いやはや月日が流れるのは早いですねぇ。
とまあこれくらいにして安定したいつも通りです。はい。
それではどうぞ。
トラック島 西方海域上空
二機の一式陸上攻撃機と護衛の零戦52型六機がトラック島を目指して飛行していた。
その陸攻に乗るのは南方方面軍司令長官、土方 竜中将だ。
彼は少数の戦力で日本近海及びシンガポールまでの海域を解放した屈指の名将である。軍刀に手を乗せて座る姿はまさに歴戦の風格があった。
彼は数人の幕僚を連れてトラック島に向っていた。
その時、陸攻の機長が叫んだ。
「敵機接近!!」
それを聞いた隣に座っていた女性補佐官はビクッと体を震わせて恐怖が混じった不安げな目で土方を見つめる。土方は目を瞑ったまま微動だにしない。
《潜り込まれた!ダイブして突っ込んでくる!!》
《全機、奴らを長官に近付けるな!》
先頭の零戦がバンクを振ると急降下してきたコルセアもどきを追いかけて降下する。陸攻の防御機銃も弾幕を張って敵機を追い立てる。機長が土方司令にトラック島の状況を伝えた。
「長官、トラック島は現在空襲を受け、着陸するには非常に危険です。一時的に空中退避します。」
「着陸しろ。」
その言葉に全員が耳を疑った。
「えっ?ち、長官今なんと?」
「着陸しろ、命令だ。」
「しかし!!」
「命令が聞こえんのか?」
土方は静かに命令した。その声には若干の怒気が混じっていた。機長は頷くと操縦席まで戻った。
その時、前を飛んでいた囮の陸攻が火を吹きながら落ちて行く。
《おい!一機殺られたぞ!》
《落ち着け!あれは囮だ!》
護衛の零戦も多数の敵機相手に奮戦するも数の劣勢は覆せず、次第に追い詰められていく。
そして辛うじて維持していた防衛線が遂に突破された。
「敵機接近!!」
(……………)
太陽を背に急降下してくるコルセアもどきを睨みつける。
しかしもどきは陸攻に一発の弾丸も撃ち込めずに爆発した。
「来たか………」
轟音と共に四機のF-35が旋回、降下してくるコルセアもどきを次々と叩き落としていく。
「長官!トラック島まであと二分!」
F-35を操る編隊長妖精は陸攻が無事なのを確認すると機体を反転させて今度は陸攻の後ろにつく。
「二番機は俺について来い。残りは島の防衛に向かえ。」
《しかし…………》
「ネガティブだ3番機。島の滑走路が危ない。そっちの支援が最優先だ。ここは俺と二番機に任せろ。」
《…………………ラジャー》
三番機は渋々命令に従い、列機を連れて一足先に島に向かう。島の防空は米軍の加勢もあり、優勢を維持しているがそれも危ういものだった。
「二番、燃料と装備はまだあるか?」
《兵装は温存していましたが、燃料がギリギリです。あの輸送機を守りきったら直ぐに給油ですね。》
その時警報がイヤホンから鳴り響いた。レーダーを見ればレシプロ機の速さではない速度で近付く敵機が四機程いた。その後には同じ速度で島に向かう六機がいた。
《隊長、どちらを守ります?飛行場か、輸送機か?》
「先にこっちに来る奴を片付ける。ついて来い。」
機首を敵機に向けて三十秒後に会敵した。
「二番機、どうだ?」
《目視できませんが、レーダーでは捉えています。あの速度だと恐らく21かと》
「やるぞ。」
二機は二手に別れて編隊の両側面から攻撃を仕掛ける。敵のMiGもどきは気付いていないのか編隊を解かずに直進していた。
「おやすみ!」
レーダーFCSを照射してミサイルに目標を教えて発射する。
どちらも二発発射して全て命中する。
僚機が一瞬にして消え去ったのに慌てた敵機は瞬時に散開、逃走しようとした。
が、既にその後にぴったりとF-35がくっ付いていた。
敵も気付いたのか、急旋回や低高度に降下するなどして回避機動を行う。
《ロックオン………………発射》
ウェポンベイハッチが開いてAAMが放たれる。
MiGもどきもフレアを放出させるが間に合わずに命中、空中分解した。
二番機の方も既にMiGもどきを蜂の巣にしていた。
これで陸攻の安全は一応確保された。
《見通しが良くなったよありがとう。》
陸攻はランディングギアを下ろして着陸体勢に入る。
滑走路付近では新しく開発で入手したツングースカ自走対空砲が援護射撃を提供していた。
《こちら管制塔から長官機へ、第二滑走路への着陸を許可する。》
土方を乗せた陸攻が管制塔の誘導に従って着陸する。その間も空襲は続いていた。
長官機がタキシングして土方中将を下ろした時には深海棲艦側の戦力も消耗してきたのか、既に撤退し始めていた。
