「なるほど……分かった、様な分からない様な」
「無理もない。今までにも何人か外来人は居ましたが、大半が我々の言葉を信じずに不用意に外へ出て帰らぬ人となったりしましたので。ゆっくりと、飲み込んでもらえば良いかと」
「そういえば、前に来たあの人はすんなり納得してくれたわよね。凄く元気だったし、結局すぐに帰されちゃったけれど」
現在、寺子屋の居住スペースの居間にてお茶をすすりながら状況説明をされた所。とりあえず、あまりにも現実離れしているために大掛かりなドッキリではないかと疑っている。言うまでもなく、俺の妄想説が最有力な訳だが。
だって考えてもみてほしい。いきなり「ここは幻想郷、忘れ去られたものたちが最後に行き着く幻想の郷。あなたの居た外の世界と陸続きではありますが、結界に隔てられた隔離空間です」だなんて言われたら。真っ先に相手の頭を疑うのが普通だろう、それとも自分自身がおかしくなってしまったか。確かに目の前で動いたり喋ったりの不思議人形なんかを見ている以上は、「ここ」はそういう場所なのかもしれない。しかしそれが本当なのか妄想なのか、それで意味合いはまた変わってくる。
「理解し難いでしょうが……受け入れてくれると、私としても嬉しい。先程も言ったとおり、信じずに死んだ者の数も決して少なくはないのですから」
「……あー、まぁ、うん。受け入れるかどうかはまだ微妙だけど、とりあえず否定はしないよ。これから自分で見聞して確認してから結論付けるさ」
「そうですか! あぁ、断られないだけでも嬉しいです……」
……可愛いなー。何だろう、アリスといい上白沢さんといい。俺がここに来てから出会った女性は可愛い所が揃い踏みだ、今までにも女優なんかを「可愛い」「綺麗」なんて漠然とは思っても、ここまで本気で思ったことはない。上白沢さんの言うことが真実なら、幻想郷とやらは美人の集う男の楽園なのだろうかとすら思える。永住しても良いかもしれない、仮に異世界でもマフィア説でも。妄想なら尚のこと以下略。
そう言えば近づいてみて分かったけど上白沢さんって意外と背、低いな。見た目は大人な妖艶おねえさん風味の人だったけれども、隣に並んでみれば俺の肩よりも低く胸の位置程度の身長だった。しかしその割に胸はそれなりにある……将来有望なのだろう、ここは是非とも揉んで大きくしたい所だが。それが上手くいくのはイケメンだけだし、そもそも揉んで大きくなるのは女性ホルモンの分泌によるモノ。そして分泌させるためには好意を抱く異性にされなければ意味がないため、初対面の俺にその法則は適用されずにセクシュアルハラスメントの容疑でお縄なのは確定だろう。
そういやアリスは実は「魔法使い」らしい、魔法使いと言うと俺としては「お○ャ魔女どれみ」だとかをイメージしてしまう訳だがアリス曰く「七色の人形遣い」らしい。つまりこの人里に来てからはやけにおとなしい人形2体もアリスの作であり、アリスの操作で動く半自律人形なのだとか。そう考えるとあの人形同士の会話は何だったのか……1人遊び?
