ISとビーターの弟子(仮)   作:由紀夫

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中国から来た元気娘

「ねえねえ織斑くん。二組に転入生が来たって聞いた?」

 

翌日(前回の生徒会室の会話の直後)、教室に入ると織斑と同級生が雑談をしていた(俺は遠くから観察している)。

 

『昨日の子かな?』

 

『多分な』

 

「転入生?こんな時期にか」

 

織斑の疑問もあながち間違いではない。まだ俺たち一年が入学してからひと月と経っていない。こんな中途半端に転入してもクラスに馴染めない場合もある(性格によるが)。それにIS学園は寮に入る義務がある。なにが言いたいかというと某寮担当の先生が部屋の配属に苦しんでしまうのだったりする。それに学園側も最初の数週間は慣れない環境に入ってきた外国の生徒に気をつかうが流石に2週間目に入るとみんな慣れるためそういう心配もなくなる。もしここの環境に慣れなかったカウンセリングに直行だな(かなりのブーメラン発言)。

 

「うん。なんでも中国の代表候補生らしいよ」

 

「あら、今頃わたくしの存在を危ぶんでの転入かしら」

 

いや、世間での君の注目度はかなり低いですよ。大体こんな感じである。

 

ビュリュンヒルデ>>>>>(ただ一人の)国家代表>>>>(複数いる)候補生>>>一般操縦者>>一般女性>勘違い女

 

最近では国家代表の前に男性操縦者が入るけどな。

 

「ふん。別にこのクラスに転入してくるわけではないのだから気にする必要はないであろう」

 

そしていつも織斑といっしょにいる篠ノ之さん。君は他クラスと交流しないボッチなのか?・・・そういえばこいつが会話しているのは織斑(半分は罵倒)とオルコット(織斑の取り合い)以外での交流あるのか?

 

「どんなやつなんだろうな」

 

「・・・気になるのか?一夏」

 

「ん?ああ、少しは」

 

そりゃあ半分保護という名の監禁状態のところに新しい人間が来たら警戒もするだろ。・・・あ、こいつもしかして色恋沙汰で考えてるのか。

 

「フン・・・・」

 

・・・こいつすごいメンドクサイな。

 

『男と付き合ったら多分ヤンデレ化待ったなしだね』

 

『そうだな(昨日のことをおもいだしながら)』

 

「来月にはクラス代表対抗戦があるのに、お前は転入生を気にしている余裕があるのか?」

 

「そうですわ。一組の代表として一夏さんには頑張ってもらわねばなりませんわ」

 

確かに。それに候補生を押しのけて代表になったんだからそこそこの結果を出さないと一組全員が非難される可能性もあるからな。

 

「まあ、やれるだけやってみるか」

 

・・・やっぱりこいつ自分の立場わかってないな。今のこいつは世界最強の弟という幻想による補正が少なからずある。それによって優遇されているのは間違いない。にも関わらず連敗し続けたらこれまでの幻想の落差で見捨てられることもある。流石に露骨な仲間外しはないだろうが、女子高生はそういう裏の行動に長けているからな。

 

「男たるものそのような弱気でどうする」

 

「やれるだけでは困りますわ」

 

おうおう。期待されているな。

 

「頑張ってね織斑くん」

「織斑が優勝したらみんな(一組のみ)が幸せだよ」

「学食デザート半年フリーパスのためにね」

「専用機はうちと四組だけだから余裕だよ」

 

『ねえ、今の会話変じゃない』

 

『安心しろ。明らかに矛盾している』

 

3人目の子が言った「専用機持ちはうちと四組だけ」。つまり四組の代表が専用機持ちの候補生であることも知っていないと出てこない言葉だ。にも関わらず織斑が勝つと思っている?確かに機体はできていないが経験の差が大きんだぞ?それとデザートのフリーパスって褒美なのか?食べ過ぎて精神的嫌悪に陥る未来が待っているぞ(主に・・の質量の増加によって)。

 

「その情報古いわよ!!」

 

!!ビックリした。誰だ、教室の前で大声出しているのは。

 

「二組の代表も専用機持ちに変更になったの。そう簡単に優勝はさせないんだからね」

 

元気な子だな。見たことないから噂の転入生か?でも言ってることが大物の付き人が言うみたいだぞ?

