木曾とそんな泊地   作:たんぺい

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最終話:木曾とそんな泊地

木曾と赤城。

 

 

2人の艦娘…大日本帝国海軍のエースの、そんな隊長格を務めた2人は…リンガ泊地の洋上へと立っていた。

 

 

そんな2人の演習を心配そうに、この泊地に来てる者達全てが眺めている。

リンガの艦娘たちも、1番隊の艦娘たちも、深海棲艦の者達すら、この2人の戦いの行く末を見守っていた。

 

 

特に…神通は心痛な面持ちでその行くえを見ている。

自分たちの隊長で有りながら…古馴染みであり、その全てを知っていたのだから。

 

木曾が、本当は死にたくないのに…赤城の為なら死ねると言ってくれた事も。

赤城がどれだけ木曾との再会を楽しみにしてたかも。

2人がどれだけ仲が良かったかも。

そして…

 

 

「赤城さん…貴女、もうとっくに、誰かと戦える身体じゃないのに……」

 

 

誰にも聞こえ無い程度の声で、小さくつぶやいた。

そして、一拍おき、戦うしか無い身体…かな、と訂正する。

 

 

 

だが、2人の戦いは…誰もが予測しなかった形で、幕を下ろす事になった。

 

 

赤城は弓を構え、矢を弓の弦に当てる。

何時でも発射できるぞ、そう、木曾に向けて警告する。

 

そんな木曾はと言えば、つまらなそうな表情で、その矢をかわす素振りすら見せない。

そして、開口一番…木曾はこんなことを要った。

 

 

はじめて、深海棲艦を殺した時…人型をいきなり、ヤった時か。

 

 

その言葉を聞き、赤城の持った矢がビクっと、一瞬震える。

そんなことは気にしないように、更に木曾は続けた。

 

 

ミカサさんとアマギさん…俺達の先達が…轟沈した時か。

 

 

赤城の持つ矢が小刻みにブルブル震える。

それすらも気にしないで、まだまだ木曾は続ける。

 

 

鳳翔さんが…弓を持てなくなって、軍から去ったあの日か。

 

 

遂には赤城の持った矢どころか、弓の方すら…全身が震えている。

木曾は…はぁ、とため息を付くと、最後に付け加える。

俺を殺せって言われて、今ちょうどそのチャンスだ…俺を殺したら、お前はどこまでなくなるのさ、と。

 

遂には全身から力が無くなって…赤城は両膝を付き…嫌だ、もう失えない…これ以上消えないでよ…と、わんわん泣き出してしまった。

 

木曾は、つらい事を聞いてすまん…と一言だけ謝罪し、蹲る赤城を抱き止め無言で背中を撫でていた。

 

 

意味がまったくわからないギャラリー…リンガの者達どころか、1番隊のメンバーすら困惑の表情でいっぱいになるなかで…1人、神通はほっとした表情を見せている。

 

よーやるわ、そんな感想で頭がいっぱいであった神通。

だが、赤城を相手には…なるほど、最適で平和な勝利…自分の命を投げ出して、誰かの戦意を抹殺する。

…コレが、自分たちが出来なかった、リンガの戦い方なのか、神通は心の中でそう思った。

 

 

「意味がまったくわからないわよ、木曾」

 

その「演習」が終わった瞬間、皆が木曾と赤城の前に集まる中で、開口一番言ったのは飛鷹だった。

それを皮切りに、口々に波紋が広がって行く。

何かの暗号なのか、それとも何かの赤城の弱みなのか、もしかしたら卑劣な脅迫の暗喩なのか。 

 

だが、木曾は何も答えない。

意味が唯一わかる神通も、俯いていたばかりだ。

 

 

そんな中、泣き止んで、深呼吸して切り替えた赤城は…他言無用でお願いするわ、と前置きして、神妙な面持ちで切り出した。

 

私、戦いしか、出来なくなっている身体なんです、と。

 

はぁ?という一同に向かって…赤城は、言葉を選ぶかのように、続けた。

 

 

「私、赤城は…戦闘に必要性の無い感覚…主に、味覚を中心に嗅覚と、触覚の一部の消失…触る触られるぐらいはわかりますが、痛覚や温点はまるで麻痺しているんです」

 

 

