さて、此処は突然だが都内の某山中である。
時期は小学校一年生の夏休み……原作介入二年前である。で、僕が何故こんなトコにいるのかというと―――
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時間はちょっと遡り、梓家
「キャンプに行くぞ~!」
「キャンプ?」
僕がリビングで推理小説を読んでいると父さんが唐突な事を言ってきた。
「あぁ、梓家のお前が生まれてからの恒例行事だろう。で、今年はまだ春が1歳にもなっていないからどうしようかと思っていたんだが、新しい家族、フォースモン君を迎えたからには行かなければ駄目だろう……という事で明日からキャンプだ!」
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―――ということである。
僕の戻ってきた記憶によると梓家は僕が生まれて1年経ってから毎年キャンプに行っているらしい。
今年はまだ1歳にも満たない春を連れて行っていいのかとかいう議論があったらしいのだが、フォースモンが来て初の夏休みだというのにキャンプに行かないのは我が家の恥だ云々言われ、結局7月27~30日にかけてキャンプをする事になった。
まぁ、折角キャンプに来たんだ。この期間を有意義に使わせてもらわなければということで……
「フォースモン、リアライズ!」
「ふぁあ~あ、やっと到着か……でも冬、確か原作介入まで残り2年近くあるんだよな?なのに、こんな前から訓練をやる必要はあるの?」
「ふふふ、分かってないなぁ、フォースモン。僕らの原作介入の主目的は僕らが介入する事によって救える命を増やす事だ。強くなっておくにこした事は無いんよ。」
因みに僕らはデビモンやエテモンの話に介入するつもりは更々ない。はっきり言ってしまえば、フォースモンの状態のままでも巨大化したデビモンとは互角程度に渡り合う事が出来る。そういう潜在能力を秘めたデジモンだ、フォースモンは。
しかし、それでは原作組の成長は望めないし、何よりフォースモンをデジヴァイスにしまえるとは言え他の小学生が多数乗っているバスを使ってキャンプにまで連れて行く事はあまりやりたくない。
故に僕らは別ルートからヴァンデモンの東京進出に備えねばならない。ということは最低でもフォースモンを成熟期にまでは進化できるようにしておきたい。上手くいくのであれば完全体にまで進化しておけるようにしておきたいが、それは望めないであろう。
なぜなら、フォースモンの相手は僕が務めなければならないからだ。つまり、人間の限界までの体術しか使えない僕がほぼ完全体と言っても良いほどのフォースモンの成熟期を相手取るには無理な訳で……。
え、紋章はないんじゃないかって?そんなことはない。一応持ってきてはいる。
Sを横向きにした様な紋章「運命」の紋章だ。だが、恐らく原作介入までは使う事はないだろうな……
で、僕らは今キャンプ場から少し離れた人気のないところにいる。人に見られたら騒ぎになりかねないからな、ヤマトさんの時みたいに……。
「さて、じゃあ始めるぞ、フォースモン!これはフォースモンの為の訓練でもあるが、同時に僕自身の訓練でもある。遠慮はいらない、全力でかかってきてくれ!」
フォースモン「うん、じゃあ、遠慮なく……行くよ!」
こうして僕とフォースモンの訓練は夕方まで続いた。
まあ、結果として体作りのなってない僕に勝ち目がある筈はなく、僕の訓練にはなったけど、肝心のフォースモンの訓練にはならなかった。
つまりは、僕の体作りがなっていない今の状況ではフォースモンの相手になるどころか、彼の足手まといにしかならないということになる。
「おぉ~い、冬~ぅ、大丈夫かぁ~?」
「あはは、なんとかな、こっちから訓練に誘ったのにこの体たらくじゃ情けない限りだ……」
「それは仕方ないよ、冬の設定では相手が成熟期程度であれば僕は成長期のこの姿のままでも互角に戦えるんだからさ。」
……うん、今になって後悔した。要するに僕は小学生の体でグレイモン辺りと対等に戦えるようにならなきゃならない訳で……
「どうした、冬?顔色が悪いよ。」
「あぁ、何でもないんだ、ただ異常にシュールな事が思い立って身震いがおきただけだから……」
「?」
フォースモンは疑問符を浮かべているようだ。……フォースモン、お前は気付かなくて良い事だよ。
結局、今年のキャンプは僕の新しい体作りに充てられる事になってしまった。
フォースモンはフォースモンで自主練をしていただけでなく僕の訓練にまで付き合わせてしまった。
ほんっとにごめんな、とフォースモンに心の中で何回も何回も謝った。
最終的に僕の体作りもフォースモンの成熟期進化も達成することは出来たが、原作介入二日前という事になってしまい、余裕が無くなってしまった事はもう仕方ないとしかいえないだろう。
今になってみればフォースモンの言うような余裕なんて一切なかったんですね……
次から本編へ入っていきます