『ユウキ、そろそろ起きないと遅刻するよ』
「う、ん。わかった」
いつもなら6時ごろに目を覚ますが、昨日の疲労のせいか7時半に目が覚めた。ストレアがいなかったら遅刻確定だったな。
「・・・あれ?右手になんかついてる?」
『覚えてないの?それが誓剣の待機形態だよ』
「そっか、これが」
俺の目に入ってきたのは、鎖につながれた二つの指輪。右手の中指と小指にはまっている。けど
「・・・なんで、これ」
『うん。ありえないよね』
俺はこの指輪を知っている。いや、正確にはこの指輪と同じデザインの指輪を知っている。俺がもっとも大切にしている物の一つに酷似ぢている。でも
「なんでALOの俺のアバターが装備している指輪なんだ?」
ありえるとしたら二つ。ラースの人が設定した。もしくはISがこの指輪をしっていて自作したか。だがどちらも現実的ではない。ラースの人が設定したならイリヤが知っているはず。だがあいつがこの設定のまま俺に渡すわけがない。あいつは悪戯好きだが、この指輪を俺が装備からはずさない理由を知っているから絶対にしない。後者もそうだ。ISは独自のネットワークを持っているが、ザ・シードによるVRMMOに干渉できないはず。よってISが俺のデータを読み取ったというのもあり得ないことでは現実的じゃない。となると
(俺がISを使うことができる理由、その仮説が正しいならば・・・)
『ユウキ。考えているところ悪いけどそろそろ支度しないと本当に遅刻だよ』
「そうだな。考えるのは後にしよう」
どのみち今のままでは証明できないのだ。なら今は目の前のことをがんばるべきだ。
そして放課後(え?授業は?いつもどおりだ。あえていうなら織斑への鉄拳制裁が3時間に一回ぐらいに減った)。俺たちはアリーナのピットにいた(オルコットは別のピットだが)。今日の試合のオーダーは第一試合は織斑対オルコット、第二試合に俺対オルコットとなった。なお、試合内容次第では初の男性操縦者同士の対決もするらしい。それで俺は第一試合を観戦する気満々だったのだが・・・。
「なあ、箒」
「なんだ?一夏」
「ISのことについて教えてくれるって話はどうなった?」
「・・・」
「目を逸らすな」
試合直前にこの会話である。・・・まさか本当に剣道しかしなかったのか?
「し、仕方がないだろ。お前のISが届いてないのだから」
「知識とか基本なこととかほかにもあっただろう」
「・・・」
また黙り込んでいるぞ。この女。そしてさっき、聞き逃せない言葉があったが。
「何故試合当日に専用機を運び入れるんだよ」
『アクシデントとかの可能性考えなかったのかな?』
未だに試合が開始されない理由。織斑の専用機がまだに届いてないのである。
「なあ、ユウキはこの一週間何していたんだ?」
「俺?朝に駆け込みしたり、参考書読んだり、後は座禅したりだったけど」
「座禅?」
「ああ。緊張とかして全力が出せないとかよくあるらしいからその防止のために。呼吸を整えるとかいろいろ方法があるけどな」
「へー。そんなことしていたのか」
織斑が目から鱗の状態になった。篠ノ之は相変わらず気まずそうにしているな。でも剣道は精神を鍛えるらしいしこいつには関係ないのか?
後はALOで試合をシミュレーションとかしていたけどな。リーファやシノンに相手してもらった。俺が21時にベッドに入っていたのはALOにログインしていたためだ(先日ログインしてないって言っていた?遊びじゃなく訓練だ)。当然装備を変更して今のISに近づけたうえでの特訓だ。本来ならオルコットの相手ならGGOでの銃撃戦の方がよりリアルだが、ISは空中戦のためALOで行った。また接近戦向けのストレアじゃなく魔法スキルをそこそこ上げている(片手剣も上げているため純粋なメイジには敵わないという意味で)リーファや弓使いのシノンに頼んだのだ。
『そう考えるとなんか不公平だね』
『寝る間も惜しんで訓練しただけだろ。何も卑怯じゃない』
それに今回しようとするのは今までのスタイルとかなり違うからな。シミュレーションは欠かせなかったんだ。
『本気であれやるんだ』
『ああ、多分この機会を逃したらもうできそうないからな』
ストレアが危惧するのは当然だ。でもどのみち今誓剣に搭載されているのはこの計画用の装備だからな。変更する時間もないし。
「そ、それにしても遅いな。一夏の専用機」
この空気に耐えられそうになかったのか篠ノ之が話題をかえてきた。まあ、今更訓練がどうとか関係ないしそれが一番重要だな。
「残念ながら織斑の専用機はまだ時間がかかるそうだ」
「千冬姉!」
「織斑先生だ!!」
相変わらずこの姉弟のスキンシップは激しいな。公私混同している弟が100%悪いが。
「そこでだ。時間も押している。試合順番を変更し、青野とオルコットの試合から始める」
ですよね~。あなたが来た時からなんとなく察してました。まあ、アリーナの時間や観客である生徒のことを考慮すれば正しいのだが、あえて言おう。
機体の輸送が遅れる可能性があるなら第一試合に組むなよおぉ!!!
