今回の話も前回、前々回の続きです
なんでもない日常なのでこれといった事件はなにも起きていません
なので、暇で暇でしょうがない、やることないなーどうしよ?
仕方ない、これ読むか
ぐらいの気持ちで読んでくださると幸いです
それでは7話です
「♪~」
時刻は17時
与えられた仕事に加え、さらに近くにあった別の仕事を終えた私は未だ執務室にいる
ただし目の前にあるのは書類ではなくクッキーと紅茶だ
紅茶なんて今までインスタントしか作ったことがなかったのに、金剛のスペックなのか自然と手が動き、ちょっとした高級店のような紅茶が出来上がった
恐るべし英国帰国子女
その紅茶の味を損なわないように数年ぶりに本気でクッキーを焼き、こちらもまぁ美味しいクッキーが出来上がった
そして気づいたら10人?匹?体?の妖精さんが集まり和気あいあいとティータイムを満喫している
妖精さんとは直接会話はできないけれど、意志疎通はできるみたいだ
クッキーも紅茶も好評らしく、先程からありがたい感想を頂いている
ふふ、照れちゃうねぇ~
久しぶりに焼いたかいがあったってものよ~
…紅茶は私の腕じゃないけど
…まぁ今は仕事後の一時を楽しもう
…
妖精さん達とイギリス淑女の雰囲気を醸し出しつつティータイムを楽しんでいると、”コンコン”とドアがノックされた
「入るぞー」
「失礼しまーす」
提督と明石だ
「おぉー!紅茶のいい匂い!クッキーも美味しそう!
私も頂いていいですか!?」
明石が目をキラキラさせて尋ねてくる
「Yes,いっぱい食べてくだサーイ!」
「…金剛、執務室で紅茶飲むのは構わんが、仕事は終わったんだろうな?」
「Of course 全部終わったネ~
ついでにそこのもやっておいたヨ~」
提督は一瞬驚いた顔をすると、信じられないのか一枚一枚書類を確認していく
…そりゃ確かにね、そういう振る舞いしてきましたよ?
でもやれと言われればやるタイプなんですよ?
…今後はきちんと振る舞おうと思いますけども
「お~!これすごいですね!いくつでもいけちゃう!
私もお菓子作り自信あったんだけどなぁ
あぁ女子力が削がれちゃう…」
明石は明石で、クッキーを食べ紅茶を飲み、クッキーを食べ紅茶を飲みを繰り返している
いっぱい作ったと思っていたクッキーはだいぶ少なくなってしまった
「…おぉ本当だ
この短時間で終わらせられる内容じゃなかったんだけどな…」
提督は一通り書類を確認し終わると、若干引きながら書類をファイルに挟み紅茶を飲み始めた
ふふーん!
事務処理ならお任せ!
元々人よりできた私に、さらに金剛のスペックが加わって事務処理の速さは島風の如し!
わざとらしく胸を張り、やってやったぞアピールをする
こうして私の株は少しあがったのであった
…
時刻は夜9時
夕食を済ませてさぁお風呂!
の前に私室に向かっている
この巫女服(制服?)も可愛いけど流石に着替えたかったし、それに自分の部屋がどうなってるか確認したいからね
っと、部屋の前に着いた
これから暮らす私の部屋はどんなものか
さぁオープン!
「…」
…あれ?
ここは物置部屋かなにかなの?
ここ勝浦鎮守府では人数が少ないために1人1部屋与えられているはずなのだけれど、何故だか私の部屋にはベットが2つと、明らかに4人分の物が置いてある
…うん、犯人は特定できるよね
結局どれが自分の服か分からなかったので、仕方なく医務室から旅館にあるような浴衣を取りだしてそれを着ることに
なんだかんだ寄り道してやっとお風呂場に着いた
ここは鎮守府なのでもちろん入渠もあるけれど、それとは別に普通の銭湯みたいな設備がある
入渠は艦娘専用らしいが、こちらの銭湯は当然普通の人も利用できる
けれど1つしかないのでタイミングを間違えれば男の人と会ってしまうことに…
…それは絶対にあってはならないことだ
私の裸は男の人には1人しか見せないことにしているからね
一応時間別に区切られているから大丈夫だとは思うけど…
不安を残しながなも扉を開けて中に入る
するともう先客がいるようだ
「あ…金剛さんだ」
「Good evening~ 弥生~
もう体は洗ったですカ~?」
「はい、さっき洗いました
あ…金剛さん、背中流しましょうか?」
嬉しい提案だけれど、くつろぐお風呂場で気を遣わせるのは忍びない
「気を遣わなくても大丈夫ヨ?
弥生はゆっくりお風呂に浸かっててくだサーイ」
「いえ…気遣いとかじゃなくて、ただ弥生がやりたいことなんです…
金剛さん、ダメ?」
「…」
…や、やめて!その上目遣い!
私にはない純粋さが溢れ出ている!
