レッド「何というか」 作:丹近
グリーン「…何だよ」
レッド「いやー、あっはっは」
レッド「結局、」
レッド「…僕らの旅って何だったんだ、と思ってさ」
グリーン「…はあ?」
レッド「…僕らが旅を始めた頃はさ」
レッド「ポケモンマスターになるぞーってでっかい夢を掲げて、無我夢中に走り続けてた」
レッド「博士も母さんも、喜んで旅に出させてくれたし」
レッド「何も不満なんてなかった」
レッド「沢山の人と戦った。途中で意見が食い違ったり、なんて事もあった」
レッド「ブラウン管の向こう側にありそうな、悪の組織もあった。…ロケット団だっけ、ちょっとおぼろ気だけど」
レッド「ロケット団を潰して、色々な人から感謝された」
レッド「その頃から思ってたんだ、もっと強くなりたいって」
レッド「強いトレーナーと戦って、強い野生のポケモンと戦って」
レッド「各地のバッジを集めて、レベルも高くなって」
レッド「チャンピオンロードの前で、グリーンと戦った時」
グリーン「…」
レッド「びっくりしたよ、ライバルがこんなに強くなってたなんて」
レッド「四天王を倒して、よーしチャンピオンだーと思ったら」
レッド「グリーンがチャンピオンになってたっていうね」
グリーン「いや良いだろ別に」
レッド「…まあそうなんだけど」
レッド「僕が勝って、チャンピオンになって」
レッド「でもリーグを突破してまた思ったんだ、もっと強くなりたいって」
レッド「それこそ、夢だった『ポケモンマスター』になりたいって」
レッド「…ジョウトにも足を運んだ」
グリーン「…」
レッド「ジムを突破して、知識もついて」
レッド「…それで分かったんだ」
…僕はもう、上にはいけないんだって
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~シロガネ山~
ゴールド『本当に、それが全力ですか?』
目の前には黄色い少年。腰のボールはピクリともしないまま
レッド『…ああ』
挑発をされたようで、少し気に障ったけど
ゴールド『…叩き潰すなら全力でやってくださいよ、適当に倒されるのも癪なんです』
…
レッド『…悔いは、ないのか』
ゴールド『…悔い?ふっ、悔い…ねえ』
諦めを見せて。
ゴールド『そんなモン』
吐き捨てるように。
ピカチュウ『…』
レッド『…』
ゴールド『あるに決まってんじゃ無いですか』グスッ
最後に、悔やんだような顔をして。
レッド『…………………………………』
…何故か、昔を思い出してしまった。
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レッド「…ジョウトでさ」
グリーン「ん?」
レッド「ロケット団が復活してたのは知ってるよな?」
グリーン「…まあ、勿論」
レッド「…そのロケット団を潰したのも、一人の少年だったらしい」
グリーン「…」
レッド「…何処か重ねてたんだろうね、その少年に」
レッド「…思ったんだ」
グリーン「…」
レッド「悪を懲らしめるってだけなら誰でも出来るって」
レッド「僕がやってきた全ての事は、誰でもやれば出来る事なんだって」
レッド「…本当に、さ」
レッド「何だったんだよ、僕の人生っ…!」
グリーン「…」
グリーン「…それ、ポケモン達に言えるか?」
レッド「?」
グリーン「やって来たことは全て無駄だったって」
グリーン「意味のない事をしていたって」
グリーン「…そいつらに言えるのかって言ってんだよ」
グリーン「そいつらと歩いてきた道が、…全て無駄だったとか思ってんのかよ」
レッド「…」
グリーン「…はー、何言ってんだろ俺」ガシガシ
グリーン「誰にでも出来る事をやった、それは確かにそうだ」
レッド「…」
グリーン「けどな、誰も持ってなかった『勇気』と『屈しない強さ』、『優しさ』を持ってたんじゃないのか」
グリーン「ポケモンを心の底から愛していたからこそ出来た事だろ」
グリーン「ポケモンと一緒に戦って、一緒に気持ちを分かち合って」
グリーン「それでも、旅に意味がなかったって思うのか」
レッド「…」
レッド「…そうだな、僕が馬鹿だったみたいだ」
レッド「前みたいに、ポケモンの事を思いやって…ゆっくり、愛情を深めていきたい」
レッド「…決めたよ」
グリーン「何を」
レッド「グリーンと話してたらさ、不思議とあの頃を思い出して…
…また、旅をしたいと思った」