「というわけで、ISは宇宙に進出することを想定されて作られています。そのため宇宙空間でも活動できるように操縦者の全身を特殊なエネルギーで包まれています。また、長期間の宇宙空間での活動に対応するために生体機能を補助する役目もあり、常に操縦者の肉体を安定した状態に保ちます。これには心拍数、脈拍、呼吸、発汗量、脳内エンドルフィンなどがあげられ」
「先生、それって大丈夫なんですか?なんか体を弄られているみたいでちょっと怖いんですが」
そこまで怖いかな?どちらかというとシールドエネルギーの影響が怖くないか?昔、携帯電話の電波が脳に悪影響があるかもしれないという説があった。それと同じでシールドエネルギーは全身に未だ解明されてないものを纏うから悪影響がでると提唱する人もいるんだぞ。ただ、その人は男で「ISを使えないから僻んでいる」といわれて相手にされてないが。
「そんなに難しく考える必要はないですよ。例えばみなさんはブラジャーをしてますよね。あれはサポートこそすれ、それで人体に悪影響がでることはないです。もちろん、自分に合ったサイズのものを選ばないといけませんが・・・」
おいおい、先生。いくら何でもその例えはひどすぎないか。ここはかなり
ISに限らずあらゆる分野では体調管理と精神の良好さが反映される。体の調子が悪いと全力を出せず、精神的な弱さのせいでここぞの場面でミスを犯すのである。
つまりISは体調については気にすることなく起動できるという他の分野にはない利点なのだ。
もっともそれは対戦相手も同じであり、もう一つの要素である精神的強さが重要視されるということでもあるが。
そして何故授業が止まって・・・あ、織斑と目が合っている。なるほど、去年までは女子校だったからそのノリで答えたら男を意識して恥ずかしくなったと。みるみる顔が赤くなってる。
「え、えーと。お、男の子はしていないのでわからないですよね」
先生、最近はその辺は緩いんで情報だけはありますよ。ただ、未だに水着との違いが判りませんが。そして急に警戒しないでよ。クラスメイトの皆さん。そんな直接覗く変態ではないですから。
『その言い方だと盗撮はするみたいだよ』
『言葉のあやだ。気にするな』
「そ、それとみなさん、ISのコアにも人の意識に似たものがあります。これにより操縦者と共に時間を過ごすことでお互いをわかり合おうとします。つまり、操縦時間に比例してIS側も操縦者を理解するようになります」
これがISの起動時間が長いほどいいといわれる所以でもある。しかし、これが真実だとするとこの学園のシステムと決定的な矛盾が生じるのである。まあ、別にいいか。俺には関係ないことだし。
「先生、それって彼氏彼女の関係みたいなものですか」
「か、彼氏!ど、どうなんでしょうか?そういった経験がないのでなんとも言えないんですが」
先生、何気に個人情報流出してますよ。そんでみんな急に騒ぎ始めるのはどうなんだろう。まあ、女子が恋ばなに弱いのは世の常か。ただ、どちらかというと恋人よりも惹かれた相手のことを知って、さらに惹かれる感じだな。キリト曰く「相手の知らない面を知ってさらに好きになる」だ。
『まさに経験者は語るだね』
『・・・冷静に言われると恥ずかしいな』
「ん、んん。山田先生。続きをお願いします」
「は、はい。わかりました」
見かねた織斑先生の一喝で正常に戻ったようだ。始めてこの先生の威厳が役に立ったようだ。
ドカッ
「いてて」
そして何もないのにコケてしまった山田先生。あなたはもう少し先生らしくしてください。
「ところで織斑、お前には専用機が与えられることになったが、準備に時間がかかる」
授業の後、織斑にそう告げた織斑先生。専用機って例のあれか。というかまだ完成してないのか。
「せ、専用機、一年のこの時期に!」
「それって政府からの支援があるってことだよね」
「すごーい。私も早く専用機欲しーい」
「なんで男なんかに。私のほうが努力してきたのに。なんで」
おうおう、みんな反応がいいな。そんで最後の子、思い詰める前にメンタルへ。なんならいいとこ紹介するぞ。まあ、今ロシア在住だけどな。
「なあ、専用機を持つってそんなにすごいことなのか?」
そこからかよ!君本当に何も知らないんだな。それとも何か。IS関係者の身内だからこそ、知られたくなくて先生が何も教えてないのか?
