幻想の世界で夢を追う   作:ハロルド

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予約投稿です、けーね先生は私の中ではこんな風


ー2話ー

「…………」

「…………」

「シャンハーイ!」

「ホラーイ!」

 

 

気まずい。

 

 

この上なく気まずい、幸いにも人形たちが騒がしくしてくれているお陰で少なからず気まずさの緩和にはなっているものの、結果として気まずい事には変わりない。せめて人形たちの言葉が俺にも分かれば会話の糸口にもなるんだが、少女は何故分かるんだろう。やはりインテリなのか、俺と違いインテリなのか。中退舐めんなチクショウ。

 

 

俺に対人スキルが無い訳ではないんだが、とにかく初対面だ、しかも可愛い女の子だ。ここ重要。下衆な考えではあるが、仲良くなりたいと思うのは男としては当然だろう?

しかし、とにもかくにも話題がない。話題のチョイスを失敗するのも嫌だから慎重になってしまうし。仕方が無い、とりあえず適当に話題を振って話を繋げる所から始めよう。

 

 

「そういやさ、今って何処に向かってるんだ?」

「さっきも言ったかもしれないけれど人里、人間の居る所よ」

「……気になったんだが、その『人間』って物言いはどうかと思うぞ。まるで君が人間じゃないみたいだし」

「…………」

 

 

え、何ですかその不自然な沈黙と会話の終了は。確かに目の前で動き喋る人形が居るんだから人間じゃなくても不自然じゃ……いかん、俺の中の常識が危うい。

しかし初めて見た時に彼女を人形と見間違えた程だ、もしかしたら人形の化身だとか人形の神様とかそんな存在なのかもしれない。それともアレか、呪いの日本人形Ver.西洋か。夜中になると髪が伸びる的な、この場合は夜中になると人形に戻る? ホラーでも何でもねぇな。

 

 

それよりも人里、か。彼女も言っていたし、名前から察するに街みたいなものだよな。周りが田舎っぽいから村の可能性もある、もしかして本当にあのヤーさんみたいな奴らに連れられてきたんだろうか。彼女は実はボスの娘とかで、この人形もロボット。俺は娘のご機嫌取りのために遣わされ、一生を下僕で過ごす………何処のドラマだろうか。

だとしたら色々と納得できてしまう部分もあるのが何とも言えない。ここはその娘専用の避暑地なり別荘なりで、人里というのは娘専用の街で人は皆、関係者……そんなことは無い、と良いのだが。というか金が掛かり過ぎだよな、そんなの。

 

 

「ねぇ」

「……ん?」

「あなた……この子達をどう思う?」

「この子?」

 

 

と、彼女が指差す先には俺たちを先導する人形2体。人形をどう思うかと、聞かれても可愛いんじゃない? くらいにしか思えないのが俺である。感受性が低いのだろう、それに正直なところ動いたり喋ったりで現実味がないため何とも言い難いものだ。彼女は否定したが、ここはまだ俺の妄想の世界ではないかと密かに思い続けている位だ。むしろそれ以外にこの状況を的確に説明出来る言葉が俺の貧弱な語彙にはない、次点で夢というのが関の山。

 

 

なのでそのまま、正直に「特には何も」と俺の現実逃避気味な思考を口に出してみた。それに対する返答も簡潔なもので「そう」の一言のみ。もうちょっと何かあっても良かったのではないかと感じるが、これは無関心な俺が悪い。何時だって、男と女が居れば悪いのは男の方だ。世知辛いな、今まで幾度となく痴漢や変態、露出狂やら強姦魔に間違えられて誤認逮捕を受けた俺だから。……しかも謝罪の言葉もなく「紛らわしい」と逆に俺が怒られる始末、世の中の不条理を呪ったね。

 

 

そして変わらず会話なく、それでも俺からポツポツと声を掛けつつ彼女が返す。それを繰り返して幾らか彼女の事も分かってきた。

 

 

彼女、名前はアリス・マーガトロイド。さっきの森に家があり、そこで人形を作りながら趣味に没頭しつつ暮らして居るらしい。人里へはちょうど食料の補充をしなくてはいけないため、俺をついでに案内してくれるそうだ。

