インフィニット・ストラトス ~ULTRA~   作:サイレント・レイ

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第7話 轟く叫びを耳にして…

 何故、ISは女性にしか纏えないのか?

 此のIS最大の謎は、生みの親である篠乃之束でさえ分かっていないさえ言われており、更に男性装着者第一号と呼ばれる織斑一夏の登場で益々解明出来ない状況と化していた。

 だが此の欠点は裏を返すと、少なくとも人間(・・)の女性しか纏えない……即ち、地球人の女性以外は纏えないと言う、強力な防犯機能となると認知されていた。

 地球人でも出来ないのだから、異星人でも問題解決は出来ない、確証の無い推測は何時の間にかに確定事実として認知、誰もが疑いを持つ事なく盲信していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そして、それが地球人の甘い幻想であった事が、遂に判明する時がきたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― IS学園 ―――

 

 

「…何時から地球最強が宇宙最強だと錯覚していたの、劣等種族!!!」

 

 自らISを纏う事で、全ての希望や幻想を粉砕したツルク星人ドラコの威圧感に、セシリアは気後れして何歩か後ずさっていた。

 

「良いわねぇ~、その顔。

ぞくぞくするわぁ~」

 

「…っ!」

 

「だけどその顔、もっとデコらせて貰うわよ!!」

 

 只でさえ自分を奮い立たせようとしているので精一杯なセシリアに、ドラコはヨダレを垂らした笑みを浮かべて右手を真横に突き出した。

 ドラコはそのまま指を鳴らしてセシリアを少し驚かせると、ラファール・アシュラの背部に接続されていた多数の腕が一斉に飛び出してセシリアを包囲しようとした。

 

「ビ、ビット兵器!!?」

 

 “そんなまさか”を顔に出したセシリアは、ほぼ無意識の内に自分もビットを展開しようとした。

 

「悪いわね…」

 

「ひや!!?」

 

「…貴女の専売特許を奪っちゃって!」

 

 前々からドラコが言っていたが、自分だけの物と思っていたビット兵器を実際にドラコが……それもブルーティアーズの倍を遥かに超える数を展開した事に、パニック状態のセシリアの心の中の何かが砕け、更に粒子化を始めていた。

 

「セシリア、来るぞ!!!」

 

「…ひっ!?」

 

「ひゃっはぁぁぁー!!!」

 

 此の為に、箒が叫んで報せるまで、セシリアの意識が現実から離脱していたので、ドラコが一瞬の内に自分の目の前に接近に、全く何も出来なかった彼女の右脇腹にドラコの左手の爪の峰が食い込んだ。

 

「素晴らしい!!

なんて言う、極上品!!!」

 

 此の一撃で、セシリアに強烈な痛みと吐き気が襲っていたが、ドラコは爪越しに感じるセシリアの肉の感触……鍛えあげられるも恐怖による気の緩みからの柔らかさに悶絶していた。

 思わずアヘ顔になっているドラコは、セシリアの顔目掛けて右の爪を振り上げたが、此れはセシリアが本能的に後退しながら顔を逸らしたので、彼女の左頬を浅く切って出血して、左頬が血で染まるだけに終わった。

 

「…っ、あああぁぁー!!!

美味しいぃぃぃー!!!」

 

 右手の爪の殆どを収納したドラコが、爪先のセシリアの血を舐めて体全体を震わせながら絶叫したが、当のセシリアは遮二無二に後退した事でアリーナの壁に背中から激突していた。

 

「もう我慢出来なぁぁーい!!!

今すぐ、食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい、食べたぁぁぁーい!!!」

 

 明らかに自分を見失っているドラコは、セシリアのがむらしゃらな押し退けを力任せに無視して彼女の首元を狙っての噛み付きを仕掛けたが、当のセシリアは首を捻って避けた。

 尤も、セシリアは数回は回避出来たが、ドラコに確実に首に食い付かれそうになり、無意識の内にドラコの口にスターライトMkⅢを横向きに捩じ込んだが、当のドラコはスターライトMkⅢの銃身をへし折りそうにしながらゆっくりとセシリアの首に迫っていた。

 

「ぅどりぁぁー!!!」

 

「おご!!?」

 

 此の為、ドラコはセシリア以外の注意が完全に失われて、右からの一夏のショルダータックルをまともに被弾して、セシリアから引き剥がされてしまった。

 更に一夏はそのまま右斬り上げを仕掛けたが、此れはドラコが右手の爪に防ぎつつ跳び退いて大きく距離を取った為に空振りとなったが、ドラコはほんの少しの間噎せていた。

 

「何なんだよ、アイツは!?」

 

「見て分からないんですか!!?