ええ?!という表情になる一同…だが、確かにいくつかこの最近でもそんな兆候は見受けられている。

阿武隈のむちゃくちゃなおにぎりを1人平然と平らげ、爪が肉を切り裂いてもわからない。

ふと、あっ…という表情で、雪風は神通に質問した。

 

 

「もしかして、探照灯も…」

「よくわかりましたね雪風、ええ、この馬鹿は…殴っても止めることができないから、視覚か聴覚に訴えないと、喧嘩もとめられないのです」

 

赤城が珍しくはにかんだ表情を見せる中、あの時巻き込まれた飛鷹は1人納得していた。

ああでもしないと、という神通の言葉は…文字通りの意味だったのか、と。

 

 

そして、落ち着いた頃合いを見計らって…赤城は、意を決したかのように続けた。

 

 

「最初のきっかけは、はじめて戦う相手がたまたま人型のタ級で、私が轟沈させた時…まるで、呪詛のように、死に際に何か言われたのがきっかけで…頭から、その光景が離れられなくて、遂には何度も吐いてしまい…味のついたモノを、胃が受け付けられなくなったんです」

 

まるで、再び泣き出してしまいそうな表情のまま、赤城は更に続ける。

 

「それでも、当時の海軍は文字通り人材が足りてなくて、比喩ではなく『飯を腹に詰め込み』出撃させられた事だって、めずらしく無かった…そんなことを繰り返していくうちに、今度は、味覚の方がおかしくなって……それからです、戦いで誰かを傷つけて、誰かが居なくなったら…文字通り、感覚が無くなっていってるんですよ……」

 

曰わく、もうそろそろ、触覚が危ない。

下手したら…視覚や聴覚だって、いつどうなるかわからない、と。

 

最後にこう、続けた。

 

 

「木曾や神通みたいに、酒に逃げるように…それを覚えたら良かったのですが、駄目でした、生まれつき腎臓と肝臓が弱いらしくて、アルコールや薬品に身体が耐えられないのです……心の問題ですから、バケツなんて効きません…だから、自分でもどうしようも無いんです……」

 

 

赤城の独白に、皆が皆、無言になる。

 

目の前の少女は、そんなにまで、傷ついていたのか。

特に、激情家な武蔵に至っては、怒っているようなかなしんだような、そんな表情だ。

 

 

そんな中、木曾と神通が口を挟んだ。

 

「俺達隊長格と副隊長の神通ですら、元帥さんから聞かないと知識としては知らなかった…海軍のトップシークレットだよ…前から、おかしいとは思ってたし、どんどん赤城が強くなる度に弱っていく事はしってたがな」

「赤城さんは、最初に帝国海軍に来た正規空母という事で、いくつかコマーシャルやイメージガールをやった経験だって有りました…だから、だからこそ、メディア戦略のイメージ維持の為に…精神病院の入院はおろか、周囲への相談すら出来ず…赤城さんは、元帥様以外の人にずっと1人で抱えてて…赤城さんを半年前に問い詰めて、ようやく本人から口を開かせたぐらいなんです!」

 

 

更に、周囲の空気が重くなる。

かの少女の闇と軍部の闇、同時に聞かされて…皆はどうしたら良いのかわからない。

 

…いつしか赤城の張りついたかのような笑顔が、皆には泣き顔にしか、見えなくなっていた。

 

 

そして、静寂に包まれる最中、木曾は最後にこう言った。

 

「あの質問も、赤城を追い込みたかった訳じゃない…ただ単に、赤城の現状が知りたかっただけだ…赤城が、あんまり自分を追い込んで、でも、俺には赤城にどうしたら良いのかわからない…だから、あの時怒りにまかせて、実弾でミンチにされても、俺は赤城がやるならそれでも良かったのさ!もともとそういった命令だったし…それぐらいでしか、赤城の苦しみを知ってて放置していた俺の罪は償えないし…」

 

赤城が、木曾の独白に嗚咽を漏らす中、木曾は視線を阿武隈に向けて続けた。

 

「…それに、阿武隈だって居る、俺の代わりは…どうやら、いくらでもいるらしいしな」

 

 

ハハハ…と木曾は乾いた笑いを飛ばすが、当の阿武隈は木曾の視線から顔を背けていた。

 

