幻想の世界で夢を追う   作:ハロルド

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予約投稿、そしてこれでストックは打ち止め


ー4話ー

ううん、とくぐもった声を発しながら眼が開く。まだ少しだけ頭が鈍いのか、上半身を何とか起き上がらせたても未だに目の焦点が定まらない。口内に溜まった唾がとても不快だ。起床した直後の口内には菌がウヨウヨしていて、排泄物のおよそ10倍の不潔さがある。そんな口で朝食などおぞましい事この上ないので仕方がないのだろう。

 

 

などと取り留めのない事を考え始めて数分ほど経過しただろうか? 段々と頭も覚醒してきた様で、布団からノロノロと身体を出して布団をたたみ始める。そこで周囲をキョロキョロと見渡して首を傾げる。周囲の景色に見覚えがないのだ。そこでふと、昨日を思い出す。そうだ、確かーーー

 

 

 

「山田さ……あ、起きてましたか。おはようございます」

 

 

たたみ終えた布団に枕を乗せた所で、襖が開かれる。上白沢さんが起こしにきてくれたらしく、「おはようございます」と言ってくる。それに対して俺も自然におはようと挨拶をし返す。窓から朝日が差しているのでもう朝食と言える様な時間帯だろう、上白沢さんもその誘いに訪れた様だ。昨日の夕食が美味だっただけに期待する。

 

 

用意をするから妹紅を起こしてきてください、と部屋の場所を教えられ任を受ける。俺の居た部屋の2つ隣、昨日の居間とは正反対の方向だった。だから俺に任せたのか、納得した。素足にひんやりと感じる木の床の感触が心地良い、元の世界じゃあフローリングや畳が主流だからとても新鮮だ。そして妹紅さんの部屋であろう襖を軽く叩く。

 

 

「もーこーうーさーん、あっさでーすよー」

 

 

……返事がない、ただの寝坊らしい。妹紅さんのような長命者はやはりその辺の時間感覚がルーズになるのだろうか? 俺もゴールデンウイークなどで5連休を取れた時は時計など全く見なかったから明けに会社に遅れたクチだ、それが年単位なら尚更だろう。……とりあえず、多少強引ながら叩き起こすか? ムクムクと湧き上がるイタズラ心に抗えず、ゆっくりと開けた襖の中へとそろりそろり。抜き足差し足忍び足、枕もとに到着し、かけ布団に手を伸ばす。

 

 

「せーのっ……起きろぉー!」

 

 

秘技・布団返しっ! with佐々木小次郎

 

 

「きゃわっ!? な、なになに何事!?」

 

 

きゃわっ!? だって、かっわい〜。妹紅さん見た目ともマッチして愛いなぁ、実年齢は……アレだけど。ウチのひいばあちゃん達が92だったかな? その倍くらいだろうか、妖怪とか居るらしいから何百歳かもしれないけれども。というか何百と生きるだなんて簡単に言っているし、実際やってのけている訳だが……脳の記憶とか、精神といった面は大丈夫なのかと少しばかり心配に。

そもそも人間の脳なんておよそ120年分の記憶しか保存出来ないらしいから、精々が200年も生きれば記憶で溢れ……あぁ、その為に「忘れる」機能か。全く人間ってのは便利に出来てるもんだ、妹紅さん達は人間じゃないらしいが。

 

 

「……耕平?」

「へっ? どうしたんだ妹紅さん、というか何か燃えてる臭いが……?」

 

 

なんだろう、上白沢さんが朝食の焼き魚でも焦がしたんだろうか? しっかりしていそうだったのにドジっ子とは、これがギャップの可愛さというもの……! 上白沢さん、恐ろしい人!

あ、ガ○スの仮面は名作だよね。個人的に2人の王女の話と狼少女の話が好き、10巻辺りのお母さんの話と20巻辺りの速水さんの過去は泣いた。何度見返しても泣けるよ、あとド○えもん劇場版ね。それとポケ○ンのルカリ○の話も……!?

 

 

「あのー、妹紅、さん? なんか燃えてるよ? 平気なの……?」

「……」

 

 

無言でニコォッと恐ろしい程に美しい笑みを浮かべた妹紅さん、背後には火炎のオプション付き。え、何なの? 妹紅さんって2つ名が「火拳」だったりするの? ニュー○ートさんの海賊団で隊長やってたりするの? ていうか笑顔が怖いよ妹紅さん、さっきまでの可愛らしさは何処へ……?

 

 

相変わらずニコニコと貼り付けたような笑みを浮かべた状態で、周りに飛び火させないという不思議な現象を起こしながら妹紅さんは炎を纏い出す。

 

 

……フェニックス? え、ダンブ○ドア校長の使い魔? そういや妹紅さん不老不死って……もしや不死鳥の化身とかだったりするのだろうか。というか

 

 

「……」

「ほら、耕平。遺言があれば聞いてあげる、最後の言葉は何が良い?」

「………か」

「か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かっけぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……へっ?」

 

 

妹紅さんは先程までと違い全くの予想外、既知の範囲外、非常識的な対応をされたかのように眼を白黒させる。だがしかし、そんな事はどうでもいい!

