インフィニット・ストラトス ~ULTRA~ 作:サイレント・レイ
――― 樹海 ―――
「…何なの、此れ?」
此の時、行方不明となった三年一組(と二組)の捜索隊の1班が、一組の夜営地を見つけ出したのは良いが、その一組の面々がISごと切り捨てられた無惨な斬死体となって至る所に転がっている惨状に、誰もが言葉を失っていた。
しかも此れだけでも一部の者達が吐き気に襲われている酷いモノだったが、更に蝿が集っている死体全てに骨が剥き出しの状態になっていたのだ。
「…幾ら何でも白骨化するには早すぎる。
それに肉がそんなに腐っていない」
どの遺体も不自然さが出ていたのだが、何故そうなったのかが全く分からないでいた。
「…此の娘、食べられたのよ」
「食べられた?
狼にでも襲われたと言うのですか?」
唯1人、生徒会長である更識楯無は原因をなんとなく察している様だったが、他の者達は楯無の言っている意味を理解出来ずにいた。
その為、楯無に誰かが何かを訊ねようとしたが、その直前に彼女達の背後から悲鳴が上がった。
勿論、楯無達は直ぐそこに向かうと何人かが遺体に泣き付いていた。
「どうしたの!?」
「……先生です。
鈴木先生の遺体です!!」
此の報告に楯無達はギョッとしていたが、確かに遺体は一組の担任の鈴木先生であった。
だがおかしな事に、鈴木先生の遺体は生徒達のモノと違って首の骨がへし折られていた状態であるだけでなく、食べられたと思われる箇所が無い代わりに、IS処かISスーツすら纏っていない素っ裸であったのだ。
「……っ! まさか!!?」
「生徒会長、何所へ!?」
「先生のテントです!」
此の遺体の状態から何かを察した楯無は、何とか鈴木先生のテントを何とか探し出すと、中の荷物を必死に漁り始めた。
「会長、何をやっているのです!?」
「…無い」
「無いって、何がです?」
「鈴木先生の服と教師用のIDカードが無い!!」
楯無の言葉に誰もが驚いていた。
「ですけど、IDカードを持っていても、学園には指紋だけでなく、網膜や音声等の認証を行わないと入れないのですよ!」
僅かに抵抗があったがIS学園に危機が迫っているのではと思っていた。
――― IS学園・アリーナ ―――
「実にお見事でしたよ、セシリアさん。
流石はイギリスの代表候補生にして専用機持ちであるだけの事はありましたね」
「え、ええ…」
突然現れて自分に近づいて来た鈴木先生にセシリアは戸惑って僅かに後ろに引いていた。
「…っ!?」
「ん~…初陣だから、体に変な負荷が掛かってないかは、やっぱり調べようがないわね」
そんなセシリアに鈴木先生は素早く傍に寄ると、セシリアが思わず嫌がっているのを無視して、彼女の体の至る所を触っていた。
「そこの貴女、私がセシリアさんを保健室に連れていくから、そこの坊やをお願い出来ない?」
「え? あ、はい?」
鈴木先生を
最もセシリアと箒と違って、観客席の生徒達は鈴木先生をその手の者と思い、男女問わず一部の者達は少し興奮して前列に詰め寄っていた。
「……?」
その中で剣一は自分の携帯が鳴った事に気づき、更にディスプレイに表示された通信の相手が摩耶であった事に少し驚いていた。
だが剣一は直ぐ何かを察して周囲を見渡し……幸いな事に大悟達学友達が離れていった事もあって、然り気無く男子達の後ろへ離れて、入り口へ後退しながら携帯を取った。
「…もしもし、山田先生?」
『早田君、直ぐ出れるように準備して!』
「どうしたんです?」
電話先の摩耶に焦りが感じ取れたが、その間に鈴木先生がセシリアを半ば無理矢理連れて行こうとした為、何かを期待した者達が喚声を上げていた。
「…っ!」
「どうも、鈴木先生」
だがその直後に打鉄を纏った女子生徒が3人、鈴木先生の前に降り立った。
セシリアと箒処か、女子達が知らなさそうにしているので彼女達は同級生ではなく、二年生か三年生……大方後者だと思われていた。
「あら貴女達、授業はどうしたの?」
「いえ、授業より大切な事がありましてね」
「へぇ~…」
何か他人事の鈴木先生に、3人のリーダー格と思われる者が……上級生でも粗暴が悪い事で知られている者が近づいた。
