グリモア ~私立グリモワール魔法学園~(名称仮) 作:グリモアっておもしろいね
「ちょっと転校生、面白い事があるわよ?」
授業が無事に終わり廊下を開いていたら後ろからそんな声をかけられた。
振り向いてみると其処にはこの間一緒にクエストに行った報道部所属の岸田夏海さんが居た。
走ってきたのか息を僅かに荒げている様子では有るもののツインテールをぴょこぴょこ動かすと話を切り出した。
と言うかこのツインテールどうやって動いてるんだろう…。
「新しく来た教師居るじゃない?」
「あー…確か神座先生だったかな?」
「そうそう!どれだけ調べても大したことわからないのよね…名前も教えてくれないし…精々好きなものが林檎ってくらいしか」
「神座先生の個人情報はさておき続き話してくれない?」
時折話が脱線する事もあるのがちょっと…後背が小さい、言うと怒るだろうけど。
「その神座先生がね、生天目先輩と私闘するそうよ?」
「ふーんそう──って先生と先輩が?」
生天目つかさ先輩、今年度で卒業する戦闘狂な先輩。
あの人のイメージはどう転んでも戦闘狂にしかならないと言う不思議状態なんだよなぁ……。
「ねぇ転校生、一緒に見に行かない?」
「興味はあるし…僕で良かったらお供するよ?」
「決まりね!それじゃあコロシアムまで行きましょう!」
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サイド神座
「私と戦って貰おう!」
「取り敢えず仮にも教師に大してその口振りはどうかと思います」
面倒、その一言に尽きます。
「それならば神座先生、私と戦え!」
「今必要なのは敬語であって対象固定ではありませんが?」
「そんなことよりも私と戦ってほしい!」
「はぁ…私に戦うメリットが有りません」
「…ふん……生徒と戦う度胸のない期待外れ教師だったか」
「えぇ、負けるのが怖い臆病ですから。戦う必要がなければやる意味もない」
「くっ…ではこうしよう」
「……?」
後から考えれば思わず其処で気になってしまったのが後悔すべき点でした、無視して去ってしまえば問題なかったのに。
「戦闘の授業として教師から実践という形で教授してもらいたい!」
「………………」
流石に逃げれませんね、仮にも教師である以上個人の我が儘で無視する訳にも行きませんし…彼女、生天目つかささんはどれだけ教師と戦いたいのでしょうか。
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サイド転校生
僕と岸田さんがコロシアムに到着する頃には観客もいて賑わいを見せている、そんな状況だった。
幸いにも疎らに席は空いていて大盛況とは言えなかったけどそのお陰で前には座れたし。
「そう言えば生天目先輩ってどんな人なの?」
「多分転校生の知ってる認識であってると思うわよ?得意な魔法は強化ね」
魔法には種類があって人それぞれに得意不得意があるとかないとか。
更に相性も有るから得意不得意以前に扱うことすら不可能、らしい。
僕なんかは殆ど全ての魔法系統が相性悪いけど。
「これは良い記事になりそう!」
音符が出てそうなくらい喜んでる岸田さんに苦笑いを浮かべながらステージに目を向けた。
先輩は既に変身済みで先生はスーツ姿。
あの人戦闘する気皆無でしょ。
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サイド神座
「ぬっ、変身しないのか?」
ずっと変わらないスーツ姿に対して疑問を覚えたのかそう問いかけてきた。
「生憎と変身はしたくないので」
そう答えを返すと向こうは不快そうに睨んできました。
「やる気はあるのか?」
「変身しなくても戦うことは出来ますから」
肩を竦めておどけるように答えると互いに押し黙り何時でもやり合えるように集中をし始めた。
彼女は何時でも私に仕掛けれるように構えをとり半身で右手を隠すような体勢をとった。
「二人とも無理はなしでな?それじゃあ…始め!」
兎ノ助がそのまま戦闘の開始を宣言。
刹那の瞬間には既に生天目さんは私の目の前に移動していて私に拳を向けてきてました。
「──ッ」
って初撃が顔面って危なすぎなのでは?
