ブラック★ロックシューター・THE・WAR   作:イビルジョーカー

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もっと巧く戦闘描写が書きたい……(涙)


★2-00エリア群の攻防戦線 パートA☆

昔々、あるところに1人の『怪物』がいました。

 

怪物は、人の世界とは別の世界で生きていた存在で、何らかの原因で人間の住む世界

へと来てしまったのです。怪物はとても戦いが好きな女の子でした。誰かを傷つけ、

その命を奪う行為に何の疑問も抱かず、ただ楽しいとしか感じませんでした。

 

そんな怪物はある日、1人の人間に出会います。その人間は男の子でした。

 

これが……異形の少女と人間の少年の始まりであり、本来なら有り得ない筈の運命で

した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東の大都市区画2-00エリア群に存在する2-03エリアにある地下中枢施設。そ

の内部で繰り広げられているのは、クロワの精鋭の1人『デッドマスター』と、ハク

トの幹部である『狙撃士』の称号を持つ『マズマ』。この両名がそれぞれの愛武器で

ある大鎌『デッドサイス』と銃剣『イクトゥス・フレイム』を打ち鳴らし激突。

 

そして精鋭ではないが同等の実力を保有する巨大な頭蓋骨のみの姿をした兄弟『スカ

ルヘッド』の両名がデッドマスターを援護するという構図になっていた。

 

「おらァァッ!」

 

「ふんっ!」

 

スカルヘッドのジニー&コニーは口から緑色の光弾、目から光線を放ち、マズマへと

攻撃を加える。まるで大雨のような弾幕の嵐だが、マズマはそれを全て回避してみせ

た。そしてイクトゥス・フレイムの銃口から炎の弾丸を射出。

 

吐き出された炎を纏まった弾は、不規則な動きを披露した後にスカルヘッド兄弟へと

被弾。それなりのダメージを与えることに成功する。

 

だがその瞬間、スカルヘッドの背後から飛び出して来たデッドマスターがデッドサイ

スを振るう。マズマはそれを防ぐ為にイクトゥス・フレイムを前へ翳すが、デッドマ

スターはそのまま勢いを殺さずに生かし、マズマへとその身をタックルさせた。

 

激突したマズマは仰向けの状態にされ、強制的に床へと伏させた。

 

「貴方がここへ来た目的は……例のアレ?」

 

デッドマスターは、マズマの上に馬乗りして首を狙い、デッドサイスの刃をぐいぐい

と押し付けながらもそんな問いを口にする。一方でマズマは咄嗟の判断として、右腕

のガントレットを盾の代わりとして応用することで、大鎌の刃の進行を妨害していた

 

そしてほんの少し、苦笑気味に答える。

 

「そりゃね。ここまで来たんだから……当然さっ!」

 

押し返し、自身の上に乗っていたデッドマスターを退かせたマズマ。両者の攻防戦は

それほど容易には終わらない。

 

「まぁ、そんなわけだからさ。すんなり通してくれると助かるんだけど」

 

「できない。貴方はここで……私に命を刈り取られる」

 

「お~怖い怖い」

 

相応の実力者の前でも、マズマは絶えず軽口を叩く。

 

それは自らも実力者であるからこそであり、そうでもなければ『処刑の死神』と恐れ

称されるデッドマスターを相手にこんな余裕ではいられない。

 

次の先手はマズマから出た。

 

マズマはイクトゥス・フレイムのエネルギーを高め、炎の斬撃を飛ばす。その形状は

まさに魚そのもの。炎魚の斬撃はデッドマスターを一片の塵さえ残さず焼き喰らおう

と迫り、対するデッドマスターはデッドサイスを構え、横一線に奔った深緑の閃光と

共に炎魚を切り裂き薙ぎ払ってみせた。

 

しかし、これで消え去るほどマズマの攻撃は甘くない。

 

残留した火の粉が稚魚のように舞い、結集する。さながら魚が身を守る為に群れを成

そうとしているかに見えなくもないが、結集することで生まれるのは『群』ではなく

『個』。すなわち、あの炎魚の再臨だ。

 

「火は水と同じで不定形だ。確固たる形を持たず、悠々と幻影のように揺らめく不確

かな存在…でも、一度燃え移ればどんな命をも奪う『死神』と化す。まさしくかつて

の君のように!」

 

火を操る劇場の役者は、炎魚を再びデッドマスターへと差し向ける。全てを飲み込む

かのような大口を開け、一気に突撃して来る炎魚の動きそのものは、実に単調的だ。

回避するに至ってはそう難しくなく容易いだろう。

 