「先生、私の可愛い~後輩達が先日から行方不明なんですけど、何かご存知ですか?」
「あらら~…、それだったら協力は惜しまないけど、私に尋ねるのはお門違いだと思うわよ」
「惚けんな!!」
妙に知らを切ろうとした鈴木先生に、リーダー格が怒鳴った。
「…監視カメラで確かめたのですが、あの娘達が最後に作業室に入った事が分かったのです。
そしてあの娘達が入った作業室に、貴女が出入りした事もです。
で更に言いますと、貴女が出て以降は整備科の授業が始まる迄、誰も入っていないの」
3人組の指摘に、当の鈴木先生は何処かわざとらしく「あ~…」と言いながら右手で両目を被って頭上を向いていたが、何か嫌な予感を感じた剣一以外の男子達はざわついていた。
更に女子達は此処数日の間に先輩達や同級生の何人かが行方不明になっている事から、よりざわついていた。
当然ながら、その事を知っているセシリアは鈴木先生から距離を取ろうとし、箒は一夏の抱く力を強めていた。
「…さて先生、国家代表である私に敵対したらどうなるか分かってますよね?」
「……さてさて、どうなるのかs、っ!?」
鈴木先生が惚けようとしたが、勘に触った取り巻きの1人が彼女の顔を目掛けて発砲し……直撃して吹き飛ばされた鈴木先生は、そのまま仰向けに倒れた。
「駄目じゃない。
暴発なんて不注意じゃないの」
「ご免なさぁ~い。
でも不幸中の幸いだけど、模擬弾だから死にはしないわよ」
「…なんて事をするのですか!?」
訓練弾でも絶対防御を持つISを纏っていても下手に被弾すれば骨折等の大怪我を負う危険性があるのに、ISを纏っていない人間が被弾すればただ事ではすまない。
しかも近距離で無防備な顔にやられたら、最悪の場合は死亡の可能性が大であったが、彼女達は全く罪悪感等が微塵も感じられなかった。
最強の力と絶対的な地位を得た人間は此処まで腐敗するものなのか、同じ代表候補生であるセシリアは軽蔑を籠めて睨んでいた。
「…何なのよ」
だがそれが上級生達の気に触り、再びISを纏おうとしたセシリアを上級生達が半包囲した為に一触即発状態となろうとしていたが…
「……ちょっと」
「…っ!?」
…上級生の1人が背後から気配を感じて振り向いた直後、その1人の頭が消えたと思ったら、その頭が女子達がいる観客席の天井の硝子に血を撒き散らしながら音を上げてぶつかった。
続けて頭の消えた胴体が少し間をおいて崩れ落ちた後、状況を理解出来ずに硬直していた観客席の面々が悲鳴を上がった。
当然、セシリア達もギョッとして、一斉に同じ所に目線を向けると、そこに此の惨状を作った犯人である鈴木先生が不気味に笑いながらせをむけて屈んでいた。
「…何故、動けるのですか?」
セシリアがギョッとしていたが、上級生の二人は怒りを露にして歩み寄っていった。
「この糞ババア、何s…」
だがその4人までが鈴木先生に首を切り落とされてしまい、驚くべき事に鈴木先生の手首の甲から刀形の爪が生えていた。
「……なんて事をしてくれたのよ…」
鈴木先生が伏せた顔を右手で被って苦笑と思える不気味な笑いを上げた為、最後の上級生が後退さるだけでなく此の光景を見ている全員が硬直していた。
「……お陰で…折角のメイクが…」
そして全員が嫌な予感を感じさせながら鈴木先生が顔を上げると…
「…台無しじゃないの!!!」
…そこに先程までの人間のモノでなく、蜥蜴の様な顔であった。
「ば、化け物!!!」
「…宇宙人よっ!」
上級生が悲鳴を上げた直後、鈴木先生……否、鈴木先生に擬態していた宇宙人は彼女の元に一瞬で近寄って心臓に爪を突き刺すとそのまま真っ2つに切り裂いてしまった。
「…ああ!!!」
「きゃぁー!!!」
当然、観客席では生徒達が一斉に逃げ出そうとしたが、その前に扉がロックされて更に隔壁が落ちた。
「みんな、大丈夫か!?」
女子の方は全員閉じ込められてしまったが、男子の方は剣一だけは出る事が出来て、隔壁を叩きながら学友達の身を案じていた。
「人の事より自分を案じろ!」
「パッキングして出れないのか!?」
「駄目だ!
