炎の少年~Only one Faith~   作:Aruki

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こんにちは!
Arukiです!
他にもソードアート・オンラインの小説を書かせてもらっています!
SAOの小説は書いていて縛りが多くて(そこがまたいいんですが)たまに息がつまるので、そんなときこちらを書こうと思います!
内容としては、私が小学2~3年生ぐらいから考えていたものなので展開が少し幼稚な部分もありますが、呼んでもらえると嬉しいです。
それではどうぞ!


第1章 炎の少年
第1話 桜の出会い


 ヒラヒラと、並木道の至るところを大量の桜の花びらが舞う。

 見上げれば、いや、見上げずとも道に沿うように数えきれないほどの桜の木が見え、今が春だと言うことをいやがおうにも認識させられる。

 桜の花の色には何か催眠効果でもあるのか、周りを歩く人たちもどこか雰囲気が桃色に包まれている気がする。

 かくいう俺ーーー椎崎明もそんな浮かれている一人ではあるが。

 すると後ろから強めに肩を叩かれる。

 

「うっす、はよ~!」

 

「おぉ、おはよ...てか、朝からテンションたけぇよ。しかも肩痛いし」

 

 彼、品川連とは中学で知り合ったがそれから3年間ずっとクラスも同じで仲がいい(絶対に認めないが)、と分類されるぐらいには友達だ。

 基本的にはうるさいが、意外と周りが見えているタイプなのでいわゆる性格イケメンと言われるやつだ。

 しかも顔もそこそこなので結構モテる。

 

「そういえば、品川にしては早いな。なんか用事でもあるのか?」

 

「あぁ、俺新入生代表ってことで答辞読むからさ。そのせいで学校早くこいってさ。こんなことなら入試手ぇ抜けばよかったわ」

 

 そして頭もいい、と。

 

「お前、今の台詞他の新入生に聞かれたら一発ではぶられ対象になるぞ...」

 

「まぁ、そん時はそん時だろ」

 

 ははは、と軽く笑い飛ばす品川。

 なんという潔さ...

 

「はぁ、そんなことよりも学校、いいのか?」

 

「っと、そうだった。んじゃ、また後でな明!」

 

 俺が品川に手を挙げることで返事をすると、一目散に品川は学校に向かって走っていった。

 ...よくもまぁ、朝から走れるものだ。俺には無理。

 俺たちが今日入学する高校、私立閃凉学園はこの辺りでも自由な校風で有名だ。

 例えば毎年修学旅行があるとか、学園祭の催しが他の学校に比べて盛大とか等。

 俺が今着ている制服も学園が有名な理由の一つだ。

 男子の制服は紺の生地が主体のブレザーで、襟の部分に黄色いラインがが入っていたり、女子に至ってはセーラー服、ブレザーを自由に選べる。

 しかもその制服がすごく可愛いと、中学の時によく女子のグループが騒いでいるのを耳にした。

 なのでこの学園には顔見知りがかなり来るだろう、と考えていたのだが、予想に反して10人程度だった。

 どうもこの学園は内申、というものをかなり気にするらしく、少しでも内申に傷があったりすると学園側から入学拒否の手紙が届くらしい。

 いまだに俺がこの学校に入れたのはなぜか分からない。

 が、その割には入試は超がつくほど簡単で、聞いた話によると受験者全員が受かったらしい。

 要は、問題を起こさない真面目な生徒で、行事はがっつり楽しめる、手のかからない生徒が欲しい、ってことなんだろうな。

 そういう大人の汚い事情を考えると少し気が重くなる。

 ....なんで俺は入学式の日にこんな悲しいことを考えているのだろう? これも桜効果だろうか?

