幻想の世界で夢を追う   作:ハロルド

5 / 6
内容が薄い薄い
そしてありがち陳腐なテンプレ展開にご都合主義満載
しかしこれがハロルドの限界でありますが故に
どうぞご容赦を、ではでは


ー5話ー

 

 

 

てんやわんやでなんやかんや、すったもんだに紆余曲折の末、結論として慧音とこいしちゃんが戦うらしい。何でそうなったのかは全然分からないが……何やら近くまで来ていた妹紅に言われた一言が気になった。

 

 

「耕平って……中々にアレよねぇ」

 

 

何がアレなのかは俺の預かり知らぬ所だし、妹紅の意図する所なぞ分かるはずもない。しかし何だか、その台詞を言った時の妹紅が不機嫌そうである事と、何故だか原因が俺である事だけは理解できた。俺が何をした。

 

 

そのまま「スペルカードルール」を用いた「弾幕ごっこ」という、幻想郷独自の決闘方で白黒はっきりつけるらしい。妹紅は立会人として「博霊の巫女」なる方を呼んでくるらしいし、残されたのは俺と慧音とこいしちゃん。後は興味本意のギャラリー多数。

 

 

マジでどうしてこうなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ。なーんか苛々するわねぇ」

 

 

外来人が来るだけなら別段、珍しくもない。最初は昔の私みたいな、1人ぼっちな境遇に同情してたけど、それが10を越えた頃からは普通に友人のように接してあげた。もちろん相性は少なからずありはすれども、たいていは険悪にはならなかったから。

 

 

今回の外来人である彼、山田耕平。私とは不思議に波長が合うのかしら? 初めて対面した時にビビッとなって、思わず気分が高揚してしまった。そして、私の妖術を見て「カッコイイ」だなんて好意的に見てくれた人。今までこの幻想郷の皆と慧音……あと輝夜くらいかしら、違ったのは。見たことのある外来人は総じて恐怖の感情をありありと浮かべていたから……普通の人では初めてかもしれない。

 

 

そして今日、たまたま人里に足を運んだ。すると慧音らしき声が言い争いをしていたから気になり、野次馬根性で見に行けば、耕平を巡る女の争いが勃発していたと。少なくとも私にはそう見えた。

 

 

落ち着かせた慧音曰く、あの古明地こいしとか言うちみっ子が耕平を「ペットにしたい」といきなり言い出したとか。訳が分からないわよ、そんな混乱の極みにいた私に巫女を呼んでこいって慧音が言わなかったら、放心したまま日を跨いでしまっていたんじゃないかとすら思えてしまう。……と、神社が見えてきたわね。

 

 

「よっ……おーい、巫女ー! いないのー?」

 

 

神社の境内に降り立ち、大声で巫女を呼んでみるも返答はない。おかしい、何時もは暇そうに神社を掃除をしたり火燵でダラダラとしたりと至極暇そうに居る筈なのに。ここに居ないとなると、私にはもう行き先の見当が付かない。心当たりがないのではなく、有りすぎて分からない。あの巫女の活動範囲はそれこそあの隙間妖怪と変わりないから、何処に居ても不思議はない。さてどうするかと考えを巡らせようとした時ーーー

 

 

「……あら、珍しいお客様ね。ようこそ博麗神社へ、霊夢に代わって挨拶申し上げておくわ」

 

 

ーーーアリス・マーガトロイドが、七色の魔法使いが神社よりこちらへ歩んでいた。

 

 

確か彼女は幻想入りした耕平を1番最初に見つけ、更に野良妖怪から守り人里まで連れて来てくれた、いわば私と耕平を引き合わせてくれたような奴。少々の感謝を感じつつ、しかし何故だか目障りに感じる私が居ることを理解し、困惑する。どうも耕平と会ったあの日から調子が狂う、釈然としないけれどあの薬師に診てもらうべきかしら?