絶対に断れない…
「…じゃ、じゃあお願いするネー」
「はい 喜んで」
ひとまず弥生に背中を洗ってもらう前に髪を洗ってしまおう
そう思い、結んであった髪をほどく
…この理論が分からない髪の結い方はもう二度とできないだろうなー
名残惜しいけど弥生も待ってるしさっさとすませなきゃ
シャンプー、リンス、奇跡的にあったトリートメントをささっと済ませて弥生にオーケーサインを出す
すると弥生はお風呂から出てきて後ろに座った
そしてスポンジにボディーソープをつけ泡立て、軽く背中をこする
やっぱり人にやってもらうのは気持ちいいけれど、少しくすぐったい
「金剛さん、痛くない?」
「大丈夫ヨ~ ちょうどいいデ~ス」
「…金剛さん、スタイルよくて、羨ましい…」
「…」
…突然弥生に褒められた
一瞬思考が止まる
あの弥生がそんなことを言うなんて…
「…そんなことないデスヨ?
弥生は大きくなったらワタシなんかより素敵なgirlになるはずデース」
「金剛さんは、もう少し、自分を見たほうが…いい
金剛さん、すごく…可愛いですよ?」
「…」
女の子の可愛いなんて普段は信じないけど、弥生に言われちゃうと…
…うぅ顔が熱くなってきた
「はい、終わりました、金剛さん」
それからしばらくぼーっとしていると、気づいたら終わってしまったようだ
「弥生は、先にあがりますね」
「…は、ハーイ、ありがとネ~…」
そのまま弥生は出て行き、1人取り残される私
…もう十分温まった気がするし、私もすぐ出ちゃお
その日はお風呂からあがってもしばらく赤くなっていた
…
時刻は11時執務室にて
なぜ執務室にいるかというと、比叡率いる輸送船護衛の任務をしている子達の帰港を待っているためだ
無線で待ってると言った手前、先に寝てしまうのは悪いので提督と黒姫さん、それともう1人柿崎さんという普段レーダーなんかを見ている人と共に1回500円で賭大富豪をしている
本当に純粋さのかけらもない私
…それにしても提督、なかなか強い
艦娘は給料がない代わりに必要であれば支給される仕組みなので、一文無しの私は最初提督から1000円もらって始めたのだが、いつの間にか2万円になっている
提督は3万円で1位を独走中だ
そしてあとの2人は…
「うぅ私の洋服代がぁ…」
「やべー来週のデート代どうしよ…」
…なんというか残念なことになっている
「よし、じゃあそろそろ迎えに行ってくる
金剛、行くぞー」
「OK~ 皆さんお休みなさーい」
「…お休みぃ」
「…あぁ」
勝負で勝ったのに罪悪感がものすごい…
あまりにも申し訳なかったのでこっそり2人に返したのは内緒の話
…
提督とともに比叡達を迎えるために桟橋に来た
3月の夜はまだまた寒い
流石に浴衣だけではきつかったので浴衣の上から共有のダウンジャケットを羽織っているけれど、それでもやっぱり寒い
小さく震えていると無言で提督は上着を脱いで私にかけてきた
「…」
「…」
…そんなのずるい
好きな人がいなければ落ちかけていたかもしれない…
「…もうちょっと暖かい服はなかったのか?」
少し照れくさかったのか、頭をポリポリかきながら尋ねてきた
「…ワタシの部屋見ましたカ?
どれがワタシのclothesなのか分かりまセーン…」
「自分の服ぐらいわか…
…いや、なんでもない
そうだな、比叡達が帰ってきたら自分の部屋に戻すよう言っておく」
提督はなにか察してくれたのかそれ以上追及することはなかった
恐らく記憶喪失で分からない、とでも思っているのだろう
「Thank you 助かりマース…
…提督は寒くないデスカ?」
「大丈夫だ
普段鍛えてるからこのぐらいの寒さじゃ問題ない
あっ、来たみたいだぞ」
提督が言うように闇の中から比叡達の姿が見えてきた
艤装をしていないので今は普通の人と視界は変わらない
それでも比叡達が大きく手を振っているのはよく分かる
…本当に妹みたいで可愛いなぁ
…あぁヤバい
母性で胸が大変なことになってきた
…
それから数分
6人全員が到着し、桟橋に上がってきた
「「「お姉さま!」」」
「「「金剛さん!」」」
「Hey! 皆さーんお帰ウオッ」
皆を迎えようと一歩踏み出した瞬間
思いっきり走ってきた妹達に飛びつかれ抱きしめられる
女の子として出してはいけない声とともに
「お姉さま!ご無事でなによりです!」
「お姉さまとお話できて榛名、感激です!」
「お姉さま~ふふっ、この時を待っていました!」
妹達が思い思いの言葉を発するなか、それを暖かく見守る駆逐艦達と提督
…妹達よ、気持ちは分かるけれどもう少し自重してくれ
私の意志とは関係なく、しばらくこの状態が続いた
寒かったはずなのに、自然と体が暖かくなっていたのは言うまでもない
こうしてこの日より、勝浦鎮守府はようやく9人全員での体制が始動した