ISとビーターの弟子(仮)   作:由紀夫

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『学生寮、自室にて』のメールでの「MB1」を「MV1」に訂正しました。


次の日の朝 生徒会室で

♢楯無サイド♢

早朝の生徒会室、授業前に今日の予定を確認していたが

「虚、本音はどうしたのかしら?」

 

「えーと、それがですね」

 

私たちの前にいるのはかなり機嫌が悪い本音だ。昨日は情報がとれたとあんなに喜んでいたのに。

 

「昨日のパーティーで彼に質問した件ですが」

 

「ああ。元々医者になりたかったって言っていたあれね」

 

医者になりたいと思うには幼少期に大病にかかるか、家族が病死した経験をしたことが動力源になるとよく聞く。

 

「だから過去に『青野ユウキ』という患者がいなかったか、もしくは『青野』という親戚がいなかったかを調べてもらっているんじゃない」

 

「それが・・・これが昨日の監視カメラの映像だそうです」

 

「?映像」

 

そこには衝撃な映像が流れていた。その映像がこれだ。3.2.1.GO!(何!!1の次は0ではないのか)

 

『くくく。馬鹿な女だ。あんな嘘を信じちまうなんてな』

 

そういいつつ彼は参考書を開いていた。

 

『ISを使う理由。そんなものこれしかないだろう』

 

そのページに記載されているのは次の項目だ。

 

<ISコア保持者(通常は候補生などを指す)には国家から契約金が発生する。契約期間内は他国との契約はできない>

 

『くくく。年間契約でもらえる額は一般人の生涯収入に匹敵する。この学園を卒業するころには一生遊んで暮らせる大金が手に入る。くくく、はははは』

 

そういって高笑いする彼。

 

 

「何これ?」

 

つまり彼が本音に話した内容は嘘っぱち?

 

「これを見て彼に騙されたとイラついているようです」

 

「なるほど」

 

確かにこれは頭にくる。しかも本音からすれば嘘の情報に踊らされてしまい、なおかつそれを私に報告してしまっている。完全に情報戦に負けたといっても過言ではないわね。

 

「さらにまだ続きがあるそうです」

 

「え?」

 

これ以上にひどい映像なのかしら。

 

『にしてもなんで織斑ばかりがもてているんだよ。俺だって女子とあんなことやこんなことw』

 

「なんでっすって!!こんなことを考えるなんて女子の敵ね!!はっ!!まさか簪ちゃんがこの男の毒牙の標的に!!本音!!!当主として命令するわ。この男に制裁を」

 

「そう命令されるのを待っていました。ボス」

 

そこには普段ののらりくらりの動きではなく裏の人間らしく切れのある動きで敬礼する本音がいた。どうやら彼女も本気のようだ。

 

「本音、会長!やめてください。彼も年頃の男ですよ。あの程度は許容範囲です」

 

「だまりなさい。彼氏ができたことがないくせに」

 

私の発言にダメージを受ける虚。・・・地味に自分にも反射ダメージが(54と獅子の仮面が見えた気がした)。本音はまだそういうことに興味がないのか効果はないようだ。

 

「ではそろそろ(暗殺に)教室に行きます」

 

「本音。やめなさい」

 

本音の暴走をげんこつ一つで止めた虚。その後、本音はいつのものほほんとして教室に向かった。

 

「そんなことより問題は彼が本音に伝えたことが嘘だとしたら今調査を依頼している病院関係が全部空振りになるということです。会長、どうしましょうか」

 

そうね。当主である以上冷静に判断しなきゃ。

 

「確かに彼の嘘の情報に惑わされてしまっている。でもまだすべてが嘘ときまったわけじゃない。今までは病院関係に狙いを定めていたけど今後はより範囲を広げることにするわ」

 

「かしこまりました」

 

でも一つでけはっきりさせないといけないことがあるわ。

 

「虚。彼が言ったことが嘘だとしたら、彼女がいるといったこともハッタリなのかしら」

 

「・・・どうでしょうか。少なくとも彼は自分の家族や友好関係については一切公表してはいません。その彼がいくら気を抜いていたしても他人に恋人のことを話すとは思えません」

 

「そうね。そもそも彼女がいるならインタビューでの『生身の人間には興味がない』とは言わないでしょうし」

 

それに彼女のことが知られればその人を人質にされる可能性がある。彼ならそのぐらいわかっているでしょう。

 

「その発言ですが、私には何か裏があるのではないかと思います」

 

「裏?」

 

「はい。彼のようなタイプは常に自分の発言に気を付けます。そのような場合過去の発言と矛盾が生じるような安易な嘘をつきません。このようなタイプは『本当のことを言いつつ、相手が誤解する言い方』をします」

