目覚めると金剛に…   作:mothership

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今回はイギリスまでの航海の出来事です

毎度のことながら、暇で暇でしょうがない、やることないなーどうしよ?
仕方ない、これ読むか
程度で読んでくださると幸いです


アラビア海

海に反射する太陽がとてもまぶしい真昼間

艤装をしているために直接暑さは感じないけれど、それでもこんな海を見てしまうと自然と体が熱くなっていくような気がする

 

胸ポケットの中に入っている時計を見てみると2時を示していた

まだ4月下旬だっていうのに今日の気温は30度を余裕で超えているらしい

 

そりゃあいくら艤装を着けていても暑く感じるわけだ

 

目の前を航行している輸送船の船員もまた暑さのせいで、船尾の柵にもたれかかってうなだれている

ここ数日、その場所は休憩ポイントなのか代わる代わる船員がやってきてはうなだれて、時々こちらを見るなり手を振ってくる、というのが日課になっていた

 

私達第91護衛隊と4隻の舟は今、スリランカ沖を航行中だ

竹芝埠頭を出航してからこれといってトラブルも深海棲艦と出くわすこともなく、順調に進んでいる

 

 

「金剛さーん、暇ですね~」

 

 

「そーねー、確かに暇デース」

 

 

「じゃあ青葉、私と水中監視変わりますか?」

 

 

「それは…青葉は取材専門なので浜風にまかせます」

 

 

「…ちょっと何を言っているのかわからないです」

 

 

「じゃあ青葉、ワタシをinterviewしますカー?」

 

 

「それももう3回ぐらいしたので結構です」

 

 

「まだまだワタシの魅力たくさんあるヨ~?」

 

 

「いえ、それよりも青葉は榛名さんの取材をしたいです」

 

 

「それはNO!だからネ! ワタシのpermissionが必要デース」

 

 

「…なんで榛名さんの取材に金剛さんの許可が必要なんですか」

 

 

「Haha」

 

 

とまぁこんな感じにちょくちょく3人でバカな会話をしている

海の上はではやることもないし、ほとんど景色も変わらない

とにかく暇なのだ

 

それでも会話はいつまでも続くことはない

しばらくしてまた波の音だけが耳に入る

 

 

 

そんな中、突如として私の電探が反応を示した

 

つまり飛行物体がこちらに迫ってきているということだ

 

 

けれど皆慌てることもなく今まで通りに航行している

その飛行物体は敵のではなくこちらの偵察機

鈴谷が飛ばしたものが帰ってきただけだからだ

 

 

さて、鈴谷のが帰ってきたということは順番的に次は私の番か

 

 

私は偵察機をイメージして、どこからともなく現れた偵察機を手に取る

 

手に取ったものを見て思わずにやけてしまった

 

この偵察機

明石にお願いして塗装してもらった、とっておきの洋上迷彩を施した勝浦鎮守府だけが持つ偵察機なのだ

実際に使用するのは今回が初めて

だからほんのちょっとウキウキしてしまう

 

 

…まぁ始めは確かに零式水上偵察機に洋上迷彩はおかしいと思ったよ?

でも一度はやってみたくなるよね?

 

 

そしてその洋上迷彩を施した偵察機をカタパルトに設置していると千歳からの無線が入る

 

「こちら千歳です

鈴谷さんの偵察機が帰ってきたので、次の金剛さんお願いします」

 

 

「金剛デース 分かったネー」

 

 

鈴谷の偵察機が着水したのを確認して、私はカタパルトから偵察機を3機発艦させた

 

発艦した偵察機は勢いよく飛び立ちみるみる高度を上げ、とうとう目視できない所まで行ってしまった

 

 

このようにして、空の警戒は偵察機と電探、対する水中の警戒は駆逐艦が持つ三式水中探信儀で行われている

 

偵察機は戦艦と重巡洋艦で交代で出しているために、ちとちよ、特に旗艦でもない千代田は何にもやることがなくさぞかし暇をしているのだろう

 

時折無線から「はぁー」というため息が

 

 

 

…かわいそうに

わざわざ無線を入れてくるぐらいだからね

 

 

 

 

偵察機を出してからしばらく経つとだんだんと陸が見えなくなってきた

 

