ISとビーターの弟子(仮)   作:由紀夫

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放課後、候補生との出会い

放課後、一年一組のクラスで喚いている少年がいた。

 

「ダメだ。一日目でもう着いていけてない」

 

まあ、予備知識無しに受けたら理解するのは難解だろう。自業自得とはいえ、少し同情するな。

 

「あ、ユウキ。俺に勉強教えてくれ」

 

あり?なんか普通に話しかけてきた。さっき反論しちまったなから警戒されるかなと思ったんだがな。

 

「断る」

 

「なんでだよ!同じ男子だろ!」

 

まさかこいつ共通点:男だけでさっきのこと棚にあげているのか?そして普通に考えてみろよ。

 

「俺はお前と違ってほんの一週間前に判明したばっかりだぞ。それこそ先生が言った「一週間で覚えろ」状態だし、まだ把握できてないことのほうが多いぞ」

 

「うっ」

 

それにさっき放課後に個人授業してもらえると言ってたんだし、贅沢言うな。

 

『実際は一年前からだけどね』

 

茶化すなよ。建前が大事なんだよ。

 

「あ、こんなところにいたんですか」

 

そういっていると先ほど織斑を誘惑し、なかなかな妄想を披露した山田先生本人がやってきた。

 

「織斑くん、青野くん、お二人の部屋が決まりました」

 

「あれ?部屋に空きがないから一週間は通学してくれって言われてたんですが」

 

おいおい、そんなことしてたら確実に誘拐コースだぞ。そもそもホームルームは寮から来ること前提だからそこそこ早い時間になっているし。

 

「そうだったんですが、政府からの要請で無理矢理部屋割りを組み込んだそうです。そのこと何か聞いてますか?」

 

急に?もしかして俺が出した条件で早めたのか?でも普通2ヶ月も前に入学が決まっているのに部屋割りを考えなかったのか?そして先生、なんで織斑の耳に近づきながら小声になっていってんだ?さっきの放課後の話題といい誘っているのか?

 

「先生、息がかかって耳がくすぐったいです」

 

「!ご、ゴメンなさい。ではこちらがお二人の部屋の鍵になります」

 

ようやく話が一段落し鍵を渡された。どうやら俺の部屋は1012号室だな。後で今の部屋から荷物を移さないといけないな。

 

「あの~先生、とりあえず荷物を取りに今日は帰っていいですか?」

 

確かに通学する予定だったなら着替えも何も持ってきてないからそう言いたくなるのは当然だな。

 

「荷物なら私が手配した、感謝しろ」

 

って急に話しかけるのやめてくれません!というかいつからいたんですか!

 

「あ、ありがとうございます」

 

「まあ、着替えと携帯の充電器だけで充分だろ」

 

マジでか。織斑スゲーな。俺ならそれだけで学園生活を送るなんて絶対無理・・・いや、こいつの顔不満たらたらだな。姉に逆らえないから何も言わないだけか。

 

「それでは道草を食わずに真っすぐ帰ってくださいね」

 

あれ、あなた放課後に勉強しようと言ってませんでした?口だけなのか、それとも急な仕事かが入ったのか。

 

「ユウキ、一緒に帰ろうぜ」

 

そしてまたもやスルーするな、君は。そして残念だが俺には道草を食う予定である。ここは、

 

「悪いが俺はすぐには行けない」

 

「なんでだよ」

 

「実はニュースの日から学園で過ごしていてな。そっちの部屋に荷物置いているから取りに行くのと片付けする必要があるんだ」

 

「なら俺が手伝「せっかくだが、人に見られたくない物もあるんだ。一人でやらせてくれ」・・・わかった、じゃあ先に寮に行っているな、とそうだ。携帯なアドレス交換しようぜ。なんせ男は二人しかいないんだから」

 

「あー、悪い。俺学園で電話出来ないと勘違いしてて、携帯端末何にも持ってきてないんだ」

 

「そうなのか?じゃ、仕方ないか」

 

「悪いな」

 

さて、これで邪魔者(主に視線が集まるので)を追い払うことができたな。

 

『ねえ、さっきの会話。もしかして彼ユウキと同室だと思っていない?』

 

『え?・・・確かになんかそうとも取れる言い方だな。でも、俺は一人部屋のはずなんだがな』

 

『もしユウキと同じ部屋だと思っていたら大変だね』

 

『まあ、心配する必要はないだろ。まさか女子と同室になることはないだろう』

 

とりあえず、当初の予定通り更識さんを探すとするか。まあ、各クラスに聞いていけばいいか。

 

 

二組

 

「え?更識さん?ううん、うちのクラスにはいないよ。でもなんで探しているの?まさか彼女!」

 

そんな甘い話ではないので安心してくれ。

 

三組

 

「更識?聞いたことないよ。それにしても背低いね。もっと伸びないとモテないよ」

 

余計なお世話じゃ!