まったく、対戦相手は準備万端だからいいとしても俺はあんまり気合い入れてないんだぞ。明らかに心理的に不利だ。
「ユウキ、頑張ってこいよ」
・・・何故こいつはこんなに気楽なのだろか?お前の専用機のせいで俺いきなり試合になったんだが。もう少し深刻な顔しろよ。まあ今更か。
「・・・」
そんで篠ノ之さんはコメントすら無しと。話たくないならせめてこっち睨まないでくれ。マジで。
「はあ、仕方ない」
そういい俺は右手にはめた待機形態の指輪たちに意識を集中した。
(来い。誓剣!)
ー10秒経過ー
ー20秒経過ー
ー30「早く展開しろ!!」
畜生!1日しか所有してないのに即展開させろとか無理があるだろうが!しかもほとんどの時間が拗ねている状態の冷却時間だったしさ。あの後(アリーナの終了時間が過ぎた後)2時間ぐらい無意味に走ってこっちも大変なんだぞ。そのあとは死んだように眠ったってストレアが言っていたし(自分で言い出した?そうだっけ?(すっとぼけ))。
そんな無駄な思考をしつつ、40秒経ちようやく展開成功。
「ユウキ。それが」
「ああ。これが俺の専用機「誓剣」だ」
といっても現在の外見は打鉄の色違いでしかないが。
「ふん。何が聖剣だ。神を討伐するわけでもなかろうに」
お、篠ノ之のやつやっとしゃべった。それとそれは勘違いだ。音だけだと仕方ないが。
「篠ノ之。悪いが聖剣じゃない。「誓約」の誓に剣。簡単にいうと約束の剣って意味だよ」
「ふん。なn「貴様ら、時間が押しているといっているだろ。無駄話は後にしろ」」
「ほーい。そんじゃ青野。行きまーす」
『頑張ってね。いろんな意味で』
『ああ』
俺の言い方が不真面目だったからか、最後に織斑先生がにらみつけてきたので逃げるようにカタパルトから射出した(ちなみにここの時点ですでにストレアからの通信は切れている。と言っても俺の声はストレアには伝わるが)。危なげな動きでアリーナに入ると専用機「ブルーティアーズ」を纏い、既に銃(確かスターライトmkⅡとかいうレーザーライフルだっけ?)を展開していたオルコットがいた
。
「あら、最初の相手は織斑さんだと記憶してますが」
「あいつの専用機がまだ来てないので先に俺らがやり合うんだと」
俺の発言にあからさまに不満の声を上げるギャラリーたち。お楽しみは後に取っておけ。
「あなたに最後のチャンスをあげますわ」
チャンス?ハンデじゃなくて?