だが、何度でも復元されるというのが厄介だ。

 

マズマの炎魚は『生体アーマメント術式』と呼ばれる術式の一種で、概容は『無生物

に擬似的な生命活動を与える』と言うもの。マズマは自分の火に擬似的な命を与え、

尚且つ自分がイメージした『魚』という地球の生物の形を提供した。

 

そうして生まれたのが炎魚であり、敵を喰らい、燃え尽きるまでその劫火を消すこと

はない…まさに『生ける炎』。

 

「くっ!」

 

また緑色に輝く閃光を伴う一閃で、炎魚を一刀両断するデッドマスターだが、また同

じように再生する。更にマズマの援護射撃もあり、実に厄介極まりない。

 

「おい、マスター! こいつは俺等が引き受けるから、生みの親をやっちまえ!」

 

「ふん。お前にしては的を得てるかもな。臭いを消すには…発生源を絶つが如し!」

 

先程よりも更に強力な光弾と光線で炎魚を攻撃するスカルヘッド兄弟。左右同時に絶

え間なく攻撃することで炎魚は離散した身体を元に戻そうとするも妨害され、再生で

きなくなる。

 

とは言え、これでは消耗戦も同然だ。

 

エネルギーの燃費が比較的少ないスカルヘッド兄弟と言えども、この状態を維持でき

るのは30分が限度。すなわちデッドマスターは30分という間にマズマを倒さなけ

ればならないと言う事になる。

 

デッドマスターに迷いはなかった。

 

迅速にマズマを殲滅する為にデッドサイスを振るい、その命を刈ろうとする。しかし

無論、それをマズマが良しとするなどありえない。回避やガントレットを用いた防御

で彼女の攻撃を無効化していく。

 

これでは埒が明かないと察したマズマは一旦距離を取り、イクトゥス・フレイムを返

還。同時に一丁のスナイパーライフルを召喚し手に取る。

 

「こういう形での狙撃は狙撃らしくないが、この方が俺の性分に合ってるもんでね」

 

真紅一色に黒いラインが奔る狙撃銃は、クロワの一部隊を壊滅させた身の丈以上の物

とは違い、こちらは至って普通サイズの代物。全体のデザインも無駄に凝った部分が

ないシンプルな形状になっている。

 

この武器をマズマが選択した理由は、己の戦闘領分が狙撃にあるからだ。いくら白兵

戦や空中戦で戦えたとしても、それらは自分自身を最大限に生かす戦いには残念だが

成り得ない。従って、自分を生かすことのできる狙撃戦で一気にケリをつけようと言

う考えなのだ。

 

「炎填、アーダーバレット!」

 

マズマの火を生み出し操る能力。その力を利用するのがこの狙撃銃の特性だ。マズマ

が送り込んだ炎熱エネルギーを更に増幅させ、それを弾丸の形状に精製。発砲の際に

は銃その物が壊れない規模での内部爆発を起こすことで、加速力を飛躍的に上昇させ

る。

 

そして、撃鉄は引き起こされ、劫火の弾丸がライフルの銃口より射出される。

 

デッドマスターという標的めがけ、圧倒的な回避不能の速度をもって襲い来るそれに

は防御さえも間に合わない。弾丸の先はある一点。ラックワイトエナジスにより形成

されている生命維持の中枢器官『コア』のある胸の中心部。

 

そこに確実な致命傷を与えれば、あるのは『死』という結果のみ。

 

「これで勝ったつもり? 笑えないわ」

 

消えた。文字通り何の比喩でもなく、そのままの意味である。デッドマスターのコア

へと到達する前に、劫火の弾丸は何の予兆もなく突然消滅したのだ。

 

「なっ! バカな、どうなってる! なんで……」

 

「貴方の火炎を操る能力もそうだけど、ハートレスには『パーソナルスキル』が備わ

っている者がいる。私もその1人。私のパーソナルスキルは『無生物に死を与える』

。まぁ…簡単に言ってしまうと鉱物や金属なら錆びさせたり風化させたりして、劫火

なら消滅させる……ということ」

 

淡々と説明しながらもデッドサイスを振るい構え、いつでも攻撃できる態勢を形作る

姿にマズマは先程までの余裕を完全に喪失。真剣さを孕んだ鋭い視線で銃を返還。前

の装備であったイクトゥス・フレイムを手に取り、そのままデッドマスターへ肉薄。

 

鎌と銃剣。凄まじい攻防と剣戟が繰り広げられるが、この戦いに分があるのはやはり

デッドマスターだ。

 

 

ギィィィンッ!