 

四組

 

「更識さんならうちのクラスだよ」

 

ようやく正解にたどりつけたみたいだ。

 

「でも、あの子何て言うか暗くて。放課後になったらすぐ何処かに行っちゃたよ」

 

あー、やっぱどっかに行ったか。学校中探してもいいけど荷物の整理を考えると効率よくしたいが。どうしたとのか。

 

「あーち、かんちゃん探してるの~?」

 

そういわれて振り返ると布仏がいた。君織斑と一緒に下校してなかったっけ?それに

 

「かんちゃん?布仏、更識さん知っているのか?」

 

「のほほんでいいよ~。さっきおりむ~がそう呼んでいたから~。そして私はかんちゃんのメイドさんなのだ~」

 

冥土?名刀、メイト(仲間)・・・ああ、メイド(お手伝いさん)ね、ってえ?マジで、君が手伝ってもらうんじゃなくて?まあ、裏の関係者ならさっきの会話で感じたことも納得だな。というか織斑はもう人にあだ名つけたんかい。コミュ力高いな、本当。

 

「それじゃ、布仏。更識さんが今どこにいるか聞いてもらっていい?」

 

「・・・うん。ちょっと待ってて~」

 

俺があだ名を呼ばなかったから少しすねたみたいだな。というか織斑レベルのコミュ力を求めるなよ。

 

「かんちゃん今第二アリーナの整備室にいるって」

 

「サンキュー」

 

そういって別れようとしたが、どうやら布仏も着いてきた。まあ、男が知り合いを探してるからどんな用事かきになるのだろう。

 

第二アリーナ 整備室

 

ところで俺たち新入生にとって今日が入学の日であっても上級生たちにとっては関係なく、ISの訓練機を借りる権利を奪い合う日常である。そして、訓練をすることはすなわち何かしらの故障、もしくはメンテナンスの必要性が生じる。つまり何が言いたいかというと。

 

「ちょっとあんた!それ私が先に使う予定だったのよ!」「何言ってるのよ、早い者勝ちよ!」

 

「この装備はロマンを追及するならわかるけど、実用性に欠けない?」「なーに言ってるのよ、現実だけじゃやっていけないっての」

 

「ここの数値をもう少し向上させるにはこっちを下げて、でもそうするとバランスが悪くなるしなあ」「いっそのことこれ全部外してみたら」

 

このような会話が至るところから聞こえてきた。どうやらここは戦場(カオス)と化したたようだ。・・・というのは冗談だが、訓練機の調整やメンテを行う上級生であふれかえっていた。さらにレベルが高い人は訓練機を自分の得意な設定にしてから練習していた。自分の伸ばしたい技術がはっきりしているのも強さの一つである。

 

『こんなにも白熱するんだね』

 

『まあ、下手に整備すれば明日借りる予定の人が事故を起こす原因になりかねないし、アリーナの使用時間も限度がある以上これの光景は必然的なんだろう』

 

そういえば2年からは整備を専門的に学習するせ整備科を選択可能だったけ。ならここで作業している人の何人かは整備科の先輩ということになるのか。

 

「そこの生徒、今忙しいから見学ならまた今度にして!」

 

おっと、あまりの光景に圧倒されていたため気が回らなかったようだ。さて、問題の更識は

 

「すみません。こちらで一年の専用機持ちが整備していると聞いて来たのですが」

 

「あぁん?あんたあいつの連れなのかよ」

 

なんか親父くさい言い回しだな。整備科の特徴か、この先輩の個性なのか。

 

「あいつならそっちで一人ひっそりやってる。邪魔だからさっさと行ってくれ」

 

「どうも」

 

どうやらあまり歓迎されていないみたいだな。まあ、入ってきてすぐの新人が自分たちのテリトリーを荒らすのを警戒してるのかね。

 