「わたくしと戦えばあなたが惨敗するのは必然。ですので頭を下げて謝罪すれば許してさしあげますわよ」
あれ?こいつを侮辱したのって織斑だよな?どっちかというと擁護したとおもっていたんだが。
というか今の発言、ひねくれた解釈だと八百長にならないか。こんな観衆の前でいうことじゃないな。注意したほうがいいな。
「オルコットさん」
「何かしら」
「寝言は寝てから言うのがこの世のルールですよ」
俺の発言にアリーナ全体が静まり返った。え?俺変なこといった?まるで核の冬が訪れたみたいに静まりかえったな。・・・・・・・・・あ、やべ。いつものストレアとの会話のノリで冗談言ってしまった。一人でぼけるとかなんか恥ずかしいな。
(くす)
あ、今観客のだれか笑った。
「あ、あな、あなた。こ、このわたくしを馬鹿にしてらっしゃるのかしら?」
そして対戦相手を確認するとすごく顔を真っ赤にしていた。うーん、オルコットさんを馬鹿にしたというよりはさ、発言を気をつけてと言おうとしたんだが。まあいっか。このまま挑発してみるか。
「こっちは候補生の相手を想定してこの一週間訓練してきたんだ。この専用機だって本当なら実習が始まるころに届く予定だったんだぞ。それを技術スタッフに無理言って今日に間に合うようにしてもらったんだ。多くの人に迷惑かけて行われる試合に手を抜く?これが寝言じゃなくなんなんだよ。それにステージに上がった以上勝敗ははっきり付けるつもりだ」
おうおう。静かにしているが怒りがにじみ出ているな。って何だこの表示。対人戦初めてだから初見の機能多いな。えーと
《敵ISにロックされてます》
・・・なんでこんな表示出るの?こんな表示出てたら避けるよね?ゲームであるGGOでさえ最初の一発は自力で避けないといけないのに。そんで試合開始前に狙いつけていいのかよ。射的武器のデメリット、狙いを定めるための
『それでは試合開始です』
ま、いっか。今はこの試合を終わらすことだけに集中しよう。
「ではお別れですわ!」
案の定、アナウンス直後ですぐに撃ってきやがったな・・・!!
(ドクン、ドクン)
結構衝撃があったな。・・・慣れてないから思うかもしれないが、よくこんな目に見えないシールドに命預けられるよな。まあ、これで第一関門突破だな。
「さあ、踊りなさい。このセシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でるワルツで」
断る!!俺にも好みがある。
セシリアサイド
時は少し戻り試合開始前、アリーナ内
「このわたくしをいつまで待たせるつもりですの!」
わたくしセシリア・オルコットはこの学園に入って何度目になるかわからない怒りに支配されています。入学早々愚かな男にこのわたくしが直々に挨拶したというのにそのありがたさがわかっていませんでしたわ。それだけでも許しがたい行為ですのにあろうことかわたくしの母国をけなしましたわ。
でも今日は待ちに待ったクラス代表選出戦。わたくしと母国をけなしたあの愚か者たちに天罰を下せますわ。
なのに、それなのに。第一試合の対戦相手、織斑一夏がいつまでたっても会場に現れませんわ!!もう絶対容赦しませんわ。
ゴオオン。ガタ。
・・・今どこかぶつけましたわね。てあら?あれは確か二試合目の?
「最初の相手は織斑さんだと記憶してますが」
「あいつの専用機がまだ来てないので先に俺らがやり合うんだと」
まだ?こんな大事な試合なのに?どこまでわたくしを馬鹿にしているのかしら。
「あなたに最後のチャンスをあげますわ」
いくら制裁の対象とはいえこの方は遅刻とは別件。ならせめてもの情けはかけてあげますわ。
「わたくしと戦えばあなたが惨敗するのは必然。ですので頭を下げて謝罪すれば許してさしあげますわよ」
さあ、わたくしにその頭を下げなさい!!
「オルコットさん」
「何かしら」
どうやら謝罪する気になったようで
「寝言は寝てから言うのがこの世のルールですよ」
・・・はい?
「あ、あな、あなた。こ、このわたくしを馬鹿にしてらっしゃるのかしら?」
せっかくこのわたくしがチャンスを与えたというのに
「こっちは候補生の相手を想定してこの一週間訓練してきたんだ。~それにステージに上がった以上勝敗ははっきり付けるつもりだ」
へー、そうですか。そうですか!!それほど公開処刑が好みならいいでしょう。二度とみなさんに顔向けができないようにしてあげますわ!!
『それでは試合開始です』
「ではお別れですわ!」
開始と同時の発砲。才能がある方はこれでも避けることができますがやはり初心者ですわね。撃たれたことに動揺しているのか避けようとすらしませんわね。
「さあ、踊りなさい。このセシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でるワルツで」
現実の厳しさ、思い知るがいいですわ!!
戦闘描写が難しいので本格的な戦闘になる前に切りました。続きは近いうちに投稿できるようがんばります。