Side 勇一
ある日、俺は地獄を見た。
大学に行こうと家を出て遭遇する地獄。
俺以外の住民が全て・・・「バケモノ」になっていた。
「クソッ・・・なんだよこれ・・・どうなってんだよ・・・!」
いつも挨拶してくるおばさんも・・・。
近所のガキも・・・。
気づかれないように家に戻って鍵をかける。
(どうする・・・俺)
ここでふと思い出した。
巡ヶ丘学院高等学校、俺が去年通っていた高校だ。
「・・・あそこって確か災害時に避難場所として機能するって聞いたことがあったな・・・よし」
俺は数日分の食料と水、それに太陽光で充電もできるライトを持って家をでる。
そして中学・高校、そして大学で培った脚力に任せバケモノを振り切りながら走った。
「ウオオオオオオオオオオオオオ!!」
走る、走る、走る。
限界を超えてゾンビを振り切った俺はなんとか学校にたどり着いた。
「ハァ・・・ハァ・・・・・・おい・・・まじかよ・・・」
だがそこで見たのはバケモノに襲われている生徒という地獄絵図だった。
「・・・クソが・・・こんなんで、こんなありえないことで俺は死ぬのかよ・・・」
正直言って限界だった、体力もほとんど0、俺はそこに倒れ込んだ。
最後に見えたのは・・・在学中に親しかった後輩の姿だった・・・・。
Side 胡桃
「先輩・・・?先輩!」
私が見つけたのは校庭で倒れている先輩の姿だった。
そして・・・周りには今にも襲い掛からんとしているゾンビが・・・。
「っ・・・先輩から、離れろォ!」
とっさに私は先輩の元に走って行った。
そしてゾンビに向かって体当たりを放つ。
ゾンビはそれにより吹き飛ばされ私はその隙に先輩の肩を担いでその場を離れた
「はぁ・・・ふぅ・・・、先輩・・・?」
先輩は見たところ怪我はなかったので安心だけど・・・。
とにかく私は先輩を連れて屋上に向かう事にした。
一階、二階は既にゾンビで溢れかえっていたがなんとか先輩を連れて屋上にたどり着いた。
私が誰かいないかと扉を叩いていると。
「っ・・・うう」
「先輩!?、大丈夫ですか!?」
屋上にたどり着いたときに先輩が目を覚ました。
「っ・・・胡桃?・・・、バケモノ共は・・・」
「大丈夫です、奴らなら・・・、撒きました」
・・・ここで私は嘘をついてしまった、・・・ゾンビだとはいえ元は人間、それを先輩を助けるためとはいえ殺してしまった事を知られたくなかったから・・・。
「そうか、すまない・・・助かったよ」
「いえ、・・・先輩が無事なら・・・それで・・・あ、開きました・・・」
屋上の扉が開くとそこには由紀とめぐねぇ、それに園芸部の部員らしき女子生徒ががいた。
「っ・・・早く扉をしめろ!」
先輩は何かに気づいたのか入った瞬間に扉を閉めた。
「先輩!?もう動いて大丈夫なんですか!?」
「ああ、ここは・・・屋上か」
「くるみちゃん?、大丈夫だったの!?」
「ああ、私は大丈夫だが、・・・なんでこんな事に・・・」
・・・一体これからどうすれば・・・。
Side 勇一
「・・・君達は?・・・胡桃の友達かい?、それに佐倉先生も・・・」
胡桃に助けられついた屋上には二人の生徒と佐倉慈先生がいた。
「まぁ・・・佐藤君、貴方も無事だったのね?、でも、どうして学校に?」
「・・・この学校、たしか災害時に避難所として機能するってのを父から聞いたことがあるので・・・ただ、この様子じゃ避難所としてはどうも・・・」
「そうね・・・、さっき他の先生から電話があったのだけれど・・・」
「・・・恐らくもう・・・、既に校外のほうにも奴らがいます・・・、救助を待つしかないですね」
「そうね・・・」
それにしても・・・考えてみれば家から数キロ離れた学校に・・・携帯の時間を見ると十数分程度で着いていた。
人間やるときはやれるもんだな・・・。
「えっと、もしかしていつもくるみちゃんが喋ってる・・・ゆーいち先輩ですか?」
俺に話しかけてきたのは不思議な帽子を被っている女子生徒だ。
「恐らくそうだが、君は?」
「私は丈槍由紀っていいます!」
「由紀・・・うん、覚えた・・・にしても良く喋っているか・・・」
・・・ふぅ、少し落ち着いたが・・・落ち着いて考えてみると・・・・・うっ・・・。
「っ・・・うう」
吐き気がしてきた、人が・・・こんなに人が死んでるなんて・・・。
俺は吐き気を抑える為リュックサックからスポーツドリンクを取り出して飲む。
・・・ふぃ・・・温いけど渇いたのどには十分だ。
俺は再度落ち着いた後回りを見回す。
