好き   作:たまご

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母親との思い出

 

『今日からココが新しく住むトコだよ』

 

小学校3年生の頃まで颯人は、オジサンの家に預けられ虐待されていた。

隣の家は颯人が小2の頃まで空き家で誰も住んでいなく、小3の頃に家族連れの人の良さそうな人が住み始めた。毎晩、誰かが叫ぶ声が響くと、隣の家に住む主人が訪問した時に虐待されているのが分かった。

 

身寄りのない颯人は、児童福祉施設に住むコトになった。

 

「また、夢か」

 

颯人は昔の夢を見ていた。小3年の時に施設の指導員に今、住んでいるトコに付いていった。

「また、殴られる」と思っていた颯人は、今までの環境と全く違い縛られるコトなく暮らせた。けど、全身にある火傷の跡やアザ、何かで切られた跡など他の子供たちが見たら、「自分たちとは違う」と避けられていた。

 

「ホント、嫌な夢だな」

 

嫌な昔を思い出した颯人は、母親と暮らしていた平和だった頃のコトを思い出す。

 

 

「きょうは、コレよんでー」

 

「えっ? コレ昨日と同じモノでいいの?」

 

颯人が3歳の時、夜の仕事もしていて母はどんなに忙しい時でも、寝かし付けて仕事に行っていた。

 

「うん! このはなしすきだから」

 

「そじゃ、コレにしましょうか」

 

母親が絵本を読む声でいつの間にか寝て、起きたら笑顔で「おはよう! ちゃんと寝れた?」と言ってくれる。

母親と過ごす時間は、大好きだった。

 

 

ーー☆★☆★☆ーー

 

いつも通りの日常けど、たまに違うコトが起きる。

 

「おはよー」

 

「おはよう」

 

颯人の目の前には、気付いたら頭の中で考えている人物がいた。毎日、同じ時間に登校する颯人は、凛の姿を見たコトがない。

 

 

「(何か会うのが、恥ずかしい)」

 

放課後にちゃんと謝ったハズなのに、凛に会うのが恥ずかしくなっている颯人がいた。

そんな颯人のコトなど知らない凛は、友達と挨拶した時に颯人の姿が、目に入り颯人の方に歩いて行く。

 

「あ、あの……お、おはよう」

 

「お、おう」

 

「「……………」」

 

凛は話しかけたのはいいが、話すネタがないのか挨拶が終わったら、無言になり俯いて颯人の少し後ろを歩いている。

颯人は直接会うのが恥ずかしくなって、いつもよりか速く歩いて校舎に向かう。

 

登校時間が早い颯人は、多くの生徒たちに目撃されていないコトにホットしていた。

もし、多くの生徒が登校している時に2人で歩いているトコが、目撃されていたら、教室で嫉妬の視線が刺さった様に、今回も多くの男子生徒たちから嫉妬の視線が刺さって、いたかも知れない。

 

 

結局2人は2年の教室まで一緒に歩いて来たが、最初の挨拶だけで終わり、それから会話がなかった。

 

「お、俺コッチだから」

 

階段を上がって左側に行くと颯人のクラスで、右側に行くと凛の教室なので、2人は階段のトコで別れる。

 

「あ、うん。 え、えっと、きょ、今日の放課後……」

 

「な、なに?」

 

颯人が聞き返すと凛は、少し下を見たと思ったら、いきなり颯人の顔を見て「な、何でもない」と言って、自分の教室の方に走り去った。

 

「お、俺……何かしたかな」

 

凛の行動に無意識の内に颯人は、「自分が何かしたのでは?」と考え、少し落ち込む。

今までも落ち込んだコトはあるが、その時の落ち込んだのと今の落ち込んだのでは、同じ落ち込むでも意味が違うコトに、今は気付かない颯人だった。

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