 

「あの...」

 

 俺がため息をつきながら頭を振っていると、不意に後ろから声をかけられた。

 今日はよくうしろから声をかけられる日だなぁ、と思いつつ振り返る。

 ーーーーっ。

 

「どうしたんだ?」

 

 ...正直、声かけに対して普通に答えられたのは奇跡だったような気がする。

 振り返った先にいたのは、恐ろしいほどまでに綺麗な女の子だった。

 小柄な体躯、人形のように整った顔、透き通るような声、黒なのに光を反射するのではないかと思わせる肩ほどまでの髪と、目の前にいる女の子の突出した点はいくつもあるが、特に目を引いたのはやはりその目だ。

 女性にしては、少々スレンダーな体型ではあったが、外国の血が混ざっているのか、少女の双眸は少し青みがかっており、それがより彼女の魅力を引き立てている。

 

「はい、私立閃凉学園はどこにありますか?」

 

「それならこの並木道の先にある角を右に曲がったところだけど....」

 

 そこまで言ってあることに気がつく。

 この子が着てる服って...

 

「もしかして君、学園の新入生?」

 

「そうですが...あなたは?」

 

 俺の言葉に不信がる少女。

 しまった、確かに今のは失礼だったかもしれない。

 出会い頭で今の台詞は失礼に当たるだろう。そう考え直した俺は一度謝る。

 

「ごめん。俺も学園の新入生だからさ」

 

「....そうでしたか」

 

「....」

 

「....」

 

 か、会話が続かない...

 しかもこの子、会話している中で全くと言っていいほどに目を逸らさない。

 そのせいで人形らしさに拍車がかかっていて、なんというか、微妙に居心地が悪い。

 もちろん、俺に常人を逸脱したコミュニケーション能力なんかはないので、ここから会話を弾ませるのは至難の技だ。

 それでもこのままなにも言わずに立ち去るのも会話の流れとしておかしい。

 

「えっと...そういえば君何年生?」

 

「....道が分からないんだから転校生じゃない限り1年生だと思うんですけど」

 

「そ、そうだよな! ははは....」

 

 やばい、話せば話すほど彼女の疑いの目が強くなっていく。

 俺に初対面の女の子を口説くみたいな器用なことをする技術はないよー。

 まぁ、それを言っても仕方ないが。

 

「ていうか、先月説明会とかあったし、学校の位置知ってるんじゃ...」

 

「私、今月の始めまで海外に住んでいたので説明会は親....に代わりに行ってもらったんです」

 

 なんか言葉の一部で変な間があったような....

 そんなことを考えているうちに彼女が俺から距離をとっていた。何気に傷つく。

 

「道、教えてくれてありがとうございました」

 

 ペコリと彼女は俺に頭を下げると、すぐさま駆け出していった。

 ーーーー俺が教えた方向とは逆方向に。

 俺は慌てて少女の肩を掴む。

 

「ちょっと待った待った! そっちは逆だって!!」

 

 すると彼女は不思議そうな顔をしつつ周りをキョロキョロと見回し、すいません、と謝ってくる。

 

「あなたがあまりにも気持ち悪かったのでつい動転してしまいました」

 

「何て!?」

 

 おかしい。今このタイミングは感謝されることはあっても毒を吐かれるタイミングではないはずだ。

 少女は俺の方を変わらず警戒した目で見てくるが、不意にその表情がなにかを妥協したように緩む。

 

「仕方ないです。下手に付きまとわれても嫌ですから、このままあなたと一緒に登校します」

 

「いや、別に付きまとってないけど....」

 

「最初はみんなそう言うんです」

 

 なんで俺がストーカーみたいな会話になっているんだろう....

 あと、この子すごい毒舌家だな....勿体ない、顔は可愛いのに。

 と、そこで俺たちが立ち止まって会話していたのを思い出す。

 

「やばっ、このままだと本当に遅刻しちまうぞ!」

 

「全く、計画性を持ってください」

 

「君と話していたからだよ!!」

 

 俺たちは今度こそ学校の方向へと走り出す。

 こんな感じで、俺の運命の日が始まった。

 

 

 

 

「そういえば、名前を聞いてなかったです」

 

 俺たちは入学式遅刻という汚名を回避するためにダッシュしーーーーとりあえず遅刻は免れそうだーーーー俺が安心していると、彼女が言ってきた。

 

「そういえばそうだな」

 

 俺も隣を歩いている少女に同調する。

 同じ学校ならばこれからも学校で会うことぐらいはあるだろうから名前を聞いておいて悪いことはない。

 

「私は深井奈菜です。奈菜でいいです」

 

 彼女ーーーー奈菜の名前を聞いて少し驚いた。

 奈菜、日本人なのか...

