いつかまた平和な海へ   作:VI号鷲型

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どうも、ストライクイーグルです。
訳あって次の土曜日に投稿できそうにないので投稿させていただきました。誠に申し訳ありません。
今回も安定と信頼の文、東方キャラ登場が含まれます。
これらに極度の抵抗を感じる方は可及的速やかに戻るか、他作者の作品を読む事を推奨します。
「たかが小説が俺を止められるのか!?」
と言って突撃する方のみお読み下さい。


第三十六話 憲兵到着

トラック島飛行場

 

飛行場遠方に着陸態勢に入る一機の輸送機がいた。積荷は勿論、アイガイオン攻撃戦で消耗した艦隊への補給品だ。

その補給品の山の片隅に一人の少女も積まれていた。少女は陸軍の制服を着て、腕には”憲兵”の腕章が巻かれていた。

 

トラック島執務室

 

執務室内はいつにも増して書類が増えていた。前線補給を行う船団のリストと資材の消費を示した表に加え、艦隊再編と修理の為の書類が提督を圧迫していた。

 

「はぁ………………猫の手どころか虫の手も借りたいところだな。」

 

そこへグムラクが静かに入ってくる。

 

「司令、大丈夫ですか?」

 

「この書類の山を見てそう思うか?」

 

「ですね。」

 

そう言うとグムラクは適当に場所を見つけるとある程度の量を持って処理していく。

 

「あっ、すまん………………」

 

「いえ、司令の補佐をするのも我らの勤め、これしきの事で詫びる必要はありませんよ。」

 

そう言ってニッコリと笑う。提督にはその笑顔が女神のように思えた。そして入口からは阿修羅ならぬ覇気を纏った大淀が入ってくる。

 

「提督、お客ですよ。」

 

「俺に?」

 

すると陸軍の制服を着た白髪の少し小柄な少女が入り、見事なまでの陸軍式敬礼をする。

 

「憲兵隊本部から派遣されて参りました。犬走椛中尉であります。」

 

「お、おう…………俺がこのトラック泊地で提督をしている「矢坂 拓海大佐ですね。」そ、そうだ。」

 

椛は執務室を見渡すと少し目が鋭くなる。その視線に提督も身構える。

 

「少し書類を見させてもらいます。」

 

そうすると椛は戸棚を勢いよく開く。すると紙の雪崩が発生し、その雪崩に椛は飲み込まれた。

 

「あっすまん、言い忘れてたが、やたら滅多に開けないほうがいいぞ。」

 

「は、早く言ってください。」

 

書類の山から椛が顔を出す。その山は全て不要な書類ばかりだった。不正摘発の前にやる事は多そうだ。

 

「矢坂大佐………ちゃんと整理してください。」

 

「す、すいません………」

 

ペコペコと頭を下げる提督を横目にグムラクは火炎放射機を持ってくる。

 

「司令、不要な書類を全て集めて下さい。」

 

ガスマスクを被り、燃料タンクのバルブを開ける。提督は椛と大淀に手伝ってもらいながら書類を選別する。集めた書類は全て外に出し、グムラクがそれを燃やす。

 

「ふぅ……………」

 

その上を一機の後退翼ジェット機が天高く飛翔する。それを二機のF-14が追いかけ、編隊を組む。

今のところは平穏そのものだ。ラバウル艦隊やパラオ艦隊も戦力再建に追われていた。

 

「椛中尉、ところで君がなんでこんな島に?」

 

「最近、海賊への武器弾薬の横流しや裏取引が横行しているとの情報を入手したのでその監視として派遣されました。」

 

「ふぅ〜ん。」

 

興味なさげに応える提督に少し嫌な顔をする。提督からすれば全く関係ない話なのだが。すると今度はブードゥシィに抱きつかれているツァネフと何故かハタキを持っているバザード、そして瑞鶴が入る。

 

「提督、艦載機補充の件ですが……………」

 

バザードが話を切り出すと提督は書類の山から一枚の紙を渡す。

 

「それなら問題ない。その紙を工廠と開発棟に見せればやってくれる。」

 

「ありがとう提督さん!」

 

「あっ、待ってよ!」

 

瑞鶴は紙を取ると一目散に走り出す。バザードも慌てて追いかける。ツァネフはブードゥシィに困った顔をしながら歩きづらそうに工廠に向かう。

 

「あの…………あれっていつもああなのですか?」

 

「平常通りってとこだな。」

 

椛はまた何かすごい所に来てしまったと悟る。すると扉が破壊され、物凄い勢いで金剛が入室する。

 

「テートクゥ!!!」

 

「その手は食わん!」

 

提督は咄嗟に椅子から飛び降り、伏せる。金剛はそのまま書類の山に突っ込む。

 

「テートクゥ、避けるなんて酷いデス!!!」

 

ふくれっ面しながら涙目で提督を睨む。提督は呆れ混じりにため息をつく。

 

「はぁ………………お前なぁ……………」

 

仕方なく金剛の頭を撫でる。金剛は気持ち良さそうにする。毎度ながらにハグの攻撃を受ければ提督は持たない。そこへ大淀が笑顔で金剛を掴む。

 

「さて、金剛さん。あちらでお話しましょうか。」

 

「Noooooooo!!!」

 

金剛は大淀に強制曳航されながら執務室からいなくなる。途端に静寂が執務室に訪れる。聞こえるのは波の音と港湾施設の作業している音だけだ。すると提督は何時になく真剣な顔で椛を見据える。

 

「さて、誰も居なくなった訳だし、本当の理由を聞かせてもらえるかな?」

 

「バレてましたか……………でも、あながち間違いじゃないんですよ。」

 

提督は一人掛けの椅子を用意し、椛を座らせる。提督は机の引き出しを開けて白紙の紙を取り出す。

 