 

 

アレだぞ、炎の翼だぞ? 男として燃えるだろ、二重の意味で! しかも妹紅さんは炎で傷付いたりしないようだし……やばい、俺の少年心がくすぐられ過ぎる。妹紅さんの可愛さと格好の良さが凄い、しかも炎使うとか……この瞬間に俺の中で妹紅さんは友人兼尊敬の対象になった。

 

 

「え、ちょ……え?」

「これどうなって熱っ! やべー、かっけー! 妹紅さん何これ何なのこれ!」

「え、えっと、私の妖術で炎を出してるんだけど」

 

 

妖術! そりゃあ魔法使いや妖怪が居るんだからそういうのもあるよなぁー、まさかこんなに格好良いものだとは思わなかったが。俺にも出来んのか? 出来るなら俺は対極的に氷でも使いたいな……! もしくは風か、いや地面を操るとかも捨て難いな……!

 

 

これがいわゆる厨二病、巷では14歳病とも称される心の病か。悪くない、そもそも俺自身が幻想郷だなんて漫画みたいな世界に居るんだからこういう反応は至極当然なんだろうし。

 

 

妹紅さんスゲーと叫びながらペタペタ触って熱い目に合い、妹紅さんを困惑させた。そんな妹紅さんの落ち着きと反比例して俺のテンションは上がり続け、なんというか顔が自然と笑顔に。

 

 

「あ……う……そ、そうかしら?」

「おぅ! でら格好良い! ついでに妹紅さんも可愛いしで言う事なしって奴だよ!」

「……あ、ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふふ。遅いから朝食に呼びに来たのだが、ここに水を差すのは無粋と言うもの。良い人を得たな、妹紅」

 

 

実はこの時のやり取りを見られてたと後で知った妹紅さんが大暴れして、上白沢さんの家が半壊しかけたと仕事中に聞いた。何があったんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

そんなこんなで1週間が経過した。

 

 

何故か慧音ーーそう呼ぶ事を許してもらったーーには「食費を納めてくれるならば我が家を宿代わりに使うと良い」とお達しを受け、口調もフランクになった。正直いきなり過ぎて最初は戸惑ったが、元々俺自身がタメ口だったので特に弊害もなく。慧音からも妹紅ーーこれまた「さん」付けは不要と言われたーーをよろしくと言われ、何の事か良く分からないが了承。

 

 

さて、今日も今日とてバイトである。颯爽とバイト先であるカフェ「万華鏡」に顔を出す。

 

 

「おはよーございまーす」

「あ、いらっしゃい耕平クン。早速で悪いんだけどキッチン手伝って〜」

「りょーかいッス!」

 

 

こちらのカフェのマスターであり看板娘も兼ねている結城葵さん、30代の綺麗なお方である。ちなみに既婚。そしてキッチンで黙々と軽食メニューを作ったりコーヒーを淹れているのが旦那さんの結城啓さん、葵さんの3つ上らしい。外見は熊のような粗暴さだが、それに反して手先がとにかく器用。料理の腕もピカイチで、裁縫なんかが趣味のようだ。

 

 

そんな夫婦経営のカフェでの俺の役割はと言えば、当たり前だがいわゆる研修生。キッチンとホール、手の足りない方を手伝うといった立ち位置だ。

本来ならば色々と教えられる所から始まるのだが、俺は既にカフェで働いたことがあり料理もそこそこ出来る為にこうなったのだ。

 

 

カランコロン、と音がすれば、それは客の来訪を告げるベルの音。「いらっしゃいませー」と声を張り上げて笑顔で客を出迎える。

 

 

「お客様は何名様ですか?」

「あ、1人です」

「カウンター席かテーブル席、ご希望は御座いますか?」

「あー……じゃあテーブル席でお願いします」

「かしこまりました、1名様ご案内しまーす」

 

 

新たなお客さんを席へ案内……耳、生えてるな。妖怪か? それにしてもうさ耳か、触ってみたい。なんか幻想郷の妖怪とかって女の子ばっかなんだけど、何故なんだろう。人里なんかでは男女比立も割と半々近いんだが、俺の今まで出会った妖怪なんかの男女比立は8:2で女が多い。そういう世界なんだろうか、いわゆるアマゾネス的な。

 

 

「ご注文が決まりましたらお呼びください」

 

 

席へ案内したウサギさん(仮)に頭を下げつつ、キッチンへ引っ込む。ちなみに葵さん曰く、うさ耳さん(仮)は妹紅が良く居る「迷いの竹林」にある「永遠亭」という病院のような施設から薬を売りに来ているらしい。その効力は正に絶大の一言に尽きるらしく、人里でも大変重宝されているとか。朝はここに来て一息付いてから売りに出るらしい。聞く所によると抗がん剤なども存在するという話だ……なんだか、医者がタイムスリップするドラマを思い出したが。違うよな?

