ISとビーターの弟子(仮)   作:由紀夫

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放課後の雑談

「ねえ、試合の準備はしなくてもいいの?」

 

昨日の約束通り整備室に来ていた俺に更識さんが容赦なく聞いてきた。なんで知っているの?試合をすること。

 

「それ噂で聞いたのか?」

 

「うん。昨日の昼頃、身の程知らずのチビな男がイギリスの代表候補生を挑発して織斑先生の弟も巻き込まれたって」

 

なるほど。それで昨日あっさり再来の許可が出たのか。試合の準備で忙しいからここに来る頻度も少ないだろうと思って。でもなんで俺が喧嘩を吹っ掛けたことになっているんだ?あとチビと言った奴のことく・わ・し・く教えてくれない?

 

「一応言っておくけど、先に挑発したのはイギリスのほうでそれに答えたのは織斑だぞ。巻き込まれたのは俺の方だ」

 

「そう」

 

興味がなさそうに返事が返ってきたが織斑の名前が出たからなのか微妙に顔をしかめた。まあ、あんな経緯があれば仕方ないか。織斑は直接関わっていないが彼女の努力が報われていない元凶だしな。候補生で専用機持ち、思い入れが強いだろうしな。

 

「やることはあるけどずっと勉強というのも味気ないからな。たまにはこういうの(製作現場)でも見ていたいじゃん」

 

「・・・」

 

無言でこっち見るのやめてくれません。しかも目が「てめえ、いい身分だな。こっちは製作が進まずイラついてんだよ。マジで帰れ(俺の主観100%+ねつ造)」と言っているな。

 

「相手が代表候補生なら、打てる手は全部打っておくべきじゃない」

 

あり?意外にもアドバイスをくれている?ならここは親密度をあげるチャンスかな?・・・!

 

後ろから何か気配を感じた!・・・気がした。

 

「ど、どうしたの?」

 

俺が急に後ろを振り向いたから彼女を驚かせてしまったようだ。

 

「いや、蚊の羽音がしたと思ったから振り向いだけ」

 

「そう。ならいい」

 

結構あっさり信じてくれたね。まあ、室内で変な視線を感じるとかよりは現実的か。

 

「ま、さっき勉強の合間とは言ったけど、一応それ以外にもできることはないか一通り試してみたからな」

 

「例えば?」

 

「今回のは明らかに特殊な例だから例外て訓練機使えないかなと思って交渉してみたんだが」

 

 

 

30分前、事務所にて~

 

「やっぱり使用できませんか」

 

「当たり前です。学園の規則では最低限の授業が終わらない限りアリーナと練機機の使用は許可できません」

 

まあ、そうだよな。知識がすべてとはいわないが生徒が事故を起こす可能性は極力なくす必要があるわな。

 

「だいたいあなたたち何を考えているのよ。こんな時期にISを使った喧嘩をやろうなんて」

 

おいおい、一応建前は「試合」なんだが。まあ、常識人にしたら生徒がおこした「喧嘩」だよな。

 

『本当に喧嘩なら非公式に始末できるのにな』

 

『それって抹殺するってこと』

 

『なんのことかな~』

 

とりあえずこの人に本当のこといっておくか。

 

「言い出したのは俺たちじゃなくて担任の織斑先生なんですが」

 

「と、とにかく使用許可はできません。ほ、ほらこっちも忙しいの。あなたも参考書を読んだりすることあるでしょ」

 

織斑の名前が出たとたんあからさまに態度が変わったな。本人が聞いているわけでもないのに動揺しすぎではないだろうか。

 

『もしかしてクラスでの恐怖政治を職員室でもしているのかな』

 

『それが本当ならもう一種の神だな。〇〇ノートみたいに』

 

それにしても対等であるはずの教師までこうなんて大丈夫か?さすがに学園長は違うだろうけどさ。

 

「そうですね。ありがとうございました」

 

あ、そういえば。

 

「最後にすいません。オルコットさんと織斑くんはここに来ました?」

 

「いえ、一年でここに来たのは君が初めてよ」

 

「そうですか。長らく失礼しました」

 