 

「鈴?お前鈴か?」

 

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音(ファン・リンイン)。今日は宣戦布告に来たわけ」

 

あれが中国の候補生か。昨日の件で簡単に検索したが、第三世代ISにコアが使われていることしかわからなかった(コアナンバーしか知らず、候補生自身の名前を知らなかったため)。

 

「何カッコつけているんだ?すげぇ似合わないぞ」

 

それは言ってやるな。それにお前もアリーナで『とりあえず千冬姉の名前を守ってやるさ』⇒敗北していただろ。

普通の学校ならしばらくは笑われ者だぞ(人のこと言えないが)。

 

「んな!!なんてこというのよ、アンタは!!せっかくの雰囲気が台無しじゃない!!」

 

そして見知らぬ少女よ(一応自己紹介は済んでいるが)。第一印象でキャラ変えているといろいろ大変だぞ?

 

「おい」

 

「何よ!!」

 

あ、馬鹿。よりによってこの学園で(話が通じないという皮肉も込めて)逆らってはならない人物に言い返したぞ。その瞬間、目の前の女の子の頭にメテオ・・・じゃない出席簿が直撃した。

 

「イッターイ。急にな・に・・よ・・・」

 

「もうショートホームルームの時間だ。そんなところ(扉の前)でたむろするな。邪魔で仕方がない」

 

せめて死刑宣告ぐらいしましょうよ。正直あなたの隠蔽スキルは看破しにくいんですよ。まあ、俺はあまり索敵スキルの熟練度あげてないが。

 

「ち、千冬さん・・・」

 

「織斑先生と呼べ。そしていつまでいる。さっさと教室に戻れ」

 

お。この反応だと互いに顔見知りなのか?まあ、織斑と顔なじみみたいだし普通か。

 

「い、一夏。後でまた来るからね!逃げないでよね」

 

君は過去に何をやらかしたんだ?あの人当たりだけは良さそうな織斑が逃げ出すことを想定するなんて尋常じゃないぞ。

 

「早く戻れ」

 

「はいーーー」

 

この子、先生にトラウマ持ちか?いくら相手が世界王者でも知り合いなのに反応が過激だぞ。

 

「まさか鈴がIS学園に転入するなんてな」

 

「一夏、今のは誰だ?えらく親しそうじゃないか」

 

「い、一夏さん。あの方とはどういう関係でいらっしゃいますの?」

 

まるで浮気相手との現場に居合わせたかのように篠ノ之とオルコットによる尋問、さらにはそれに便乗したクラスメイトに言い寄られていた。さて、本来なら面白く眺めている場面なんだが俺はその現場から少し目を逸らしてある一点を注目した。

 

『あの子たち大丈夫かな』

 

『大丈夫だろ。いくらなんでもクラスの半数を再起不能にはしないだろ』

 

なんのことって?そりゃあ

 

「席に着け。馬鹿者ども」

 

ビシッ。バシッ。ボカッ。

 

授業の妨害(着席しない)をするものへの制裁(出席簿アタック)に決まっている。案の定多くの被害が出ていた。え?俺?先生が来た時から着席している。索敵は苦手だが視界の広さと反応はそこそこ自信があるのだ(流石にSAO時代のキリトの反応速度には敵わないが)。

 

そして午前の授業が終わり、

 

「お前のせいだ」

「あなたのせいですわ」

「なんでだよ」

 

織斑は篠ノ之とオルコットに理不尽に罵られていた。曰く『授業に集中できなかったのは織斑のせい』らしい。でも授業中のこいつらはどちらかというと笑みを浮かべていたような。

 

『変な想像していたんじゃない?今度デートに誘おうとか』

 

『そんなことは一回注意されたらやめとけよ』

 

なんせこの二人、午前のみで山田先生に3回の注意(口頭による警告)、織斑先生に5回の注意(安定の出席簿)を受けているのだ。もしかしてこのクラスのIS関係者(世界王者の弟+候補生+開発者の妹)はMばっかりなのか?

 

「ユウキ、食堂に行こうぜ」

 

「ああ」

 

『今日は食堂なんだ』

 

『気は進まないが、さっきの子のことを知るために今日ぐらいは織斑と行動を共にしたほうがいい気がして』

 

あんな宣戦布告なんてしてきたのだ。必ず織斑に接触してくるだろう。で、いざ食堂に移動すると

 

「一夏。遅いじゃない!!」

 

鳳鈴音(以後の呼び名ファン)が立っていた。

 

「織斑、いつの間に約束したんだ?」

 

少なくとも朝の時にはそんな暇なかったはずだ。

 

「いや、約束なんかしてないよ。それとそこにいると食券取れないし、普通に邪魔だぞ」

 