 

 

「あっ」

 

甲高い金属音と共にイクトゥス・フレイムが宙を舞う。武器のない身に容赦なく鎌の

刃がマズマの身体を斜め一線に切り裂いた。

 

「おっ?」

 

「ふむ。やったかマスター」

 

炎魚が消滅した為、デッドマスターの勝利を確信した兄弟は彼女の下へと戻る。

 

案の定だが、マズマは仰向けの体勢で地に伏してはいた。だが予想外なことにその命

は失われることなく、今尚も存命中のままだった。

 

「ぐっ、はっ……あ…」

 

「切られる直前に身を少しズラして急所を避けたのね。でも、無意味よ」

 

冷酷に死の宣告を告げる死神の少女は、デッドサイスを振り上げる。自らがマズマの

身体に刻み込んだ、その傷口から覗く白色に光り輝き、黒いうねり模様が浮かび蠢く

球状の物体……『コア』めがけ断罪の刃を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん? これは…」

 

西の大都市区画地下中心部に位置するその場所は、床も天上も壁も、四方八方の全て

が白一色に染め上げられている。そんな施設の一室にて、周りの白と同化するような

白装束の少女『ホワイト☆ロックシューター』が怪訝な声を上げた。

 

「どうしました? ホワイト総督」

 

声だけでなく、顔にまで怪訝さを顕したホワイトに反応し質問の声を上げるのは1人

の小柄な矮躯の少女『ナフェ』。メカニックなウサ耳、とも捉えることができる聴覚

センサー端末を頭部に装着し、両腕がストレングスのようにメカニックアームの仕様

となっている。格好はストレングスと同じフードで両目の瞳と髪はピンク色。その声

は外見通り相応の可愛らしさはあるものの、少し機械的な印象を受ける。

 

「マズマの生命反応が消滅したようだ」

 

「死んだ、と?」

 

「ああ。呆気なく…な」

 

部下…それも貴重な上位戦力である幹部を失ったと言うのに、ホワイトはそう淡々と

答える。しかし、その顔には言葉とは裏腹に少しばかりの悲壮感が滲み出ていた。

 

「狙撃士マズマの死は痛手だ。幹部を1人失うとは………ミーとリリオの状況は?」

 

「ミーは腹部にレッドレベルの損傷を受け、リリオはグリーンレベル程度の損傷。ス

トレングスを相手に奮戦しています」

 

「クロワの精鋭1人とか。まぁ、それなら心配は無さそうだが問題はミーか」

 

「いかが致しますか?」

 

ホワイトは瞼を閉じ、冷静に思考する。そして結果を出すにそう時間は要さなかった。

 

「今回の任務は極めて重要且つ、失敗は絶対的に許されないもの。妾も出る」

 

「直々にですか!」

 

「ああ。ザハと御主、そして妾を筆頭とした増援部隊を編成する。異論はないな」

 

「はい、では早速準備に取り掛かります」

 

そう言い残し、その場から瞬間移動で退場する。ホワイトも足取りを少し早め一室を出

るが、その際に一つの言葉を残す。

 

「もし合間見えた時は……今度こそ決着をつけることになるかもな。ブラック★ロック

シューター」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東の大都市区画である2-00エリア群は、熾烈を極めた戦いの色に染まっていた。

 

クロワとハクトの戦士兵士は互いに衝突し合い、いくつもの命が消えて無くなる。だが

それでも両者は戦闘行為の一切を中止することは決してなく、常に闘志を燃やし奮戦に

徹していた。

 

「チッ、アクタ!」

 

「なにっ?!」

 

「敵の増援が空から来る! 対空砲火を部隊に伝達しろ!」

 

灰色のショートヘアーにブラック★ロックシューターに似た黒のロングコートを羽織る

少女『アクタ』に対し、左右蒼海と紅蓮の二色の短髪を逆立て、黒に赤と青のラインを

奔らせたチャイナ風の中華衣装を身に纏った少年『ロン・ドラグーン』は、両手に装備

された赤と青の二色に分かれたマシンガンを敵めがけ乱射しながら命令を下す。

 

彼はこの2-00エリア群の『第2番防衛大隊』と『第2番防衛支援部隊』を纏め上げ

る防衛司令官の1人で、その補佐官であるアクタと共に迫り来るハクトの敵に対し徹底

した激戦を繰り広げていた。

 

「まったく! よりにもよってハクトが大勢攻めて来やがるなんて……いや、それほど

予想外でもないかっ!」

 