入学前から規則を知っていてもおかしくないオルコットはともかく織斑は確認に来ないのか。

 

『そういえば彼は放課後に剣道場に呼び出されてなかったっけ』

 

『呼び出されてたな』

 

・・・なんか嫌な予感がするな。ちょっと行ってみるか、敵情視察も含めて。

 

 

~回想終了

 

「ということでアリーナは使用できなかった」

 

「先生が試合を決めたなら普通練習のために特別許可ぐらい出すんじゃない?」

 

「普通はそうだろうけど、あの人はそう手回ししそうにないんだよな。事実使えないわけだし」

 

まあ、予約でいっぱいの訓練機なのに後だしで使えるようにしたら後々しこりが残るから無理してする必要はないわな。そうでなくてもちょっとしたことで逆恨みされそうだし。

 

「それで剣道場に行ってどうだったの?」

 

「え、ああ。剣道場では」

 

 

 

20分前、剣道場にて~

 

「どうしてここまで弱くなっている!!」

 

剣道場についた俺らの耳に入ってきたのは篠ノ之の叫びだった。

 

「あの、なんであの子が叫んでいるかわかります?」

 

とりあえず近くにいた野次馬の人に状況確認をしてみる。

 

「ああ、あそこの少年があまりにも動きが鈍くてね。一応経験があると言っていたから、期待した分落差も激しいんじゃないかな。女の子の話からすると、昔は彼のほうが強かったみたいだし」

 

なるほど、確かに周りも

 

「織斑くん。もしかして弱い?」

 

「本当にISを動かせるのかな?」

 

「というかあんなんでハンデとか言っていたの?」

 

といろいろ残念な評価だ。直接見てないので俺は何も言えないが余程酷かったとみた。

 

「なんでって高校受験の勉強していたから」

 

それは中学から甲子園目指している野球児に失礼だと思わない?彼らは受験中でも体が鈍らないようにしているんだぞ。まあ、スポーツ推薦でもない限り鈍るのは仕方ないにしても他の言い方したほうがいいぞ。

 

「中学では何をしていたんだ!」

 

「帰宅部、三年連続皆勤賞だぜ」

 

それなんの自慢だよ。というか今の状況だと火に油、いやガソリンをかけるようなもんだぞ。

冗談は顔だけに・・・畜生!これだからイケメンは。

 

『冗談は存在だけにしやがれ!ムカつくんだよ!なんで俺に気持ちよくボケさせてくれないんだよ!!!』

 

『ちょっと落ち着いてよ。またあの子に来てもらうよ』

 

『・・・ゴメン。それにあいつを呼ぶのは勘弁してくれ。お互いにデメリットしかない』

 

『相変わらず暴走すると狂気に走るね。それを抑止するために私が見ているんだけださ』

 

そう、ストレアが俺のそばにいるのはたまに枷をはずして暴走してしまう俺の監視+強制停止のためでもある。でもそれならこいつより専門的なのがいるんだけどな。その辺はこの姉妹に任せているから文句はないけど。

 

「鍛え直す!IS以前の問題だ!今日から毎日放課後は剣を振ってもらう!」

 

「え!?いや、俺はISについて「それ以前の問題だと言っている!男が女に負けていて悔しくはないのか!情けないぞ!」俺だって格好悪いと思うけどさ」

 

待て待て。何故そこで男女差別が発生した?本気で挑むなら男女差なんて関係ないだろ。あと流石にずっと剣を振るだけじゃないよな?ISは基本スラスターでの移動だから剣道の「すり足」なんて出来ないぞ。それにISの操縦にはイメージ力が必要なんだぞ。訓練機は使用出来ないにしてもそういうことに時間を割いたほうがいいぞ。参考書の説明の「進路方向に三角錐を向けるイメージ」とかは最初はわけがわからないから自分に合ったイメージ探した方がいいぞ。俺はALOの随意飛行を応用しているから大丈夫だけど。

 

『最初の起動は本当にひどかったよね』

 

『姉が弟の成長を見守るように言うんじゃねえ』

 

