ISとビーターの弟子(仮)   作:由紀夫

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インタビュー

「織斑くんクラス代表おめでとう!」

 

「「「おめでとー」」」

 

放課後、寮の食堂で『織斑一夏クラス代表就任パーティー』が行われた。食堂にはたくさんの女子があふれかえっていた。そう、一組の生徒数を大きく上回る女子がいた。

 

『なんで他クラスの女子までいるんだ?クラス代表選の敵だぞ?』

 

『女の子はお菓子のためなら少々細かいことは気にしないから』

 

いくら年ころの女子といっても話題がないと盛り上がるには燃料が必要ということか。たしかに話題の男が代表選に参加ともなると酒の肴(?)にちょうどいいのだろうな。あれ?でも代表戦って優勝すると賞品が出なかったっけ?

 

そして俺も参加させられていたのだが

 

(どうしてこんな席順なんだよ)

 

悪意があったのかどうかは知らないが隣には生徒会のスパイ、布仏本音がいた。

 

「あ、本音」

 

「なんか本音と青野くんが一緒にいるの久しぶりに見るね」

 

そりゃそうだ。基本俺は用事がない限りは自分から声をかけないし(下手に声かけたらまたナンパだと言われるため)、布仏は簪に言い寄る不審者としてここ最近は警戒態勢だったしな。さらに俺の部屋の監視カメラを確認する役目にも関わらず未だに尻尾を出さないことでさらに警戒度が上がっているようだ(大体ベッドの上でVRMMOにログインしているので宿題以外は部屋での活動が少ないのが原因だが)。ちなみに共通の友人である簪さんは織斑が主役ということで不参加だ。

 

『勝手に部屋をのぞいてくる変態なんだから当たり前だよ』

 

『お前だって最初に出会った時俺たちをストーカーしてただろ』

 

『あ、あれは、その』

 

『負の感情で暴走していただけだろ。動揺しすぎだ』

 

『いじわる』

 

『ただ、あの時のお前はやけにスキンシップが激しかったけど、それは元からだったよな』

 

やけに抱きついて来たり、連れまわしたり。そもそもあの時の服は結構きわどかったし。

 

『し、仕方ないじゃん!プレイヤーを癒すのが私の役目だもん!』

 

それ男しか効かないだろ。しかも彼女持ちにやったら破局の原因にしかならない。

 

「そうだね~。せっかくのパーティなんだから仲良くしないとね~」

 

今の布仏の言葉が俺の脳内で『こういう時だから(警戒が緩んで)情報取り放題だから』と変換された。・・・俺いろんな意味で末期だな。ちなみにこのパーティーの主役の方は

 

「一夏。楽しそうだな」

 

「せっかくのパーティーなんだから楽しまないと損だろ」

 

「・・・ふん」

 

と篠ノ之との会話でもわかるように、多くの女生徒に囲まれてワイワイやっていた(当然オルコットも混ざっている)。流石に一組以外の生徒がなれなれしく同じ机につく度胸はなかったようだが。にしてもハンデはいらないとか言っていたくせに情けで代表になったことを素直に喜べるのかねえ。

 

「ヤッホー。新聞部の黛薫子で~す。話題の新入生、織斑一夏くんたちにインタビューしに来ました。ついでにもう一人の(情けない)男の子と専用機持ちのセシリア・オルコットさんにもインタビューするよ」

 

おーい、せめて名前出してくれませんか?そんな程度で(アルゴにいじられ過ぎて)耐性のある俺から情報を抜き取れるのかな。

 

「じゃあまず本命の織斑くん、クラス代表になった感想を一つ」

 

そういって差し出されたのはボイスレコーダーだった。これは下手な発言はマズい・・・というのが普通の感覚だろうな。・・・ところでそのメモ帳は飾りですか?

 

「ええーと、頑張ります」

 

「うーん。もっと面白いコメントがほしいな。俺に触れると火傷するぜ、とか」

 

いやいや、そんなこと言うのナルシストぐらいじゃないですか。

 

「自分、不器用ですから」

 

「前時代的だね。少しつまらないけど適当にねつ造しておくよ」

 

織斑、俺は入学以降ドジ踏んでいるところしか見ていないんだが(真新しいものでクレーターがある)。それは普段かっこいい人がいうから決まるんだぞ。

 

「じゃあ、次はセシリアさん。なんでクラス代表を降りたかについて聞きたいんだけど」

 

「ええ。構いませんが。そもそもわたくしがあの試合が行われるように仕組んだ意図は」

 

あれ?あの言い方もしかして意図があったのか?ただ織斑ばかりが注目されていたから自分が目立たないのが許せないのだと思っていたが。・・・もしかして政府から俺のこと聞いてないよな。

 

「ああ。長くなりそうだからいいや。適当にねつ造しておくから」

 

「ちょっと、あなた!!」

 

おい。あんた情報屋なら根ほり葉ほり聞き出せ。アルゴなんかは普段の会話からいろんな情報を抜き出す知識に長けていて、どんなに時間をかけても盗み出していたぞ。

 

『いやいや。学生の新聞記者の物まねだよ。アルゴのようなガチじゃないからね』

 

『そうだったな。似たような人がいるとつい比べてしまった』

 

にしても堂々とねつ造言うなよ。その新聞どれだけ読者に信じられているか怪しいな。いやこんなに清々しいなら逆に読者が多いのか?