「う、うっさいわね。わかっているわよ」

 

と悪態をつきながらも礼儀よく食券機の前に並ぶファンと織斑。その後ろを不満ながら空気を読んで静かに(ただし殺気を放出しながら)篠ノ之とオルコットが続く。

 

「それにしても久しぶりだな。ちょうど一年くらいか。元気にしていたか?」

 

「当たり前じゃない!!あんたこそ、相変わらず元気そうね。たまには病気になりなさいよ」

 

「どういう希望だよ。そりゃ・・・」

 

と言うよくわからない会話が織斑とファンの間で行われている間にそれぞれのメニューが出てきた。ちなみに織斑は日替わり、ファンはラーメン、篠ノ之とオルコットは少し苦い顔をして日替わりを受け取っていた。多分織斑を気にするあまりメニューを確認せずに同じボタンを押したのだろう。ちなみに俺は最近追加されたメニューであるスムージを選んだ。そしてテーブルの方に移動、席は織斑とファンが同じテーブル、他の女子は空気を読んで(篠ノ之とオルコットは顔にしわもよせて)隣のテーブルに座った(ただし盗み聞きする気満々ではある)。・・・俺?俺は

 

「ユウキ。一緒に座れよ。なんでかみんな座らないし空いているぞ」

 

誰よりも空気を読まない男のせいで件の二人に相席させられていた。

 

「いつの間に帰ってきたんだよ。いつ代表候補生になったんだ?」

 

「質問ばっかりしないでよ。あんたこそ、なにIS動かしてるのよ。びっくりしたじゃない」

 

「ああ。実は受験会場で部屋を間違えちゃって、そこにあったISに触れたら動いたんだ」

 

「・・・あんた相変わらず考えなしね」

 

久しぶりの再会ということでかなり盛り上がっているようだ。しかし織斑、わざわざ座らせたんだから紹介ぐらいしろよ。俺の存在が完全に浮いているだろうが。

 

「一夏!いい加減にどういう関係なのか説明しろ!!」

「そうですわ!この方とつ、付き合ってらっしゃいますの!!」

 

俺の紹介すらないのでこのままだと二人の世界に居続けると察したのか我慢できずにいつもの二人が特攻をしかけてきた。

 

「べ、別に付き合っているわけじゃないわよ」

 

「そうだぞ。ただの幼馴染だ」

 

「・・・」

 

うん、了解。付き合ってはいないが片思いということですね。幼馴染にはありがちなことだな。そして自分で肯定しておきながら同じことを言われてそんなににらみつけるのはよした方がいいぞ。

 

「幼馴染・・・だと?」

 

あり?篠ノ之は面識ないのか?

 

「あっ、そっか。箒が転校したのは小4の時だから入れ違いになっていたな。こいつは小5の時に転校してきたんだ」

 

「?小5って10歳の時だよな」

 

俺の感覚なら幼馴染って遅くても小1なんだけど。成人したら確かにそのぐらいでも大差なくなるかもしれないが。

 

「ああ。だから箒はファースト幼馴染。鈴はセカンド幼馴染ってことになるな」

 

「セカンド・・・幼馴染?」

 

おかしい。何かが致命的におかしい。だって俺にその理屈を該当するとSAOの初期に出会った全員が幼馴染になる。キリトやアスナたちはわかる。クラインはまだ近所の兄ちゃんで通じる・・・のか?エギルは・・・違うな。あいつは完全に保護者ポジだし。

 

「私がファースト。そうかそうか。くふふふふ」

 

篠ノ之が若干トリップしつつある。響きが「最初の女」に聞こえるからか?

 

「・・・」

 

そしてさっきまでうれしそうに会話していたファンは逆に表情が暗くなっている。

 

「初めまして。これからよろしくね。篠ノ之さん」

 

「ああ。こちらこそ」

 

そして会話は穏やかだが(あくまで会話は)目から火花が飛んでいた。どうやら新たなライバルが誕生した瞬間に立ち会ったようだ。全然うれしくはないが。

 

「このわたくしをのけ者にしないでいただけませんこと」

 

「・・・誰?」

 

まあそうなるよな。彼女からしたら見知らぬ金髪美女が話しかけてきたくらいの認識だろうし。

 

「わたくしはイギリスの国家代表候補生のセシリア・オルコットですわ」

 

「ふ~ん」

 

「ってそれだけですの!!」

 

「うん。私他の国に興味ないから」

 

「・・・」

 

なんか変な空気に、いや最初から多くの視線が集まっているから変ではあるが不穏な空気になりつつあるな。何かきっかけがあれば一触即発になりそうな・・・なんで今の国際社会の縮図がここに広がっているんだ?