そんな事を考えながら間一髪回避、そのままバックステップを取った直後──
「甘い!」
「くっ…」
折角採った距離をすぐに詰められ第二撃、第三撃と魔法で強化された拳を振るってきた。
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サイド転校生
観客の僕からしてみればハラハラさせられる戦闘であった。
常にギリギリで先輩の拳を回避する先生、体勢を整えようと距離を取れば間髪入れずに間合いを詰められ防戦を強いられる、さっきからずっとそんな調子だ。
周りでは先生の実力を知りたがっていたであろう生徒からわずかに落胆の溜め息を漏らすのは聞き逃してない。
仕方ないことだろうと僕は思ったけど。
(だってひたすら逃げて避けてるだけだもんね…)
ド派手な戦闘を期待してしまった内の一人である自分もわからなくない気持ちなのだから。
隣の少女に目を向けるとジッとその戦闘を漏らさず見ていた。
「良かったら実況してくれないかな…」
「転校生…残念だけど説明するようなこと思いつかないわよ…」
頼んでみると苦笑でそんな言葉を返ってきた。
「やっぱり──」
「ボクはそうとは思わないけどな?」
不意に後ろからそんな声が響いた。
「部長!」
「誰!?」
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サイド神座
面倒、面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒面倒、ひたすら面倒くさい。
「何故反撃をしない!私をもっと楽しませろ!!」
ひたすら逃げに徹すれば苛立ちをぶつけられるように拳を振られギリギリで避ける。
(というか私避けないと死にかねませんし)
まともに一撃でも貰えば即座にノックダウン、そうじゃなくても一時的に行動不能になる。
強化魔法の嫌らしいところですね。
「強化魔法は強度や速度を上げるだけでなく文字通り威力自体をはね上げます、更に貴方は二回ほど重ねがけをしてる以上マトモに受ければ私なんか一溜まりもありません」
「だからといって反撃しないつもりか!」
「ふむっ…くっぅ!!?」
腕で逸らすように腹に目掛けて放たれた拳を流そうとするものの流しきれず直撃、死ぬほど痛いですね。
「うぐっ…がはっ…」
「この程度か…期待はずれにも程がある」
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サイド神座
「あの…一発決まって終わっちゃったみたいですよ?」
「ふふっ…あの教師がこの程度で終わるようには見えないけどね」
「部長、すみませんけど決着付いたように───」
「ふふっ…まぁ見てればいいんじゃないかな?」
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サイド神座
フラフラと立ち上がりながら苦痛に耐える。
「反撃しない…というのでは貴方がつまらないでしょう、それでは────」
「むっ、今度はそっちから来るか…かかってこい!」
私は手を目の前に翳しながらイメージを描いていきました。
(燃え盛る炎…あの日あの時、失った骸…彼女の願いは私のもの…)
「……………くくっ…何を見せてくれるんだ?」
生天目つかささんはそんな私の状況をみると愉快そうに笑いながらわざわざ此方の準備を整うのを待っていてくれる。
(其処まで戦闘大好きですか…)
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サイドアウト
神座の周りに攻撃的な燃やそうとする炎が燃え盛る、攻撃的な筈なのに不思議と暖かさを感じるその炎は次第に青く、蒼くなっていきそれに応じて何処までも敵意を宿す熱へと変貌していく。
翳した手を神座は心臓へと持っていき、端から見ればそのまま何かを引き抜いた動作をとった。
否、事実問題何か引き抜かれている。
片刃の両手剣、敵に向けるであろう刃彼の周りを包んでいる蒼い炎を表したかのように青く染められて刃ではない方には装甲のようなモノが付けられていて先端の鋭利な刃の近くまでピンク色のそれで覆っている。
彼はそのまま、何時もの濁った目に僅かながら輝きを宿しながら誰かに言うわけでもなく独り言として呟いていた。
「彼女の純粋な願いを私の歪んだ復讐心が生み出したのがこの武器…宿る異能は──」
周りに渦巻くようになっていた炎は何時の間にか消え去っていた。
半身になって腰を低く、引くようにしながら左足を前に伸ばし右足を曲げてその両手剣を水平に構えた。
「なかなか面白い演出だった、行くぞ!」
生天目つかさは強化魔法のかかった拳を握り締め真正面から殴り飛ばそうと拳を振り下ろし、神座はそれを両手剣で受け止めた。
「なっ!?」
「──
驚きの声を上げながら距離をとるつかさに対し冷静な神座。
「くくっ…はははっ!良いぞ、もっと私を楽しませろ!!」
「そうがならないでください…それと一つ、魔法は変身しなくても絶対に使えない訳ではないんですよ」
高笑いをあげるつかさに対して不敵そうな表情の神座という構図になりながら互いに次の手を考慮していた。
次回は前回の夢の中の物語の続きとなります