「まぁ、とりあえず状況確認は出来たかしら?」
「あぁ、ここまで連れてきてくれて有難うな。あの道中でも、俺を妖怪から救ってくれたらしいし……優しいな」
「別にそんなつもりはないのだけれど、まぁ私は元・人間だから。同じ人間のよしみと言うものよ」
「……元・人間?」
「そうよ、実はかくかくしかじか」
「まるまるうまうま、なるほど。人間が修行して魔法を極めると魔法使いって種族になるのか」
「えぇ、魔力を使えば食事も睡眠も要らなくなるわよ?」
何だその便利な身体、俺も仕事してる時にそんな身体してたら今頃は念願の一軒屋を買えていたかもしれない。あくまで借家になりそうだけれども、それでも今のお情けで与えられた家よりは遥かに住み心地が良いことだろう。
……どうせ、俺の事なんか微塵も覚えていないだろ。あの男と俺の産みの母はよろしくやっていて、俺が居なくなったのも「負担が減った」程度にしか感じずに。まさに親としてはクズの部類。
「さて、話も一段落しましたかな? それで……山田さんはこれから如何するお積もりでしょう?」
「あー、そう言えばここじゃあ俺って戸籍も家も仕事も金もないんだよな。……どっか住み込み出来るバイト先とか無いかな?」
「……ふむ、山田さんさえ宜しければ私の寺子屋で手伝いを申し出たい所ですが」
「……ゲッ、教師か? いやぁ実は俺、勉強とかせずに仕事ばっかしてたから学ないんだよ」
「そうですか、残念です」
チクショウ、こんな時こそ学力がモノを言うのかよ。バイト経験は豊富だから道中見かけたカフェなんてのもアリだけど、住み込みは無理だろうな流石に。焼肉屋なんかは割とバイト歴長いけどここにはどうやら無さそうだし。やばい、もしかして死ぬのか俺。せっかく助かった(?) と言うのに野垂れ死ぬだなんてシャレにならない。
アリスと上白沢さんを交えて3人寄れば文殊の知恵を体現しつつ、結果やはりカフェで働きつつ住む場所を探そうという結論に至った。数日程度で良ければここで寝泊まりしても構わないという上白沢さんの有難い菩薩か女神かはたまた天女かとおもわせる慈愛溢れるお言葉に感涙しつつ、気付けば「ありがとう」と何度も繰り返し言い続けている俺が居た。
「……どうしても困ったら、私の家に住まわせてあげても良いけど?」
「え!? い、良いのか?」
「まぁ1人より2人の方が良いでしょうしね。それに、外の世界の話も聞かせてもらいたいし」
アリスの優しさに、全米ならぬ俺が泣いた。むしろ咽び泣いた。なんだか上白沢さんとアリスの優しげな視線がいたく気恥ずかしい。ドラ○もんで言う所の「なまあたたかい」感じだ。実際にやられると中々これは精神的にクるものがある、○び太は良くこれを耐えられたな。
(あ、でも山田さんって魔法の森に入れるのかしら? たまに平気な人はいるけど、結局あの時は森の外にしか居なかったから分からないわね。……まぁ、その時はその時か。瘴気を遮断できるアイテムでも作ってみようっと)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
なんて事があり、上白沢さんにお礼を言いつつ、とりあえずカフェへ。アリスは買い物をして帰るというのでここでお別れ、「私の家は森の中にあるから、場所は彼女にでも聞けば分かるわよ」と言って去って行った。そして上白沢さんに連れられてカフェへ、俺にカフェでのバイト経験があった事と上白沢さんの口添えのお陰の甲斐もあってか、割と簡単に就職は決まる事に。どうやら上白沢さんはこの人里でかなり信頼されている様だ。
店主は「最近は吸血鬼などの影響なのか、徐々に西洋文化も受け入れられてきた」との事。
吸血鬼というのも気になるが、おそらく名前通りで想像通りなんだろう。危険だから近づかない方が良いと釘を刺されて、戻る。明日からさっそく入ってもらうとの事なので今日は早めに寝るべきか。
何やら「就職祝いに今日はご馳走を出しますよ」と言われて改めて泣いた。ここの住人が優し過ぎて俺の涙腺が脆い、このままでは鉛筆が転がるだけで泣いてしまうんじゃないだろうか……?