 

そして、木曾は乾いた口調のまま、でも赤城には悪いが約束通り死ななきゃな…と呟く。 

 

慌てる周囲のメンバー達、木曾は…本気だ。

本気で…リンガと深海の皆を守るために、かつての仲間に迷惑をかけぬように、そして苦しみを知って放置せざるを得なかった赤城への戒めのために。

木曾は命を捨てるつもりだったのだ。

 

自分のサーベルを腹に当て切り裂こうとする木曾を、扶桑と武蔵が無理矢理押さえ付け、神通と飛鷹が怒った顔で説得を始め、赤城を含めた一部の艦娘達はどうする事も出来ず号泣し始めた。

 

まさに、地獄絵図だった。

 

 

そんなおり、急に笑い出したものが居た。

この泊地の提督の、海里である。

 

こんな苦しい話の、一体何がおかしいのか、皆は…1番隊やリンガ泊地のメンバーはおろか、ほっぽすら睨みつけるが…彼の発言に、一同は何もかも度肝を抜かれる事になった。

 

 

「ハハハ…いや、悪い悪い……それが、君たちの悩みで、それが帝国海軍のエースの本音何だろう?でも、誰も解決策はわからない、抱えるだけしかできない…それで苦しみ…何かを奪えば奪うほど、エース中のエースは何か感覚が…『心』が削られる、らしいな…だから」

 

そう言って、海里は一泊置くと、軍帽を脱ぐ。

そこには、小型カメラと小型の録音機が頭に載っていた。

 

「…世界中の人達に、答えを聞いてみる事にした…赤城さん、神通さん、いや…1番隊のみんなが話した会話はね、貴女達がリンガ泊地に来てからずっとリアルタイムでネット中継してるんだ!」

 

 

海外泊地とは言っても、サーバーのハッキングは大変だったな…と海里が笑う中、艦娘たちはええええ?!と、ひっくり返るしか、無かった。

 

 

それから、事態は急展開したと言えるだろう。

 

 

陸軍による暴走の暴露。

艦娘と深海棲艦との共存の可能性。

そして、自分たちのエース中のエースの一角の、逃げ出せない悲哀。

 

 

それらを知った艦娘たちの行動は早かったと言える。

シンプルに、そして、もっとも有効な手を打った。

 

 

艦娘たち主導による海軍幹部含む提督と艦隊の超集団脱走、そして、深海棲艦との超法規的連合の結成であった。

 

それは、当然の帰結でもあった…軍人は、民間人とルール内での戦いを守る同類と獣相手ならそのルールは守るが…背中から味方を撃て、という者達まで守る義理はないのだから。

敵の敵は味方、深海棲艦との連合は打算的なものだったが…果たして、それは意外に上手くまとまった。

 

深海からこようと、海を愛する気持ちは、あるいは艦娘たちと何一つ変わらないかも知れないのだから。

 

 

そうして、奇しくも、先の世界と同じ8月15日、艦娘と深海の連合による一大戦力は…世界中をも平定した。

そうして、赤城と木曾の『1番隊』という『英雄』の名は、死んだのだ。

…理由は何であれ、帝国を裏切り敗走に導いた、その張本人2人なのだから。

 

 

さて、全世界が艦娘と深海棲艦たちに屈服する中で、彼女たちが停戦の条件下にあげたものは、主に4つだった。

 

一つ、深海棲艦や艦娘たちに、理由なく先制攻撃しない事。

一つ、深海棲艦がまとまって、平穏に暮らせる場所を確保して、そこには手をださない事。

一つ、艦娘を器物ではなく人として明確に規定し、学校での教育や戸籍の保証、結婚や各種免許等の保証をする事。

一つ、互いに望むなら、深海棲艦も陸地で暮らすことを許可する事。

 

 

世界中が困惑する、てっきり、軍事力の完全掌握やシーレーンの完全独占すら、思われていたのだから。

あるものは質問する、貴女がたは、それだけで良いのか、と。

 

そして…その、超連合艦隊のリーダーは、にべもなく答えるのであった。

 

 

「これだけ?違うのです!これから始めるのです!…深海棲艦の皆さんも、艦娘も、人間さんも、これから…いつか見た、平和な海で…なのです!」

 

 

 