ここを過ぎてしまうと、しばらく陸から離れてしまうので更なる警戒が必要な場所に入る

 

 

そういえばこのスリランカ沖といえば過去、セイロンを名乗っていた時代、日本軍と英国軍による激しい交戦が行われてきた場所だ

私の元となった金剛や榛名、熊野、鈴谷、磯風、浜風の第91護衛隊のメンバーも参加した戦い

当時敵対していた国の人なのに、その人たちを護衛してこのセイロン沖を航行するのもよく考えたら面白いものだ

 

 

そんな交戦地も今では穏やかな海になった

ただしそれは見かけ上にすぎないけれど…

 

海の底からはどこからと知れず深海棲艦が現れ船を襲い、何隻もの船が沈んでいる

 

 

さっきまでため息ばかりついていた千代田だったけれど、セイロン沖を過ぎかけると無線からはため息が聞こえてこなくなってしまった

 

私達3人組もぱったりと会話が途切れて緊張感が生まれる

 

皆戦闘の経験はあるけれど、それでも日本近海という慣れた場所と日本から離れた初めての場所とでは、心の余裕がなくなってしまうのも当然だ

 

 

ひとまずスエズ運河に入れれば安心できる

だからこのまま何も起こらずに入れればいいけど…

 

 

 

 

しかし世の中そううまくことが運ぶわけがない

 

期待を裏切るかのように、偵察機から頭の中に一報が入ってきた

 

 

 

 

(金剛さん!深海棲艦の哨戒機2機発見! 座標はーー

なおこちらも見つかってしまった模様!)

 

 

 

はぁ…そうなりますよね

 

 

 

(わかりました 

こちらの位置がばれないように大回りをして、できるだけ低空で海に紛れて戻ってきてください)

 

 

(はいです!)

 

 

 

これでこの偵察機が戻ってこれれば、洋上迷彩の効果はあったことになる

 

さぁ皆にも早く報告しなきゃ

 

 

「金剛デース! 敵哨戒機発見! チャフお願いネー! 敵の位置はーー」

 

 

 

「こちら千歳です! 分かりました! 発艦させます!」

 

 

「千代田?行ける?」

 

 

「はい!千歳お姉!」

 

 

今回の任務は深海棲艦の駆逐ではなくジェームズ氏一行の護衛だ

交戦は控えなければいけない

 

そこでちとちよにチャフを積んだ飛行機を飛ばしてもらい、途中でばらまいて囮にしている間に私達は逃げるという寸法だ

 

けれどこの作戦も相手に見つかる前に済ませなければいけない

 

突然の緊急事態に動揺した空気が流れたけれど、その空気とは関係なく4機の四式戦闘機があがっていくのが見えた

 

流石横須賀のちとちよだね

 

 

「こちら千歳です! これより23ノットでお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「第一次攻撃隊、発艦!」

 

「お姉、先にやっちゃうよ!」

 

 

 

…結果として深海棲艦と交戦している

 

 

 

 

チャフをばらまく作戦は成功した

そして私が出した偵察機も無事全機帰ってきて、あと少しで紅海というところで別の深海棲艦と出くわしてしまったのだ

 

 

あぁ最悪…

 

 

ひとまず4隻の民間船と駆逐艦、念のための青葉は逃がして最初の指示通り、空母・戦艦・重巡で戦っている

 

 

目の前に現れた戦闘機の編隊はざっと80機ぐらい

ってことはおそらく相手は空母ヲ級2隻かな?

 

 

ちとちよは零戦五二型乙40機飛ばして最前線に向かわせて、そこから漏れてきた敵機を私と榛名の零式通常弾と、熊野鈴谷の三式弾でスエズに行かせないよう防いでいる

 

 

「くっ、しつこい! あーもうっ!」

「千代田! 2時の方向!後ろつかれてるわ!」

「わかってる! あっ! 金剛さーん! そっちに3機行きました!」

 

「分かったネー!」

 

よし、私達の出番だ

 

千代田の警告通り3機の敵機が迫ってくる

 

 

「うーわっ キモっ」

 

それを見て鈴谷が素直な感想を述べた

 

そこのゆとり! すぐにキモいとか言うんじゃありません!