地下壕の指揮所にいた提督もその報に触れ、安堵の息を漏らす。
「やったな…………
あとは榛名達が上手くやってくれればいいが……………」
提督は時計に目を向けた。
予想が正しければ既に敵機動部隊を捕捉している頃だ。
念のためバザードを旗艦とした臨時編成の第二艦隊も出撃させた。
太平洋
提督の予想通り、翔鶴から発艦した偵察機の一機が帰還した攻撃隊を収容中のヲ級二隻を根幹とした機動部隊を発見した。
直ぐに位置座標は臨時第一艦隊に知らされた。
「やったね翔鶴姉!!見つかったよ!!」
艦橋に居合わせた妖精と発見した喜びを分かち合う。当たり前だが、機動部隊同士の戦いに於いて先に発見した方が有利なのだ。
しかし翔鶴は落ち着きを払った声で瑞鶴を落ち着かせた。
「慢心しては駄目よ瑞鶴、まだ見つけただけなのだから。」
「分かってるよ翔鶴姉!さぁ、やろう!」
翔鶴は瑞鶴に向かって頷くと大きく息を吸い込んだ。
「行くわよ!第一次攻撃隊、発艦!!」
整備妖精達は一斉に飛行甲板から退避する。そして濃緑の迷彩が施された零戦52型とフル装備の彗星、天山が次々と発艦していく。
瑞鶴も同じ機種を装備しており、それを発艦させていく。
「帽を振れッ!!」
手隙の妖精達はキャットウォークから千切れんばかりに手を振る。
攻撃隊が敵機動部隊へ向かっているその頃、深海棲艦側の機動部隊は収容作業に追われていた。
そしてヲ級を驚かせたのはその未帰還機の数だ。
ほぼCAP(戦闘空中哨戒)を除いては全力攻撃で全て発進したが、帰って来たのは僅か半数未満。
しかも、修理可能な機は更に少なくなる。
<オノレ……………>
ヲ級は不快感を露わにした。ヲ級以外は艦橋には誰もいない。
<コノウラミハカナラズ………!>
憎しみに満ちた視線を島のある方角に向ける。
その時だ。
<敵機ダト!?ドウイウコトダ!!>
直掩艦のリ級は前衛として展開しているイ級から報告に苛立ちが沸き立つ。
あとは逃走するだけの段階に限って発見されていたのが余計にリ級をイライラさせていた。
<対空戦闘用意!ヤツラヲ皆殺シニシロ!>
リ級が吠えた時に前を航行していたヲ級が突如炎上した。
旗艦に連絡しようとした時に今度は護衛のロ級が真っ二つにへし折れた。
状況が飲み込めないリ級の上空を四機の前進翼機が高速で通過する。
するとまだ射撃命令が出ていないのに護衛の駆逐艦が撃ち始めた。
<マダ命令ハ………!>
中止を命じようとした時には既に艦隊にはリ級とヲ級の二隻しか海上に浮いていなかった。残りは全て沈んでいるか、鉄くずとなって浮いているかの二つだ。
<離脱ダ…………………ヲ級ニモ続ルカセヨウニ…………>
命令を下す前にリ級を熱風が襲った。
見ればついさっきまで健在していたヲ級が船体のあちこちから炎が噴き出し、さながら火山のように炎上していた。
<ナ、ナニガ…………>
リ級は今まで起きた事全てが理解出来なかった。前衛のイ級から何度か通信があったが、そんな事に構ってはいられなかった。
<離脱ダ…………………離脱シロ!!>
仲間の深海棲艦から何を言われようが逃げようと決意する。
しかし、正体不明の敵の方が速かった。
《一隻が逃亡を図っている。》
《了解、残りはウィルヘルムが殺る。帰投せよ》
ベルカの国籍マークを付けた前進翼機S-32は編隊を組み直すと母艦に向けて針路をとった。
入れ違いに三発の対艦ミサイルが低空からリ級に向かって突進していた。
その数分後に翔鶴、瑞鶴の攻撃隊が現場に到着する。
しかしその場に艦影はなく、あるのは残骸と油膜だけだった。
《雉鳩一番から全機へ
敵艦は見えるか?》
《いえ、誰も見ていません。恐らく何者かが攻撃したのかと…………》
結局、攻撃隊は燃料を消費しただけに終わった。
トラック島は一部の格納庫や対空砲等の施設に被害は出たが、基地機能の停止は避けられた。
湾内には米艦隊と出撃した第一艦隊が入港しようとしていた。
そして、日米会談は予定通りに行われる事も決まった。
この会談でもたらす物は何か、それは誰も分からないがこれが新たなる戦いの幕開けであることは分かった。
太平洋の波浪は高まる。
いかがでしょうか。
いやーやっとここまで来ました。
またもや現るベルカ艦隊……果たして彼女達は味方なのか………
そして建った米軍との共同戦線フラグ…………
風呂敷を広げすぎた感は少しありますが気合いでなんとかします。
次はいつになるか正直、自分も分かりません。
それでも気長に待って頂けたら嬉しいです。
それではまた次回、お会いしましょう!!