それから、今までに出たものたちの、その後を少しだけ触れていこう。

 

 

海里護は…

その後、軍を止めてプログラマーに転職した。

コツコツ地味な人物ながらと、しかし地味にフリーダムに美味しいところを持って行く。

彼を知る者は、みな一様にそう言った。

 

 

電は…

世界中の覇者として超有名人として世間を騒がせた。

しかし、本人はその座をあっさり降りて、一介の少女として優しさを忘れず過ごした。

いくつか本を出発する程に人気のある介護士に、同名の女性の記録が残っている。

 

 

如月は…

勝ち気でエロチックながら、真面目な性格というアンバランスさも成長するにつれて解消。

というか、普通にどこにでも居そうな女性として成長した。

男を手玉に取れてるようで、手を繋いだだけできゃーきゃー言い出す純情OLがどこかに居た、とか。

 

 

羽黒は…

精神的には打たれ弱いが、道化のようで、その実優しく気配りが得意な彼女は教師の道へ進んだ。

子どもたちからは大変人気の先生として、親しまれた。

お父さんたちからは、別な意味で人気だった。

 

 

阿賀野は…

とても小さいが、スポーツジムを開いたそうな。

自分のダイエット経験と、木曾たちからのトレーニング経験が軸になり、効果的だと評判だった。

ただ、本人は毎度毎度、ダイエットには失敗していた。

 

 

扶桑は…

ホラー作家として、有名になった。

書いた作品は評判を呼び、夏の映画の原作として、扶桑の作品は人気を呼ぶことになる。

…本当に霊感があり、肩にはいっつも白い幽霊が居ると評判だが、まあ何ほっぽが正体なのかはわからない。

 

 

戦艦レ級は…

深海と人を繋ぐ窓口として、世界中を飛び回っていた。

そんなおり、戦艦レ級は…自分が深海棲艦だからと、未だに石を投げられる、そんな中で、1人の青年に守られると言うロマンチックな出会いを果たす。

レ級はその人に一目惚れし、種族の壁に苦しみながらも乗り越えて…その後は、ご想像に任せよう。

 

 

北方棲姫は…

深海に帰った後もちょくちょく地上に遊びに来ていた。

イベント大好き幼女姫として、扶桑をお供にいろいろ楽しんでいたそうな。

深海を勝手に抜け出したそのたびに、レ級は回収に向かう羽目になるのだが。

  

 

武蔵は…

俺より強い奴に会いに行くとばかりに、修行の旅に出た。

中国の山奥で、幾重の修行を極めた結果、目からビームが出るようになったとか。

…どこへ向かうのだ、この大和型。

 

 

伊58(ゴーヤ)は…

一生分の仕事は終わった、とばかりに世界中をぶらぶらと、スクール水着一丁でその日ぐらしの毎日を過ごしている。

ただ、一匹狼気質で斜に構えたマイペースではあるが、どうにもお人好しなこの女。

時代劇の主役のように現地の人の悩みを解決する現代の怪傑ゾロと、その筋の人は言っている。  

 

 

雪風は…

何故か憎めないキャラクターと足の速さを買われ、レポーターとしてテレビに出始めた。

舌足らずな口調が逆にかわいいと評判である。

雪風をモチーフにした、ゆるキャラグッズも大人気である。

 

 

阿武隈は…

何気なしに応募したオーディションに受かり、アイドルとしてメディアに出始めた。

赤城や神通に徹底的にその体力を鍛え上げられた結果、それがたまたま目に留まり、朝の特撮のピンクの人として、ノースタントで動けるヒロインと話題を呼んだ。

…なお、最近の悩みは、自身の師匠の末の妹艦から親の仇のように睨まれていることである。

 

 

…そして

 

「あ~あ、そろそろ7時か…肩凝るぜ…」

 

木曾達はと言えば…

 

 

かつて、リンガ泊地と呼ばれたこの場所はいまではすっかり、役割が変わっていた。

 

深海棲艦と艦娘たちが共存したモデルケース、その聖地として…この場所は、今でもメディアがひっきりなしに入る観光名所として人気になっていた。

 

 

木曾は、そこで管理人の仕事をしていた。

 

事務仕事を中心とした毎日で、木曾からしたら、鈍ると言う毎日でもあるが…それはそれで充実していた。

 