マシンガンの弾切れを確認したロンは、すぐさまマシンガンをレーザーモードに切り替

えし、攻撃を再開。0.01秒で20発にも及び吐き出されるいくつもの小さな閃光は

風を切り、ハクト兵士たちの命を次々と奪っていく。

 

加えてアクタはロンの命令通り、各小部隊の仲間たちに対空砲火令を伝達。新たに来た

空の敵を相手に地上から実弾や光弾、レーザー光線が解き放たれる。

 

「くそっ! 増援に来ても無意味だったか?」

 

そんな言葉を吐き捨てる、空の襲撃部隊を指揮する隊長『バード・スラッシャー』はク

ロワの対空砲火に苛立ち、歯を食いしばりながらも攻撃の雨の中を掻い潜って行く。

 

「否! この『航空将官』を甘く見るな! 全隊、防御シールドを二重にしろ! 攻撃

その物はそこまで強力じゃない!!」

 

言われた通り、各空中兵士たちは自分の身を守るエネルギー状の防壁力場であるシール

ドを二重に張り巡らせ強化する。すると、シールドごと兵士の命を奪っていた攻撃はた

ちまち通じなくなり、その事実によって兵士たちの士気が一層と高まって来た。

 

「恐れるな! 我等の力…クロワのゴミどもに教えてやれ!」

 

航空将官の咆哮と共に空の反撃が始まった。遠距離攻撃の術のない者は近接でクロワの

戦士のコアを刃物系の武器で串刺しにしたり切り裂いたり、遠距離攻撃が可能な者は、

近接の白兵戦に挑む仲間を援護射撃で支援。

 

見事な連係プレーでクロワの戦士たちを次々と殲滅していった。

 

「死ねっ!」

 

「ぐっ!」

 

一方でバード・スラッシャーは、防衛司令官のロンを相手に得意の空中攻撃で攻めて行

く。そして自身が繰り出したタックルの衝撃で倒れた、ロンの首元と胴を足で踏みつけ

ると同時に嗜虐心に満ちた表情を顔に張り付かせた。

 

「まったく、貴様等クロワも往生際が悪いな。我等の為の贄と化せば良いものを」

 

「ふ、ふざけんな! テメェらなんかに屈するほど……俺たちは弱くない!」

 

「ハッ! そのザマで口にする言葉がそれか? このまま貴様を切り裂いてやる!!」

 

片翼を硬化させ、剣のような鋭利さを秘めた刃物へと変化させる。そしてそのままロン

を切り裂こうとした瞬間。

 

「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!!!!」

 

「なに、ぐわァァッ!」

 

凄まじい咆哮と共にバード・スラッシャーの身体は意図せず宙を舞い、そのまま地表へ

と無様な格好で激突。突然の事態によって呆気に囚われるロンだが、そんな彼に差し伸

べる手を見せた一人の黒き少女。

 

そう、ブラック★ロックシューターだった。

 

「大丈夫? 怪我はない?」

 

優しく心配を孕んだ言葉。そしてブラックの姿と二つの要素が重なり合い、ロンは覚醒

を果たした。

 

「は、はい! ありがとうございます! ブラック様」

 

「良かった。でもここからは私とチャリオットに任せて」

 

「そうそう! いっちょ派手にやるよ~」

 

蜘蛛型戦車『メアリー』搭乗しているチャリオットは、メアリーの座席から飛び降り、

黄色の刀身に黒い柄の西洋剣を手に自慢のスピードを披露。ハクトの兵士を次々と屠り

切り捨てていく。

 

そんな己が主人の活躍を目にしたメアリーはその闘志を燃やし、口から追尾ミサイルを

吐き出し空中の増援部隊を次々と駆逐。更に重量による破壊力を秘めた八本の足で地上

の敵を踏み砕き、許しを乞う悲鳴の諸々を蹂躙していく。

 

これに負けじとブラックはその手に持った黒き鉄槌の武器『ウォーハンマー』を掲げ、

一気に敵へと振り下ろす。青い波紋状の衝撃波が多くの敵を襲いそのまま爆散。別方向

から迫って来た敵に対してはハンマーその物を振るい、圧倒的な重量の一撃を叩き込む

ことで地に伏させた。

 

まさに一騎当千と言わんばかりの凄まじい光景。こんな物を前にしては、さすがのロン

も圧巻されるばかりだ。

 

「す、すげぇ~。もうなんか、本当に凄いぜ」

 

「ロン。そんな呆けた顔してる暇があるなら、さっさと仕事して」

 