異星人ですよ!」

 

 どうやら一夏は目を覚ますと、状況を理解出来ないまでも、取り敢えずはセシリアの危機を察して突撃した様で、無意識の内に不安等を払拭しようとして、セシリアは怒鳴って返していた。

 因みに此の時の箒はと言うと、本能的に自分がいると足手まといになると思い、一夏が覚醒して直ぐに退避して現在は射出口への梯子を登っていた。

 

「異星人って、アイツ等はウルトラマンに…」

 

「現実を見なさい!!!

そこにいるんですし、言っている暇なんて無いんです!!!」

 

 人によっては図太いと思えるかもしれないが、数テンポ遅い反応をしている変なマイペースな一夏に、セシリアの勘に触っていたが、本人は気付いていないが、セシリアは本来の調子を取り戻していた………尤も後にして思えば、此れは一時的なモノに過ぎなかったが…

 

「…邪魔だ、退けぇぇぇー!!!」

 

 此の間にドラコは体勢を整え、正気に戻ってるかが疑わしかったが、取り敢えずは邪魔きた一夏に激怒して、ビットアームの半分近くを銃から短剣に展開変更すると前方を円錐形に展開しながら時計回りに高速回転を始め……号令一過、銃携帯のは一斉射撃を、短剣携帯のは一夏(とセシリア)目掛けて飛ばしてきた。

 

「援護します!

突撃を!」

 

「おう!!」

 

 だがセシリアと一夏は直ぐに即応して即席コンビを結成、セシリアがビット3基を展開しながら軽く上昇しての射撃でビットアームを迎撃を開始、それに合わせて一夏は自分に迫るビットアームを避けるか破壊しながらイグニッションブーストで突進した。

 全てシールドで弾かれてはいるも、かなりの数で被弾していた為、元から少なかった白式のエネルギーが激減していたが、一夏は短時間の内にドラコに接近して自分の間合いに入る事に成功した。

 

「ちっ!!!」

 

 一夏は直ぐに逆袈裟斬りを仕掛け、ドラコも舌打ちをしながら右手に短剣を展開して斬撃を止めようとしたが、どうやら一夏は先程KOされたセシリアのサマーソルトキックの反省から、わざと軽めにしてドラコに受け止められるとそのままいなして短剣を右腕ごと撥ね飛ばした。

 一夏は直ぐに左に大きく仰け反ったドラコの隙を突こうと、両手持ちでの袈裟斬りを仕掛けた。

 

「…ふっ」

 

「ぃ!?」

 

 だがドラコは此の一夏の動きに感心したかの様に微笑すると、左手の爪を展開して受け止めた。

 止められた事はそうでもなさそうだったが、一夏は両手での渾身の一撃に対して、ドラコは(多分、非利き腕の)左手で押し返されていた事に、射出口にいて彼の一撃の重さを知っている箒共々ギョッとした。

 だが此の為に一夏は隙を作ってしまい、ドラコはそこを狙って彼の左脇腹に膝蹴りを放って、一夏を悶絶させた。

 

「一夏さん!!!、っ!!?」

 

 セシリアはそんな一夏に思わず叫んでしまったが、ドラコはその間に一夏の顔を右手で掴んで後頭部から地面に砂煙を派手に上げる程に叩き付けて、一夏共々姿が見えなくなると、クラウチング・スタートの要領でロケットスタートして一瞬にしてセシリアの右脇に移動した。

