好き   作:たまご

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ーー☆★☆★ーーの部分で視点が変わります。

ーー☆★☆★ーーの部分で視点を変えない方が良かったら、言って頂ければ直します。


楽しい時間

今日ある授業が全て終わり、颯人は施設から出た時のコトを考えてバイトに行く。

児童福祉施設は18歳までしか居られなく、高校卒業したら自分の力で生きて行けない。颯人は普通の家庭と違って、好きな時に出掛けたり、帰ってきたりする家がない。

 

「(今日も10時過ぎるなか……)」

 

施設の方からバイトは許可されているが、10時を過ぎた場合は、絶対に施設の指導員か園長に連絡しないと行けないルールになっている。

 

「ー崎くん、原崎くん」

 

「あ……お、おう」

 

何かを考えている時や集中している時など、周りの声が聞こえなくなる颯人は、凛の声になかなか気付かなかった。

凛の顔を見ると、顔が少し赤く恥ずかしいけど、嬉しいそうな表情も見える。この凛の表情に颯人の胸は、高鳴り思わず別の方に視線を変えてしまう。

 

「す、少しだけ、は、話さない?」

 

この凛の誘いに断る理由もなく、バイト先に遅くなると連絡さえ入れれば良いと颯人は判断し、凛と話すコトにした。

 

「……良いよ」

 

ーー☆★☆★ーー

 

6時間目の授業が終わり、10分くらいしてから凛たちの担任が教室に入ってくる。

 

「そんじゃ、HRやるぞ」

 

この時の凛は颯人のコトで、焦っていた。いつ颯人が教室から出ていくか、分からない凛は颯人の教室に行く準備だけする。

好きな人と2人きっりの空間で、会って話すのは緊張して、恥ずかしいけど、好きな人と一緒にいるのは嬉しいくて温かくなると、心の中で凛は少しずつ思っていた。

 

「それじゃ、気ぃつけて帰れよ!」

 

颯人のコトを考えていると、いつの間にかHRが終わり担任が教室から出ていった。それを見て凛は、颯人の教室に駆け足で向かう。

 

「あらら……あの緊張はドコに行ったやら」

 

凛の行動を見て由衣は、今朝緊張していた凛と別人のように思え呟いてしまう。

学校でアイドルとして有名な凛が、颯人の教室に着くと既にHRが終わり、部活に行く準備をしている生徒や教室に残って遊んでいる生徒に絡まれてしまう。

 

「お! 春崎さん、どうしたの?」

 

「誰か探してるとか?」

 

「少しココで休んでいく?」

 

あっという間に凛の周りには、男子生徒が群がり身動きが取れない状況になってしまう。

 

「えっ……ちょっ……」

 

「アイツなら……コッチ!」

 

男子の群れから顔を出した優太が、凛の左腕を掴み靴箱の方に誘導する。

階段から降りて直ぐに颯人の姿が見え、帰りそうになっている所で凛は、颯人の方に全力で駆け寄る。この時に優太は、2人の邪魔が入らないようにクラスの男子生徒だけでも、足止めをしていた。

 

「は、原崎くん」

 

ゆっくりと靴に履き替える颯人に話し掛けるも、声が届いてないのか振り向く気配はなく、何回か呼び掛けるコトにした。

 

「あ……お、おう」

 

振り返った颯人と顔が合った瞬間に頬が熱くなり、顔が赤くなっていくのが、自分でも分かり急に恥ずかしくなる。

今朝も颯人と会ったが、放課後も会えると嬉しくなる。

 

「す、少しだけ、は、話さない?」

 

颯人がバイトをしていて、忙しいのは分かっていても、ちょっとだけでも話せる時に話したいと思っていた。

 

「……良いよ」

 

颯人は少し考えていたのか、返事が遅くなり靴から上履きに履き替え、この前2人だけで話した階段のトコに向かう。

 

ーー☆★☆★ーー

 

颯人が2人だけで話せる場所に選んだトコは、この前凛と話した場所だった。

 

「はい。すみません」

 

バイト先に遅くなると連絡した颯人は、人2人は歩けそうな間を作り、凛の隣に腰を降ろす。

今朝、凛に「何でもない」と言われたコトを自分のせいだと思っている颯人は、先に話し始める。

 

「あ、あのさ、今朝はゴメン!」

 

「あ! そ、それは違うの!」

 

「え?」

 

100%自分のせいだと思っていた颯人は、凛の発言により疑問の声が思っていたよりも大きく出ていた。

 

「あ、あの……あ、アレは……その……」

 

何故かアタフタする凛に颯人は、「ホント……面白いヤツ」と思って、思わず笑ってしまった。この颯人の笑った顔を見て凛も笑い始める。

 

「原崎くんの笑った顔、初めて見たかも」

 

初めて颯人の笑った顔を見たせいか、顔が赤くちょっと上目遣いになりながら、颯人に話し掛ける。

 

「そうだっけ?」

 

優太と話す時も楽しいと感じるコトがあるが、凛と話す時は優太と話す時以上に颯人は楽しいと感じている。その楽しい時間をずっと過ごしていたいと思ったのは、母親が死んでから初めてかもしれない。

母親と何気ない日常が楽しくてずっと、過ごせると思っていたが、ずっとは続かなく直ぐに終わってしまった。その時から笑ったコトは殆ど無くなった。

 

「うん! それに何か楽しそうだよ」

 

「(感謝だな……)さぁ……どうだろう」

 

もっと凛とこの時間を過ごしたくなった颯人は、バイトを休むと言っていれば良かったと後悔していた。

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