東方棒人録   作:壱初戸

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こんにちは。初めまして。
棒人間ってかっこいいよね。
という事で始まります。


おはようございます。

ふと目を覚ますと深い森の中に居た。

 

 

 

 

 

「………………………は?」

 

あれ?ちょっと待て。

 

俺はこんなところに来たおぼえはない。

 

俺は昨日………ん?

よく覚えていない?

「とりあえず、此処がどこかっ……!!?」

この状況を確認しようと、ふと手元を見た

瞬間に俺は驚愕した。

 

 

 

 

……手が黒い……真っ黒だ……!?

それだけじゃない。

手首から続く俺の腕、肘、体、足が異常な程に

細いのだ。鉄パイプ程しかない。

しかもそれらは人の肌とは程遠い、

ペンキで塗られたような

真っ黒な色をしていた。

 

「う…うあ…!」

なんだ?一体俺に何が起こっているんだ?

 

その瞬間、後ろの方からガサガサという

音がした。

 

こんな森の中だ。猛獣の1匹や2匹いても

おかしくない。

 

そのことを理解した瞬間、俺は背を向いて

全力で逃げ出した。

 

しかしこんな足では当然上手く走れない。

何度もバランスを崩し、転びながらも、

俺は走るのを止めなかった。

 

「はぁっ…!はぁっ…!嫌だ…嫌だ嫌だ!」

夢だこれは絶対に。

もうすぐ目が覚めるんだ!

 

走り出してから何分経っただろうか。

俺は森を抜けだし、

湖のほとりに立っていた。

 

「あ……水……。」

 

何分も走っていたのだ。

俺の喉はすでに乾ききって、

水を強烈に欲していた。

 

「みず……」

 

そして飲もうという時、俺の体は止まった。

 

このまま水を飲むという事は、

水面に映った自分の顔を少なからず

見てしまうという事だ。

 

果たして、

今自分はどんな顔をしているのだろうか。

こんな針金のような体だ。

恐らく顔も人間の顔では無いのだろう。

 

俺は怖い。

 

見たくない。

 

でも…見なければならない。

 

俺は恐る恐る水面に顔を写し出した。

 

「うあぁっっ!ああああ!!」

 

なんという事だ。

俺が意を決して覗き込んだ自分の顔。

その真っ白な顔には

髪も、目も、鼻も、耳もない。

あるのは今叫び声をだした口だけ。

 

そう、俺は棒人間になっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

あれから何時間経っただろう。

俺は木を背もたれにしてしばらく座っていた。

これからの自分の身の安全、住んでいた家、家族。

その事をしばらく考えていた。

「だれか…説明してくれよ…誰か…誰か…!」

1人は嫌だ!

 

しかし当たり前のように誰も返事をしない。

 

(ならばよく詳しく書いている紙とか神様がくれないかな…)

 

とか訳のわからないことを考えている俺に奇跡が起きた。

いきなり目の前に紙が現れたのだ。

「うおわっ!」

(びっくりした…なんだよこれ…)

まさか本当に神様が…とか考えつつ、その紙をゆっくり手に取り、

内容を確認する。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

君は、前世で一度死に、棒人間の姿でこの世界に転生した。

この世界は妖怪や神がいる世界。"東方プロジェクト"の世界だ。

君は1つ能力を持っている。

それは"形成する程度の能力"…つまり物を0から作ることが出来る。

しかしこの能力には制限がある。

その制限とは。

 

無尽蔵に形成出来るのは、飲食物、住居、気、のみである。

それ以外は1日に1つしか形成出来ない。

 

と、いう物だ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「…東方プロジェクトって架空の物じゃないの?」

よくわからない。謎だ。てか何だ能力って。

中二病こじらせてるみたいじゃねーか。恥ずかしいわ。

とか、そういうことを考えているうちに、再び森の方から

ガサガサという音が聞こえた。

「うおっ!」

声を出してから俺はしまった!と思った。

自分の位置を知らせているようなものだからだ。

するとガサガサという音が一層強くなった

こちらへ向かってきている!

もう逃げ出す体力もない。

や…やばい…死ぬ…死ぬ…死ぬ…。

死、という文字が俺の頭を占拠し始めているときに。

「そこか?そこにいるのか?」

という声が聞こえた。

途端に体の力が抜ける。

人だ。人がいたんだ。

「おーい!ここだ!ここだ!」

目一杯声を張り上げる。

もう疲れた。早く人に会って、安心したい。

そんなことを考えていた矢先に、俺は信じられないものを見た。

森の中から現れたものは体調3メートル、筋肉隆々、顔が豚の

化け物だった。しかも手には大剣を持っている。

「んん?ブヒュヒュ!随分と貧相な体をしているなぁ!

まあいい。俺の今日の晩めしはお前で決まりだ。」

たいして腹は膨れないだろうがな。

そう言いながら豚の化け物はズン、ズン、とゆっくりこちらに

歩んでくる。

「う…あ…」

 

俺は期待を裏切られ、しかも今食われようとしていることに

絶望の色を隠せなかった。

(た…戦わないと…死ぬ…でもこんなやつ、勝てる訳がない。

どうすれば…あぁ…俺に力があれば。)

そこまで考えたところで、俺は思い出した。

あの紙に書いていたことをだ。

あれによると、俺には形成する程度の能力があるはずなのだ。

その中で無尽蔵に生み出せる物の内で、気。という物があったはず。

それを使えばエネルギー波とかで奴を倒せるんじゃないか?

不思議と頭はよく動いた。

俺は手に力を込める。するとどんどん力が溜まっていくのがわかる。

いける!このブヒュブヒュ言ってる豚野郎を葬ってやる!

「どうしたぁ?抵抗しないのかぁ?」

そんな事を考えている間に、

奴との距離はすでに4メートルを切っていた。

「言われなくても…」

俺はかめはめ波のような形で腕を前に突き出す。

「死ねやぁぁぁぁぁ!!!」

思いっきり力を込めた"気"を豚野郎に放出させる。

物凄い爆音と光が俺と豚を包んだ。

「ぷぶぁぁぁ…」

「うおおおお!!」

まだだ、まだ死んでないかもしれん!

「だぁぁぁぁぁ!!」

さらに力を込める。

もう光が凄すぎて前方がよく分からないが多分効いてるだろう。

「うりゃ!!」

トドメとばかりに俺は特大のエネルギー波をお見舞いした。

物凄い爆風により俺も吹き飛ばされた。

「うおおおお」

すぐさま体勢を立て直す。

「よっしゃ!死んだだろ!」

俺はかつてない達成感に満ち溢れていた。

それはゴキブリを駆除したような感覚に似ていた。

そして煙がはれて、後に残った

光景を見た時俺は絶句した。

ない。無くなっている。

俺がエネルギー波を放った方向には、森林の緑は消え失せ、

代わりに土の黒色だけが残っている。それが地平線まで続いていた。

「やべぇ…やり過ぎた…」

 

 

 




はい、ありがとうございました。
短いですね。はい。
次回からは東方キャラを出したいなと思います。

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