 

「つまり彼の発言はミスリードであると?」

 

「はい。それがどういう意味なのかはわかりませんが」

 

「でも『生身の人間』ではない者・・・。もしかして」

 

「何かわかりましたか?」

 

確証はないけどこれなら辻褄が合うわ。

 

「彼はVRMMOの中でも大手であるALOのユーザー。つまり彼のいう彼女とは『ネットでできた彼女で本当の顔を知らない』という意味ではないかしら。これなら相手が現実でどんな人間なのか知りようがない。それこそ『現実の体(生身)に興味がない』ということにも当てはまるわ」

 

「なるほど。辻褄は合っています」

 

「・・・となると彼女の情報で揺さぶるのは無理そうね」

 

「そうですね。相手も自分の彼氏が男性操縦者だと気づいてない可能性が高いです」

 

「まったく。なんで会ったこともない人を好きになれるのかしら」

 

「会長。何が恋愛のきっかけになるかはわかりません。彼の場合はネットでの出会いだったのでしょう」

 

そうなのかしら?当主として恋愛も自分の意思の思うままにできない私にはわからないことね。まあ、彼に恋人がいようと関係ない。もし簪ちゃんに手をだすなら。ふふふ(悪い笑顔)。

 

「そういえばあの『アンラッキー』とかいう人は?」

 

「いえ、ここしばらくはコンタクトがないです」

 

「そう。紺野っていう操縦者のことも発展がないのよね」

 

「はい。ですが青野さんが言っていたであろう『紺野』ではないかと思われる人物の特定はできました」

 

「どんな人物?」

 

「ALOの元ユーザーで『紺野木綿季』という女の子です」

 

「紺野・・・木綿季?彼と同じ名前ね。女の子なら操縦者の可能性もあるわね。その女の子は今どこに?」

 

「それが・・・2年前、15歳の若さで病死しています」

 

「病死?」

 

「はい。それに彼女の家族も同じ病で死んでいます」

 

「そう。だったら関係ないみたいね」

 

彼が知ってそうな紺野なる人物が既に死んでいるなんて。

 

「ですが、彼女にはまだ生きている家族がいるみたいです」

 

「え?でもさっき家族も病死したって」

 

「彼女が幼少のころ、父親が親戚の子を養子としています。といってもその子は施設で育ったようですが」

 

「?どういうこと」

 

「彼女の死因となった病はこの養子のときにはすでに家族全員が感染していたそうです。そのためこの子を養子にすることを保健所が待ったをかけました。そして話し合いの結果、戸籍上は養子とし、普段は施設に入ること。家族との面会は病院でのみ許可されたそうです」

 

「なるほど。そういえばその養子になった子は女の子?」

 

「いいえ。少年のようです」

 

「なら関係はないようね。もしその少年がISを動かせるなら一斉検査で判明するはずだもの」

 

彼が一斉検査の時はラースでバイトしていたから受けてないためだそうだし。

 

「それが・・・この1年ほど行方不明のようです」

 

「・・・行方不明?え?じゃあ何?男性操縦者かもしれない少年がいなくなったというの?」

 

「はい」

 

「もし外国に誘拐されていたら大変だわ。それも調べてもらいましょう。紺野・・・名前なんだっけ?」

 

「健二。紺野健二だそうです。ちなみに年齢は簪さまと同い年だそうです」

 

「・・・織斑くんといい、今年の一年の世代は呪われているのかしら」

 

<だって物語ですから(作者の声)>

 

?なんか聞こえたような?幻聴かしら。

 

♤ユウキサイド♤

ちなみに例の映像が撮られた時間(つまり前日の深夜)、カメラを仕掛けられた件の部屋では

 

『なあ、ストレア。いくらなんでもこの編集動画極悪すぎないか?』

 

『くふふ。何を言っているの?これくらいしないと♪』

 

『(まあ、いいか。情報攪乱にはちょうどいいし)あんまり過激にするなよ』

 

『うん』

 

監視カメラに偽の動画が流れるように仕掛けをしている二人の姿があったとか(つまりストレアによる偽造動画である。また技術提供は安定のユイ)。ちなみにストレアがこんな暴挙に出ているのは本音の態度に危機感を感じたからだそうだ。どのみちこの映像は生徒会以外に流れることはない(と信じている)。元々警戒している相手なので大丈夫だろう。

 

『それに完全に間違っているわけではないでしょ?』

 

『確かにな。俺たちの目的のためには金が必要だからな』

 

なんせ下手したら年間1億もの維持費がかかる。だから政府に協力(金を出してもらう)のがいいのだ。

 

『ピコン』

 

