今回はタイトル通り、最上がメインです。
そしていつも通りの文章です。
それでも良い方はお読み下さい!
トラック島艦娘宿舎
艦娘用宿舎では出撃もなく、艦娘達は食堂か部屋でゴロゴロしていた。
と言うのも、本土の戦略会議でしばらくは深海棲艦の出方を伺うと言う事で一致し、出撃を控えるように命令されていた。特に前線の決戦として温存されている戦艦と空母艦娘は事実上の出撃停止となっている。
「暇だね〜」
「そうね〜」
「なのです〜」
バザードと瑞鶴、電が暇そうにテーブルを囲む。バザードは今にも寝そうな体勢で伏せって、瑞鶴はあんみつをつつき、電はジュースに口をつける。
「バザード〜、なんか面白い話ない?」
「今それ聞きます?」
「電はなんにもないです〜。」
典型的な話の進まない会話をしていたが、グムラクがハタキを持って三人に詰め寄る。
「暇なら自室の部屋でも掃除したらどうだ?」
それを聞くなり、すぐに反対の声が上がる。
「遠慮しとく。」
「えー?」
「面倒臭いのですー!」
グムラクはため息をつくと残念そうな表情をつくる。
「仕方ないな、私が片っ端から代わりにやろうか?」
それを聞くなり、三人の背筋がシャキっと伸びる。
「やりますとも!」
「べ、別にやらないとは言ってないわ。」
「い、今からやろうと思っていたのです!」
焦るように自室へと早歩きで歩いていく三人を見送ると、グムラクは窓際の隅の方に座る。
「はぁ…………まさかブードゥシィが掃除を放ったらかして何処かに消えるとは……………全く………………」
グムラクの姉妹の中では恐らく一番手前がかかる妹を思い浮かべる。柄になくため息をついて外をぼんやりと眺める。
「どうしたの?」
「!!!」
突然の呼びかけに驚くと同時にテーブルの脚に小指をぶつけて悶絶する。
「あっ、ごめんね……………」
「いや…………いいんだ。」
見上げれば声の主は最上だった。最上は心配そうにグムラクを見つめるが、グムラクが何でもないと半脅迫の目で訴える。
それを見てグムラクの向かいの席に座る。
「んで、何の用だ?」
「なんか悩みでもあるのかなーって気がしてね。」
その瞬間に少しだけグムラクの顔が曇る。最上はまさかの正解に少し驚きながら話し続ける。
「ボクで良ければ相談に乗るけど?」
「いや、大したことではないんだが…………………な………………」
歯切れの悪い言葉で後を濁す。あまり見ない表情に最上は地雷を踏んだと悟った。そして、グムラクが口を開いた。
「実は最近、姉妹艦のブードゥシィに嫌われてるんじゃないかってな………………」
「へっ?」
またもや予想を斜めに超える返答に思わず心の声が漏れる。それでも本人はかなり深刻な様子だ。
「お、おい、私にとっては結構重大なんだぞ!」
「あっ…………ごめん。
それにしてもなんで急に?」
グムラクは事の経緯を語り始めた。
「特に何も無かった筈なんだが、他の艦娘にはよく懐いているんだが、何故か妙に私だけには冷たいんだ。」
「う、うん。」
相づちを打つことしか出来ない最上としては対応に困る。だが、僅かながらに興味があるのも確かだ。
「姉妹艦の筈なのに、私だけだぞ!?チゥーダとかツァネフとかバザードとか榛名とか!!
なんでだ!?」
「いや原因がわからない以上、直接聞くしか無いんじゃないかなぁ?」
それを言われた途端に急に小さくなる。最上は何となくだが原因に察しがつく。
「なるほどね。」
「おっ!?な、何かわかったのか?!」
最上はため息をつきながら口を開いた。
「たぶんだけど、そのブードゥシィとあんまり会話してない?」
「うっ…………………」
グムラクの反応から見るにどうやら当たりのようだ。ただ単にコミニュケーション不足に起因するものと確信した。
「これから少しづつでいいから話をしてみたらどうかな?」
「ぜ…………善処する………」
痛い所をつかれたグムラクは頭を抱えて食堂を後にする。最上は苦笑いでそれを見送る。
最上は湯のみに口をつけて残りの茶を喉に流す。窓の外を雲がゆっくりと平和な時間と共に流れていく。
だが、食堂の扉が勢いよく開くと同時に入ってきた喧騒にかき消されてしまう。
「なによ!雷のバカ!」
「バカって言った方がバカなのよ!!」
「はわわ……………」
喧嘩しているのは第六駆逐隊の暁と雷だ。響はやれやれといった感じで遠目から喧嘩を見ている。電は仲裁しようとしていた。
「け、ケンカは良くないのです!」
「うるさいわね!関係ないでしょ!