見た目はストレアが年上だが、ユイがいうには俺たちの精神年齢はほぼ同じだそうだ。だけどこいつ天然だからどちらかというと妹のように思っている。お前が姉とは絶対認めない。それに俺にとっての姉はあの人だけだ。

 

「恰好?恰好を気にする立場か!やはり女子に囲まれるのが楽しいのか!」

 

そうはいうが篠ノ之よ。自分の身なりに気を使わない男は結構ひどいぞ?寝癖や目やにがついたまま人前に出てくる奴とかいるしさ。身なりを気にするのは大事だぞ。

 

「楽しいわけあるか!そもそもここの奴ら俺を動物園のパンダを見るような扱いじゃないか!その上男子がいるのに女子と同居させられているんだぞ!!何が悲しくてこんn」

 

「わ、私が同棲相手では不満というのか!!!」

 

うん。それは100%俺が悪いわ。そこだけはゴメン。でも二人のうち片方が一人部屋ならもう一人も一人部屋だと思うよね?(責任丸投げ)でもさすがに同居相手の前でいうことではないな。それと篠ノ之さん、動揺しすぎで”同居”から”同棲”にランクアップしているぞ。まさかあんたらオーバーレイ(意味深)までしてないよな。

 

『オーバーレイって何?いつするの?』

 

『永遠に謎のままで』

 

『教えてよ、もー』

 

ならキリトのところに見学に行ってくれ。今は無理だがすぐに実演するだろうから。多分要領オーバーおこすだろうけど。・・・いや、こいつなら「私も混ぜて」とかいいそうだな。

 

「お、落ち着け箒。お前もまだ殺人犯にはなりたくないだろ。な?今度何かおごるから」

 

ん?今の織斑の発言なんか変なような・・・。なんだ?

 

「・・・軟弱者が」

 

そういい残し彼女は剣道場から更衣室の方に歩いてていった。

 

 

『なぁ、今の会話変じゃないか?』

 

『え?織斑くんが命ごいしただけだよ?』

 

『そうじゃなくて・・・うまく言えないが、なんで織斑は「殺される」と思ったんだ?』

 

『えーと、どういうこと?』

 

やっぱりこれだけじゃ伝わらないよな。でも俺も整理できているわけではないから説明が難しい。

 

『まず、織斑は昔剣道をしていた。これはあの二人の会話にブランクがあるみたいな言い方だから確実だ』

 

『うん、そうだね』

 

『次にその実力はそこそこ高いものだった。俺たちはみていないが篠ノ之の落胆ぶりからそれを伺える』

 

『うんうん』

 

『そして織斑が剣道を捨てたのは、確実ではないが怪我とかではない。これはあの姉弟が二人家族であることを前提にしている推論だ。でも怪我をしてるなら親しそうな篠ノ之に黙っている理由はない』

 

『珍しく確定してないことを引っ張り出したね』

 

『だから俺も整理できてないんだよ。この3つから織斑は剣道は初心者でなく実力もそこそこ、そして嫌な思い出があるわけではないと想定できる』

 

『確かに。トラウマがあるなら幼なじみにはいうだろうし、わざわざ苦手意識があるものを特訓に使う必要はないよね』

 

『そう。なのにあいつは「殺人犯」と言った。普通は大袈裟でも「暴・力・反・対!」ぐらいだろ』

 

『つまり君は彼が無意識に命の危険があると判断したと言いたいんだね』

 

『ああ。でも一体何にそう感じたんだろうな。篠ノ之本人が苦手ならあんなに積極的に関わらないだろうし、剣道もそうだ』

 

『もしかしてシチュエーションかな?彼が地面に座った状態で上から凶器を向けられたとか』

 

『それじゃまるで誘拐に・・・そういえば前にも誘拐されたかもなと冗談で言ったことがあったよな。・・・調べる必要があるかな?』

 

もし本当に誘拐された経験があるなら、何がきっかけでそのトラウマが再発するかわかったもんではない。

 

『うーん。でもたまたま彼がふざけただけかもしれないよ。篠ノ之さんが出ていく時の顔、呆れてたもん』

 

『そうだな。俺たちはまだあいつのことを良く知らない。あいつがそう大袈裟にものをいう性格の場合もあるな』

 

その本人はどうやらさっきの惨敗から立ち直り、素振りを始めた。あの顔は「どうせどん底ならあとははい上がるだけだ」とでも思っているのかな?

