今回、やりとりがすごく残念な話ですがそれでもという方はそのまま前身してください。
それではどうぞ。
青空の下を1機の偵察機が飛行雲を引いて飛んでいた。
「こちら偵察機、付近に艦艇は発見出来ず。繰り返す、付近に艦艇は発見出来ず。」
《わかりました。そのまま偵察を続けてください。》
母艦である赤城の凛とした声が聞こえる。先程、深海棲艦機の残骸を見たが自分達、いやこの世界にはまだ無い兵器で撃破されていると確信した。海面から僅か3m付近の装甲板を貫いていた。反跳爆弾なら当てる事は可能だが致命弾にはならない。恐らくは何かが装甲板を突き破り、船体の内部で爆発したものだと妖精は推測した。
「しかし、なんなんでしょうね?まさか海の怪物が襲った後でしょうか?」
機長妖精は肩をすくめる。
「それは無いだろうが完全に否定は出来んな。しっかし、どこを見ても海と雲だ………………!?」
機長は自分の目をうたがった。
「どうし…………あれはなんですか?」
爆撃手兼偵察員妖精も同じ何かを見た。全長は凡そ300m以上の灰色の塗装をした空母を見つけたのだ。
「おい!今すぐ赤城さんに打電しろ!”我、所属不明ノ巨大空母ヲ発見ス”あとは座標、方位、推定速度だ。」
「は、はい!」
まさかの大物に慌てる2人だが、更に目を疑う物を見た。凄まじい轟音と共に高速で自分の機体の脇を通り抜ける。
「もしかしてありゃ、噴式機か!?」
「しかし、実用化にはまだ………」
偵察員は未だに目の前の光景が信じられなかった。だが機長は、機体を雲の中に飛び込ませた。興奮気味の自分を落ち着かせながら母艦へと帰投した。
「宜しいのですか?このままでは我々の居場所が知られてしまいますが。」
航海長がバザードに尋ねる。
「大丈夫だと思う。もしかしたら艦娘に接触するチャンスかもしれないんだよ?」
なるほどと航海長は頷く。このままあてもなく航行していればいずれ、航空燃料は尽きるし艦にもガタがでる。それに自分の後ろ盾が欲しいと思っているからだ。
《間もなく、触接機が着艦します。》
偵察機と接触したトムキャットが帰艦する。
「あとは相手さんの出方を待つしかないね。」
バザードは艦橋から水平線を見つめていた。
CICに1人の少女と複数の妖精がいた。
「通信傍受に成功しました。」
ヘッドセットをかけた妖精が告げる。この指揮所は空母と違い少し狭い。そう、この艦は空母ではない戦闘艦だ。
「内容は?」
少女が尋ねる。もちろん艤装を装着しているがハープーン対艦ミサイル発射管や、5インチ単装砲、VSL等が装備されていた。
「内容は…………所属不明の巨大空母を発見したとのことです。外見の特徴からヒューバート級原子力空母と思われます。」
報告を受けた艦娘は少し驚く。この世界には居ない筈の艦だ。しかし、彼女も本来ならこの世界には居ない筈なのだから。
「シバリーさん、どうしますか?」
シバリーと呼ばれた少女は腕を組み考える。十数分程経過し、答を出す。
「恐らくは友軍艦かも知れない。合流する。針路205へ、フリゲート艦”レンツ”に発光信号、”我二続ケ”」
「了解!」
妖精は敬礼しCICを勢いよく出る。同時にシバリーも艦橋に向かう。機関部が唸り、20ノット程の速力を出す。少し後ろにフリゲート艦がついて行く。この2隻は両方ともオーシア艦だ。
潜水艦に警戒しつつ、海原を進む。
「変な競争になったな。」
シバリーはレーダーを見ながら呟く。そこには後方のフリゲート艦とさらにその後方約500kmに深海棲艦の艦隊が約21ノットで航行している。到着予定時間は約30分後、恐らく向こうにもレーダーで見つけているだろうが援護が来るとは限らない。ここでシバリーは指示を与えた。
「総員、第一種戦闘配置。繰り返す、総員第一種戦闘配置。」
艦内の妖精達は各々の部署に就く。レンツも同様だ。
「しかし妙ですね。敵艦隊が遅いのは。」
「恐らく、あの中に戦艦………多分、ル級が居るのかも知れない。」
航海長妖精の疑問に応えるシバリー。だが今はそんな事を気にしている場合ではない。一刻も早く目標に着かなければならない。そんな時、
「航空機接近。IFFに応答あり、オーシア国防海軍空母バザード所属機、方位206、距離8000、速度720ノット、接触まであと3分」
レーダー妖精から報告が上がる。しかし沈んだはずの空母の艦載機が引っかかる。と同時に、
「バザードに接近する所属不明艦隊を発見!距離2万5000、方位186、速度23ノット。」
どうやら第三勢力も来ているようだ。恐らく、向こうも捕捉しているだろう。そして上空にバザード所属のスーパーホーネットが通過した。
ル級は自分の電探を見つめ嫌な顔をする。哨戒艦隊を殲滅した輩を捜索し、海の底に送る仕事をしていた。所属不明の艦娘を見つけ追尾していた。だが、ル級から発艦した偵察機からは噴式機を運用する空母を発見したとの報告が入り途絶した。この海域には人間側の補給線があり譲ることの出来ない海域だ。艦隊旗艦としてもここで不安要素は排除する為にも自ら出撃する事にしたのだ。
