好き 作:たまご
峯ヶ崎高校
この高校にはある噂が流れている。
その噂の内容は、2年の原崎 颯人 が人を殺したというモノだ。
原崎 颯人 は茶髪が少し入った短髪で鋭い目付きだが、その瞳は綺麗な茶色ですっと整った鼻に薄い唇のイケメンである。
身長も175㎝ありバランス良く鍛えられた身体で、成績も良く常にトップ10に入るくらいの頭もある。
噂に関して学校側は、理事長自ら颯人は関わっていないと言っているが、生徒は全く聞き入れてなく悪い方に噂を広めている。
悪い方へと噂が進むと、ヤクザの子分を殺った、殺した相手は有名なヤクザの構成員など、あり得ない方向に話がいき生徒からは避けられている。
「お前、本当に人を殺したのか?」
普通の生徒なら絶対に颯人に話しかけるコトはしないが、不良たちは颯人に話しかける。
その理由は、喧嘩の道具に使うつもりでいるからであるが、颯人は全て拒否している。
そのせいで不良たちとモメるコトもあり嫌でも、悪い方で有名になってしまう。
「お前に関係あんの?」
教室の自分の席に座っている颯人は、目の前に立っている不良を見上げて言う。
悪い方で有名な2人が教室にいると、周りの生徒の視線は自然に颯人たちに向けられる。
「さぁーな!ただ噂が本当かどうか確認したくてなァ」
不良が勢い良く颯人の机を叩き、目線を颯人に合わせって睨んでくるが、颯人からしたら全く怖くもない。
この時、颯人は他所から見たら警察が取り調べしているドラマのシーンだろうと思うと、つい顔が緩み笑いそうになってしまう。
「オメェー!!笑ってんじゃねぇーゾ!!」
颯人が笑いそうになっているのに気づいた不良は、大声を出し威嚇するように言うが、ビビってるのは周りにいるごく一部の生徒たちだけだ。
「アレ、ヤバくね?」
「先生呼んだ方がいいよ!」
不良と颯人が、言い争っている…………不良が勝手に叫んでいると、周りにいた生徒たちはザワザワし始め、急いで教師を呼ぼうと教室から出る者もいる。
「ちっ!ちょっと来いや!笑えないようにしてやるよ!」
苛ついている不良は、座っている颯人を連れて教室から出ると、ザワザワしていた生徒たちはシーンと静かになるがすぐに騒ぎ始める。
教室で生徒たちが騒いでいる頃、颯人と不良は屋上に着いていた。
「今からテメェーをブッ殺す!」
教室で颯人にナメられたと思った不良は、殺気の籠った目で颯人を睨み付ける。
「……ふぁ~……」
不良のコトなど、気にせずに欠伸をする颯人に不良の怒りは頂点に達して、颯人に殴りかかる。
颯人の方に殴りかかる不良の攻撃を後ろに避けて逃げるが、後ろ回し蹴りに反応が遅れ、腹にもろに喰らい髪を持ち上げられる。
「まぁ、死ねや!」
不良がそう言うと、顔面に膝が直撃し後ろに倒れるが、腕を引っ張られ重いパンチをこめかに喰らう。
「痛っ……」
やっと不良から逃げられたが、再び不良に立ち向かう。
だが、ダメージが足にきて急所に重いパンチを喰らったら、もう立ち上がるコトはムリだろうと判断する。
「何やってるんだ!!お前たち!!」
諦めかけた時に、屋上の出入口からガタイの良い教師と教頭とその他の教師たちが颯人たちのトコに来る。
反対側の校舎から屋上は丸見えで、不良と颯人の喧嘩を止めに来た。
「原崎は俺が保健室に連れて行こう」
颯人はその他の教師に連れられ保健室に行き、不良はガタイの良い教師と教頭に生徒指導室に連れられる。
保健室に入ると、保険医の先生が颯人の顔を見て急いで治療に入る。
「あとはお願いします!」
その他の教師が保険医の先生に颯人を預け何処かへと消えて行った。
「分かりました」
治療に入った保険医の先生は、颯人の治療をしながらその他の教師に返事する。
◇
子供の時、正確には4歳の頃には父親も母親も死んで、俺を引き取ったのは父親のオジサンだった。
雨が降った日の学校の帰り道、何かに躓いて転んでケガしても、誰も手当てしてくれる人はいなく誰も心配してくれる人はいなかった。
今までは、ケガしても母親が手当てして心配もしてくれたのに。