 セシリアはドラコに驚いた表情で振り向いた中、ドラコは彼女の背後に素早く回ると、背中合わせで両手の爪を展開しながらセシリアの背中に深々と突き刺した。

 ドラコの絶妙さでセシリア本人は無傷だったが、此の一(?)撃でビットのコントロール装置が壊れてしまったらしく、ビット3基が糸が切れたかの様に一斉に落下した。

 精神的ダメージも深刻だっが、セシリアはブルー・ティアーズが嫌な断裂音を出しながら引き裂かれるのを気に出来ないまま絶叫しながら振り向いて、そのままスターライトMkⅢの銃尻でドラコを殴ろうとしたが、そのドラコはそれを避けるだけでなく右手の爪でスターライトMkⅢを横一文字に切断した。

 

「あんまり壊すと、後での修理が大変なんだけど仕方がないわね」

 

 既に真っ二つとなったスターライトMkⅢでセシリアの目から光が消えかけていたが、ドラコはドドメとして後方に置いてけぼりのビットアーム群からの銃撃でブルーティアーズのイコライザー(後付武装)を蜂の巣にし、更に落ちてくるビット3基の内の2つをも切断した。

 最後のビットが切られた2つと共に地面に突き刺さり、続けてイコライザーまでが2つ揃って落下………ブルー・ティアーズの武装が全て破壊されると同時にセシリアは右膝から崩れ落ちて、そのまま家鴨(アヒル)座り(女の子座り)の形で状座り込んでしまった。

 短時間の内に一夏とセシリアが各々の形で戦闘不能となったの冷酷な現実に、観覧席に閉じ込められた女子生徒達は絶望するだげなく、全く差が埋まってない異星人の強大さに悲鳴を上げて騒いでいるしかなかった。

 そんな中で、ドラコはビットアームを収納し終えると、完全に諦めていたセシリアの顔を見つめながら軽く笑い出し、少し間をおいてから右手で額を押さえながら爆笑しだした。

 

「良いわよ、セシリアさん!!!

その顔、最高よぉぉぉー!!!」

 

 セシリアは絶望と無力感の2つの極みを感じ………否、彼女の場合は思い出して硬直していて、ドラコに全く反応していなかった。

 

「……強くなろうと思ったのに………あの人の様に…」

 

 どうやら、此の時のセシリアは幼少期のネロンガに襲われた時と場所に戻っていて、目の前で見上げているドラコがネロンガの顔に見えていた。

 だからと言ってセシリアは悲鳴を上げたり、泣いたりしていないが、此れは彼女がそれすら出来ない程の深みにいたからだ。

 

「貴女は強くならなくて良いわよ…」

 

 そんなセシリアの意を知ってか知らずか、ドラコは馬鹿にするかの様にした後、右手で自分の顔を覆った。

 

「…貴女を食べた後、私がセシリア・オルコットとなって強者として名を知らしめて上げるから!!!」

 

 右手が退かれると、ドラコは顔だけをセシリアに擬態していて、御丁寧に声までもが同じであった。

 自分の顔をしているドラコの狂笑にセシリアは流石に反応して、上半身を後ろに反らしながら微かに悲鳴を上げた。

 

「まぁ、“悪”の字が着いちゃうけどね」

 

 ドラコは文字通りに化けの皮を顔から引き剥がすと、セシリアの両肩を掴んで首元に噛み付こうとしたが、当のセシリアは抵抗処か、全く動ことしなかった。

 更に言うと、観覧席の女子生徒達もセシリアが食べられる光景を頭に思い浮かべながら硬直していた。

 

「諦めるなぁぁぁー!!!」

 

…が、そんな中でまた覚醒した一夏がセシリアに檄を飛ばしながら、雪片弐型を振り上げてドラコに飛び掛かった。

 まぁ“人が良い”の表れであったが、黙っていれば奇襲となっただろうに、それが折斑一夏と言う人間性なのだろう…

 更に言うと、ドラコも先程と違って一夏の存在を予想していたのか、溜息を吐きながら彼の振り下ろしを避けながら下を潜り抜けた………一見、そう見えた…

 

「…私、勇敢な子は好きよ。

だけど、実力が伴っていないと、唯の自爆になるのよ」

 

 一夏が滑りながら振り向いた時、ドラコはいつの間にかに展開していた右手の爪の刀身を左手で下から拭うと、一夏の胴体が右肩から左脇の対角線上から血が大量に吹き出した。

 一夏はドラコに抜刀術でのカウンターで切られたのを呆然としながら分かりながら、俯せに倒れた。

 ドラコは爪に付いた一夏の血を左人差し指の先を舐めると、特大の溜息を吐いた。

 