 

 

 

そういう私もゆとりですけどねー

 

 

「Fire~!」

「榛名!全力で参ります!」

 

爆音とともに勢いよく打ちあがった複数の零式通常弾が時間差で爆発した

 

タイミングよくそれに突っ込んでくれた3機の敵機は火を噴いて落下する

 

 

うーわっ、なんかキモっ

 

 

「お姉さま!やりました!」

 

3機すべてを見事に撃ち落すことに成功し、榛名は満面の笑みをこちらに向けてきた

 

 

だからキュン死するわっ!

榛名は敵をやっつけたいのか私をやっつけたいのかわからないね

 

 

「あれ?わたくし達の出番は?」

「金剛さん達やっるー!」

 

後ろにいる熊野と鈴谷は、今のところ暇そうだ

 

 

だけれど敵80機に対してこちらは40機

半分で戦っているので限界はある

 

しかも撃ち落とし撃ち落とされなので次第にこちらへ来る敵機は増えてきた

 

「鈴谷!3機行ったわ!」

 

「りょーかい!」

 

 

「Shit! また取り逃がしたデース!

熊野!お願いネー!」

 

「承りましてよ とぉぉ↑おう↓」

 

 

 

…ん?今のは私の空耳?

 

 

 

うーん、それにしてもなかなか数が減っていないような気が…

落としても落としても虫のように飛んでくる

 

 

最終防衛の鈴谷熊野の方へはなるべく行かせたくないので、零式通常弾に加えて25mm機銃も最大限利用

 

私と榛名でとにかく撃ちまくっているのに、それでも隙間をぬって2、3機抜けていくことがある

それには流石に、敵ながら上手いなぁ~と素直に感心

 

 

さて、いつまでもこの状態が続くのはよろしくない

そろそろ敵空母を討たないと

そのためには位置を特定する必要がある

 

今それをできるのに最適なものを持ってるのは私だ!

 

 

千歳と千代田にあらかじめ決めておいた暗号をモールス信号で送る

 

 

そして1分ほどして返ってきた返事を解き、了解を得られたことを確認してから、カタパルトに偵察機を準備した

 

発艦は5分後

それまでになるべく敵機を潰さないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

(妖精さん、お願いね!)

 

(任せてください!)

 

本日2度目の発艦

偵察機がカタパルトから勢いよくでると、今度は高度をあげずに海面に沿って飛んでいく

 

それを追うようように、後方のちとちよから4機のチャフを積んだ四式戦闘機があがる

各々はそのまま別方向に飛んでいった

 

 

私の偵察機が敵空母を探している間、敵機は戦闘機から徐々に雷撃機や爆撃機に

 

 

輸送船は狙えないとして私達を潰しにきたか

 

 

ちょうど上から急降下してくる爆撃機が見えた

 

「榛名! 気をつけるネー!」

 

「大丈夫です!お姉さま!」

 

10機ほどの爆撃機が迫ってくる

 

6機は落とすことに成功したけれど4機はそのまま私達を狙う

 

 

まずい!回避!

 

 

私と榛名は急いで爆弾を避ける

 

 

幸い直撃することはなかったけれど、後続できた4機の雷撃機を取り逃がしてしまった

 

 

「鈴谷!熊野!そっちに行ったネー!」

 

 

「ちょっ、今は困る!」

「本当に来ましたわ!」

 

 

別の戦闘機を相手していた2人に雷撃機から魚雷が放たれた

 

 

「服が汚れたじゃなぁい!」

「痛いしぃ〜…」

 

 

とうとう小破が出てしまったか…

 

 

 

(金剛さん!敵空母見つけました!

ヲ級空母2隻 駆逐艦2隻 座標ーー)

 

そんな中、朗報が入ってきた

 

(やりました!

そのまま青葉達の所へ行って向かってください

イギリスに着いたら何か美味しいものをご馳走します!)

 

 

(了解です! それではまたあと…)

 

 

朗報に浮かれていうと、その喜びを奪うように突然妖精さんとの会話が途切れた

 

 

 

…うそ…落とされた

 

 

 

 

く!

 

 

 

絶対に空母を叩かないと!

 

 

 

「榛名!! 位置分かったネー!

