問題児が幻想入りするそうですよ?   作:ふぐの刺身

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駄文ですが、よろしくお願いします


第一話

 ぼちゃん。

 目が覚めると落下中だった十六夜は、湖に落下した。

 何時ぞやのように湖に緩衝材は引いていなかった。落下の衝撃がモロに彼の体に加わったが、傷一つついていない。

 

「……なんだこれ」

 

 十六夜は岸へ上がり、周りを見渡す。見慣れない場所だった。箱庭かどうかも怪しい。

 少し周囲を観察してまた呟いた。近くに森や山があり田舎のようだが、人の気配は少ないながらも感じ取れた。

 

「木の種類からして、箱庭だとしたら東側で間違いなさそうだが……」

 

 安易にここを箱庭だと結論付けてはいけないと、彼の本能がなんとなくそう言っている。

 またそれが、十六夜の好奇心を擽った。彼は現在武者修行の身。少しくらいの寄り道は修行の内に含まれるだろう。

 しかし好奇心だけでは現状をどうにかできない。溜息を着いて十六夜は草むらに声をかける。

 

「このままじゃ埒が明かねえ。そろそろ、そこに隠れているやつにおいで願おうか?」

 

 ざわ! その草村がゴソゴソ動く。大きな帽子がひょこりと顔を覗かせ、その後中から少女が現れた。片手には箒を持ち、黒と白の魔女のような恰好をしている。

 

「なんだ、バレてたのか」

 

 少女は気軽な口調で草むらから体を出すと、お転婆な笑みを浮かべた。

 

「お前か?俺をここに呼んだのは?」

 

「正確に言うと私じゃないぜ。私は呼んだ張本人頼まれただけだ。お前を保護してくれってな」

 

「なるほどな」

 

 言いつつ、何故自分はこんなにも召喚されることが多いのだろうと首を傾げる十六夜。

 

「あ、私は霧雨魔理沙だぜ。お前は?」

 

 魔理沙と名乗った少女は、服に付いた葉っぱを払いながら聞いた。

 

「俺は逆廻十六夜だ」

 

「十六夜か。どっかのメイドみたいな名前だな」

 

「というか、ここはどこだ?まだ箱庭の内部か?」

 

「箱庭?なんだそれ?外の世界の遊園地かなんかか?」

 

「箱庭を知らない?……ってことは、外界か?」

 

 その台詞の後半は自分の思考に没頭するように独り言のような形になる。魔理沙はそんな十六夜を無視して話を続ける。

 

「よく分からんが、とりあえずここは幻想郷って呼ばれるところだ。『忘れ去られた物』が辿り着く場所だな。まあ、とにかく詳しい説明は後にするぜ。次の私の仕事は霊夢のところに連れて行くことだからな」

 

「目標設定がされてるのは有難い」

「ほれっ」

 

 魔理沙がタオルを彼に向って投げる。

 

「それで体を吹いてくれ。私の箒に一緒に乗ってもらうつもりだからな。びしょ濡れで乗ってもらってはかなわん」

 

「オーケー」

 

 頭から順に体の水気を取って行き、また魔理沙に投げて返す。受け取った魔理沙はまた懐に戻す。

 

「じゃ、後ろに乗ってくれ」

 

「へえ、この箒で飛べるのか」

 

「別に箒なくても飛べるけどな。補助装置みたいなもんだ」

 

 なるほどな、と十六夜は相槌を打ちつつ、魔理沙が空けている箒の後部に跨った。

 

「落ちないようにしっかり捕まっててくれよ」

「了解だ」

 

 十六夜の両腕が、魔理沙の後ろから回される。そしてその両腕がガッシリと少女の乳房をつかんだ。

 

「ふむまだ発達しかけだがしっかりある柔らかさが小柄で華奢な体とマッチしそこに背徳的なエロスを生み出して

「何やってんだこのバカァァァァァ!!」

 

 魔理沙の裏拳が十六夜の顔面に綺麗に入る。箒から投げ出される十六夜。

 

「テメェは走って着いて来い!もう乗せん!」

 

 顔を真っ赤にした魔理沙が叫び、十六夜は軽い笑いでそれを受け流す。

 

「スピード加減無しで行くからな!途中で道に迷っても知らんぞ!」

 

 本気で加減なし行くつもりなのだろう。懐から取り出したミニ八卦炉を箒の穂の部分に装着する。すると、八卦炉が黄色い光を放ち始めた。

 ドン!と、低い音と共に、魔理沙は振り返ることなく猛スピードで飛び去った。

 

 

 

「……はぁ、酷い目にあったぜ……」

 

 八卦炉の超加速によりあっと言う間に博麗神社に着いた魔理沙は、箒から降りて溜息を着いた。

 

「あら、どうしたの魔理沙。随分お疲れのようだけど」

 

 声をかけたのは、脇を大胆に露出させた巫女服を着た少女ーー博麗霊夢だ。空っぽの賽銭箱の回りを箒で掃いているが、汚す参拝客が来ないので土埃が全く上がらない。

 

「どうしたもこうしたもないぜ。紫に頼まれた外来人の保護の話だ。あいつ、私の後ろに乗るなりいきなり私の胸を掴んで来てな」

 

「へぇ、それは災難だったわね。--で?その外来人ってのは、今あんたの後ろに立ってる殿方かしら?」

 

「へ?」

 

 魔理沙が慌てて後ろを振り向くと、そこには軽薄な笑いを浮かべた十六夜が立っていた。

 

「よう」

 

「なっ……」

 

 魔理沙は目を丸くする。

 

「八卦炉を使った私のスピードに着いて来れただと……!?」

 

「紫がわざわざ呼ぶくらいだもの。ただの人間ではないのでしょ」

 

「それもそうだが……」

 

 霊夢は箒を持ったまま十六夜の方へ行くと、彼の前へ立って言う。

 

「博麗霊夢よ。今日からあんたの宿主になることになってるから、よろしくね。ーーああ、勝手に逃げ出したりしないでよ?私は紫から大金をもらう約束してるんだから。もし逃げでもしたら、力づくでも連れ戻して神社に封印するわよ?」

 

「ヤハハ、それは面白そうだ。俺は逆廻十六夜。よろしくな、脇巫女」

 

「……何よそのあだ名」

 

 十六夜のあだ名に怪訝な表情をするが、訂正するのが面倒なのか、それともただ呼ばれ方にあまり頓着がないのか、それをスルーして社へ歩いて行く。ちなみに境内のど真ん中を通ってである。十六夜もそれに着いて行く。

 

「とりあえず、幻想郷の説明をしてくれないか?」

 

「言いけど、その前に掃除と夕飯の支度よ」

 

 十六夜は意味が分からず首をかしげる。

 

「何?もしかしてタダで泊めてもらえるとでも思ってたの?生憎、うちは一人で食べていくのに既に精一杯なのよ。働いてもらわないと割に合わないわ」

 

 自分から呼び出しておいて流石である。

「ヤハハ、家事くらいなら任せな。腰抜かすくらいの料理を作ってやるよ」

 

「あら、それは楽しみね」

 

 キャラの濃い二人が一緒に住むことに、一抹の不安を覚える、常識人魔理沙であった。

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