堕落の聖人〜最強のはぐれ悪魔祓い〜   作:赤嶺

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お久しぶりの上にだいぶ短い。さらに間話という、お待ちいただいている方々には申し訳ない更新となります。

後日原作3巻完結とともにこの話は3巻の後ろに移動します。


◼️◼️◼️◼️メモリー

 

わたしには自慢の兄さまがいる。

 

ちょっぴり面倒くさがりだけど、とても優しくていつもひとりぼっちのわたしと遊んでくれるとても素敵な兄さま。

 

キラキラした銀色の髪の毛はとっても綺麗で、その髪の毛の間から覗く碧い目はわたしだけを見てくれる。

 

その瞳に映るわたしは頬を赤くして笑顔を浮かべてるだろう。

 

今日もひとりぼっちのわたしと遊んでくれた。

 

今日の遊びはおままごと。

 

わたしがお姫さまで兄さまは王子さま。

 

悪魔の王さまの魔王に攫われたお姫さまを取り戻すために王子さまが魔王と戦って、お姫さまと最後に結ばれて結婚する話。

 

前のおままごとで魔王を倒すところまでやったから、今日はいよいよわたしにとってのメーンイベント。

 

お姫さまと王子さまが結ばれるところだ。

 

兄さまはそのメーンイベントが恥ずかしいのか、少し頬を赤らめてる。

 

兄さま、かわいい。

 

そう言うと、さっさとやるぞとわたしを急かす。

 

やっぱりかわいい。

 

 

☆☆☆

 

 

ああ、王子さま。あなたさまがきっとわたくしを助けてくださると信じておりました。

 

「……」

 

兄さま、セリフ!ほら「姫、お待たせしてすみません」ですよ!

 

「……姫、お待たせしてすみません」

 

そう言って王子さまは座り込んだわたくしの手をそっと握って立ち上がらせる。

 

「……さぁ、行きましょう。ここは危ない」

 

はいっ!王子さま!

 

握られた手を支えに一歩を踏み出そうとすると、腰が抜けて座り込んでしまう。

 

ごめんなさい王子さま、わたくし、腰が抜けてしまって……抱えては下さりませんか?

 

王子様は顔をしかめますがため息をつくと、失礼しますと膝下と腰に手を入れわたくしを抱え上げた。

 

わたくしは王子様の首に腕を回し思いっきり抱きつく。

 

王子様は若干苦しいのか顔を歪めるが何も言わず前に進んで行く。

 

王子様、本当に助けてくださりありがとうございます。どうか御礼をさせてください。

 

「……御礼は要りません。わたしはわたしがすべきことをしたまで。それより姫が無事で本当に良かった」

 

王子様がわたくしの顔を覗き込んで微笑む。

 

ズッキューン!

 

その微笑みに思わず胸を抑え込む。

 

心臓がうち剥かれたような気がした。

 

顔が赤らんでいるのがわかる。

 

だって、とってもほっぺが熱いもの。

 

普段からあまり笑わない兄さまが、あのいつも無表情の兄さまが、わたしに向かって微笑んでくれた!

 

兄さまっ!

 

わたしはおままごともことを忘れもう一度思いっきり抱きしめる。

 

それはもうぎゅーっと!

 

兄さまが何度も背中をタップするけど気にしない。

 

むしろもっと抱きしめる力を強くする。

 

あ……っ!

 

残念、兄さまに無理やり引き剥がされてしまった。

 

息ができてなかったのか、兄さまの肩が大きく上下している。

 

「まな板のくせに押し付けてくるな。痛いだけだ」

 

まぁ、照れ隠しなんて可愛いですねぇ。

 

「は?何言ってんの?俺が照れるわけないだろお前に」

 

まったく、素直じゃありませんね、兄さまは。

 

ほっぺを赤くしてるのに、嘘だってバレバレですよ?

 

そんなところもまた可愛いのですけど。

 

さ、続きをしますよ兄さまっ!

 

わたくしに兄さまはしかめっ面で返事をする。

 

けど、なんだかんだ口で文句を言ってもわたくしと一緒に遊んでくれる兄さま。

 

うん、やっぱりわたくしは兄さまが大好き。

 

 

 

★★★

 

 

今日とって嫌なことを聞いた。

 

兄さまが会いに来られなくなるらしい。

 

お父さまとお母さまが叔父さまとそんな話をしていた。

 

兄さまは今日来てない。

 

妹のルシアが熱を出して兄のルシエルと一緒に看病をしていると、兄さまを出迎えるべく玄関で待っていたわたくしに叔父さまが言った。

 

今日は頑張って勉強した魔術を見てもらおうと思っていたのに。

 

しょうがなくひとりでトボトボと廊下を歩いていた時に聞こえて来たのが、そんな話だった。

 

どうして?

 

お父さまたちはまだ話していたけど、わたくしには難しくてよくわからない。

 

分かったのは兄さまがもう来ないこと。

 

どうして……?

 

わたくしの魔術が関係していること。

 

■■魔術はとっても素晴らしい魔術なのに。

 

どうして……ッ!?

 

「──どうしてわたくしが兄さまと離れ離れにならなければいけないの!?」

 

なんで!?わたくしが何か悪いことでもしたの?■■魔術を修練したのがいけなかったの?兄さまに褒めてもらいたくて頑張って難しいけど頑張ったこの魔術のどこがいけないの?とっても素晴らしい魔術なのに。それなのにこの魔術のせいでもう会えない?兄さまに会えない?……いいえ?悪いのはわたくしじゃない。だって頑張っただけだもん。わたくしは悪くない。悪いのはお父さまたちだ。わたくしはただ兄さまのためにこの魔術を覚えたのだもの。なら──

 

「──悪い子には罰を与えなきゃいけないね」

 

そうだ、魔術の成果を試してみよう。

 

確か羽有りたちの討伐任務があったはず。

 

わたくしはまだ子どもだから行けないって言われてるけど家の守護兵なら行けるよね。

 

お父さまたちには内緒で守護兵たちについて行ってそこで試そう。

 

守護兵たちはわたくしには逆らえないし、きっと上手くいく。

 

成功すれば駒も増えるし、兄さまにも会えるし、一石二鳥だね!

 

うんうん、そうしよう!

 

きっと上手く行くよ!

 

わたくしなら、わたくしの兄さまへの愛があればなんだって上手く行くよ!

 

待ってて兄さま。

 

いますぐには無理だけど必ず会いにいくからね。

 

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