射程まで近づくヨ!」

 

 

「分かりました!」

 

 

 

ちとちよにその旨を伝えて援護を頼む

 

返ってきた返事には残っている機体を全機発艦させてくれると

 

 

「榛名!Follow me!」

「はいお姉さま!喜んで!」

 

 

上を飛んでいる敵機に向けて機銃で撃ちながら、30ノットで海の上を駆け抜ける

 

新たに発艦した16機の零戦五二型乙も牽制として奮闘してくれている

 

 

 

海を走って数分してようやく射程圏内に入った

 

 

駆逐艦はどうでもいい

とにかく空母をやる!

 

 

「全砲門!Fire!」

「主砲!ほーげき!開始!!」

 

合わせて8基の35.6cm連装砲が次々に爆音を轟かせる

 

妖精さんからの情報で正確な位置は分かっているため、最初の数発で夾叉し、修正すると直ぐにヲ級に当たるのが確認できた

 

 

けれど数発当たったぐらいで沈むようなやわな相手では勿論ない

こちらに向かってくる敵機も増えてきた

 

 

くそー小さい痴女めー! さっさと撤退しろー!

 

 

 

頭の中でどう悪口を言おうが関係ない

 

 

「やだ、こんな…でも、まだやれます!」

 

どんなによけても攻撃してくるのでとうとう榛名に何発かの魚雷が当たり中破してしまった

 

 

むしろここまで全くダメージを負ってなかったことが奇跡なのかもしれない

 

 

あまり戦況は芳しくない中、後ろの方から声が聞こえてきた

 

「金剛さーん! お待たせしました!」

 

 

青葉だ

 

 

「青葉!? なぜここにいるノ?」

 

 

「千歳さんから連絡を受けて急いでやってまいりました!

相手はヲ級ですよね?」

 

 

「そうデスカ… 分かったネ~ では頼みマース!」

 

 

正直ありがたい

膠着状態の中で一人でも戦力が増えることは大変うれしい限りだ

 

 

 

「青葉、酸素魚雷撃ってきます!」

 

「OK! 援護しマース!」

 

 

青葉は魚雷の射程距離まで進んでいく

それを攻撃してくる敵機を私達は狙う

 

 

射程距離ギリギリまで迫り、魚雷を放つとすぐさま距離をとるため離れる

 

戻りながら20.3cm連装砲で砲撃するという技を見せる青葉

 

 

 

やだ!ここにきて初めて青葉を尊敬しちゃった!

神様仏様青葉様!

 

 

 

その甲斐あって敵機は急激に数を減らし、次第に1機も姿を表さなくなる

 

 

ようやく撤退したようだ

 

 

千歳に先にスエズに向かうように連絡して、私達も追ってスエズまで向かった

 

 

 

 

 

 

 

スエズ運河入口で合流した私達は、ようやく地中海を抜けてスペインとモロッコの間にあるジブラルタル海峡にさしかかった

 

今回の戦闘で熊野と後方にいた千代田が小破

鈴谷と榛名は中破した

 

もうみんな疲れた様子をしている

ゆっくり航行していると何やら海に浮かんでいる複数の人影が見えてきた

しばらくしてその人影は艦娘だとわかる

 

 

その艦娘達は私達に気が付くとこちらに向かってきた

 

 

 

「こんにちは 私はポーツマス基地所属空母ハーミーズ

そちらは91部隊の方よね?」

 

英語で話しかけてきたヨーロッパ顔の少女

 

 

うん、かわいいねぇ!

 

 

「はい 私は91部隊戦艦金剛」

 

 

「無事でよかった ここからは私達も一緒に護衛するからついてきてね

見たところ傷を負っているみたいだし、急がなきゃね」

 

 

「わかったわ ではお願いね」

 

 

私が返事をするとハーミズ達は進みだしたので、それに着いていく

 

 

 

自己紹介や軽い会話(私が通訳役)などをしながら時間をかけて、途中今度こそ深海棲艦と出くわさずにようやくポーツマスに到着した

 

 

 

やっとイギリスだぁ!

疲れも一気に吹っ飛んで喜びに変わる

 

 

さぁて、4日間なにをしようかなぁ

 

 

と考えていると、一つ思い出したことがあった

 

 

 

…あれ? ハーミーズってセイロンで沈まなかったっけ?

 

 

 

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