ん?メールだ。送信者は・・・なんてタイムリーなんだろうな。

 

『ストレア』

 

『くふふ。そうだ。もっとひどい偽造を。ユウキに近づく女はいなくなれ』

 

・・・(無言のチョップ)。

 

『イタ。な~に』

 

ストレアの混乱が解けたようだ。

 

『いい加減戻ってこい。メールが来たぞ』

 

『う、うん』

 

メールの着信もおかげで暴走を鎮める理由ができた。で肝心の内容はっと。

 

「MV1 申請者 現る。 一度 資料 拝見 要求。 よって 近々 あの店 来店 求む H」

 

なるほど。相変わらず片言のメールだな。

 

『また申請者が出てきたんだね』

 

『まあな。でもあれが一般に普及することが俺の望みでもあるし』

 

そのためにテスターなんてやって男性操縦者であることを最大限活用しているのだから。

 

『そういえば学園に入ってからテスターとしての報酬入らないんだっけ?』

 

『ああ。一応ラースから契約金みたいなものは入ってきているけど、テスター時代と比べると桁がちがうな』

 

単に外国に移籍しないように縛りつける契約金と実際に働いてもらえる成功報酬の違いだな。契約金も一般人としたら十分なんだが、俺たちがやっていることは何分大金が飛んでいくのだ。

 

『向こうに回さないといけないお金はどうするの?』

 

『こいつ(メールの送信者 H)が株とかやって今までの資金増やして貯めているらしいから在学中は大丈夫らしい』

 

『それ本当?在学中って結構な金額だよね?』

 

『おいおい。何言っている?あいつは言語能力を削ってでも「数字」を増やすやつだぞ』

 

そのおかげでメールでもわかる通り片言による会話しかできないのだ。

 

『もしかしてあの子があの会社の秘書しているのって』

 

『そう。なにかあった時のために資金を増やすため』

 

『コミュニケーションがろくに取れない彼女をなんで重役にしたのか謎だったけど、そういうことだったんだ』

 

それでも3か国語での会話ができるので十分だがな。

 

『俺にとって操縦者であることに深い意味はない。だけどこっちの方は何があっても維持させなければいけないからな』

 

不渡り手形で倒産なんてことは避けなければならないのだ。

 

『それでいつ会いに行く?』

 

『そうだな。この日にするか元々外出する予定だし』

 

『ああ。あの子のあれだね』

 

『正解』

 

俺が取り出したのはセブンからもらったものだ。これは当日しか利用できないからこの日に行くしかないのだ。

 

『じゃあ、その日に行くって返信しておくね。・・・でもいいの?私たちが外出するなら監視がつけられるんじゃない?まだ学園には秘密にしておくんでしょ』

 

『ああ。だから当日はまずあっちで向かう』

 

『あっち?もしかして』

 

『ああ。最初の目的地は六本木だ』

 

多分菊岡が困った顔をするだろうが俺の管轄外だ。

 

 

『それよりさっき気付いたんだが、学園内のコアの数が増えていた』

 

『!!じゃあ侵入者!?』

 

『いや、ステルスをしているわけじゃないし、堂々と学園内を歩いているから多分転入生だろう。おそらく一年生として入ってくるだろうな』

 

IS学園に転入するのは大きく二つ。一つは入学後に完成された機体の性能をみるため。もう一つは急激に成長した、もしくはスカウトに成功した優秀な人材を成長させるため。今回は時期的に見ても急成長やスカウトは可能性が低いからおそらく前者だろう。まあ、どっちの理由でも一年に転入だろうけど(その方が在学期間が長く成長できるため)。

 

『どこの国かわかる?』

 

『コアナンバーからすると・・・中国だ』

 

『中国って、この間大使館に引き取りに行ったばかりだよね』

 

『そういえば大使館に行った時何か騒いでたな。中国語だからよくわからなかったけど「あの少年が入学するなら彼女も入学するそうだ。来日の手続きを頼む」・・・だったかな?』

 

『そっか。大使館に行ったのは織斑くんのニュースのあとぐらいだったね』

 

『あの会話の子が転入するなら、狙いは織斑かな』

 

『でも中国は大胆なことをするときがあるから気をつけないとね』

 

『そうだな』

 

さてどこのクラスに転入されるのやら。明日はまた騒ぎになりそうだな。




今作のSAOのユウキにはオリキャラの義弟がいます。彼はエイズに感染していないので作中も生きています(公式には行方不明ですが)。さて彼は物語に出てくるのでしょうか(すっとぼけ)。
彼、紺野健二は設定では
・身長165cm
・現実の体ではIS学園には入ったことはない(ハッキングのようなことは例外)
となっています。
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