「……私、人間の男って淡白だからあんまり好きじゃないのよねぇ~………ま、そう言うのが好きって子はそれなりにいるし、ダイエット志望で敢えて食べるのも聞いているけど…」

 

 衝撃的な事を言ってきた気がしたが、ドラコは先ずは邪魔してきた一夏を排除も兼ねて食べようと、彼に歩み寄り始めた。

 不味い事に、一夏が逃げれないのは誰の目でも確実であった。

 

「セシリア、一夏を助けてくれぇぇー!!!」

 

 だから箒は僅かな希望からセシリアに助けを求めたが、当のセシリアは一夏の方に振り向くも相変わらず硬直したままであった。

 

「……御母様………御父様…」

 

 今のセシリアは、“両親達の死体”や“自分に目掛けて咆哮するネロンガ”が何度も脳裏を過っていた。

 だが不意にネロンガが自分に『暴君電撃』を放った時、幼い自分を守った存在が頭に浮かんだ。

 

「……ウルトラマン…」

 

 セシリアはその存在が誰に似てたのか、更にその存在に憧れからISのパイラーになろうと決意したのを思い出し、無意識にその名を口走っていた。

 

「…ウルトラマァァーン!!!」

 

 最後にセシリアは助けを求めて叫んだ。

 それにドラコは少し驚きながらセシリアに振り向いたが、直ぐに馬鹿にしながら笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…だが此の直後、アリーナの消化装置が地面から多数突き出て、消火用の白煙が吹き出した。

 

「下手な悪足掻きを………っ!!?」

 

 セシリア(達)から見えない先にいるドラコと一夏の方で、何かの物音が多々聞えだし………暫くして白煙が薄れだした時、何かがセシリアの直ぐ右脇を高速で通り過ぎた。

 セシリアがギョッとしながら、通り過ぎたモノの方に振り向と、ドラコが壁にめり込んでいた。

 更に前方から足音が微かに聞こえた為、またそっちに振り向くと、まだ濃い目に漂っている白煙の中から誰かが歩いてきていた。

 

「……一夏、さん?」

 

「…くぅ~……可愛さ余って憎さ百倍って事…」

 

 まぁドラコと共にそこにいたの一夏しかいなかったので彼だろうと、壁から這い出たドラコを含めた全員思っていたが、セシリアは強烈な違和感を感じて、箒もセシリアと同じ様であった。

 そしてそれは白煙から赤い足先………白式のとは全く違う2つが順に出た事で決定的となった。

 更に足先の上方に小さな光が青く輝いていて、薄れる白煙の中から浮かび上がる、見覚えがなんとなくあるシルエットから“まさか”が頭に思い浮かんだ。

 

「……ぁああ!!!」

 

 そして完全に姿を現したのは白式の面影が全く無い、赤と白に彩られたISであった。

 そのISの“模様”“胸の中央に青い光球を輝かせる姿と形”“頭頂部の鶏冠”等からセシリアが思わず嬉し泣きをしている通り、弱き人々には生きる希望を与え…

 

「お、お前は!!?」

 

…ドラコが顔面蒼白になってる通り、悪しき異星人達には十死零生の絶望を与える、異星人を模していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウルトラマン!!!』

 

 “身体が若干多面体”“目の形が卵形でなく細目”等オリジナルとの違いが有ったが、その姿はまさしく光の国からの来訪した宇宙人・ウルトラマンのISであった。

 “ウルトラマン擬き”と(悪い形で)称され、空想上の存在とも噂されていたISは、事実として存在していた。




 感想か御意見、両方でもどちらかでもお願いします。

…遂に、来たぞ、我等のウルトラマァァーン!!!
 此れをどんなけ待ち焦がれた事か!!!

 感想欄で書いてますが、最後のウルトラマン擬きを纏っているのは、斑村一夏ではなく早田剣一です。
 ドラコ倒した後の本編で書きましたが、まどろっこく一夏とスリ代わる形にしたのはちゃんと理由が有ります。
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