 

「よし。織斑くんに惚れたからにしよう」

 

「え!?いいえ、それは」

 

先輩、それねつ造じゃなくて真相です。もしかしてこの人勘がよくて適当に記事にしたことが本当だったりしてきたのか?

 

「先輩。そんなバカなことあるわけないじゃないですか」

 

「ええ?そうかな?」

 

「そうですわ!何を根拠にバカというのですか!!」

 

織斑の鈍感な発言にオルコットが怒り出すという傍から見たら首をかしげる展開になっている。そして織斑はなぜオルコットが怒っているのか理解できていないようだ。

 

「じゃあ、次は青野くん。そうだね、君には『好きなタイプ』を聞こうかな」

 

俺だけハードル高すぎじゃね?それとも俺は話題に乏しいからギャグ担当にして使う気なのか?

 

『でも君の答えは決まってるから考える必要ないでしょ』

 

『確かに』

 

せっかくだから少し遊ぶか。

 

「好きなのは・・・アリですね」

 

ズコォォォーーー。

 

聞き耳立てていた周りが大いにコケタ。なんか反応に見覚えが・・・ああ。織斑とオルコットが会話したときか。にしても俺の好きな女子のタイプの話なのに気になっていたのか。織斑だったらどうなっていたのか。

 

「いや、虫じゃなくて」

 

知ってますよ。誰が好きなタイプ=虫を連想しますか。多分織斑でも無理だろ。

 

「なら紫です」

 

「いや、色でもなくて」

 

「ではつぎは」

 

「そうじゃなくて『好きな女の子のタイプ』を聞いているの!!」

 

流石にふざけすぎたか。でも先輩少し短気過ぎませんか?汚い大人の世界だとこんな風に話逸らすの普通ですよ。仕方ない正直にいうか。

 

「自分、生身の人間に興味ないっすから」

 

ビキィィィィ!!

 

今度は空気が凍る幻聴がしたな。・・・なんでだ?

 

『俺変なこと言ったか?』

 

『ううん。そんなに的ハズレはなかったよ』

 

だよな。もしかして俺「生身の女」と言い間違えたか?お、俺はホモじゃないぞ(切実)!!

 

「生身の人間に興味がないって」

「それってどういうことかな」

「そういえば青野くん自己紹介のとき趣味はネットゲームっていってなかった?」

「もしかしてそれって」

 

ん?VRMMOが今関係あるのか?

 

「えーとゴメンね。確認なんだけど、いわゆる『嫁』っている?」

 

先輩、急にプライベートのこと聞けると思うなよ。ノーコメントだ・・・

 

『でも、はっきり言っていた方がハニートラップ防止にいいんじゃない(少し不機嫌そうに)?』

 

『そうだな(不機嫌になるなら提案するなよ)』

 

「ええ。いますよ」

 

「そ、そうなんだ~」

 

明らかにドン引きしている先輩+女子たち。俺変なこと言ったか?

 

『みんな耳年増なんじゃない』

 

『そういえば昔の曲でもそんなこと言っていたな。なんだっけ?』

 

確かなんかのアイドルグループの歌詞だったっけ?

 

「じゃ、じゃあインタビューはこのぐらいで。最後に写真撮影いいかな」

 

写真なあ。最近あんなこと(ファンサービス状態での暴走)があったから少し反応してしまった(あの後ストレアの映像で確認した)。

 

「いいですよ」

 

「じゃあ専用機持ちで集まって」

 

「え?」

 

オルコットが意外そうなうれしそうな声を出した。どうやら織斑と一緒に撮影できそうで興奮しているようだ。多分俺も一緒に写るの忘れて。

 

「一年の専用機持ちが勢ぞろいだもんね。握手・・・は3人だから無理だろうけど手を合わせるぐらいがいいかな」

 

先輩。全員ではないです。もう一人日本の候補生がいます。ほら、あまりにも自然に無視しているから従者がすごく睨んでいるぞ。

 

「その写真は後でいただけるのでしょうか」

 

「そりゃもちろん(お金を出していただければ一夏くんとのツーショットに編集しますよ)」

 

「(あ、ありがとうございます)でしたら早く撮りましょう」

 

「お、おう」

 

『なんか言葉通りじゃなかったな。「ツーカー」のような感じ。しかも先輩はISを保持してないのに(ISコアの互いを探索する機能で保有者を確認済み)』

 

