「すまない。ちょっとごたごたしたもんで遅れた」
私が待ち合わせの場所について程なく9人目とパートナーが来た。
しかし、この少年はどうも妙だ。これから起こることを予見したかのように動く。昨晩の時点では頭がぼやけてて気付かなかったが、よくよく考えれば、なぜすぐにパンプモンとゴツモンが私を助けられたのか?あの時点では私と彼に接点はない筈だ。つまりは、見知りもしていない私達の行動がこの少年にはわかっていた。
しかも8匹目がテイルモンだという事を私が言っても驚いた様子はなかった。
「いや、この程度であれば構わない。急ごう。テイルモンの居場所は分かるのか?」
「あの人垣の行く先にいるだろうな。夜に話した通り、早速ヴァンデモンがテイルモンを使って8人目の炙り出しを始めたってとこだろうね。かといって僕とフォースモンだけなら捕まったふりをして一緒に行けるけどウィザーモンはその姿だと目立つから、この人だかりが収まってからスト―キングしよう」
確かに一番あり得るが、やはり人間の子供にしてはかなりキレている。そもそも今朝の事も大概だ。バケモンが襲撃をしてくるという前提で動いたようにしか見えなかった。
「なぁ、冬。一つ聞いていいか?君はなぜそんな先を見通したような動きが出来るんだ?正直に言って不気味ささえ感じるのだが」
「……あぁ。その事ね」
そう言うとパートナーと何やら相談した後、私の方に向き直って告げる。
「僕ってね、3年前からこのデジモンパニックに関しての夢を見るようになったんだ。僕の行動は全部それを基にやっているだけなんだよ。このフォースモンと会ったのも3年前。コイツと会ってから僕はデジモン世界に巻き込まれてるのかな」
「予知夢……というやつか」
そうは言ってるが、冬は嘘をつくのは苦手なようだ。事前のパートナーとの話し合いで既に疑心を覚えていたので簡単に見破れる。ちゃんと誤魔化してるつもりでも目の動きで何となくは察せる。
「冬……真実を話してもらう訳にはいかないのか?」
「……っていうと?」
「私を甘く見ない方が良い。勿論話したくないのであれば私にこれ以上追及するようなまねはできないが、出来れば話してほしいという事だ」
そう言うと驚いた表情を見せ今度はパートナーと話す事もせず、1人で頭をグルングルンと振りながらうんうん唸りながら悩んでる。
しばらくその状態の後、決心がついたのか再び口を開いてくれた。
「まぁ、嘘ってばれてるんじゃ、必死に隠す必要も無いかな。ウィザーモン、君の言ったように僕は予知夢でこの世界の事を知ってるわけじゃない。だけど、これから話す事は予知夢なんかよりよっぽど現実から吹っ飛んだ話だ。それを信用するかどうかは君が決めてくれ。僕はこれ以上は出自に関して話すつもりはない。いいね?」
「あぁ、話してくれるだけで良い」
「僕はね、この世界の生まれじゃない。別の世界、ここと非常に似た世界……って言ってもデジモンなんていない世界だけどね。そこから3年前にこの世界に来た」
……先程までの嘘をついている素振りが見られない。という事は言ってる事は真実なのだろうが、なるほど。予知夢と言われた方がまだしっくりくる内容だ。
「そして、この世界を知ってるのは簡単だ。僕はその違う世界で君らの事をずっと前から知っていた。アニメという媒体を通して。この世界に来れたのはまぁ神様って言えばいいのかな、僕らの常識の外にいるお方が送ってくれたんだ」
起きる沈黙。冬はもうこれ以上は話す事はないという風に口を閉ざしている。
「……なるほど、信じられないような話だ、確かに。だが、君を見ていれば分かる。それが紛れもない真実だという事は。まだ、何か嘘ではないが隠している事もあるみたいだが、そこに関しては聞くまいよ」
「……驚いたな。まさかそんな事まで分かるとは思わなかったよ。君に隠し事は出来ないな」
これでも、人の心を読むのは得意だ。まぁそのせいでいつもテイルモンには疎まれていたみたいだが。
だが、そうなると聞いて置きたいことも当然ある。
「冬、君の出自に関してはもう君には聞かないと言った。だけど、私にはどうしても聞いておきたいことがある、いいかな?」
「答えられる範囲なら」
「君の見ていた世界ではこの世界はヴァンデモンに支配されてしまったのか?君はその結末が許せなくてこの世界に来たのか?」
もし、この世界の終りがハッピーエンドであるのならわざわざこの世界に来ることもあるまい。もしかしたらヴァンデモンは倒せたにしろ、誰かが犠牲になってしまったと考えるとこの少年が世界を飛び越えたことにも納得がいくのだが。
だが、私の考えは冬の笑いによって中断させられた。
「はははっ。まさか、それこそ今の僕より小さな子供が見る可能性のあるテレビで明確なバッドエンドなんてあるもんか。テレビは常にグッドエンドで終わるものだよ。ただ」
ここで冬はトーンを落とし、私に続ける。
「全部が全部的外れってわけでもないな。確かに僕の納得する終わり方じゃなかった。少なからず犠牲は出てしまった。その内の一人が君だよ。ウィザーモン」
「私が?」
「パンプとゴツに助けられなかったら君はどうなっていたと思う?全身疲労した状態でヴァンデモンに立ち向かっていったのなら殺されたとしてもおかしくない話だろう。僕はね、この世界が最高のハッピーエンドで幕を閉じればいいと思ってる。限りなく犠牲を減らし、誰もが涙を流さなくていいようなそんな結末をね。そこで君にも協力してほしい」
そう言うと9人目は器用に自分達が居る樹の幹の上で膝をついた。
「僕の理想とする世界を作る為、協力してほしい。確かにこの世界は僕が見た上ではグッドエンドで終わっていた。だけど、僕が介入した事で何があるか分からない世界になっている事は間違いないと思う。だからこそ、色んな人たちの手助けが必要だ。君にも手を貸してほしい」
この少年は優しいのだろうな。心の底から。もし、この世界の事を見ていれば私達が「はじまりの街」で転生する事は分かっていると思う。それでも尚死なせたくない。
「……分かった。協力を惜しむ気はない。一緒に頑張ろう」
「ありがとう、感謝するよ」
「冬、そろそろ空いてきた。追跡の準備はしておいた方がよさそうだぞ」
話が終わるころには先程まで木の下にあった多くの人影は殆ど消え巨大な建物の下に向かうのは見て取れた。
「おし。殴り込みに行きますか。テイルモンもそうだが僕の知識では他の選ばれし子供のうち何人かは捕まってたはず。僕らはそっちの救助を派手にやってヴァンデモンをおびき寄せる。ウィザーモンはその間にテイルモンの救助を頼む。
「分かった。こっとは任せておけ」
待っていてくれ、テイルモン。今、迎えに行く!!
なんとか間に合った。夜勤明けはやっぱつらかった。てか、書いていたら再びSAOの小説の意欲が上がってそっちもやっていたらこっちがめっさ遅くなってしまいました、すみません。
とりあえず、来週はSAOの投稿をします。あしからず。
さて、本日はこの辺で、アドバイス、ご意見ご感想はどしどしお願いします。
ではでは!