電源が落とされた!」
『…お嬢ちゃん達、変な事をしたら毒ガス何かが流されるかもしれないわよ』
観客席に脅しを掛けた宇宙人は、そのままアイフォンでの操作アリーナを完全に隔離するとアイフォンを握り潰した。
「…待ってろ、先生達を呼んでくる!!」
携帯が鳴り続け、自分ではどうする事も出来ないと苦々しく分かった剣一は、学友達の呼び止めようとしている叫びと打撃音を後ろ髪を引かれながらも無視して走り出した。
「あ~あー…。
折角の良い場所だったのn…っ!?」
その直後にISを展開したセシリアのビットをも使った連続射撃が直撃した。
「…楽にしてくれてありがと。
しかし何で人間の女はこんな身の丈に合わないキツい物を着けたがるのかしら?」
だが服こそ消し飛ぶも宇宙人そのは傷らしきモノが確認出来ず、ボロボロのブラジャーを右の人差し指で回していた。
「……セシリア」
それに反してセシリアは早くも息を乱し、汗を流していた。
箒もそれが恐怖心から来て、なんとか勇気を出したのだろうと見ていた。
「本当に、宇宙人だと言うのですか?」
「ええ、そうよ……ああ、そうそう、申し遅れてたわね。
私、貴女達の言う宇宙人の1種である、ツルク星人のドラコと申します」
何処か余裕を見せる宇宙人ことツルク星人ドラコは、右手を左胸に当てて一礼して名乗った。
「馬鹿な!!
宇宙人はウルトラマンによって悉く地球上から駆逐された筈だ!」
怪獣退治の専門家と言われる程、ウルトラマンは怪獣達と戦い続けたが、少数ではあるも“バルタン星人”“ザラブ星人”“ダダ”“メフィラス星人”等(“ケムリア”や“ケムール人”みたいに微妙な奴もいたが…)、地球侵略を狙った異星人達とも戦っていた。
だが箒の叫び通り、ウルトラマン最後の敵であるゼットン星人の宇宙恐竜ゼットンを伴った侵略戦を最後に地球上からは異星人は駆逐されたと思われていた……たった今までは…
「じゃあ、貴女の目の前にいる私は何なのよ?
全くどの地球人も迷信を信じちゃってんだから…」
ドラコは何処かわざとらしく溜息を吐いた。
「…でも残念だけどそのウルトラマンがいない以上、躊躇う必要なんかないじゃない。
現に私が此所にいるのがなによりの現れじゃない」
“鬼のいぬ間の命の洗濯”の言葉通り、恐れるモノなど無いドラコからより強烈な威圧感が発されていた。
「……ですが、その人間もウルトラマンがいなくても十分な力を付けましたよ」
顔が引き攣ってはいたが、セシリアが言う通りに彼女が纏い、思わず視線を向けたISに地球最強の力を……嘗て束の問題発言の通りウルトラマンに匹敵する力がある以上、巨大化能力があろうと星人に敗れはしないと期待感があった。
だが、何処かその期待感を否定するかの様にドラコは不気味に微笑していた…
感想・御意見お待ちしています。
さあ、やっと出ました次々回あたりで行われる予定の剣一のデビュー戦の相手は、エイダシク星人に代わって此のツルク星人ドラコが務めます。
ドラコ
「私はバルタン擬きの坊やとは違うわよぉ~」
剣一
「…しょっぱなで“ウルトラマンレオ”のヤバイ奴かよ!」
まあレオ以外でもウルトラシリーズには碌な敵対星人はいないと思うよ。
さっさと体温めてこい!
さてさて剣一のデビュー前に、チョットやばい事があるかもしれないけど、セシリアと一夏頑張ってねぇ~
セシリア&一夏
「………」(少し引いてる)