 

 

その後うさ耳さん(仮)はカフェ・オ・レとショートケーキを注文、注文を受けてから啓さんの華麗なる手捌きにより作られるケーキは正に新たな生命を産み出すが如し所業! 店内からでもキッチンの様子が簡単に見える作りなので、啓さんが調理を始めると大抵の客は見入る。もちろん俺やうさ耳さん(仮)も例外ではなく、葵さんに至ってはうっとりと見惚れている。

 

 

「ん、出来たよ」

「……あ、は、はい! お待たせしましたお客様、ショートケーキとカフェ・オ・レになります」

「どうも」

 

 

見入ってしまい、思わず反応が遅れてしまう。しかしここで働き始めてからそんなことは毎回の事で、お客さんもほぼ必ず同じ状態な為に大した問題にはならない。それだけ啓さんの技術が凄いという事なのだが……見た目とのギャップが凄いよな。

 

 

ちなみに啓さんも外来人らしく、元はパティシエールを目指して修行中の身だったとか。それが葵さんと出会い互いに一目惚れして居着く様になった云々。働き始めて当日に語られた葵さんの惚気には流石の俺も辟易としたものだ。

 

 

そんなこんなで特に目立ったミスもなく、昼頃には様子を見に態々慧音が客として来てくれるという嬉しい出来事が。その嬉しさから思わずコーヒーを一杯奢ってしまい軽く後悔したのは内緒である。慧音の話によれば、ここには寺子屋の子供達の親もちょくちょく顔を出すらしい。と、話していると早速3組の親御さんが子連れで。どうやら寺子屋の生徒の様だ、女3人寄れば姦しいとは良く言ったものだ。

 

 

「あ、けーねせんせー!」

「お昼休みー?」

「あぁ、お前たちはお昼ご飯かな?」

「うん!」

 

 

いやはや何とも賑やかで微笑ましい、子供は純粋で良いねぇ。大人とばかり接していたから何だか癒される気分だ、その昔は保父さんを目指そうかと思った事もある程度には子供好きだと自負している俺だからな……?

 

 

「ん? どうかしたのかな、お嬢ちゃん?」

 

 

何だか服の裾を引っ張られたような気がして見てみれば、小さな女の子につままれていた。ふむ、この子も寺子屋の子かな? フリルがふんだんにあしらわれた洋服を着てて人形みたいだ、もっともアリス程ではないのだが。ちなみにアリスも数日前に再会して名前呼びを許可されている。

 

 

「………………」

 

 

じーっと。

 

 

邪気のない瞳で下から見上げられ、やましい事はないのになんだか懺悔してしまいそうになる。くっ、これが子供の可愛さか!? これは猫の愛らしさに匹敵するぞ……! そんな俺は猫信者、犬信者とは死んでも相入れぬ存在なのだよ。

 

 

「……む。お前は確か古明地こいし、だったか。久しいな、一月ぶりか?」

「あ、慧音先生。うん、たぶんそれくらいぶりかな? ねぇねぇ、このお兄さん誰?」

「あぁ、彼は外来人さ。一週間ほど前から私の家で世話している」

「へぇー……」

 

 

どうも、という意味を込めてペコリと挨拶。どうやら慧音はこの子を知っている様だが一月ぶりとは……引き篭もりなのか、はたまた生徒ではなく知り合いなのか。というか良く見ると、この子の周囲を覆う様に管みたいな物が。この子も妖怪? マジで女の子率が以下略。

 

 

管をよーく見てみると、一部がまるく膨らんでいる。真ん中に切れ目があって、まるで閉じた眼みたいだ。天○飯みたいな3つ目の妖怪か、という事は腕が生えたり太○拳が使えたり……?

 

 

「ねぇねぇお兄さん」

「……ん? なんだい、えっと……こいしちゃん?」

「うん、わたしの名前は古明地こいしだよ。それでねーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私のペットにならない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、ハロルドです


まず妹紅さんですが、別にデレとかないです。見れば分かる? そうですか
単にストレートに褒められなれてないから照れてるだけです
ヒロイン予定はあるかもしれません、そうなると今回登場したこいしちゃんも含め
妹紅、アリス、こいし
となります。
誰がヒロインに相応しいのか……ハロルドはヒロイン複数系はあまり好みません
一夫一妻を良しとするタイプの人間です、ハーレムなんて現実では認めません。二次創作ですが
ですからヒロインは最終的に絞ります、それまで幾らかイベントはこなすでしょうが、最終的には1人になります


あ、こいしちゃんは確か「子供達に好かれている」などの描写があったため、地上で人里に良く来ていると判断しました

ちなみに途中でカフェに来たお客さんは東方を知る人ならば心当たりも付くことでしょう、新参ホイホイな座薬さんですから

それとハロルドは話の構成やら運び方が上手とはとても言えないため、東方キャラがポンポン出て来たり、話が駆け足気味になったりしますので「ここはおかしい」と思われましたら、どうぞ容赦のないご指摘を


長々と失礼しました、ではでは
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