「駆逐戦隊ヨリ報告。付近二潜水艦ハ認メラレズ、デス。」
妖精からの報告を受け流すル級。何故か沈む前の断片的な記憶が蘇る。
提督の事務を手伝った記憶。
姉妹と茶会を開い記憶。
そして、魚雷から最愛の姉を守り、沈んだ記憶。
ル級は頭を振り今までの記憶を振り払う。あの時の自分は既に沈んだ。今はただ敵を見つけ、沈めるのが自分の役目だ。しかし、本当の自分の気持ちに嘘をつき続けるのも辛い。
「姉様……………」
誰にも聞かれぬように呟く。
「ル級殿、指示ヲ」
妖精の声に現実へと引き戻される。今はやるべき事をしなければならない。
「針路ソノママ、追尾ヲ続ケロ。」
妖精は無言で敬礼し艦橋から去る。ル級はそのまま海原を見つめた。
《ハルバード2-3からバザードへ。
どうやら同じオーシア艦のようです。えーと艦種は…………巡洋艦とフリゲート艦のようです。》
「了解、帰投せよ。」
触接機に帰還命令を出し、双眼鏡を覗く。
この競争の一番乗りはオーシア艦隊だった。
巡洋艦から発光信号が送られる。内容は
”我、オーシア国防海軍所属艦シバリー。コレヨリ本艦ハ貴艦ノ指揮下二入ル”
そのままシバリーと名乗る巡洋艦はそのまま右に回頭し、フリゲート艦は左に回頭した。
すると今度は、
《レーダーより報告。艦影捕捉。大型艦4、小型艦2、距離3万2000。本艦隊に向けて直進中。》
今度は敵か味方か緊張が走る。バザードは一息入れて反応を待つ。そのまま何も無く直進してくる様ならば待機させている艦載機を発艦させ迎撃するしかない。そうならない事を祈る。緊張に包まれた艦橋に通信が入る。
「バザードさん、艦隊から通信です。」
「回線を繋いで。」
艦隊無線用の受話器を取る。
《我々は日本帝国海軍、トラック泊地分遣第一艦隊旗艦金剛だ。貴艦の所属を問う。》
(日本?一体何処の国?)
疑問が沸き起こるがかまわず一息つき口を開く。相手に意思疎通ができるのならそれに越したことはない。
「こちらオーシア国防海軍所属空母バザードだ。我々に貴艦隊と交戦する意志は無い。繰り返す。本艦は貴艦隊と交戦する意志は無い。」
とりあえず、交戦する意志が無い事を宣言する。後は相手がどう出るかだ。既にシバリーとフリゲート艦レンツは先頭の艦に火器管制レーダーを照射し、いつでも撃てる状態になっている。
《こちら金剛、了解した。だが一時的に貴艦隊は本艦隊の指揮下に入ってもらう。よろしいか?》
案の定条件付きだ。しかし、バザードは迷わなかった。
「全て了解した。これより本艦は貴艦の指揮下に入る。」
艦橋にいた全員が安堵する。
「CIC及び友軍艦に連絡、前方の艦隊は友軍。繰り返す、前方の艦隊は友軍。」
《CIC了解。》
《シバリー、了解。》
《こちらレンツ………りょ、了解です………》
さて、残るはシバリー達を追尾している深海棲艦だ。この事を日本艦隊に伝えねばならない。無線で旗艦に連絡をとり妖精からのメモを読んでいった。
「バザードから金剛へ。
深海棲艦艦隊が接近中、方位305、距離4万1000、速度21ノット。」
《金剛了解。貴艦隊は速やかに本艦隊の後方につけられたし。》
バザード艦隊は日本艦隊と合流すべく速度を上げた。
「なぁ金剛、オーシアって聞いたことあるか?」
「そんな国聞いたことないネー。」
提督も部下に疑問を投げかけるがもちろん正しい答が返ってくることはなかった。だが今はその疑問の解決よりも接近中の深海棲艦艦隊の撃滅を優先することにしていた。
恐らくこの艦隊は中部海域封鎖主力艦隊だ。この封鎖線によりトラック泊地は燃料不足に悩まされていた。前衛の哨戒艦隊が全滅した為、姿を現したのだろう。
提督は立ち上がり艦隊通信用無線を入れる。
「全艦に通達、これより本艦隊は3隻の友軍艦を加え敵封鎖線に穴を開ける。この作戦が成功すれば補給路を強化することが可能になる。諸君の一層の奮闘を期待する。以上。」
無線を切り、艦長席に座る。
「流石テートクネ。パーフェクトな演説デス!」
金剛が何故か喜んでいるのに首をかしげながらも指示を与える。
「赤城に打電、第一次攻撃隊発艦用意。全艦、砲雷撃戦用意。」
金剛も戦闘命令を発令する。
「Let's dance every one!」
そんな中、観測妖精が艦橋に上がる。
「赤城から信号でふ」
(噛んだ…………)
噛んだ本人含め全員が同じタイミングで同じ事を思った。口には出さないが。
「赤城航空隊、発艦準備完了とのこと。」
「赤城航空隊発艦始め!」
提督の号令が響く。
ここに中部海域封鎖線突破戦が幕を上げる。
いかがでしょうか?
今回新たな艦が増えました。実を言うとあのフリゲート艦は想像です。はい。
そして、いよいよ敵主力との戦闘です。 戦艦同士の殴り合いをさせてみようかと思いました。
それではまた、次話でお会いしましょう!