 

『あの子、オルコットとは別の意味で上から目線だな』

 

『そうだね』

 

オルコットの場合は自分を過剰に見せるようとしてのだが、この子は自信にあふれているが故って感じか。

 

「で、あんたが二人目?」

 

「ああ、青野ユウキだ。悪いな隣に座ったのに自己紹介できずに」

 

「それはいいわ。一夏が無理やり座らせたんだから・・・そういえばあんた、中国に来たことある?」

 

?これはどういう意図の質問だ?

 

「行ったことないけど、なんで?」

 

「私が政府のお偉いさんにこの学園に入学させるように脅したんだけど」

 

「・・・何やっているんだよ」

 

「私、無能なのに偉い顔をするやつ大っ嫌いだから」

 

つまり実力主義者ということか。時代に流されず勇ましいことで。

 

「でその時『アオノ』とか『ユウキ』とか、日本人の名前のようなのが聞こえてきたの。中国で日本人の名前が出てくるのが珍しいからなんとなく覚えているの」

 

おい中国。あれほどバレナイようにしろと言っていたのに。

 

「でもそれってユウキのニュースが流れたからじゃないか?」

 

「ううん。その時って一夏のニュースが流れた時だから、まだ二人目のことはわかってないはずよ」

 

ということはあの時のことか。

 

「中国本土に行ったことはないけど、日本にある大使館に入ったことはあるぞ」

 

「大使館?なんでそんなところに」

 

「俺がISを動かせるのは知り合いのIS関係者の伝手で触れたからだが、その前からバイトしていたんだよ。といっても部品の運搬とかそういう下働きだったけどな。それでそこのお偉いさんが大使館に物質を運ぶ用事があったから荷物持ちとして連行された。多分その時のことじゃないか?」

 

「軽い感じで言っているけどそれかなりの重要な役目じゃ・・・。そもそもなんで一夏の判明から二ヶ月もかかって判明したわけ?」

 

なんだろ・・・この子かなり勘が鋭いな。今まで誰も指摘してこなかったのに。

 

「そもそもあの検査には欠点があったんだよ?」

 

「欠点?」

 

「まず、検査の対象年齢を中高生に限定したこと。これは全年齢を調べると費用が膨大になるし、学園に入学できる年齢に絞ったんだから不可抗力だな」

 

「そうですわね。男性全員の検査をしていれば時間も人材も必要になりますし」

 

流石は貴族。そういうコスト面のこともわかっているな。

 

「で、俺が最も欠点と思うのは『特殊な場所』での検査が不可能な方法をしたことだ」

 

「特殊な場所?」

 

「先に結論を言うが、俺の適正判明が遅れたのは『検査が開始された当時、入院していた』からだ」

 

「入院?怪我をしていたのか」

 

「それはとりあえず置いておく。ただ俺が知る限り入院患者の男子がISに触れることはなかった」

 

「そっか。ISは許可なしには一般の施設には入れられないから」

 

「ああ。だからもしかしたら現在入院している男の中に俺らのような奴がいるかもしれないな」

 

「!!それって今後も男が入学するかもしれないってことか」

 

「落ち着け織斑。あくまで可能性の話だ」

 

「よっしゃ!!!」

 

・・・こいつはなぜここまで男に飢える?まわりが女だからか?まあ、新しい男が発見されるのはありえないだろうな。退院後の体でこの学園の軍レベルの指導にはついていけないと判断されるだろうし。それに二人もいるからと情報を隠蔽されて研究所に直行の可能性もある。

 

『これで納得してくれたかな』

 

『矛盾がないからこれ以上の追及はしないだろ。納得したかは別で』

 

「まあ、いいわ」

 

どうやらあきらめてくれたようだ。

 

「そういえばさっき一年ぶりって言っていたけど、もしかして候補生になったの最近なのか?」

 

今度は俺からファンに質問してみた。織斑の反応を見るに多分日本にいる間はISに関わっていなかったように思える。なら母国に帰ってから操縦者になったのかと思ったからだ。

 

「まあね。中国に帰ってすぐに勉強して史上最短で候補生になったわ」

 

なるほど。さっきから指摘が適確かなと思ったがいわゆる天才型か。経験が浅いところを天性の勘でフォローしているのか。となるとけっこう成長株なのか?