暁があやまらないならもう口も聞かない!」
だが見事に電の仲裁は失敗し、さらに悪化する。
「こっちも”バカヅシ”とは口を聞かないわ!!」
その時だ。
「もう!!二人とも知らないのです!!!勝手にするのです!!」
我慢の限界に来ていた電が泣きながら叫ぶと何処かへ走り去ってしまった。
「あっ……………待って電。」
電の消えたその場がどんよりとした空気で満たされた。暁と雷は急いで電のあとを追う。響はため息をついた。
その一部始終を見ていた最上が尋ねた。
「何かあったの?」
「いや、いろいろあってね。」
響は帽子で顔を隠す。最上は大体何があったかを察するが、それでも踏み込む事にする。
「ボクで良ければ良いかな?」
「Спасибо」
響が感謝の一言を告げると一息あけて話し始めた。
内容は第六駆逐隊の部屋を片付けしていたところ、雷が提督から貰って大切にしていた花瓶を暁が割ってしまい、そこから喧嘩が始まった。
というものだ。
二人が謝れば済む話しだと最上は思うが、そう上手くいかない事も知っていた。
以前、三隈お気に入りの本を誤って破ってしまった時も大喧嘩して三週間近く口をきいてもらえなかった。
「んー、二人共謝ってその後に電に謝ればいいんじゃない?」
「それができれば苦労はしないんだ。」
「そうなの?」
最上の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。駆逐隊の仲の良さは尋常ではない。『駆逐隊の絆は戦艦よりも堅し』と言われる程である。
多少ぶつかり合う事もあるが、それでも互いに歩み寄るというのが普通である。
響はため息をついて説明する。
「雷と暁が喧嘩すると仲裁の人がいないとなかなか謝らないんだ。」
「へぇ〜」
そこで響が手を合わせて頭を下げた。
「できれば雷と暁の仲裁をしてくれないか?」
「ええっ!?」
最上に突然の頼みである。しかも頭を下げている。こうなっては最上も断りきれない。
「わ、わかった。ボクも出来るかぎりやってみるよ。」
「Спасибо」
そう言うと響は食堂から消える。最上はぬるくなった残りのお茶を飲み干す。
「ごちそうさまでしたー」
厨房に礼をして行こうとした時にズボンの裾が引っ張られている事に気付く。
目線を下げてみると響が裾を引っ張っていた。
「どうしたの?」
「来て。」
響に引っ張られながら廊下を抜けると雷と暁が互いに背を向けていた。
「えーと……………」
「何とかしてくれないか?」
響が小声で頼む。
引き受けてしまった以上はやらないといけない。
「ちょっといいかな?」
「「………………………」」
最上は膝を折って目線を二人に合わせる。
「深い理由はあるんだろうけど………………」
その時、提督が角から姿を現す。
「おっ?何しているんだ?」
「いや、実はかくかくしかじかで………………」
「なるほどな。それなら任せろ。暁、雷、ついて来い。」
そう言うと二人を引き連れて何処かへ消えてしまった。
「大丈夫かな?」
「大丈夫だと思うよ。なんだかんだで提督も結構こういう仲裁が上手いんだ。」
「ふーん、って待ってくれ!私も行く!」
響は急いで提督達の後を追った。廊下に取り残された最上は自室に戻る事にした。
戻った最上はベッドに横になると十秒と経たずに寝息をたてはじめた。
この後、提督仲介のもとで双方和解という形で終結した。
トラック島は今日も平和だ。
いかがでしょうか?
自分的には最上は相談されるキャラだと思ってます。
しかし、多人数を動かすのは難しいですね。もっと精進しなくては……………
それでは次回、またお会いしましょう!