 顔立ちとか外国にいたっていう話からもしかしたら外国の人かと思っていた、というのもあるが、奈菜が俺に下の名前でいいと言ってきたことに驚いた。

 奈菜の言動からも分かるように、奈菜の俺への印象は最悪っぽいし。

 

「...どうしたんですか?」

 

「あ、いや、なんでもない。俺は椎崎明。好きなように呼んでもらっていいよ」

 

「好きなようにって...いったい私にどう呼ばせる気ですか?」

 

「なんでそう毎回俺の言葉を曲解するかな...」

 

「冗談ですよ...では、明先輩ですね」

 

 ...うん?

 奈菜が俺のことを名前呼びしてくることはなんとなくだが予想がついていたからそこまで驚かないけど...

 ...なんで『先輩』?

 

「えっと...奈菜は1年生なんだよな?」

 

「さっきも言いましたよ。もう忘れたんですか?」

 

「いや、俺も1年なんだけど」

 

 さすがにどこの国でも同じ年の人を先輩と呼ぶ風習はないと思うんだが。

 言うと、奈菜は一瞬眉間に眉を寄せたが、すぐに、あぁ、と納得した顔になる。

 

「色々理由はあるんですけど...私、飛び級しているんです。だから年はまだ14歳です」

 

「飛び級って....すげぇな」

 

 なるほど、だから先輩か。

 ていうか、外国には飛び級制度がある学校っていうのもあるんだろうけど、実際に飛び級するというのは大変なことじゃないだろうか?

 

「...ん?」

 

「どうかしましたか、先輩? 妄想の女の子でも見えましたか?」

 

「違うから。てか、初対面なのになんで俺こんなに毒吐かれまくってんの?」

 

「先輩の存在が私にとって害悪だからです」

 

「まさかの存在全否定!?」

 

「まぁ、それは置いておくとして。本当にどうしたんですか?」

 

「あぁ、いや...」

 

 今、桜の木の奥の方に何かいたような...?

 気配を感じた方を少し見てみるが、桜の木と花びら以外なにも視界には入らない。

 気のせいか...?

 奈菜も不思議に思ったのか、俺が見ている方向と同じ方向を見るが、当然なにも見つからない。

 

「ごめん、気のせいだ。行こうか」

 

「.....はい、ですがすいません。寄る場所を思い出したので先に行ってもらってもいいですか?」

 

「俺はいいけど....この先の道分かるか? なんなら戻ってくるまで待ってるけど...」

 

「大丈夫です、ありがとうございます。会話、思っていたよりは楽しかったです」

 

 ....と、言いつつも、表情が一切変わらないので額面通りに受け取っていいものか判断に困る。

 

「まぁ、とにかく、学校に遅れないようにな。じゃあな」

 

「はい、また」

 

 そう言って奈菜は今まで歩いてきた道と反対方向に歩いていった。

 歩いて間に合うのか...? もうあんまり時間ないけど。

 考えていても仕方ないか、と俺は奈菜とは反対側、学校に向かって歩き出す。

 ...奈菜、か。

 

 

 

 

 毎度思うのだが、どうしてお偉いさんの話というのはこうも長いのだろうか?

 先程まで入学式が行われていたのだが、なんの役に立つのかも分からない話を聞かされて大変なこと大変なこと。

 今は教室に移動して教師が来るのを待っているところなのだが...

 

「奈菜、間に合ったかな...」

 

「奈菜?」

 

 俺が自分の席に座りながら呟くと、ちょうど近くにいた品川が聞いてくる。

 どうも学園側の、真面目だけどがっつり楽しめる生徒が欲しい、という考えは上手くいっているらしく、その証拠に今の品川のように教室の中は自主的に友達を作ろうとしている生徒がほとんどだ。

 俺? 俺はそんなことしませんよ。どうせ無駄だし。

 

「あぁ、朝お前と別れたあとに会ったこの学園の新入生の子なんだけどさ」

 

「その子がまだ来てないのか?」

 

「多分...」

 

 もちろん今この教室の中に奈菜の姿はない。

 この学校の入学式は個人点呼や大がかりな入退場はなかった。

 なので入学式の時に、他のクラスかも、と思いそこはかとなく見回したりもしたのだが、いかんせん人が多い。

 1学年300人の8クラスともなるとさすがに全ては見切れなかった。あの目立つ容姿なら見つけられると思ったんだけどな...