上白沢さんの家は寺子屋の右隣、その寺子屋に負けず劣らず立派な平屋だ。入った所で、先の寺子屋とは違う生活臭を感じる。前から用意してあるのか美味しそうな煮物、少々ながら使い古されたであろう木とい草の香り。……それと、女性特有の心地よい甘い香り。上白沢さんのものだろうなと考えながら静かに深呼吸をしてしまう自分が悲しい。
「……? おかしいな、朝出る時に料理はしまっておいた筈だが。……まさか!」
「あ、ちょ、上白沢さん!?」
何かに気が付いたのか、上白沢さんはいきなり猛然とダッシュをして匂いのすると思わしき方角へ消えていく。慌てて俺も後を追い、着いた先は大きな机のある居間らしき場。おそらく食卓なのだろう、何故ならーーー
「おっ、慧音。先に頂いてるわ……ん? 見ない顔ね」
ーーーもんぺ姿の少女が、その卓で食事をしていたから。
「へぇ、あなたも外来人なのね。あ、わたしは藤原妹紅。苗字で呼ばれるのはあんまり好きじゃないから「妹紅」って呼んで良いわよ?」
「おー、よろしく妹紅さん。おれは山田耕平だ。本名で呼ばれるのは嫌いだから、こーちゃん☆ とでも呼んでくれ」
「分かったよ、こーちゃん☆」
「よろしく、もこりん」
「おい!?」
「ははは、悪い悪い。よろしくな妹紅さん、俺の事も普通に名前で呼んでくれよ」
「ったく……よろしくね? 耕平」
軽くコントのようなやり取りを交わしつつ挨拶して、握手を。ボケに返されて思わずボケ返したが意外とノリの良い子だった、バラエティ番組は良く見てるからこういうやり取りは好きなんだよな。
なんだか仲良くなれそうな気がする、こういったタイプの友人は男ばかりだったから……女の子というのは新鮮だ。しかも可愛い、やはり幻想郷は美人の集う以下略。
「……驚いた、妹紅が初対面の人と意気投合しているとは」
「いやぁ、何か妙に絡みやすいのよね……」
「相性が良いのかもしんないぞ?」
「そんなものですか……?」
いぇーい、とお互いに笑顔でハイタッチ。妹紅さんは背が低いため俺はどちらかと言うとロータッチな訳だが、まぁ楽しいから良しとしよう。それを見て何とも言えない顔で唸る上白沢さんが印象的だった。
そして当初の約束通りに夕食タイム、とは言っても妹紅さんがお先に頂いてしまったためにおかずは少なめで。それでも天ぷら、筍の煮物、イワナの塩焼き、白米と純和風で充分に食べ応えのあるメニューだった。どうやら筍は妹紅さんが採ってきたとか。
ここ人里から南東へ行くと「迷いの竹林」なる場所がある。名は体を表すと言うが正にその通り、どちらかと言えば体を名で表したと言うべきだと上白沢さんは語る。そこに漂う不思議な力により方向感覚が狂わされ、一度入れば出る事は叶わないらしく、滅多に入る者は居ない。
妹紅さんはどうやら外見不相応に長生きをしているらしく、「もう慣れたわよ」と自分の庭感覚で歩き回れるらしい。何かの妖怪なのかと聞いたが苦笑して答えてはくれなかった。
それと空を飛べば普通に行けるとも言っていた。空を飛ぶとかロマンだなぁ……俺も飛んでみたいが普通の人間には無理だろうと上白沢さんに一蹴されてしまった。残念だ、非常に残念だ。妹紅さんも飛べるしアリスも飛べる様なので、何時かは……!
どうやら妹紅さんも今日は上白沢さんの家で泊まる気らしい、アポ無しで来たらしく上白沢さんも少し困っていたが何だかんだ言いつつも泊める。この辺りに2人の仲の良さが伺えて微笑ましい、思わずニヤニヤしていたら「……きもっ」のお言葉を妹紅さんから頂いて傷付いたのは内緒、主にアリスとか。
その後は普通にお風呂を借りて就寝、着替えとして着物を貸してくれたが……何故、男性物の浴衣があるんだろう。どうやら上白沢さんは既婚者という訳でも無さそうだし、今まで俺みたいな外来人がちょくちょく居たらしいのでその名残だろうか。何はともあれ、今日は疲れた。おやすみなさい……ぐぅ。
どうも、ハロルドです
とりあえず主人公のキャラが作者にも掴めないです、山田耕平くん、あんたキャラを掴ませない程度の能力でも持ってるんすか……。自分では一貫して「普通の人」を書いてるつもりなんですが、やはり達観し過ぎだったり冷静過ぎたり高校中退のくせに知識豊富だったりするのでしょうか
それともオタク過ぎますかね言動
アレですよね、慧音先生の身長っておよそ153cm以下(らしい)ですよね
あくまで推測を参考にしただけなのですが
ちなみに主人公は背、高いです。作者と同じ身長です
それと慧音先生の口調は丁寧で堅苦しいけれど名前をさん付けってのはおかしいでしょうか、原作で永夜をやってないので二次でしか分からなくて
そしてもこたんキャラ崩壊……してるのかは分かりませんが、人見知り感は薄れてます、一応大百科と求文史紀を資料にせっせと書いてますが
ではでは