「・・・たしかここは屋上菜園だったな・・・、といっても学校でやってる以上生活できるほどの数もないか・・・」
「あの・・・」
「・・・?、どうした」
もう一人の女子生徒が話しかけてきた。
「校外から来たんですよね・・・?、鞣河小学校の様子って・・・分かりますか?」
「・・・すまん、学校に来る時にはなにも考えず走ってきたから・・・」
「そう・・・ですか」
後で聞いたがこの娘は若狭悠里と言う名前らしい、偶然屋上菜園で作業をしていたため無事だったそうだ。
「さて・・・と」
俺はとりあえず屋上の外に出て安全を確保する事にした。
「ちょっと行って来る、バッグの中には色々と入っているから・・・もし戻らなかったら活用してくれ」
俺はそういって屋上を出ようとする。
「先輩!?どうして・・・」
「いや、ちょっと校内の安全を確保するだけだ、見た感じあいつらの動きは遅いからな、それなら逃げれば大丈夫だ」
「なら・・・私も行きます」
「胡桃?、・・・いくら陸上部の君でもそれは・・・」
「先輩一人行かせてもし帰って来なかったら・・・、そんなことだけはさせたくないんです!」
「そう・・か、しょうがないな・・・、だけどもし危なくなったら真っ先に逃げてくれ」
「え・・・でも」
「・・・これだけは譲れない」
「わかり・・・ました」
俺は一応ライト、そしていざと言うときの武器になると思い園芸用のシャベルを借りて屋上を出る事にした。
「胡桃、・・・お前も一応持っておいたほうがいい、・・・たぶんこれくらいしかこの場で武器になるような物はないからな」
「わかり・・ました」
胡桃にもシャベルを渡した。
シャベルは白兵戦ならそれなりに強力な武器になる、元自衛隊の叔父が言っていたからな・・・。
「くるみちゃん?・・・無事に帰ってきてね・・・?」
「大丈夫・・・ちゃんと帰るから安心しろって」
「・・・恵飛寿沢さんをよろしくお願いします・・・佐藤君」
「はい、・・・いざとなったら胡桃だけでも逃がしますから」
「・・・自分のことも・・・しっかりとね?」
「はい」
俺と胡桃は屋上を出て階段を下りた。
「・・・ゾンビは・・・二人か」
2階に行く階段までは一本道でそこには二人ほど・・・「生徒のゾンビ」が確認できた。
「・・・・・・さて、どうするか」
「・・・」
いや、考えていても拉致があかないな・・・。
「・・・・・・やるしかないか、・・・胡桃、どうする?」
「私は・・・、行きます、先輩と一緒に・・・」
「分かった、それじゃあ・・・行くぞ!」
俺はシャベルを構えて走り出す。
「ウォォォォォ!」
そして思いっきりゾンビの首筋に叩き込んだ。
ゾンビの首は嫌な音をたてて吹っ飛び頭がガラスに当たってガラスを血と体液で汚す。
「・・・!」
それに気づいたゾンビが走り寄ってくるが足は遅い。
「遅い・・・!」
先手必勝といわんばかりにゾンビの頭に縦にしたシャベルの端をたたきつけた。
ぐしゃり。
そんな音を放ってゾンビは倒れこむ。
「っ・・・うぅ・・・」
気分が悪い・・・。
たとえゾンビであっても・・・人を殺したのだから・・・。
「くぅ・・・」
「先輩!」
ふらついた俺を胡桃が支える。
「大丈夫・・・じゃない・・・ですよね・・・」
「・・・悪い・・・ちょっとだけ休ませてくれ」
俺が走ってる間に横目で確認したが3階には二人しかゾンビは居なかった。
「ふぅ・・・これで良いか」
少し休憩した後に二階に降りてみたが二階は既にゾンビの巣窟となっていた。
そこで俺と胡桃は二人で机や椅子、それにロッカーなどを複雑に並べてバリケードを作る。
「・・・とりあえず、これで恐らくだが3階と屋上の安全は確保できたな」
・・・さて、これからどうなるのか・・・。
極限のサバイバルの中、5人は生き残れるのか・・・・。
キャラ設定
佐藤勇一
身長 182cm
体重 75kg
由紀たちが通っていた高校のOBで現役大学1年生。
高校の時に陸上部でインターハイ2連覇の実力を持っており大学には推薦入学で入った。
また格闘術の心得もそれなりにあるため身のこなしも軽い。
普通なら狂っても仕方の無い状況だが彼は唯一の男性であるため自身を無理やり冷静にさせている。
サバイバル好きでも有り様々なサバイバル用品を持っている。
胡桃からの恋愛感情は気づいてはいるが答えられていない現状。
彼自身は自分自身後輩に対する可愛さなのか異性に対する恋愛感情なのか良く分からない思いを抱いている状態。