 

 

「あー……どうして貴女が居るのかとかは今は聞かないでおく。巫女を知らない? 少し用があるの」

「ふうん。まっ、私はさっきここに来たのだけど。少し談笑するなり霊夢ったら、いきなり人里の方に飛んで行ったわよ。何だか必要とされている気がする~とか言っていたけれど、お得意の勘かしら?」

 

 

まさかの入れ違いという事態に、くらりと意識が眩む。ここまで来させておいて(とは言っても約束なんてしてないけど)それは無いんじゃないかしら……? だったら私が来る必要なかったじゃない! あー、もう。これも全部アイツのせいね。

 

 

「覚えてなさいよ耕平……全くもう」

 

 

私の調子が狂うのだってきっと耕平のせい、私が耕平のことを考えるとモヤモヤするのだって勿論だし、私以外の人と一緒に居ると不愉快になるのはきっと女にだらしない様が苛立つからに違いない。これは戻ったら、耕平に友人として(・・・・・)諭さないと駄目ね。そう思い、魔法使いに別れを告げ人里へ戻ろうとしたのだけど。

 

 

「ちょっと待って。彼……耕平が、どうかしたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「地底の。どうしても、先の発言を撤回する気はないのだな?」

「うん、さっきからそう言ってるでしょ? 慧音先生はそんなに頭が悪かったの?」

「それなら確かめて見るが良い。私の頭突きはよく冴え渡るぞ」

 

 

 

覚に冴え渡るも何もないんじゃないかなー、なんて。今の私はごく自然に、そして意識的に考えて発言している。どうやら今は覚醒期らしい、私の意思は私が操っていられる。そんな当たり前のようでいて、当たり前じゃない感覚に苛まれているのが私、古明地こいしの悩みだった。

 

 

だいぶ昔には、普通に覚として心を読むだけの能力だったのに……何時からこうなったんだっけ? 私が、覚としての生き方を否定して、この第3の眼を閉じて……代わりに無意識を操る力を手に入れたのは、一体いつの事だったのか、今ではとんと思い出せない。それに無意識を操るだなんて名ばかり。実際は私が無意識に操られているという情けない有様で、知らない内に誰かを、何かを傷付けていないか不安に駆られてしまう日々。

 

 

たまに地底の近くで覚醒した時には、きちんとお姉ちゃんの所まで帰ってた。でもお姉ちゃんは昔から変わらない。人から嫌われる覚で在り続けて、地底の責任者みたいな立場に収まって……あと、前帰ったら人型のペットが増えてたなぁ。だからかな? 私があの男の人をペットにしたいなんて思ったのはーーー

 

 

「よっ、こいしちゃん。今ちょっと良いかな?」

 

 

ーーー彼だ。確か名前は、山田耕平。私がペットにしたいと言った、件の人間。平凡な顔立ちで、特に鍛えられた肉体をしている訳でもない、正しく一般人。それでもたった一つ付加価値があるとするなら、それは「外来人」であるという希少性。それが手に入れば、私もお姉ちゃんみたいになれるかな? 嫌われてても、私を好いてくれるただ1人が現れてくれるかな? って思ったから、今こうして私は慧音先生と相対している。

 

 

慧音先生との出会いを思い出す。初めて人里に迷い込んで意識が覚醒した私は、何時ものように見知らぬ場所だから立ち往生してしまう。でも、そんな私に優しく声を掛けてくれて、そればかりか地底までの道程を子細に記した地図とおむすびをくれた。そんな優しい慧音先生だから、あまり痛い目にはあわせたくないんだけどなぁ。でも仕方ないよね、だって私の邪魔をするんだから。ペットの権利はきちんと主張しておかないとだもん、あははっ。

 

 

「……? こいしちゃん?」

「ふふっ。ごめんね、ちょっと考え事。それで、私に何か用かな?」

「あ、そうそう。こいしちゃんは妖怪だって慧音に聞いてさ、何の妖怪なのか。あと何で俺をペットにしたいのかなと思ってさ。ほら、見たら分かると思うけど、俺なんかその辺に幾らでもいる凡人以下の人間じゃん? 性格も知力も体力も容姿も財力も血筋も平均以下。だからどうして俺なのか、不思議に感じてね」

 

 

私の無意識が作用したのか、お兄さんは喋る必要のないような事までポロリと漏らす。自分の事を極端に卑下してるのかな? 確かに顔立ちだって整ってるとは言い難いし、運動神経も悪そうだけど……そんなに言うほどの事じゃないと思うよ? だってお兄さんには、慧音先生やさっき巫女を呼びに行った人間みたいに、心配して、想ってくれる人がいるんだから。私よりは全然マシだよ。でも口には出さず、とりあえず適当にお兄さんの質問に答える。

