クソッ、あの神様め……、こういう事ならこういう事であらかじめ言っておいてくれればいいものを……
んで、此処は家の入口か……、表札の名は「梓」。なるほど、転生前の名前がそのまま使える訳ね。
「……ホントに僕が住むべき家で合ってるんだよね?此処」
此処まで御膳立てしといて僕の家がここじゃないっていうんなら悪意以外の何物も感じないんですけど……
「それに関しては大丈夫だよ!」
「うわっ、あれ、フォースモン。お前はもうこっちにいるのか……、しかも既に成長期って……」
うん、僕の想像と一致している、鷹と竜を合わせたような外見で蒼黒の体毛、胸のコアまで僕が見る限りはどう見てもフォースモンだ、間違い無い。
「まぁ、いいんじゃない?一応冬の言う通りになってるんだからさ」
うん、まあ確かに進化してるに越した事は無いけどさ……ん?
「いや、問題大有りだった!フォースモン、お前って幼年期に自力で戻れたりするの?」
「まあ、自力で戻れるには戻れるよ」
「なら、すぐに戻って!じゃないと……あっ」
うん、時既に遅しだったね、金髪のツンツン頭の子が階段の傍からこっちを見ている。
「う、うわぁああああ!!」
ヤバい、騒ぎ出したと思ったらどっかへ行ってしまった……、いや逆にこれはチャンスかも。
「フォースモン、分かっているよね?」
「うん、それじゃ」
そう言って光に包まれたフォースモンは光が収まった後そこにはいなかった。代わりに僕の考えたフォースモンの幼年期がそこにいた。
「確認するけど、プテモンで良いんだよね?」
「うん、僕の名前はプテモンで合っているよ」
うん、これも想像通りの姿で安心した。
……ん? 姿? う~ん、そうだな、某カードゲームに出てくるプチリュウって知ってる?知らなかったら後でググって下さい。あれの後頭部が鷹みたいに逆立ってる感じだ。
もっと想像力ある人はあれの胴体を更に細く長くして体毛が青って感じだね。それがプテモンの姿です。
しかし……
「これでもちょっと大きすぎるな、もう一段階退化できない?」
「退化出来るにはできるけど言い忘れてた事があったよ」
「ん?」
「冬が持ってるデジヴァイスは他の選ばれし子供達のと違ってパートナー、つまり僕だったら成長期だろうが成熟期だろうが収納できるよ」
「おいこら、そういうのをなんで最初に言ってくれないのさ!」
「悪かったって」
そう言いながらデジヴァイスの中に入るプテモン、……ったく。
「……もうメンドイから最初に聞いておこう。プテモン、お前は神様から遣わされたデジモンっていう認識はあるんだよな?」
『YE~S。そんでもって冬の持つデジヴァイスについての説明役と、ここの家が冬の住む家っていうのを教える。そしてもう一つ。冬はこの世界にあらかじめ存在していた。急に前世の記憶が戻ってきて、今はこの世界での今までの記憶に一時的に封印がかかった状態になっている、とはいっても基礎的な会った人の名前だとかは覚えていると思うよ。僕は今この世界に来たから、神様から教えられたこと以外は知らないよ?』
……なるほど、確かに前世では覚えのない名前が少し出てくる。
家族の名前は……と、あ、これだな、僕以外の梓姓の3人の名前が頭に浮かんでいる。
「了解した。じゃあ、まずは状況確認の為にこの辺り散策しますか!」
『おう!』
こうして、僕達がこのマンションを散策して分かった事が3つ
・此処はお台場
・僕の家族は僕入れて4人
・そして、原作の石田ヤマトさんの隣の部屋に住んでいる
あぁ、なるほどさっきの金髪の子がヤマトさんか、なるほど面影がある。
ヤマトさんとは散策中にもう一度出会った。
どうやら、僕とヤマトさんは知り合いでヤマトさんのお父さんの仕事の都合上、僕の父さんに頼んで何度か、僕の家に来てるらしく、大の仲良しだそうだ。
こうなってくるとタケル君とも知り合ってそうだな、自分。
で、さっきの件についてはヤマトさんと話して見間違いという事で話はついた
……ホントすいませんヤマトさん、見間違えではないんですけど、こうでも言っとかないと話がどんどんややこしくなってしまうので……
そして、今僕は自分の家の目の前にいる。
「よし、いよいよ、僕の家族とご対面だ」