『女子特有の隠密だね』

 

「俺パスでいいですか?」

 

「ダ~メ。みんな仲良く写真撮らないと(最初からツーショットだとお金取れないじゃない)」

 

「そうだぜユウキ(みんなで仲良くするのは普通だろ)」

 

「せっかくですからご一緒に(本当は邪魔ですが今は一夏さんのポイント稼ぎで。後で編集してもらえるんだから)」

 

「そうですね」

 

みんな目的が別だな。

 

「それじゃあ撮るよ35✖51÷24は?」

 

「えーと「の0乗で答えは1」・・・2?っておいユウキ!!」

 

「勝手に式を変えないでよ!!」

 

そんな数式、答えが気になって笑顔ができるか。どこかのナスさんの言葉にもあるだろ。『みんなに笑顔に』って。そしてシャッター音がなった・・・が。

 

「なぜ全員入っていますの?」

 

「まあまあ、セシリア。抜け駆けはなしでしょ?」

 

「みんなチャンスは平等にね」

 

「そうだぜセシリア。みんなの写真が撮れてよかったじゃねえか」

 

「そ、そうですわね(編集できそうですか)」

 

「はいはいみんな、静かにして(ゴメン。これだけの人数は編集無理だわ)」

 

「・・・(ため息風に)はあ(そんなあ)」

 

どうやらみんなもセシリアの言外の暗号(?)を解読していたようだ。文字通り抜け駆けを防いだってことか。その後は特に目立つこともなく終了。みんな各自解散していった。・・・のになぜ布仏は隣にいるんだ?

 

「ねえ」

 

「なんだ布仏」

 

「さっきのインタビューじゃないけど質問があるんだ」

 

なんだ。まだ聞きたいことがあったのか?

 

「何?」

 

「君にとってISって何?」

 

おいおい。何哲学みたいなことを聞いている。そんなのどういえばいいんだよ。

 

「目的を叶えるための手段だよ」

 

「目的って」

 

「ああ」

 

「ふざけないでくれない」

 

「はいはい」

 

この流れ簪さんのときもあったな。

 

「実は俺ISを動かす前は医者になりたかったんだ」

 

「医者?」

 

「似合わないとかいうんじゃねーぞ」

 

「言わないよ~」

 

めっちゃ笑いながら言うなよ。まだ俺が純粋なころの夢だよ。

 

「どうしても変えたいものがあったんだ」

 

「変えたいもの?」

 

「『現代医学の限界』だ」

 

「医療?何かあったの?」

 

「悪いがこれ以上は言えない。気軽に他人にいえることじゃないから」

 

まあ、医者になりたいというのを聞けば大体何があったのかはわかるだろうけど。

 

「少なくともこれだけは言える。世の中を変えるには人々に声が届かなければならない。だが現代人には並みの方法では響かない。主張するには何らかの努力が必要だ。その点IS保持者の発言は良くも悪くも世間に広まるからなそういう意味で利用させてもらうだけだ」

 

「まるで革命みたいだね」

 

「そんな大げさなこと考えているわけじゃないよ」

 

まあある意味革命かもな。女尊男卑の考えをなくそうとする意味もあるっちゃあるから。

 

「最後に聞きたいんだけど~。君って彼女いる?」

 

「え?さっき答えただろ?いるって」

 

今時ネットで知り合って付き合うのは普通だぞ。キリトとアスナは当然として、エギルも嫁さんと知り合ったのはネットゲームだって公言しているし。・・・そういえば先輩なんで『嫁がいる』なんて聞き方したんだ?普通は彼女がいるのかとか聞くよな?俺まだ15歳(誕生日前)だから日本人の常識では結婚してないと思うだろうし。

 

「ふ~ん。そうなんだ~。じゃ~ね~」

 

そう言い残し帰っていった布仏。・・・なんだったんだ?会長に報告するにしてもそこまで評価されそうにない情報だし。

 

『あの子、なんであんなこと聞いてきたんだろ。まさか、簪って子のために聞いてきたとしたら・・・やっぱりあの子ユウキを狙って』

 

『ストレア?どうしたんだ?』

 

『ちょっとユイに相談しないと。確かキリト用に浮気防止システム組んでいたよね。あれを持ってきてもらって。くふ、くふふふふ。もう二度と渡さないんだから・・・』

 

『・・・ダメだ。こりゃ』

 

何がスイッチになったのか知らないがヤンデレ風になっている。今度サニーに聞いてみるか。




『嫁』でまわりと反応が違うのは、オリ主とストレアは「彼女」、まわりの生徒(一夏以外)は「二次元の嫁」と思っているからです。

ちなみにオリ主は『2日目の授業』で
「『まさに経験者は語るだね』『・・・冷静に言われると恥ずかしいな』」
といっていますが「IS」ではなく「恋愛」の経験のことを言っていました。




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