◇
「ーーーん! 崎くん!原崎くん!」
「はい……」
「終わったわよ?」
颯人が昔を思い出していると、いつの間にか治療が終わっており保険医の先生は、後片付けをしている。
颯人が保険医の先生に話しかけようとした時に、保健室の電話がなり保険医の先生が出る。
「そうですか……分かりました!では、こちらでお嬢様を送りますので……失礼します」
保険医の先生の声が喋り終えて、静かに受話器を置いた時に話しかけようとしたけど、また、電話がなり保険医の先生が出る。
「今からですか?……!分かりました、すぐに行きます」
急な呼び出されたのか、少し黙り込んで颯人の方を見て、すぐに行くと伝え颯人の方に再び顔向けて、お願いしてくる。
「原崎くん、悪いけど春崎さんを家まで送ってくれる?急な呼び出しで行けなくなったから!お願い」
この時すぐに、「ムリです」と言っとけば良かったと後悔した時には、既に遅く住所の書かれた髪を渡され、「あとはお願いね」と言われ保健室から出て行った。
保険医の言っていた 春崎 凛という人物は、明るい茶髪に腰の上まである長い髪で、くりくりと茶色の丸い瞳で颯人と同じく整った鼻にキスしたくなるような唇の可愛らしい顔の女子生徒だ。
凛はこの学校のアイドルで、誰もが知っている生徒会会長タイプで160㎝のスタイル抜群の女の子。
「生徒にこんな事、頼む奴いないだろ!」
独り言のように呟き、3つあるベットの1つがカーテンがしてあるので、側まで行き声をかける。
「おい!起きろよ、送ってやるから」
返事がない為もう一度、同じような声をかけても返事はなく何か変だなと思いカーテンから覗くと熟睡している。
颯人は、はぁ~ とため息をついて凛の近くまで行き自分の手を小さく叩き、同じような言葉を言うとやっと起きた。
「えっ?な、何で?」
何で男子生徒が、寝ている女の子のベットにいるのか分からない様子であり説明すると「お願いします」と一言だけ言われた。
颯人は凛の荷物だけ持って歩いていると、途中で道端に座り込み、気持ち悪そうにしている凛の姿があった。
◇
俺が学校で高熱出して、オジサンの妻のオバサンが迎えに来てくれても、俺をほっといて1人だけ先に帰っていた。
俺は途中の帰り道で、気持ち悪くなっても誰も手を貸してくれなく結局、辛く寂しく1人で帰った。
◇
「大丈夫か?」
颯人は自分が同じ体験しているから、凛に同じようなコトは体験して欲しくないと手を差し伸べる。
その行動に凛は熱があってキツいのに、ニコッと笑い颯人に話しかける。
「優しいんだね!」
父親や母親が死んで初めて「優しい」と暖かい言葉を聞いて、少し嬉しく思う。
「どうしたの?私、何か変なコト言った?」
凛は颯人のコトは噂程度でしか知らず、学校ですれ違った時に見るキツそうな表情しか見たコトないが、今では、心配してくれる表情と嬉しそうな表情で微妙な表情になっている。
その颯人に、凛は顔を覗き込んで話す。
「い、イヤ別に………フラフラなら手ェ貸そうか?」
「んー、背中に乗せてくれた方がいい…」
颯人はフラフラな凛を背中に乗せ凛の家に向かう。
「噂で聞いてるよ……原崎くんって、本当は優しい人でしょ?」
背中に当たる凛の胸の感触と耳元で話される、くすぐったさの感覚を我慢しながら答える。
「………………さぁ、分からない……」
颯人がコレ以上、話さないと思ったのか凛は、自分から話し始める。
「親が春崎家に産まれた以上、勉強もスポーツも何でも1番じゃないと存在価値がないと言われてるから、頑張ってるんだよ……」
この時、颯人は、幼い頃に受けていた同じようなモノだと思い続きを聞くようにする。
「何となくだけど、何処か似ているトコがあるからかな?」
颯人は、今まで誰かに話しかけられるコトはあったけど、殆どは悪口とかで、誰からも暖かい言葉をかけられたコトがない。
そんな颯人は、周りから単純と言われても凛の「優しい」という言葉だけで救われたようになり、本当のコトを話そうと思った。