 

 

私は『覚』っていう心を読む嫌われ者の妖怪で、お兄さんが欲しい理由は『外来人』だからだよーーーって。ふぅんと素っ気ない返事にちょっと拍子抜け、もうちょっと落胆するとかあると思ったのになぁ。でも、ちょっと考える様な仕草を取った後にお兄さんの言った事が、私の頭には直ぐに入って来なかった。

 

 

「そっか。じゃあ俺がここに来た事にも、外来人である事にも、少しは意味があったのかな? こいしちゃんみたいな可愛い子に欲しがられるなんて、男としては嬉しいもんだしね。それに俺よりは嫌われてないって、安心しなよ。俺なんか、元居た所じゃ家族や友達とか居ないんだぜ?」

 

 

知り合いや同僚ならいたんだけどねー、わっはっは。と笑いながら言うお兄さんが、私には理解出来なかった。

 

 

ーーどうしてそんな風に笑っていられるの?

 

 

私は、私が覚であるせいで人妖問わず、果ては怨霊なんかにも嫌われて、畏れられて生きてきた。……そうだ、思い出した。そんな日々が嫌だったから。心なんて覗いたって、悲しくなるだけだから。だから私はこの(こころ)を閉ざしたんだ。

 

 

心を覗いて傷付けるのが嫌だったし、心を覗いて傷付くのが嫌だった。この能力は種族特有のものだから止められない。鬼が嘘を吐けないように、人間が100年足らずで死ぬように。そう在るものは、そう在るだけ。この真理はきっと、神様だって変えられない。

 

 

私はみんな、みんな大好き。

人間が好き、鬼が好き、土蜘蛛が好き、釣瓶落としが好き、妖精が好き、ハクタクが好き、地獄鴉が好き、火車が好き。そして何より、私はお姉ちゃんが大好き。私が逃げ出した『覚』としての在り方を変えず、きちんと向き合って、皆と仲良くなろうとしてる。そんなお姉ちゃんが私は大好き。

 

 

つぅっと、私の頬を温かいものが伝う。一瞬それが何か分からなくて、手を顔にあてて気付く。

 

 

「こいしちゃん、泣いてるの?」

 

 

それは涙。悲しい時、嬉しい時、怒った時、笑った時。感情に縛られて、でも縛られずに眼から溢れて流れ出るもの。……温かいな、って。私の初めての涙は、そう感じるものだった。それが何だか良く分からなくて、私は今嬉しいのか、それとも悲しいのか。何も、なんにも分からなくて、ただ無意識に後から出て来るに任せて、私は泣いた。

 

 

そんな私の背中を、戸惑いながらも優しく撫でてくれる手がある。外来人の、人間。山田耕平、私のペットーーーううん、私のお兄ちゃん(・・・・・)。その強い在り方に、お姉ちゃんの姿を幻視したから……でも、そう呼んだら怒られるかな? だけど、もし許されるならーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いくら私にも理解出来ない事はある。

 

例えば、あの氷精の思考回路などは分からない。

例えば、河童の科学などは知っていても意味が分からない。

例えば、妖怪の賢者が普段何処に居て何を考えているかなどはもっと分からない。

しかしーーー今の状況は取り分け、私の理解の範疇を優に越えている。

 

 

耕平さんをペットに欲しい、などと覚妖怪の妹がのたまい出したのが事の発端で。妹紅のためにもそれは駄目だと反対し、やむなくスペルカードルールによる決闘を持ち出した。あいつは吸血鬼の妹と同様に読めない存在だから、いくら筆舌を尽くしても足りる事はないだろうから。そうして立会人として、たまたま通り掛かった妹紅に博麗霊夢を呼びに行かせたのだがーーー

 

 

「……ぐすっ……」

「よしよし、なんか知らんけど大丈夫大丈夫。こいしちゃんは一人じゃないからねー………慧音、なんとかしてくれよ」

 

 

ーーーこの有様だ。そして私に振るな。私だって訳が分からなくて困惑しているんだ、当事者が何とかするべきだろう。一体全体、何があったと言うのだ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うーん。私の出る幕はなさそうね、勘が鈍ったのかしら? 確かにここで私を必要とされた(・・・・・・・・)気がしたのに」

 

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