 

「うちのクラスまだ2人来てないやついるから、そいつらのどっちかなんじゃね?」

 

「えっ、そうなの?」

 

「あぁ、入学式の時も席が2つ空いてたしな」

 

「へぇ」

 

「そんなことよりもさ、聞いたか? また出たんだって!」

 

「出たって何が? 野良猫?」

 

「野良猫何てその辺いくらでもいるだろうが...そうじゃなくて、《魔法事件》だよ!!」

 

「あぁ...」

 

 《魔法事件》。昔から一部で信じられている魔法、魔術、呪いなどが理由で発祥した事件の総称だ。

 どう考えてもただの人間には起こせないような事件を、それらの空想の力で行ったと思われる事件なのだが...

 もちろん、国のお偉いさん方は、そんなものは存在しない! と正面から否定している。

 だが、人の口に戸は立てられぬ、という諺通り、その事件を実際に目撃した人たちが世界各地で声を上げるため、国も抑えきれていないというのが現状、というのが俺の、というより人々の見解だ。

 まぁ、世界で上がっている《魔法事件》の全てがそうだとは言わないが、本物もいくつかあると思う。

 なので世界中の人々はかなりの確率で魔法は存在する、と認識している。

 それと同時に自分達とはどこか別世界の話だとも認識している。

 それはなぜか?

 実際に目撃した人間が『いない』からだ。

 目撃した人が主張するのはほとんど全てがネットなどの情報が集まる場所のみで、人の口から実体験を聞くことは全くと言っていいほどにない。

 たまに現場を見た、という人がテレビなどに出るが、証拠がないため《魔法事件》は都市伝説の域を出ないままに終わっている。

 要は幽霊や宇宙人とかと同じ扱いということだ。

 

「で、今回はどこでどんな現象が起こったんだ?」

 

「それが結構近くでさ! ここから近いところにある空き地で数回連続して電気がショートするのが見えたってやつがいたんだって!」

 

「...ただの電線の事故かなんかじゃねぇの?」

 

「いやいや! そいつすぐにその空き地に行ってみたらしいけど、なんか地面に一直線こげ跡があったらしいんだよ!」

 

 ...一直線にねぇ。

 

「それならなおさら電線事故じゃね? 電線の熱で地面がこげたのかもしんないし。電線がないのは気になるけど」

 

 その後も品川と議論を交わしていると、1人の男性教師が教室に入ってきた。どうやらあの人が担任のようだ。

 教師の姿を見てすぐさま自分の席に戻っていく生徒たち。品川も話し足りないような顔をしていたが、自分の席ーーーといっても俺の後ろだがーーーに戻っていった。

 そして教師は教卓の前まで来る。

 

「うーい。これから1年間担任する前田だ。まぁ、よろしく頼むわ」

 

 ....なんかすっごい気だるそうに自己紹介してるし。

 しかも身長が高いせいで余計に動きが遅く見えて気だるさが増している。

 

「じゃあ、早速だが出欠とるぞ~。あ~めんどくせ...」

 

 この人、大丈夫か...

 一瞬クラスの生徒全員の心の中がシンクロしたような気がした。

 そして前田先生は出欠をとっていって名前が『こ』まで来たとき。

 

「あ、そういえば今日1人休みだからな」

 

「何て名前の人ですかー?」

 

 前列の生徒の一人が聞く。

 

「あー、光野って女子だ。風邪らしいぞ」

 

 そう言うと前田先生は出欠を再開する。

 光野さんが風邪...これで空いている席はあと1つか。

 奈菜は名字が『深井』って言ってたからもう少しすれば分かるけど...

 まぁ、そもそも他のクラスにいるかもしれないし、俺がここまでする理由もないか...

