好き   作:たまご

11 / 12
喧嘩のあとに

GW初日のバイトを終えた颯人は、着替えて店から出て凛にメールをするか、しないかで迷っていた。

颯人が凜の連絡先を知ったのは、昨日の放課後のコトだった。

 

颯人が教室から出た瞬間に、少し緊張したような凛が小走りに颯人の元に現れた。

 

「え、えーと、時間少しだけ空いてる?」

 

身長差もあるのかも知れないが、颯人から見た凛は上目遣いになっており、思わず目を反らし「大丈夫」と一言返事する。

2人が話す場所はいつも決まって、屋上前の階段になる。

 

「あ、あのね……GW中に時間があれば、少しでも良いから会えないかなぁ……と思って聞いてみたんだけど……」

 

屋上前の階段に着き颯人の教室まで、何度も頭の中で練習した台詞を言うが、後につれて声が小さくなってしまう。それでも颯人には聞こえてたらしく、ほんの少しだが嬉しそうな表情を作る。

 

「良いよ、でも……連絡先知らない……」

 

放課後に何回か話しているが、お互いに連絡先を聞いたり教えたりして無かった。

 

「あ! それじゃ、今メール先を交換しない?」

 

「ああ、ちょっと待って」

 

ポケットから携帯を取り出し交換した。

 

店の外で凛にメールをするか、しないかで迷っていると、後方から女性の聞き慣れた声が聞こえた。

 

「お疲れ様! 今日は大変だったね」

 

春崎 凛 と表示された画面をホーム画面に戻し、後ろを振り向くと亜香里がいた。

バイトでは面倒見が良く、颯人が入りたての頃に色々と仕事を教えてくれた人で、時間が空いていたら今のように話し掛けてくる。

 

「お疲れ様です。去年とは違いましたね」

 

「そうだったかなぁ? あ、颯人くんは入りたてだったからじゃない?」

 

「多分そうですね」

 

2人は話ながら駅の方へと歩きだした。

バイトで亜香里と一緒になった時は、他のバイトの子より話す仲で駅まで10分掛かるが、話している内にすぐに駅に着いた。

 

「それじゃ、また明日ね」

 

改札まで来た颯人に一言、言うと改札の方へと歩いていき、颯人は自転車で施設へと帰る。

結局、GW初日は凛と会うコトもメールするコトもなく終わってしまった。

 

ーー★☆★☆ーー

 

GW初日、2日目は予想以上の集客と忙しさで、メールをするコトが出来なかったが、3日目となると慣れも出てきて少しだけだが、メールをする余裕が出来た。

 

「な、何て送ればいいんだ?」

 

クラスで仲良くなった優太とは、下らないメールのやり取りをしても別に問題は無いが相手が凛だと、どんな内容のメールで送って良いか分からなかった。

 

「……『明日夜遅くても良かったら、会えないか?』 で良いか」

 

どんな内容で送って良いか分からなかった颯人は、GW前に約束したコトを果すためにこんな内容にしたのだった。

まだ、メールを送って数分も経っていないのに颯人は、携帯から目を離さないようにずっと眺めていた。

 

 

颯人が凛にメールを送った頃、凛は颯人にそろそろ自分からメールを送った方が、良いと思い携帯を触った瞬間に原崎 颯人 と表示されたメールが届いた。

 

『明日夜遅くても良かったら、会えないか?』

 

短い内容だが凛からしてみたら、好きな人から届いたメールはとても嬉しい内容だった。

 

「エヘヘ~、明日原崎くんと会えるんだ!! 何か暫く会ってないだけで、久しぶりな気がする」

 

ベッドに潜り込み凛は、颯人に『楽しみにしてます』と返信し抱き枕をギッと抱き締めた。

 

凛からの返信が届くまで携帯を眺めていた颯人は、携帯のバイブが鳴ってすぐに携帯を手に取る。

 

『楽しみにしてます』

 

自分が送った内容と同じく短い文だが、それだけで颯人は大満足だった。

 

ーー★☆★☆ーー

 

いつものようにバイトが終わり颯人は、凜の家の近くまで行こうとすぐに店から出る。

 

「へへ、コイツは良い女だねぇ!!」

 

「ちょっと、ヤダ! 離して!!」

 

「大人しくしてろよ」

 

普段表通りから行く颯人だったが、この日は凛と約束しているため、早く着くよう裏道を通っている途中に、男2人組が女性を襲っている場面に遭遇してしまった。

 

「だ、誰かーー!!」

 

「どーせ、叫んでも誰も助けに来ないよ」

 

「その誰かが、助けに来たらどーするの?」

 

「あ? 誰だ、テメェは?」

 

「ブッ殺すぞ! コラァ」

 

邪魔が入ったトコで男1人が颯人に殴り掛かるが、颯人はそれを避け男の目に狙いを定め殴り倒す。倒れた男に颯人は、止めを刺すように心臓目掛けて思いきっり蹴りを入れる。

 

「どうする? まだ、やる?」

 

仲間が倒れている姿に男は仲間を支え逃げて行った。

 

「あ、ありがとう」

 

「あ、いや……」

 

男2人組に襲われていた女性がお礼を言うが、声が震えており身体も震えていた。そんな女性に颯人は、安心させようと振り向いたら、襲われていた女性はバイト先の亜香里だった。

 

「は、颯人……くん」

 

「えっ?」

 

颯人が驚いている時に亜香里は、颯人に抱き付き涙を流していた。

 

「ゴメン……今日だけで良いから傍にいて」

 

女性に生まれて初めて、涙を流しならが言われる台詞に颯人は、そっと優しく腕を亜香里の背中に回し抱き締めた。




年明けて6日も経ちますが、
明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。