5歳まで住んでいたという事実がある僕(記憶はないけど)としては緊張する必要はないのかもしれないが、やはり自分自身にしてみれば顔を知らない親と対面するんだ。緊張してもおかしくはない話だろう。
『・・・冬?・・・』
プテモンが心配そうな声で僕に話しかけてくる。
僕はそれを大丈夫と言って、梓と書かれた表札の家のドアをノックした。
「よし、じゃあ行くぞ!(ガチャン)た……ただ今~」
「あ、おかえり~冬、早く手を洗ってらっしゃい。」
最初に話しかけてきてくれたのは母さん……
そしてその背中にはまだ生後6カ月にしかなってない僕の弟
そして次に
「おう、冬、おかえり。ちょいと将棋に付き合ってくれないか?」
父さん……梓智(あずさ とも)が話しかけてきた。……普通、小学生にも満たない息子をチェスに誘うか?と思っても仕方ない。
大体家族の性格については思い出してきたな・・・父さんは大の将棋好き人間で暇があれば将棋に誘ってくる。
まぁ、僕も転生前は将棋を頭の回転をよくするために結構やったものだし、ちょっと付き合ってみるか。
結果として僕の圧勝だった、父さんがorz状態になっていたが気にしない。
しょうが無いっちゃしょうが無いんだけどね、さっきも言ったように僕は将棋を転生前やっていたが、これでも大会に出て割といい成績を収めてきている。
いくら年上相手でも趣味範囲でやってる人に負ける気はしませんね。
「……いや、完敗だよ。しかしいつの間にそんな戦法覚えたんだい?」
「いつだったかな? 忘れた。でも一つ言う事があるとすれば僕も負けっぱなしは嫌なの。」
まぁ、前世の記憶が甦りましたって言っても良いけど、こんな場で言うもんじゃない。
……ヤバい、楽しい。家族が居てこんな団欒を過ごせるとは転生前は1ミリも思わなかった……
だけど、そう、だからこそ、……この雰囲気を壊してもいいのだろうか?
原作で太一さん達はデジモン達を隠しつつ生活していたが、ヴァンデモン達の襲撃があって隠せていたのは長くても1日半程度だった。ついでに言えば、家にいたのは1日ほども無いのではないか、そんな程度である。もし、デジモン事件が起きなかったとしても夏休み丸丸は隠しきれなかったろう。
それにデジヴァイスの中に隠せるとはいえ食事は人間界のものに限られる。
こんな小学生にも満たない子供が自分の部屋で家族の団欒を放棄してまで夕食を取ろうとは思わない……、少なくとも僕ならそう考える。
イコール僕には家族に黙ってフォースモンを育てることはできそうになかった。故に、……決心した。
「ねぇ、父さん、母さん。話があるんだけど……」
[父さんと母さんにフォースモン(今はプテモン)の事を説明中]
驚くほど、静かにプテモンの事を聞いてくれた父さんと母さん。あ、この反応駄目かも……そう思い再びお願いをしてみようとしたら
「良いに決まってるじゃないか!なぁ、母さん!」
「ええ、そうね。それにこの子かわいいし!」
そう言って説明の為にデジヴァイスから出して僕の首にスカーフのように巻き付いたプテモンを奪い抱きつく母さん。
……そういや、この人達こういう性格だったな。
「う~ん、この子は実に興味深い……。地球上ではあり得ない姿をしているし、なんと人間のように喋る事までできる。そして何より冬の友達というのであれば、私達が断る理由はどこにもないだろう」
父さんは人道に背くことは見てるだけでも吐き気がする結構名の知れた人間評論家であり、そしてこれは母さんにも言えるが滅多なことが起きない限り、目の前の現実は受け入れる人達だったな。
「ええ、それに家族が増える事を喜ばない親はいないわ。安心して家にいてくれていいのよ、プテモンちゃん!」
「ありがとう、冬のパパ、冬のママ」
「あらあら、ふつうにママって呼んでくれていいのよ。なんてったってあなたは既に私達梓家の一員なんだから!」
「そうだぞ、私の事もパパと呼んでくれたまえ、プテモン君!」
プテモン「うん分かった。ありがとうパパ、ママ。」
父さんも母さんもほぼ全面的にプテモンのことを理解してくれたようだ。うん、これで安心安心。
そんなこんなで、デジモンアドベンチャーでの最初の一日は終わっていった。