2体の人形、シャンハイと叫ぶのが上海。ホライと叫ぶのが蓬莱。名前そのままな声に笑いを堪えられずに居ると、私も何でこうなったのか分からないと苦笑しながら肩をすくめていた。中国に所縁があるのか? と聞いてみれば中国って何と返される。

 

 

これには驚愕した、今を生きていて中国を知らないなど余程の世間知らずかはたまた幼児か老人くらいなものだと思ったが。やはり箱入りのお嬢様説は正しいのだろうか、半ば冗談で考えたのに。だとしたら俺はアリスと共に残りの一生を費やす……それも悪くないかもしれないな。

なんて思ってしまう程に、俺はアリスに対して好意を寄せていた。見た目よし、性格もよし、それに話していて楽しい。これで好意を抱かない奴なんてゲイか美的感覚が特殊か女かの三択だろう。女の嫉妬は怖いというし、女の喧嘩は醜いとも言う。かく言う俺も昔……

 

 

「……伏せてっ!」

 

 

ドンッ、とアリスに突き飛ばされて地面を無様に転がる。途端、大音量の映画でも見ているのかと言わんばかりに、何なのか分からない音が耳につんざいた。直後にハリウッドさながらの爆発音を響かせて、その声量の発生源は徐々に遠ざかっていく。この10秒にも満たない間に一体何が? 情けなく地面に俯せになってしまっている俺は恐る恐る顔を上げた。

 

 

「……アリス?」

 

 

見えない、原因は分からないが煙がモクモクと立ち込めていて視界がとても悪い。数センチ先を見る事すらおぼつかないが、かろうじて人影らしきものは確認出来た。おそらくアリスだと思うが……先ほどの大音量と爆発音は何だったのだろうか。もしやご令嬢の命を狙った自爆テロ? だとしても近くにいる俺に被害が全くないというのおかしな話だ。

 

 

「ふぅ、危ないところだったわね?」

「………?」

「あなた、今襲われかけたのよ」

 

 

襲われ……? 何故俺が、やはりアリスだなんてボスの娘を軽々しく呼んでしまったからシメられそうになった? だとしたらアレか、お嬢様とお呼びするべきか。アリスお嬢様、って傅きながら恭しく接する……俺としちゃあ嫌だよなぁ。それにアリス自身も特に何も言わなかったし良いんじゃないだろうか、しかもさっきの爆発らしき何かから俺を助けてくれたようだし。嫌われてはいないと盲信しよう、うん。

 

 

そんな事があったからか、先程よりは口数少なに。会話も少々ぎこちなくなってしまった、アリス……お、お嬢様には大変不審がられてしまい申したがおいどんはこれでも精一杯にやってるんでありんす。自分でも何言ってるか分からないんだが、どんだけ挙動不審なんだよ俺。

 

 

何だか当初よりも気まずくなってしまった空気の中、前方を指差しながらアリスが人里だと告げる。しかし俺には何も見えない……眼、良いね。やっぱこんな自然に囲まれてると自然と良くなるのかな。お、今俺上手いこと言った? 座布団2枚は貰えるだろコレ、7枚集めたらハワイ旅行だぜ。

なんておちゃらけた冗談はさておき、デカイ。なんかデカイ。なにあれ城下町? って感じにデカイ、城はないがとにかくデカイ。小さくない、デカイ。一言で表すならデカイ。一つ一つの建物はそうでもないが全体的にデカイ。しつこいようだがデカイ。最後にもう一度、デカイ。

 

 

何やらもの○け姫に出てくる村みたいな門を潜り抜けて、人里の中へと。……意外、と言っては失礼だが外観に比べれば発達している。外観がモロに「人里」だったのでイメージとしては江戸時代といった具合なのかと想像していたが、先から通る道々にカフェやら花屋やらが存在していた。まぁ思ったよりは田舎ではないようだ、これならここで暮らすにしても不自由はなさそうだ。アリスも居るのだから当然かもしれないが、普通の人もたくさん居る。皆が皆、着物を着ている点については田舎なのを実感したけれども。

 

 

「アリス、人里とやらに着いたみたいだが……これからどうするんだ?」

「寺子屋……分かるかしら。勉学の場ね、そこに用があるの。もう少しだから付いてきて」

 

 