そして俺たちが探していた張本人は部屋の隅にいた。・・・未だに完成にはほど遠い機体とともに。

機体の前には無造作に置かれたかばん、中身見えてるぞ。というか作業に集中していて、こっち見る気配ないな。なら適当になんか言って意識向け指すかな。

 

「これが日本の候補生の機体、それのなれのはてか」

 

「・・・あなた、誰?」

 

俺の言葉に反応してようやくこっちを認識してもらえたようだ。少し怒気が混ざってる。機嫌が悪そうだな(自分の発言を棚にあげながら)。にしても誰かに印象が似ている気がするのだが。

 

『出会ったころのシノン、というよりリアルのシノンに似ているね』

 

『あ、確かに』

 

リアルでのシノン、朝田詩乃は出会った当初は人との間に溝があるというか。あまり人とぶつかる性格ではなかったな。今では現実でも「氷の女王」の風格があるが。まあ、当時のシノンもまた、自分自身の罪の意識に捕われていたせいだが。

 

さて、何事も第一印象が大事である。ここは少し大袈裟でもインパクトのある紹介を「この子はあーち。二人目の男の子だよ」布仏、勝手に紹介終わらせないでくれ。せっかくいろいろ考えていたのに。

 

「二人目が、私になんの用事?」

 

「とりあえず二人目はやめてくれないか?名前が嫌ならお前でもいいし」

 

「じゃあ、君はなんの用事?」

 

「まあ、何て言うか。日本の機体を一目みておきたいと思ってきたぐら「なら、もういいでしょ。帰って」・・・取り付く島もないな。まあ、いいや。今日のところは顔合わせぐらいにするつもりだったから。できればまた明日来たいんだが」

 

一度目は捨てても後に続ければチャンスがある。さあ、更識の答えは。

 

「べつに、勝手にすればいい」

 

よし、言質は取った。

 

『興味ないだけじゃない』

 

言うな。悲しくなる。

 

「サンキュー。じゃあ、今日は帰るわ。布仏もありがとうな」

 

「バイバイ、あーち」

 

「本音も帰って」

 

「かんちゃーん(汗)」

 

なんだ?メイドって言う割には雑な扱いだな。喧嘩でもしてるのか?

 

『なかなか心を開くには厳しそうだね』

 

整備室を出て部屋に向かう途中、ストレアがはなしかけてきた。確かに物凄い執念を感じたな。でもあれは。

 

『あれは自分の言葉に呪われている状態だな』

 

『呪いって?』

 

『つまり自分の言葉に縛られている状態だよ』

 

人は自分の口から出た言葉には責任を感じる傾向がある。これは昔の人が「言霊」とよび、言葉には力があるとした考えにも通じるものがある。

 

『あの子、一人で完成させると言ったらしいが、多分そのせいで製作の壁にぶつかっているのに助けを呼べない感じなんだろ。だから知り合いの布仏にもあんな態度をとったんだ』

 

『大丈夫?政府からの指示だと言えないんだよね』

 

『もし言えてもあれならどのみち拒絶するだけだから対して変わらないだろ。結局俺が信用されなければならないんだから』

 

『なにか手はあるの?』

 

『とりあえず糸口ぐらいは見つけた』

 

あの整備室にあった彼女のかばん、そこから見ていたのはヒーローもののDVD。そして

俺たちのあの世界での出来事がかかれた本「SAO事件全記録」だった。

 

(でも意外だよな。てっきり彼女はあの世界を恨んでいると思っていたが)

 

基本的にはSAO生還者には二通り存在する。一つ目はあの世界を憎み、二度と関わることのない者。と言ってもほとんどの人がこっちに該当するが。

そしてあの世界に憎み意外をもち、あの世界で生きることを選んだ者。もちろん俺たちはこちら側だ。幸運にもあの世界で、あの世界がさらっていった何かの変わりを見つけることができたものたちだ。

 

彼女はあの事件以降VRMMOはやっていないと聞いていたし、あの世界への憎しみを原動力にして候補生になったと思っていたが。

 

(事件録を持ち歩いているということはそこまで恨みはないという解釈でいいのだろうか)

 

まあ、勝手に空回りしても仕方ない。目標はその辺の事情が聞けるぐらい仲良くなるということにしておくか。

 

予断だが、荷物をまとめて新しい部屋に行く途中、明らかにドアが破壊されていた部屋があった。部屋番号は1025室。まあ、関係ないからいいか。

 

 

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