

 

「三人とも大丈夫!?」

「うん。こっちは三人とも大丈夫だよ! そっちは!?」

「こっちも二人とも平気だよ!」

 

 ギャリー、穂乃果、若葉は話し合い蔦が石で出来ているため壊すことは不可能。このまま分かれて探索して蔦を壊すものを探すことになった。

 

「それじゃあお兄ちゃん、ギャリーさん。行ってくるね」

「絶対戻ってくるから」

「それじゃあ、行ってきまーす」

「三人とも気を付けるのよ~?」

「無理しないようにね」

 

 五人は互いに相手側へ簡単なメッセージを伝えると、それぞれの通路の先へと足を進めていった。

 

 

 

 




♪♪♪

若葉とメアリーのこれまで
穂乃果、イヴ、ギャリーと似たようなもの。多分、きっと、その内、もしかしたら書かれるかもしれない。

若葉、メアリーの薔薇
メアリー=原作通り
若葉=穂乃果の茶色の薔薇、真姫の赤を足した結果の色

メアリーの呼び方
全員カタカナで呼んでもらいます。え? キャラの口調分け? その通りです

親睦を深めるギャリーと穂乃果
この先当分の間会うことが出来ないからね。最期の親睦にならない事を願うばかり……

何かを考え込む穂乃果
一応タネは仕込んだ。それに気付くかはあなた次第。
なお、作者からの返答は「きっとそうなんじゃない?」で固定される。

グループの分け方
Twitterでのアンケート「ギャリーと組ませるとしたらどっちが良い?」をとった所
穂乃果63%
若葉37%
となったのであえて逆をいってみた。作者は天邪鬼



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