スタスタと俺の数歩先を行くアリスに送れないよう付き従う。………あ、普通にアリスって言ってしまった。まぁ慣れないし、良いだろう。何やらすれ違う人という人がこちらを振り返り、チラチラと見てくる。何故だ、そんなに俺が珍しいのか。やはり顔か、顔なのか。チクショウ俺だってイケメンにさえ生まれていればだな、今頃はジャ○ーズにでも入ってたんだよ。

いや違うか、アリスのせいか。アリスがボスの娘だから皆さん動向に眼を光らせてるんだな? なるほど、これで俺のボス娘の説が更に信憑性を帯びてきたぞ。それに可愛いしな、関係ない人が混じっていても見てしまうだろうな。事実、何人かの男が顔を真っ赤にしているのを確認、俺を視認した瞬間に親の敵とばかりの敵意と殺意の視線を送り込んできたが。あのヤーさんには敵わないな、あれはマジで鳥肌が立つ。

 

 

と、そうこうする内に武家屋敷とでも形容すべきな建物の前でアリスが立ち止まる。俺もアリスにつられてそちらを見やると、門の横に「寺子屋」と書かれた木の看板が。確か数少ない学校の記憶で習った覚えが。先のアリスの説明と照らし合わせるに、要は学習塾と言った所か。随分と古風な言い回しだか和風を好むのだろうか。

と、いきなりキィと軋みながら木製の門が片方開く。中から出てきたのは……なんというか、珍妙な帽子を頭に乗せた知的な女性。身につけた青が映える髪色をした、妙齢の美しい人だ。

 

 

こういうタイプも良いなぁ、と。アリスに鼻の下を伸ばした身ながら浮気さながらに他の女性に見惚れてしまう。別に付き合っている訳でもないし、アリスが俺に特別な感情を抱いている訳ではないので俺のこの罪悪感も場違いな感情ではあるのだけれど。

するとその女性は門の前に居る俺たち2人に気付いたのか笑みを浮かべて「こんにちは」と挨拶をしてくる。俺もつい頭を軽く下げて「こんにちは」と返す、同じタイミングでアリスと言ってしまい声が被る。思わず顔を見合わせて、お互いに軽く苦笑。

 

 

「ふふ、仲が良くて羨ましいですね。アリスさんと……そちらは、始めましてですか。私は上白沢慧音、この寺子屋で教職の鞭についている者です。以降、お見知りおきを」

「あ、これはこれはご丁寧に。えっと俺は山田耕平って言います、しがない企業の歯車です。こちらこそよろしくお願いします」

 

 

……ヤマさんの会社、やっぱ買収されてんのかな。なんか申し訳ないな、もしかしたら俺のせいなのかもしれない訳だし。

まぁそれはさておき、お互いに自己紹介と挨拶も済ませた訳なのでアリスに目線を寄こす。コクリと頷いてアリスは上白沢さんに向き直る。

 

 

「今お互いに自己紹介したけれど、この人は山田耕平さん。おそらくは外来人だと思うわ」

「……なるほど、それで私の所へ?」

「えぇ、私はあまり説明とかは得意じゃないもの。その点あなたならそういうの得意でしょう? 慧音先生」

「……普段呼ばれない人に呼ばれると、なんとも言い難い違和感を感じますね。まぁ良いでしょう、立ち話もなんですし中でお話しましょうか?」

 

 

……え? ちょっと話に付いていけないんだが、とりあえず初対面の美女の家に上がり込めるようだ。ラッキー

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、ハロルドです

正直に申し上げますと、途中から上海と蓬莱が無言になったのは失念です。投稿してから気が付きました
なので「空気を読んだ」「実は人里に着いた時点でフラフラと何処かへ行った」とでも思ってもらえれば

それとカフェやら花屋やら、については求聞史紀の目撃情報や補足の覧に書かれていました
慧音先生は確か二次では鉄板の組み合わせである妹紅にすら敬語だったと記憶しているためこんな感じに、おかしな点はご指摘くだされば嬉しいかと

ちなみにハロルドは東方を風神録easy2面ボスで死にます、萃夢想が友達に1勝も出来ません、非想天則……非想天の方だったでしょうか? をお空で死にます、神霊廟は2面道中で死にます
そんな雑魚プレイヤーです

ではでは
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