そんなロンを尻目にいつの間にか隣に来ていたアクタが、手に持ったレーザーガトリン

グ銃で次々と敵を射撃し殲滅していく。その様子に再度正気に戻ったロンはアクタと共

に二人を援護する為、二丁のマシンガンで迎撃体勢に入った。

 

ブラック★シューターとチャリオットの二名が2-00エリア群の援護に駆けつけた、

その同時刻。リリオとストレングスは苛烈な銃撃戦を展開していた。互いに障害物に身

を隠し、機を見計らって発砲。始まってから約55分はその繰り返しだったが、さすが

にケリがつかないと判断したストレングスは、オーガアームのモードをガトリングから

キャノンモードへと変更。

 

凄まじい威力を秘めた砲撃がリリオを襲う。

 

「舐めるなっ!」

 

リリオが吠える。

 

彼は今まで使用していたライフル銃二丁を捨て、今度はボウガンの形状をした自身の愛

武器『クロスヘアーズ』を召喚。ストレングスの砲撃に引けを取らぬエネルギーが銃口

に集束され、一撃必殺の閃光が解き放たれる!

 

「ストーム・バースト!」

 

緑光と共に解き放たれるは暴風の息吹。凄まじい風速は捕縛した者を決して逃さず、そ

の者の肉を裂き、骨を砕く。そんな風の砲撃に対し、ストレングスの砲撃が激突。凄ま

じい衝撃波を生み周囲を瓦礫へと変貌させていく。

 

二つの砲撃は互いに押し合いをしていたものの、最後には爆発を生み相殺した。

 

「ちっ! 威力は互角だったか」

 

「だが、これで終わりだ」

 

ストレングスがオーガアームを再びモードをガトリングに戻し、リリオに銃弾の雨を浴

びせる。リリオのクロスヘアーズは大技を発動させると一定時間、およそ3分間は使い

物にならなくなるという欠点がある。

 

武器が使えなく、替えの武器もありはしない。

 

そんな状況が戦場にとってどれほどの死活問題になるのか、無論それを視野に入れてい

ないほどリリオは愚か者ではない。しかし、これに関しては彼流の拘りなのだ。

 

『常に動き易くする為に武装は最小限に留める』

 

実際の事実として、彼は早かった。

 

それこそフルパワーを発揮さえすればチェリオットも凌駕するほどのスピード戦を展開

することも容易だ。それを生かせていれば、ストレングスに後れを取ることなど皆無だ

った。

 

しかし彼はそれをしなかった。いや、できなかった……というのが正しい。

 

俊足状態は短時間……大体で3分か5分ほどしかない。タイムリミットを過ぎれば身体

に負荷を与え麻痺状態を齎す結果になってしまうからだ。

 

そのタイムリミットまでに、ストレングスを速やかに殲滅する自信や術を、残念ながら

リリオは持っていない。ストレングスは、クロワの精鋭の1人だが、その実力は火力と

腕力、そして戦術面ならばブラック★ロックシューターに匹敵する。

 

そんな実力者を前に容易く倒せるなどと、リリオは豪語できる強者にはまだ至っていな

い。

 

「ぐっ…」

 

「兵長リリオ。これで七度目の戦いなわけだが、とうとう決着が付いたな」

 

体中が蜂の巣状態も同然なリリオ。それでも立つことは自体はままならないが、膝を地

に付ける程度でなら、その重い身体を奮い立たせることはできる。尤も、それでこの危

機的状況を打破することは適わないが。

 

だが、運は彼を見逃さなかった。

 

「終わり? 何をほざいている。終わるのはお前だぞ、ストレングス」

 

凛とした、しかし途方もない威圧を孕んだ声と共に一筋の赤い光弾がストレングスの背

中を直撃。無数の火花が縦横無尽に弾け飛び衝撃波を生んだ。それによって彼女の身体

は風を切りるような勢いで吹っ飛ばされ、周囲にあった瓦礫同然の壁へと激突した。

 

「そしてクロワもだ。長きに及んだこの戦いも、終結する時は刻一刻と近付いている」

 

「お、お前は……」

 

背中のダメージに苦悶の表情を浮かべるもすぐに立ち上がり、赤い光弾が向かって来た

方角を見据える。そこにいたのは純白の砲身を有するエネルギー機関砲の銃口から赤い

煙を漂わせ、その背後に見知った顔馴染みや覚えのない兵士の軍勢を従えた白き少女。

 

彼女の名は……

 

「ホワイト☆ロックシューター!」

 

ハクトの王が今、降臨を果たした。

 

 

 

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