fate/break 作:胡狼
素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!
◆
「私」は、死んでいた。
正確には覚えていない。
ニュードという資源戦争に、巻き込まれて、いや、望んでそこにいたのだ。
さまざまあって電脳の亡霊と化した私は現実世界では死という概念のうちに入ったのだ。
ボーダーブレイク。
現実世界では娯楽でしか無いものではあったがなんの因果か私はそこに転生した。
現存するすべての装備を瞬時に変えられるという特性を持って。
はてさてどうにも説明的な独白になってしまったがそれもそのはず。
一つの作戦が終わり自室で床に着いたはずなのだが、私はかつて生きていた現実世界のような場所にいる。
目が覚めたら、知らない天井であったのだ。
ブラストも無いただの生身である私は、もしかしたら夢の中で夢を見ていたのかもな、とひとりごちる。
鏡は無いのだろうか。私の顔が現実世界のものかボダ世界のものかで対応が変わる。
そもそもここはどこなのだろうか?
見渡すと、家電製品が廃棄されている。何かの蔵だろうか?
そんなことを考えていたら、何か赤い、鋭いものが私の肩を貫く。
「なっ!?」
その悲鳴は若い男の悲鳴だった。
「坊主、お前が8人目だったとはな・・・」
「人を刺しておいてそれかよ。」
眼前には青い鎧のような、タイツのような、そんな衣装を纏った男が槍を構え直していた。
私は刺され、飛ばされたはずだが、重症ではなかった。
状況を把握する。体を起こす。
眠るまえに履いていたブーツは、なぜかそのままだったので改めて足を入れる。
コツコツと音が鳴る。
嗚呼、此処は。
fateの世界なのだ。多分。
「問おう。貴方が私のマスターか?」
お決まりの台詞である。
聖杯とやらから情報が送られてくるが、ニュードによって遮断される。
が、大筋は理解しているので問題無い。生前は日本人だったということもある。
「お前は・・・一体・・・」
赤毛の少年はこちらを訝しむように見てくる。
「細けえこたぁいいんだよ! さてクーフーリンの兄貴」
「・・・」
「マスターの命令で思うように動けないのでしょ? ここは撤退してもらえないだろうか? 仕切り直しというスキルもあるだろうし、そちらにとっても悪い話ではないと思いますが?」
「ケッ、いいだろう。得体の知れない貴様とは、いや・・・考えすぎか。マスターも戻れと言っているしな。この場は引いてやろう。」
御都合主義なのかそういってランサーは撤退していった。その背中を見送りながら、アーチャーの到着を待つ。
おそらく来るはず。
私というイレギュラーな存在によりどうなるかはわからないが、原作を遵守していきたい所存である。
どのみち私は死んでいるのだから。
「名乗るのが遅れた。私はエクストラクラスのボーダーで召喚された、ええと名前が思い出せないんだが、ボーダーとでも呼んでくれ。」
「お、俺は士郎。衛宮士郎だ。」
「衛宮君。とりあえず何もわからないだろうけども、しばらく待っていたら説明してくれる親切な人が来ると思うから私からは説明を省かせてもらうぞ」
私はそういって屋敷に上がり込み自分の顔を見る。
アバターの顔だった。声からしてそんな気はしたのだが。
そして自分の能力を確認する。落ち着けたので
全ての武器とパーツを瞬時に切り替え、使用が可能なスキルだけだった。
あとはリスポーンというスキルが追加されていた。
どうやら不死身ではないが蘇生が瞬時に可能らしい。マスターの魔力が減るみたいだが。
そして、聖杯からなのかはわからないが頭の中に強烈な警告が鳴り響いた。
みだりにニュード武器を使ってはならない、と。
そんな確認をしていると、アーチャーと遠坂凛が現れ士郎と話し合っていた。
アーチャーは不機嫌そうな顔をしている。
私も自己紹介をする。
「にっこにっこにー! 貴方のハートに何時もニュード! 名前が思い出せない・・・電脳の亡霊と呼ばれていたニコー!!」
「なんか随分と中途半端ね・・・貴女も記憶喪失なの?ええと・・・ボーダー」
「いいや、名前だけだ。元々傭兵だったから擦り切れてしまったのかもな。そにしても、貴女も、とは?」
「コイツも記憶喪失なのよ。」
そう言ってアーチャーを親指でクイッと指す。アーチャーは肩を竦めて溜息をついている。
「得体の知れない相手にそこまでの情報を提供するのは頂けないのではないかな、凛」
「それもそうだけどね。大した情報ではないでしょ」
「遠坂。そもそもこの聖杯戦争ってのはともかく、サーヴァントってのはどういうものなんだ?」
「平たく言えば英雄よ。尤もこの場にいる二人はどんな逸話があるかもわからないけれど」
「フッ・・・アーチャーよ。我々は無銘らしいな。無名なだけに」
「・・・」
アーチャーは冷徹にこちらに視線を刺す。
私は悪びれずに肩を竦めて溜息をつく。
そうすると凛が私のステータスを見たのか変な声を上げた。
自分では見れないので教えて貰う。
筋力 E〜EX
魔力 E〜EX
耐久 E〜EX
幸運 E〜EX
敏捷 E〜EX
宝具 EX
全てのステータスが EからEXのどれか、という変動の激しいものだった。
アセン次第ってことだろう。士郎もアーチャーも怪訝な顔をしていた。
宝具はきっとニュード武器が世界を侵食してしまうから対界宝具とでもカテゴライズされたのだろうか?
もちろんそんなモノを使うつもりは無い。
試しに、宝具を出そうと意識してみる。
「来いッ! ティアダウナー!!」
すると私の手に刃渡り6メートルはあろうか大剣が顕れる。
マウンターが無いからしまう時はどうするんだろう?
「安心してくれ。私も召喚されたばかりで自分の能力がわかっていないのさ・・・やりあうつもりはないからね。」
「その剣・・・随分と曰くがあるようだが?」
「別に悪龍を滅ぼしたわけでもないし主神オーディンの系譜でも無い。鉄の塊さね」
「貴様がそう言うのならばそうなのだろう、貴様の中では、な」
そんな風に盛り上がっていると凛が教会へと赴き聖杯戦争に参加するか否かの意思表明をしようという話になった。
当然私は付いていく。
原作を遵守と言ったな。
アレは嘘だ。
サーヴァントステータス
真名
ジャッカル・ツヴァイ
身長 167㎝
体重 50Kg
性別 女性
ボーダーのクラススキル
リスポーン
マスターの魔力を消費し、マスターの近くあるいは拠点とする場所より全快した状態で復帰。
マスターの士郎がへっぽこな為62回ほどのリスポーン回数。
カスタマイズフリー
ボーダーブレイク世界の武器、或いは防具として機体パーツを瞬時に切り替え可能。ほうぐの扱いになる。
ステータスに変動あり。超過した場合は敏捷が下がる、など。
ニュード耐性
ニュード汚染地域でも活動が出来る。しかしこのスキルは無意味な模様
ニュード汚染
あらゆる精神攻撃を無力化する。支援効果のある魔術もニュードにより遮断される。
ニュードディフェクター
ニュードのオーラにより外部からの物理的攻撃を一定量肩代わりする。時間経過で回復。
NDEFと略される。一定量を超えた場合貫通する。
ニュードとは。
エネルギー資源と成り得る増殖する有機生命体。
デビルガンダム細胞のようなもの。
マスター含む人間が浴びると耐性のない者は、最悪死に至る。