 そう思い俺は自分の名前が呼ばれるのを待っていると、

 

「すいません、遅れました」

 

 ガラッと教室の扉が開けられ、その音に少し遅れて聞こえる透き通るような声。

 

「う、わぁ...」

 

 声の主を確認したクラスの誰かが小さく声を上げたのが聞こえてくる。

 他の生徒たちも同じように声を上げたり息を飲んだりしている。

 声の主ーーー奈菜はそんな周りの雰囲気など気にせず、前田先生に近づいていく。

 

「お、来たか深井。事情は聞いてるから大丈夫だからな。自分の席に座ってくれればいいぞ」

 

 そんな中、奈菜を前にしても微動だにしない前田先生。ある意味大物だな....

 それにしても、なんとなくそんな気はしてたけど、まさか本当に同じクラスになるとはなぁ。

 人の縁とは奇なもの乙なものとは言うけど、本当に不思議なものだな...

 

「おい、明ってば」

 

「ん? なんだと品川」

 

「いや、お前さ...」

 

「? あぁ、そうそう。さっき言ってた子ってあの子なんだよ」

 

「いや、そうじゃなくて...」

 

 言いながら品川は俺から視線を横にずらす。

 

「空いてる席って、お前の隣だよな?」

 

「は?」

 

 左隣の席をを見ると、確かに席が空いている。

 .......。

 オーケー、まずは落ち着こう。

 まずこのクラスの席は出席順だ。

 俺の隣は今日休みの光野さんなのでは? とも考えたが、俺の左隣ということは俺よりも番号が後ろということになる。

 つまり『こ』はあり得ない。そして同時に『ふ』はあり得る。というか消去法的にそれしかない。

 .....えぇぇぇぇぇぇぇ。

 いや、確かに不思議だとはさっき思ったよ? でもこれはさすがに出来すぎじゃありません? これなんてギャルゲーだよ...

 そんな風に俺が現実逃避している間にも時間は流れ、奈菜が隣の席にまで来て席に座る。

 

「...さっき振りですね、先輩」

 

「お、おぉ、さっき振り。あとそんなに嫌そうな顔しないでくれ」

 

 奈菜が小声で話しかけてきたので俺もそれに小声で返す。

 なんとか平静を保ったが、いまだに奈菜と話すのは緊張する。

 ていうか、少し話しただけで奈菜みたいな美人と話すのに緊張しなくなるとか無理です。

 

「さっき言ってた用事のせいで遅れたのか?」

 

 なのでとりあえず緊張をほぐすためにも小声での会話を続行する。黙ってた方が緊張しそうだし。

 いや、別に毒吐かれた方が落ち着くなんてことはないですよ? さすがにそこまで人間終わってないし。

 まぁ、微笑まれたりするよりは落ち着くだろうけど...

 そして奈菜は相変わらず表情を変えないで答える。

 

「それはすぐに終わったんですけど、そのあとに足を怪我した方が道で倒れているのを見つけて...」

 

「それで介抱していて遅れたってことか」

 

「はい。見捨てていけるほど軽そうな怪我でもなかったですから」

 

「...ふーん、優しいんだな」

 

 よくドラマなんかで、困っている人がいたらすぐに助けにいく人がいたりするが、実際はそんなに簡単なものではない。

 人間誰しも自分の損得を考えるものだし、奈菜が遭遇した場面で面倒と考える人もいるだろう。

 それを考えると奈菜が本当に優しいことが分かる。

 等と考えていると、奈菜が微妙に俺から距離をとっていた、なぜに?

 

「...先輩って、さっきもそうでしたけど初対面の女の子を口説いたりしているんですね」

 

「はい!?」

 

「今だってそんな歯が浮くような台詞を....正直引きます」

 

「うぐっ、悪かったな...」

 

 本気で引くな、俺の精神力が0になっちゃうじゃないか。

 実際に思ったから言っただけなのに...

 俺が軽く涙目になってると、奈菜がため息をつく。

 

「まぁ、一応褒めてくれたことは感謝しておきますよ、先輩」

 

 そう言って初めて微笑(嘲笑?)した奈菜に、一瞬見とれてしまったのは仕方ないことだと思う。

 

 




1話目、クーデレとの出会い編でした!
クーデレとは書きましたが、奈菜さん、実際のところ遠慮なしに明くんのことはあまり心良く思っていません。
好感度は生理的に無理以上、他人以下という感じです。
いったいここからどうデレるのか!? 私も分かりません!!
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