「織斑くん、ISにつかわれるコアは467個しかないの」
「しかも特殊な製法でISの開発者である篠ノ之博士しか生産できないの。今は各国で割り振られた数で研究しているんだ」
「しかもコアの取引はアラスカ条約で禁止されているの」
スゲー。この学園はエリートばかりだからすぐに答えられるだろうが、あらかじめ練習したかのような完璧な連携だったな。
「なら青野くんは?」
「俺も専用機を所属している研究所に用意してもらってる。準備にしばらくかかるみたいだけどな」
あ。これ言ってしまったら襲撃されるかな。まあ言ってしまった以上仕方ない。来たら返り討ちにするか。
「あの、先生。もしかして篠ノ之さんは篠ノ之博士の関係者ですか」
ああ、俺も最初はそう思った。でも考えてみたらありえないんだよな。
『ありえないって』
『篠ノ之博士の家族は、彼女が失踪したさいに保護プログラムで名前を変えて引越したそうだ。だからたまたま同じ名字なだけだろ。まさかこの学園に入るのに本名を使うわけが』
「そうだ。篠ノ之はあいつの妹だ」
て、ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!妹!まさかの妹!なんでそんな重要人物が本名でここに通っているんだよ!絶対狙われるに決まっているだろ!まさか姉の名前で守られるからとかそんな理由なのか?ならなんで一家で引っ越したんだ?
待てよ待てよ、確か証人保護が解除される行動がなんかあったな。・・・あ。「昔の知り合いと接触すること」があるな。まさかあいつ、織斑と再会するためだけに本名にもどったのか。
・・・昨日今日しか見てないがあいつが織斑に気があるのは確かだし、マジでか?
「えええー!篠ノ之さん博士の妹なの!?」
「すごーい!このクラスに有名人の身内が2人もいるんだ」
「博士って今行方不明だけど。なにか聞いていない?」
「篠ノ之さんも天才だったりする?今度ISについて教えてよ」
おうおう。織斑の時とデジャブるな。そんであまり身内ネタはやめてやれ。意外と本人にはつらいものがあるんだぞ。
「あの人は関係ない!!!」
案の定爆発したな。にしても関係ない?姉妹仲最悪なのか?
「・・・大声を出してすまない。だが、私はあの人と違う。あの人と違って天才でもない。だから教えられることもない」
なんだろうな。優秀な姉に対するコンプレックスか?でもそれ以上の何かも感じるな。そんでこの空気どうするんだよ。先生がばらすのがいけないんだぞ。責任とれ。
「さて、貴様ら次の授業遅れるなよ」
アフターケア全くなしですかい!この人ちゃんと教職過程受けたのか?それともあれか?特殊な事情かなんかで免許なしに教壇に立っているのか?
「安心しましたわ。もしかしたら訓練機相手に試合をすることになるかと心配しましたが、これで遠慮なく叩き潰しことが出来ますわ」
あれ、この子誰だっけ?こんな影の薄いの知り合いにあたか?
『冗談でもそれはないんじゃない?』
そうだな。でもなんでだろ?昨日始めて知ったのにここ最近会ってなかったような錯覚を覚えるのは?
『それだけこの2日間が濃厚だったんだね』
『まあ、そうだな』
確かに濃すぎる2日間だったな。そりゃ昨日会っただけの奴の印象なんて薄いに決まっているか。
「なんで専用機だと安心するんだ?」
「よろしいですわ。特別に教えて差し上げましょう。わたくしも専用機を持っていますのよ」
うん。知ってる。というか耳のイヤリングだよね。君のISって。ここの生徒真面目だから専用機持ちでもない限りアクセサリーしてないし。
でも考えてみると専用機持ちしかアクセサリーしてないって大丈夫なのか?もし仮にこの教室にテロリストが占拠したら真っ先に無力化するターゲットがわかりやすいぞ。そういう想定をしてないのか、それとも俺が考えつかない高度な対処法があるのか。
「なるほど、これでお前と対等な勝負ができるんだな」
そして織斑、お前何言ってる?さっきの授業聞いてた?今現在進行形でISと一緒にいる奴とまだ自分のISさえ知らない奴が対等な訳ないだろ。主に使用時間がうんぬんで。
「ふん。そんな減らず口がはけるのは今のうちだけでしてよ」
「へっ、返り討ちにしてやるよ」
本当にさ、俺辞退していい?君らで勝手に決着つけてくれよ。
「あなたも覚悟しておくことね!」
やっぱ無理か。
「それではまた会いましょう。お二方」
ノリノリで教室から出て行ったな。けど。
『まるで試合当日まで会わないような言い方だね』
『現実はあと30秒で次の授業だがな』
まあ、自分に酔っているならあんな感じだろ。精々黒歴史を増産してくれ。