多分異端な小説なのは確か
「眠い...眠い!...眠い!!」
男は自分の寝床で声を荒らげる。そして彼は幾度となく自分に投げかけた疑問を自問し続けている。
(何故雑音ばかり!何故雑音ばかり俺の耳に聞こえてくる!)
彼は「雑音」というものに腹が立っていた。
ただし、彼の聞こえる雑音とは当たり前を体験している人達とは違う価値観の「雑音」であるようだ。
「また今日も...俺を苦しめる気か...」
彼は苛立ちを抑え、少し冷静に、いや、呆れているという状態で声を落ち着かせた。いや、落ち着けさせた、が正しいのかもしれない。
彼自身、こうでもしないと声を落ち着かせれないのを知っている。そして、その「雑音」には何を言っても無駄だと言うことも知っているからだ。
そして、男はいつもの後悔を自身に問う。
「何故あの時にコレをなんとかしなかったのか」
と。返ってくるのはいつもの沈黙。思考すら消え去るような沈黙。そう、この問いに答えはない。いや、男がこれに回答出来る答えは持ち合わせていない、のが正しいのだろうか。
彼は、諦めた様子で寝床から起き、電気を付け、少し離れた場所にあるテレビに向かって歩いた。そして、彼はテレビを当たり前の様につけようとした。だが、体はその当たり前な事をさせてくれない。突然、周りの雑音が消える。そして、雑音が消えるだけではなく、自身の音さえも聞こえなくなった。
(またか)
と先ほどとは違い男は冷静のままに目をつぶった。まるでそれが自身の「当たり前」のように。
すると、彼の耳に音が戻り、また彼の言う「雑音」が戻ってきた。だけど、今回は男が「不快に思うような音」ではないのか、それとも「不快に思うような音量」ではないのか、彼は深呼吸を出来る程の余裕を保っていた。
そして、テレビをつけニュースを見るためにテレビをつけ、チャンネルを合わした。だが、男は一言、本来口にしない言葉を言う。
「今日のニュースキャスターは形も色も違うな」
と。
やはりと言うべきなのか。彼には「当たり前」が通じていないのであろう。
彼の目には、人と呼べるものが写っていない。しかしニュースキャスターと言うものは写っているようだ。
人間とは本来、ひと括りにされているが細かく分けることが出来る。どうやら彼にはその「人間」というものを細かく分けれるように特化しているのであろう。だが、私達が思うような人間は、写っていないのであろう。
私の推測なのだが、彼の目には図形の様な物がくっついてるように見えているのだろう。だが、これはあくまで私個人の推測であり正解ではないのである。
そして彼は、一通りニュースを聞いた後、また寝床へと向かう。どうやら今回は、彼の言う「雑音」が邪魔している様子もないようだ。今度は一つも文句を言わない様子で、睡眠の世界へと、意識を落としたようだ。