 

日本での仕事のオファーも木曾にはきていたが、木曾は全て断った。

何であれ、どんな理由であれ、帝国海軍を裏切った彼女は、本土の土を踏む気にはならなかったのだ。

彼女なりの、ケジメだった。

 

そんな彼女の隣、そこには…

 

「きぃ~しょ~、今夜の晩御飯は~」

「赤城か…当ててみ?」

「うーん、この香りは、カレーですね~」

 

戦いを忘れ、すっかり腑抜けた…リハビリ中の赤城の姿があった。

 

 

あれから、あの、赤城の独白の後…赤城は軍を除隊した。

そして…それでも、戦いから解放されても、削られた赤城の心は、直ぐには治らなかったのだ。

そんな、すっかり意気消沈した彼女に向かい…何気なしに、木曾はこう言ったのだ。   

 

お前がどうしても苦しいなら、一生分だったとしても俺も背負ってやるよ、と。

 

木曾からしたら、わりと素で出てきたセリフだったのだが、何をどう取ったか…と言うか、どう取ってもプロポーズみたいなものであり…

 

「う…あ、はい…口うるさいふつつかものですが……えへ、えへへへ……」

 

何か、赤城の中で頭のネジが、一気に飛んでしまったのだ。 

それから、戦闘マシンからぽんこつになるにつれて…彼女の感覚は少しずつ、回復していた。

 

特に、木曾と一緒ならば、そのスピードは速い。  

だからずっと一緒に居よう、と言う赤城のセリフに、ああ、と…どっちかと言えば、病気の友人の心配のつもりで木曾は快諾したのだ。

 

 

しかし、そんな空間に水を差す者も居た。   

 

 

「ちょっと待ったぁ!このカレーは3人前よ、貴女の分は無いわ赤城さん!」

 

スネ夫…じゃなくて飛鷹である。

 

 

木曾がリンガ泊地に残ると知り、数多もの艦娘が日本に渡る中、飛鷹はリンガに残ることを決意した。

 

艦娘らしい…日本人らしい容姿と、元商船らしいバイリンガルっぷり。

良くも悪くも、お嬢様的な上品な外面。

木曾とのデートで培った遊び場の知識。

 

リンガ泊地の「顔」として、無くてはならない案内役となっていた。  

 

ただ、そんな彼女にも、難点は…一つ、あった。

 

 

「木曾は私とカレー食べるのよ!離れなさい、赤城さん!」

「にゃにおう!貴女こそ木曾から離れなさい、飛鷹さん!」

 

 

時々…シュラバヤ沖、空母決戦が起きるのだ。

尚、ことの張本人の木曾がオロオロするのも、いつものことだった。

 

 

…そして

 

「お前らちょっとは自重しなさい!バルス!」

「またぁ!?」

「目がァァァ!ちょっ、痛い、これいつもより目が痛いです!」

「だから俺まで巻き込むの止めろぉ!」

 

探照灯…神通がキレるのも、いつも通りだった。

 

 

神通は、別にリンガに思い入れは全く無かった。

そう、本当なら日本にかえりたいし、彼女をオファーする日本の企業は少なく無かったのだが…。

 

 

「…はぁ、私が外付け良心回路しないと、木曾じゃ火に油だからストッパーにならないわ……」

 

…生来の、胃薬体質と言うか、被害担当艦だった。

 

 

そんな、ゆるキャラごはん大好きになりだした赤城。

ツンデレタカビーヒロインになりだした飛鷹。

最近、胃に穴が空きだして、一度病院送りになった神通。

 

 

その日、彼女達に、木曾は一つ聞いてみた。

…俺と一緒で良かったの?特に神通だけど、日本に行かないで良かったの、と。

 

 

貴女が居るから、元の自分が取り戻し出せたのです…と、赤城が前置きし、

私と私の仲間達のふるさとで、ここで木曾に会えたから…と、飛鷹が前置きし、

頭痛はしますが、まあ、友達みんなと姦しいのは嫌いでもないですよ…と、神通が前置きし…

 

3人は一つの答えを出したのだ。

 

 

「『木曾とそんな泊地』で!」

 

 

 

 

木曾とそんな泊地、完!

 

 

 

 

 


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