ISとビーターの弟子(仮)   作:由紀夫

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会長との接触

「生徒会長さん・・・ですか?」

 

資料の写真で顔は知っていたが生で見ると本当に更識と似ているな。ただ、更識が大人しめなのに対しこの人は猫のような雰囲気(盗聴したときのせいでそう思うだけかもしれないが)でだいぶ印象ちがうな。

 

「そうよ。まあ、分からないのも無理もないわね。今年はいろいろあって新入生に紹介できてないから」

 

「それって俺たち男子の入学関係ですか?」

 

「そうね。でもそれだけではないから気にする必要はないわよ」

 

そういいつつ手に持っていた扇子を開いた。なんか文字が書いてあるな。「不要」ってどんな場面を想定した扇子なんだ?まさかわざわざ書いてきたのか?

 

「そうですか。わかりました」

 

でもさ、それって遠回りに「貴様らのせいだぞ」と言っているな。

 

「で、さっきも言ったけど君。友好関係すごすぎじゃない?」

 

「はあ」

 

なんだ?この流れ?昨日の会話から俺がVRMMOをしているのは知っているのだろうに。

 

「若干12歳でアメリカで博士号を獲得。そして未だに注目されている七色博士。彼女との交流なんて一般の日本人には普通無理よ。ねえ、どこで知り合ったの?」

 

いやいや、確かに彼女は研究で忙しいけど、たまに家族に会いに来日してるから、偶然知り合う可能性はありますが。・・・でもそんなこと聞いているわけじゃないよなぁ。

 

「・・・VRMMOですが」

 

「あら、博士もVRMMOなんて遊びをしているのですか?あんなもの、無意味に時間をかけておきながら現実では何も残らない空想にすぎないのに」

 

その言い方はあんまりじゃないです?現にセブンが怒りの表情になっているがスメラギが止めている。

 

『今のはさすがに』

 

『全ユーザーを敵に回したね』

 

『炎上させちゃおうか』

 

ストレア、サニー、イリヤ落ち着け。そしてイリヤ、そんな笑顔で言う内容じゃないぞ。

 

「彼女、最近は研究に忙しいみたいですよ。向こうでもなかなか会うことありません。そもそも彼女がVRMMOを、ALOを始めたのは研究のためでもありますし」

 

「あら?ずいぶん詳しいのね」

 

「当時はいろいろ衝突もありましたから」

 

これは事実だ。ALOを実験(というよりは観察?)の場にしようとしていたセブンに対し、キリトを筆頭とした俺たちは彼女を否定こそしないが相いれないとして敵対したのだ。

 

「でもさっきの言い方だとあなたは毎日それで遊んでいるみたいだけど」

 

「流石に学力不足なのに毎日はできないっすよ。それに俺がVRMMOをしていたら問題になりますか?」

 

「あら、そんなことはないわよ。でもねえ、噂で聞いたんだけど。あなたSAO生還者って本当なの?」

 

・・・ここでそれをもってきますか。

 

「ええ。確かに俺はSAOにとらわれていましたが、それがなにか?」

 

「ふふ。ならあなたに言いたいことがあるの。

 

  簪ちゃんに会うのはやめて」

 

おうおう。急に眼が本気になりましたね。妹にはいよる虫を見る眼ですね。

 

「妹さんが誰に会おうと姉のあなたに干渉する権利も義務もないと思いますが」

 

「普通の友達なら私もこんなこと言わないわ。でもあなたがSAO生還者で現在もVRMMOもやっているというなら話は別」

 

「あんな事件に関わっておきながら、平気な顔でアミュスフィア(あんなもの)を。さらにあのゲームと同じ城があるといわれているALOで遊んでいるなんて、いくら子供でも不謹慎だわ」

 

「あなたは簪ちゃんに悪影響しかないの。だからこれ以上近づくなら

 

 消すわよ」

 

そう言ってまた扇子を開くと今度は「抹殺」と書いているな。いつの間に変えたんだ?

 

しかし、なんていうか久しぶりに見たな。こんな風に俺たちを拒絶する眼。けど

 

「会長さん、俺が、いや俺たちがあの世界(ソードアート・オンライン)を恨んでないと本気で思っているんですか?」

 

「えっ?」

 

「強制されたデスゲーム、2年もの時間を奪われ、さらに政府からは精神異常者と監視される。これで恨まないわけがないでしょう」

 

「でも君は」

 

「俺たちは運が良かっただけですよ。あの世界で失われた物の代わりを見つけることが出来た。だからこそ、あの世界を憎むだけでなく、愛することが出来た。

 

 

それだけですよ」

 

そう、俺が今もVRMMOを続けていられるのはキリトやアスナを始めとした色んな仲間に出会えたから、それだけだ。

 

「・・・まあいいわ。あなたのそれが本気かどうかはともかく、私はあなたを絶対に認めないわ」

 

そういい残しアリーナを去っていく会長。

 

「まったく!何よあの言い方!ユウキくんやキリトくんたちをそんなに否定したいのかしら!」

 

『そうだよ。それにユウキがどんな気持ちでいるのか』

 

「そんなに怒るな。今では珍しいが、事件後の関係者はだいたいあんな風だったんだ。気にするな」

 

今ではキリトとアスナの同居を認めているアスナの母親もあんな感じだったしな。

 

「『でも』」

 