 

「それより一夏あんたクラス代表なんだって?」

 

「ああ。だから鈴とはライバルだな」

 

「じゃあ一緒に訓練しない」

 

「それは助かっ「一夏に教えるのは私の役目だ!!一夏から直接頼まれたのだからな」「あなたは二組でしょ!!敵の情けは不要ですわ!!」・・・」

 

少しは落ち着け。そもそも篠ノ之の言っているのは他に教えてくれそうな人がいなかった時のことだ。人脈を増やす意味でもそんなに固執するべきじゃない。そしてオルコット、一応俺は四組の代表と特訓する約束をしているのだが。

 

「私は一夏に言っているの。関係ない人は黙っていてよ」

 

うん。かなりの正論だ。そもそも織斑は助かったと言っていた。完全にこの二人の暴走だ。

 

「後から出てきて威張るな。私の方が付き合いは長いんだ。幼馴染なのだからな」

 

「私だって幼馴染よ。それにあんたは6年ちかく会ってなかったんでしょ?私の方が小・中の一夏を知っているんだけどなあ」

 

完全に論破されている。確かに10歳までしか知らないのと昨年までを知っているのでは近年の方が分があるな。

 

「だとしても一夏は何度も繰り返しうちで食事をした仲だ。私たちの関係に踏み込んでくるな」

 

・・・いい加減発言があれだな。そもそも恋人でないのに織斑の人脈に口を出しているのがおかしい。そして最後のは新しい友人を作ることを完全に否定している。このままでじゃ織斑は孤独になってしまうぞ。

 

「うちで食事?それならうちにもしょっちゅう来ていたわよ」

 

オーと、篠ノ之の切り札『うちで食事』がまさかのネタかぶり。さ~て篠ノ之の切り札は後何枚あるのかな。

 

「どういうことだ一夏!!」

 

「一夏さん。納得のいく理由をお願いします!!」

 

どうやらネタ切れのようだ。幼馴染対決はファンの一人勝ちか。

 

「納得も何も鈴の実家の中華料理屋に行っていただけだぞ」

 

ズコッ。

 

『まさかの店かよ』

 

『ずいぶんハードルが低い話だね』

 

「何、店なのか」

 

「それなら納得ですわ」

 

安泰の顔になった篠ノ之とオルコット。それに対し少し顔をしかめたファン。にしてもあれだな。今更だが篠ノ之とオルコットが同じチームになっているのが珍しいな。

 

『ねえ、ちょっとあの子に聞いてもらいたんだけど』

 

『何を?』

 

ストレアからファンに何か質問があるそうだ。・・・なるほど、それは面白い。

 

「ファン。一つ質問いいか?」

 

「何?」

 

「織斑に振舞った料理ってお前が作ったのか?」

 

「え?そ、そりゃあ中学に入って作ってあげたこともあるけど」

 

「なるほど。(小声で)つまり織斑の胃袋をすでに掴んでいる・・・ということか」

 

「「「!!!」」」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「いいや、別に」

 

どうやら織斑には聞こえてなかったようだ。そして再び顔を青くする二人。篠ノ之は一緒に食べたといっていたが多分母親が作ったものだろうしな。そしてこっちを睨んでくるな。

 

『青野さん!!あなたはどっちの味方ですの!!』

 

あまりのことに(そこまでのことか?)オルコットはISのプライベートチャンネルで抗議してきやがった(ちなみに食堂でのISを使うことは禁止である(当然であるが))。なので俺の返答はこうだ。

 

┐( ̄▽ ̄)┌ (意訳:誰の味方でもない)

 

「じゃあさ。今日の放課後暇?二人っきりで久しぶりに話したいし」

 

「ああ「今日はダメだ!!訓練の予定でいっぱいなのだからな!!」「そうですわ。一夏さんはまだ訓練が必要なのですよ」」

 

ついには発言も許されない織斑。俺が当事者なら二人の好感度が大暴落ものだな。

 

「じゃあ、訓練が終わったら会いにいくからね」

 

あ~あ。あんなに必死になって排除(ブロック)しようとしたのに結局約束されてやんの。そして食器を片付けてファンは食堂を出て行った。後に残ったのは怒りが静まらない女子と聞き耳を立てていた複数人、そしてどこまでも鈍感な男子(主人公)であった。




鈴の登場回でした。感想で鈴の扱いがひどくなるかもと書きましたが、今回はあまりそういうことはしませんでした。
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