 

『今日はこれ以上収穫はなさそうだね』

 

『そうだね。まだ時間もあるし整備室のほうに顔出して見るか』

 

そう思って剣道場をあとにし整備室に向かおうとしたが。

 

「ねえ?そこの君?」

 

「?俺のことですか?」

 

「うんうん?そうだよ?ちょっと頼みたいことがあるんだけど?」

 

なんだこの人。語尾が全部疑問形だな。

 

「それで頼みたいこととは」

 

「うん?あそこにいる彼に注意してもらえないかな?」

 

「・・・何か失礼なことをしたんですか。あいつは」

 

「失礼というより?部員でもないのにここを使うなってこと?別に独占する気はないけどせめて許可をとってほしいかな?」

 

「あれ?でもあいつがここに来たのは篠ノ之に呼ばれてですが」

 

「その子、まだ仮入部の状態だから勝手に他人に使わせることは出来ないの?」

 

「え?仮入部?」

 

「そう?いくら部活に入るのが義務であるといっても入学2日目で正式な部員にはならないよ?」

 

そういうものなのか?部活に入ってたことないからわかんないが。

 

「でもそれなら直接篠ノ之に言えばいいのでは?」

 

部活は結構縦社会だとリーファが言っていた。ならいくらなんでも先輩の指摘を無視しないだろう。

 

「うーん?あの子ね?中学のときにやらかしちゃって誰も関わりたくないの?」

 

「やらかした?何をしたんですか」

 

「さすがに私がいうのは筋違いかな?」

 

おいおい、そこまで言ったなら最後までお願いしますよ。

 

「わかりました。どこまで通用するかわかりませんが伝えておきます」

 

「うん?お願いね?」

 

そういって剣道場に戻っていった。結局あの人どういう人なのか。

 

『あの子予想以上に問題児みたいだね』

 

『何やらかしたらあそこまで警戒されてるんだか』

 

部活に影響するというとなにがあるかな?確かテストのカンニングでも部活をやめさせられた例があったはず。でもそれぐらいならあんなに警戒しないな。今の社会だと馬鹿にされるだけだな。なら他には・・・暴力沙汰?

 

『でも暴力に走ったなら永久追放されない?』

 

『部活に永久があるかは知らないがそもそも仮入部も認めないか』

 

本当になんで恐れられているんだ?あいつ。

 

 

~回想終了

 

「てな感じだったな」

 

「君は体を動かさないの?いくらISがパワードスーツでも資本は自分の体力だよ」

 

「俺は朝に走りこみをしてるし、一週間しかないなら無理に追い込まず慣らすぐらいがいいかなと思っている」

 

「そう。それなりに考えてはいるんだね」

 

それって俺が考えなしに見えるということかな?

 

『身長補正じゃない?』

 

そんなのいらないんじゃ!!!お前背よこせよ!!!中身子供のくせに無駄に身長高いんじゃ!!!

 

『ちょっと、また。君ジョークはいうのに冗談通じないんだから』

 

悪い。でも今回はお前も悪いだろ。俺が気にしているの知っているんだから。

 

にしてもあんまり更識と親しくなった感じがしないな。なんか起爆材がないと無理かな。それもとびっきりな爆薬が・・・あるにはあるな。けど、これは・・・。

 

『ストレア、お前確率30%の博打なら賭けるか?』

 

『30%?3回に1回より低いよね・・・。リズが打つ鍛錬なら賭けてもいいと思うけど』

 

『だよなあ』

 

でもそれぐらいしないと彼女はずっと壁つくったままだしな。やってみるか。失敗したら再試行無理なクエスト。SAOのカルラクエストのほうが簡単そうだな。

 

「なあ更識さん。昨日偶然君のカバンの中身見て疑問に思ってたんだが

 

  君もSAO生還者、なのかな?」

 

 




箒が恐れられているのは全国大会での相手に対する暴力からです。本人も自覚ありなのでまわりの反応もこのぐらいはあるかなと思います。
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