東京喰種#   作:秋乃樹涼悟

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訓練

なんでこんなところにいるんだ僕は。

なんでこんなに傷だらけなんだ。

 

しかもあの人、僕を喰おうとしてたんじゃないのか?

途中から記憶がない。

 

暴走してなにも覚えていないのだ。

 

「あなた、すごいわね。喰べるのが惜しいほどに」

「ならどうして僕は喰われてないんですか?」

 

喰種も何日か寝かせたら美味しくなるのか?

僕はカレーじゃない。

 

「あなたってなんなの?」

「それならあの時も言いました。両方です」

 

説明するにはそれの方が早い。

でもなんでこの人は僕を生かしてる?

 

「そう言うあなたはなんなんですか?」

「そう言えば、まだ自己紹介してなかったわね。わたしはね、冬野翼というの」

「それでその、冬野さんはなんで僕を生かしてるんですか?」

「まだあなたの名前を聞いていないわ」

 

確かに僕も自己紹介はしていない。

会話が円滑に進まなそうなのでとりあえず僕も自己紹介をすることにした。

 

「僕は天野空です。で、どうして僕を?」

 

人も喰種も信用できないがあいにく、僕には師匠が必要だ。それじゃなくても情報が欲しい。

結構あんていくにも行けてないし。

 

僕の問いに対し、冬野は不敵に笑った。

 

「単純にあなたに興味があるのよ。不思議な匂い、隻眼、蜘蛛。あなた覚えてる?あなた暴走して8本も赫子出したのよ」

 

彼女はさも楽しそうに話している。

喰種は殺しあったときのことを楽しげに話すものなのか?

それともこの人がおかしいだけか?

 

「あなたの携帯の通話記録の中に『加納先生』とあったわ。加納先生ってニュースで話題になってた先生?」

「あの人が僕を喰種にした…」

 

僕は冬野に事情を話すことにした。

僕自身も自分の状況を整理しながら話した。

 

話し終える頃には陽がくれて、冬野の持ってきた珈琲は冷め切っていた。

 

「元人間ねぇ。ますます興味が出てきたわ。…あなた師匠になってもらう人を探してあんていくに行こうとしてたんでしょ、それでなくても情報が欲しいと。じゃあ私があなたの師匠になってあげるわ」

 

ある意味それは願ったり叶ったりだが、なんでそんなことをするのか、とくにメリットはないと思うのだが。

 

「ってことはあなた、マスクも持ってないのよね?」

 

 

 

 

 

 

「ウタさん。この子のマスク作って欲しいんだけど?」

 

やってきたのは怪しげな町の怪しげな場所の怪しげなマスク屋。ハイシーアートマスクスタジオ。

店内に入ると気味の悪いマスクがたくさんあり、不気味な雰囲気が漂っている。

 

「やあ翼ちゃん。久しぶりだね。あっ。この子も眼帯つけてる。カネキ君と一緒だね」

 

カネキ君、加納の言う成功体。

カネキって人ももうここへ来たんだ。

 

今度それとなく話を聞いてみたい。

 

「もう20区にも捜査官来てるんでしょう。だからこの子にもマスク作ってあげようと思って」

「天野空です」

 

なぜか僕をじろじろ舐め回すように見るウタさん。

 

「じゃあとりあえず測ろうか。ここ座って、天野君」

「空くんねぇすごいのよ。暴走して赫子8本も出したのよ。私危うく殺されるところだったわ」

 

僕は冬野を殺せたのか?

赫子8本はそんなにすごいのだろうか?

覚えてないので全然わからない。

 

「翼ちゃんを倒せるくらい強いんだ。すごいねきみ」

「空くん蜘蛛みたいだったわ。マスクも蜘蛛をモチーフにするといいかも」

 

「なんかモチベが上がってきた。蜘蛛かぁ。それに眼帯。いいね。楽しくなりそう」

 

 

 

 

 

 

「ねぇあなた、赫子は自由に使えるの?」

 

帰り道、ずっと僕の赫子の話をしてくる冬野。

なんか鬱陶しい。

 

「いや、まだよく分からない」

「じゃあ練習しましょうか。赫子が使えないと大変よ」

「…今から?」

 

傷がまだ治っていない。

ウタさんのところに行くのも痛かったのに。

 

「傷ならすぐに治るわ、あなた鱗赫だもの」

 

僕の鱗赫の赫子は再生力が強いということらしい。

すぐに治るなら早く治ってほしいところだ。

 

「あなたには教えることがたくさんありそうね。うふふっ。楽しみだわ」

 

僕は全く楽しみではない。

でも、僕にはもうそれが必要なことなのだ。

 

「それにアオギリが…」

 

アオギリ。

なんのことなのだろうか。

 

「とりあえず、あなたにはあの赫子を使いこなせないと困るのよ」

「…わかりました」

 

 

 

 

やってきたのは前と同じ廃ビル。

 

「一応手加減するけど、下手したら死ぬから気をつけてね」

 

さらっと笑顔でそんなことを言うから恐ろしい。

 

自分で赫子が出せるか試してみた。

やはり自分で赫子の出し入れが自由にできない。

 

「赫子はね、出すときの感覚さえ覚えればどうにかなるものよ」

 

勢いよく僕へ向かってくる冬野。

まだ冬野は赫子を出していない。

 

正面からストレートが飛んでくる。

すんでのところで避ける。

服の裾が耳を掠めたのがわかる。

 

この間はこのパンチでお腹に穴が空いたのだ。

出来れば一発ももらいたくない。

 

次の打ち終わりに僕も仕掛ける。

 

バックステップして少し距離をあけようとすると、次には腹に蹴りが入った。

 

僕は飛ばされ会議室の椅子にぶつかった。

 

「格闘もまだまだね。痛かった?でもね、こっちはもっと痛いわよ」

 

冬野は赫子を出した。

あの赫子は遠くから射撃することができる。

前はあれをくらって暴走した。

あれをくらう前に赫子を出さないとやばい!

 

腰が熱くうごめくのを感じる。

いける。

 

ギリギリのところで赫子を出すことに成功し、赫子で受け止めた。

 

「どう?思い出した?」

「はぁはぁ。まあ、なんとか」

「でもこれからもっと訓練が必要ね。じゃないと8本出しても使えないでしょうし」

 

今出せたのは2本。

8本なんてとてもじゃないが無理だ。

また僕は僕の中の喰種に喰われる。

 

「今日はもう終わりにしましょうか。私ももう疲れたわ」

 

 

 

冬野の後ろ姿と消えゆく羽は、どこか綺麗に見えた。




やっぱり東京喰種を書くのは難しいです。
とくにバトルシーンが難しい。
加えて文章力がないのでもしかしたら皆様には迫力が全然伝わっていないかもしれません。

僕が未熟ですみません。
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