「実は海賊の被害がここ数ヶ月で急増しているのです。」

 

「全く、そんな冗談は通じないぞ。ここは大航海時代でもおとぎ話の世界でもないんだぞ。黒ひげの海賊が剣を持って輸送船を襲うのか?」

 

提督は少し馬鹿にするような口調で椛の言葉をはねのける。椛は拳を強く握りながら辛抱強く説明を続ける。

 

「そうです。もちろん、武器は我が軍でも使用されている三八式や百式、果てはM1半自動小銃やMP40短機関銃で武装して、あちこちで輸送船を襲っています。」

 

すると、椛は持参した書類カバンから一枚の書類を渡す。そこには各鎮守府及び基地の武器弾薬の出入りが記されていた。

明らかに過剰である量の武器弾薬が一部の鎮守府と前線基地が要請していた。

 

「買収や書類偽装で巧妙にこれらの武器を隠しています。それらはある販売路を通じて海賊、果ては深海棲艦に流れているのです。」

 

「それで証拠は?

理由なしにそんな事を言っていたら、俺はお前をここから蹴り出すぞ。」

 

脅し半分に少し強めの口調で問いただす。提督は椛を海軍部内にいる敵対する派閥から派遣されたものだと推測していた。

だが、その推測は無駄になった。

 

「では、これを見てください。

これはインドシナにいる現地義勇軍宛に三八式が五百丁を提供する予定で、これらは佐世保鎮守府の倉庫に埃と共に保管されている筈でした。」

 

椛は書類カバンから数枚の写真を取り出す。その写真には空になった倉庫が写っていた。

 

「佐世保に抜き打ちでがさ入れしたのですが、ある筈の五百丁は無く、あったのは埃だけでした。

そしてがさ入れした三日後、義勇軍宛の補給品を積んだ輸送船を海賊はその銃を使って襲いました。」

 

提督の顔から少し反省の色が見える。椛は気にせずに続ける。

 

「この事態を重く見た憲兵隊本部は緊急で佐世保鎮守府を徹底的に調べました。」

 

「それで、その密輸ルートが見つかったのか。」

 

「はい、佐世保から台湾の民間港に移され、そこから南方にある小さな哨戒基地に運ばれ、そこから海賊に渡っていたのです。」

 

机の上には密輸ルートを示した地図と密輸された武器のリストが乱雑に並べられていた。提督は一枚づつ念入りに読んでいく。

 

「なるほど、それで目の届きにくいこういった南方に君達のような憲兵が派遣されたのか。」

 

「はい。これ以上は私の一存では言えませんが。」

 

「わかった。こっちも出来る限り協力する。

それからさっきは済まなかった。」

 

「いえ、憎まれ役は慣れているので。」

 

提督は椛に手を差し出し、椛はその手を力強い握る。

それを見守るかの様に海は穏やかだった。

 

太平洋洋上

 

先の戦闘で壊滅的打撃を受けた補給艦隊は泊地に向けて舵を取る。

命からがら撤退した戦艦棲姫は生き残った駆逐艦を連れていた。

その胸中には屈辱と怒りで満杯だった。

 

<チッ、艦娘共メ……………コノ借リハ必ズ返ス…………!>

 

<戦艦棲姫様、泊地はもうすぐです。>

 

<ウム、ワカッテイル。>

 

その時、前衛のイ級が爆沈する。

 

<ナ、ナンダ!?>

 

見張り妖精が何かを見つけて叫んだ。

 

<前方、射程圏外の海域に艦影を二隻確認!!

識別表にない船です!>

 

<愚カ者メ………反撃ダ!!>

 

主砲が旋回し、所属不明艦にむける。

 

<撃テ!>

 

16インチ砲が火を吹き、砲弾が撃ち出される。

しかし、どの弾も所属不明艦に届くことなく海面に落ちる。

今度は右に展開していた二隻のイ級を火球が飲み込む。イ級の装甲は耐える事が出来ず、爆発して海底に落ちていく。

 

<クソッ!!ナンダ、アノ兵器ハ!>

 

<もう一発来ます!>

 

左にいたロ級とチ級に何かが着弾する。チ級の魚雷発射管にある魚雷が次々と誘爆し、周囲のイ級を巻き込んでものの数分で海上から消える。

 

<味方残存艦損耗率90%!>

 

唯一、戦艦棲姫の後ろにつけていたホ級軽巡だけが追従していた。

 

<面舵一杯!離脱スル!>

 

戦艦棲姫は舵を右に切って離脱しようとする。そのすぐ脇を細長い鉄の槍が通り抜けたと思うと爆風と熱が戦艦棲姫の船体を襲った。

 

<グァッ!>

 

上部構造物と主砲のほとんどが破壊され、戦闘能力を失う。後続のホ級は既に消えていた。艦橋にいた妖精達も動かない。唯一立っていたのは重傷の戦艦棲姫のみだ。

 

<オノレ…………………>

 

その一言を言った瞬間に止めの槍が戦艦棲姫の船体に貫通、内部で爆発し弾薬庫に火が回り、大爆発を起こして海底に引きずり込まれる。

 

「ウィルヘルムより入電

目標群の全てを無力化したとのこと。」

 

「了解、帰投するぞ。」

 

補給艦隊を駆逐した二隻の所属不明艦は針路を変更し、隠れ処の島に向かう。マストには黒、白、黄の国旗が掲げられていた。




いかがでしょうか?
察しの良い方なら憲兵が誰か何となくわかったでしょうか?
それから最後に出てきた二隻も察しの良い方は分かると思います。(だからといって言わないで下さいね)
正体はしばらくしてから判明しますので………………
次回も気長に待っていただけるととても嬉しいです。
それではまた次回、お会いしましょう!!!
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