「彼女がそれだけ妹思いだということだよ。俺たちのために怒っている今の君らと一緒だよ」

 

「わかったわ。納得はできないけど」

 

『うん』

 

「ありがとう。二人とも。ただあの人は気付くべきだな。あの妹思いが逆に彼女の重みになっていることに」

 

「え?」

 

「なんでもない。それより七色。そろそろ会長のところにいったほうがいんじゃないか?」

 

「え?そ、そうだけど」

 

「気まずいのはわかるが、お前の研究のためにもなるんだろ?こっちは大丈夫だから行けよ」

 

「うん。あ、それと」

 

そう言いつつカバンから何かを出して俺に渡してきた。

 

「これ、君に渡すように頼まれてたんだ」

 

「なんだこr、ってああ。サンキュー。あいつも元気にしてるか?」

 

「忙しくて倒れている暇もないって嘆いていたよ」

 

「そうか。でもあいつにとっては嬉しい悲鳴だもんな」

 

「そうだね。じゃあ、そろそろ行くね。

 

また会いに行くから」

 

「ああ、待ってるよ」

 

俺の言葉に笑顔で返して、セブンはアリーナを出ていった。・・・スメラギと二人ってなんか気まずいな。なんか話題話題・・・。あ、そういえば。

 

「スメラギ。機体とは別に箱預かっていない?」

 

「箱?ああ。あれならそこにあるぞ」

 

「サンキュー」

 

危ない危ない。これちゃんと保管しておかないとマズいからな。

 

『何これ?』

 

『誓剣に搭載する武器を入れたもの』

 

『一応君に頼まれたものは全部持ってきたよ』

 

『サンキューな、イリヤ』

 

誓剣はパスロットの関係上二つまでしかつめないからな。だから明日使う予定のを入れてもらって残りは箱の中に入れて持ってきてもらった(搬入の許可をとってあるので問題はない)

 

『でもどうするの?その箱の管理』

 

『整備室のロッカーをレンタルしたからそこに置いとく予定。あそこなら施錠もあるから大丈夫だと思うし。そもそも俺以外に使いずらいのばっかりだし』

 

仮に盗まれても遠隔操作で爆破すればいいし、設計図もラースにあるから予備はすぐにできる。なにも問題はない・・・よな。

 

「スメラギはどうするんだ?」

 

「七色の用事が終わるのを控室で待つ。お前の専用機はついででしかないからな」

 

「だよな。じゃあ気をつけろよ。ここの女子は先公含めて男に厳しいから。下手なことするとしめられるぞ」

 

「ふん。お前に心配されることではない。だが忠告感謝する」

 

『私もそろそろ帰るね』

 

『おう、またな。イリヤ』

 

『うん。スメラギ、悪いけどラースまでよろしく』

 

『ああ』

 

そういい残しアリーナから出ていくスメラギ(とイリヤ)。変なの絡まれないのを祈っているぞ(敬礼)。

 

・・・さて。

 

『あと10時間はこのままかよ。何か暇つぶしできるものない?』

 

『ないよ』

 

『じゃあ、せっかくだし箱の中身確認するか』

 

『こんなところで広げて大丈夫?』

 

『とうせすぐ全生徒にみられるから大丈夫だろ』

 

さっそく届いた武器を確認する(動きづらいが一応屈んだりはできる)。

 

『まず剣は・・・おい』

 

最初に剣を確認したらSAOの「アニールブレード」によく似たものだった。

 

『この剣何?私みたことないんだけど』

 

『アインクラッド第一層のクエストでもらえる報酬アイテム』

 

『・・・それってバリバリの初期アイテムじゃない?』

 

『鍛錬がうまくいけば第三層までは使えたから当時は良武器だったけどな』

 

(機体が初期化されているからって剣まで初心者向けってなんの嫌がらせだよ)

 

ま、俺が設計を頼んだあれはいろいろ問題だからダメだったんだけど、にしてもこれはないだろ。

 

『ま、いいか。次は・・・あ』

 

そこには俺がもっとも大切にしている剣を忠実に再現したものがあった。

 

『これもってこられても使えないんだけどな』

 

『ま、お守りぐらいにはなるんじゃない』

 

『そうだな。さて、他には・・・』

 

 

二時間かけて一通り箱の中身を確認し終わった。最初のアニールブレードとあの剣のサプライズ以外は特に問題なかったな。

 

『でもあと8時間もあるな』

 

『動きづらいから思いのほか時間がかかったけど、それでも時間余るね』

 

『仕方ないな。参考書コピーしたの出してくれ』

 

『こんな格好で勉強するんだ』

 

確かに傍から見たら二宮金次郎みたいでシュールだな。

 

『今から走ってもいいけど、もう少ししたらグランド走りまわるから体は休めておきたい』

 

『わかった。ちょっと待ってて』

 

ストレアはそう言い残しデータを取り出しにいった。

 

「そういえばこいつの待機形態ってどんなのだろう」

 

基本アクセサリーらしいが、現在の世界一なんかはキセルだと聞いたことがある。なるべく無難な、それも男でも違和感がないものになってほしいな。

 

その後、アリーナの閉館時間までは立ったまま勉強、その後はグランドを走り続けた。21時をまわりようやく待機形態に変化したが、流石にPICなしに走り続けた後だと疲労が半端ではなく、ゾンビのように自室に帰りどんな形か見ることなく眠りについた。

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