ISとビーターの弟子(仮)   作:由紀夫

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更新遅くなって申し訳ありません。今回から数話は学園の外の話です。








青野の休日 囮と見舞い

♢???サイド♢

「せっかくの日曜に男を尾行しなくちゃならんのだ」

 

「仕方がないだろ。楯無様の命令だ」

 

世界に二人しかいない男性操縦者のうちの一人が学園に外出許可を申請したので監視するように言われたのだ。

 

「それにしたって先代は何を考えているんだ?長女は日本を捨てた裏切者だぞ。本来ならば追放するべきだろ」

 

「ま、次女の簪さまが成人されるまでの辛抱だよ」

 

「そうだな」

 

簪さまもかわいそうに。今までは優秀な姉の栄光のせいで日の当たらない思いをしてきたのに、その姉が移籍したために当主にさせられるんだから。

 

「それにしても迂闊すぎないか?世界中に狙われている自覚がないのか」

 

「所詮一般人だってことだろ」

 

「そうなのだろうか?」

 

だが個室に仕掛けられたカメラに弱みが握れないと楯無さまは言っていた。そんな人間が何も考えなしに外出するだろうか?

 

「それより見てみろよ。あの靴」

 

相方に言われ改めて少年の靴に視線を移す。

 

「あんな靴を履いているんだ。間違いなく女だぞ」

 

「それはガセかもしれないと「馬鹿野郎!!どこの世界に女に会いに行く以外であんな靴を履いていくんだ!!背の低い男のせめてものあがき、それがシークレットシューズだろうが!!」」・・・」

 

そう言われても俺にはわからない。背が低い男は大変だな。まあ、相方の言う通り少年の靴はシークレットシューズで今の彼は目測160cmぐらいといったところだ。今まで家族どころか友人関係さえも把握されてない少年がお忍びで恋人に会いに行くというのはよくあること・・・なのだろうか?

 

ー六本木ー

 

「おい。あの少年ビルに入ったぞ」

 

「ここは確か・・・やはりそうだ」

 

あそこはあの少年が所属している研究所『ラース』の事務所だったはず。

 

「ということは外泊許可を出してきたのは機体の調整が目的か」

 

「だったら長くなりそうだな」

 

「流石に入るわけにはいかないしここで見張るか」

 

「でもなんでシークレットシューズなんか」

 

「いい加減そこから離れろ」

 

そもそもあんな少年に女ができるとは思えないんだが。

 

♤ユウキサイド♤

ーラース六本木支部ー

「こんにちは。菊岡さん来てますか」

 

「いるよ。まったく私用でここを使うのは今回限りにしてくれないかな」

 

なんか自分は寝不足ですアピールしながら出てきたが、俺たちにとってこいつは過労死してようやくありがたみがわかる人間なのでスルーさせてもらう。

 

『それっていろいろ手遅れじゃない』

 

まあ、そうだな。実際こいつが死んだら政府の人間に俺たちの事情を知っているやついなくなるからな。一から関係つくるのもメンドクサイし。やっぱり生きてもらっておくか。

 

『やっぱりこの人の評価酷いね』

 

だってこいつあんなことしていたし。自業自得だ。

 

「仕方ないだろ。彼女から直接相談したいといわれたんだから」

 

「ああ。君のもう一つの目的の関係者か」

 

「流石にまだIS学園と世間にはあれとの関係は隠しておきたい。でも青野ユウキは外で監視が見張っているからな。そこでここでちょっと休んでいくことにしたんだ」

 

「わかったよ。24号室を使ってくれ」

 

「了解。24だな」

 

「それにしても・・・」

 

「・・・なんだよ」

 

「そのくつは「ああ(怒り)」いやなんでもない」

 

「そっか(すがすがしい笑顔)」

 

その後俺は指示された部屋に入った。

 

♧菊岡サイド♧

まったく、それでなくとも例の尋問が忙しいのに、こっちの事務所まで出勤させられるとはね。

 

「ユウキ来た?」

 

「ああ」

 

彼が行ったとほぼ同じくらいに、今日ここに連れてきた『彼によく似た少年』が話しかけてきた。と言っても彼とは決定的に違うところがある。それは彼より身長が高いということだ。だいたい彼が今日履いてきたシューズでの高さぐらいだ。

 

「『青野ユージ』くん。どうだね。体の調子は」

 

ただし、この子は

 

「ええ。久しぶりの外出だから楽しみよ」

 

見た目は青年にも関わらず口調が、その、かなりのギャップがあるんだ。・・・ちなみに男声だ。

 

「今日は悪いけどユウキくんの要望通り」

 

「うん。外の監視者を引き連れて行けばいいんだよね」

 

そう。今日ユウキくんが今日ここに来たのはこの子と入れ替わりになることで監視の目を欺くためだ。そのために彼はわざわざあんな靴を履いてきたのだから・・・身長を合わせるために。

 

「今日はどこに行くつもりなんだい」

 

「久しぶりにあの子に会いに行くつもりだよ」

 

「そっか。道中気を付けてくれよ」

 

「もちろん。彼に迷惑をかけることはしないよ」

 

そしてビルを出ていく彼を見送った。

 

♢更識の関係者サイド♢

 

「お。意外と早く出てきたぞ」

 

「・・・馬鹿なやつだ。少し服を変えたぐらいで我々から逃げられると思っているんだろうか」

 

「言ってやるな」

 

流石にIS学園では警戒しても外に出れば開放感で無警戒といったところか。

 

「じゃあ行くぞ」

 

「へいへい」

 

♤ユウキサイド♤

 

『どうやら行ったようだな』

 

『じゃあ私たちも出る?』

 

『いや、念のため30分くらいここで待機しよう。監視はあの2人だけみたいだけど、闇討ち狙いが隠れているかもしれないし』

 

『そうだね。・・・何しているの?』

 

『靴履き替えているんだよ。見たらわかるだろ』

 

ちなみに替えの靴はちゃんと持参しているぜ。

 

『うん。見たらわかるよ。でも、別にそのままでもいいのに』

 

『どっかから「ターゲットは身長160㎝に偽装している」って情報が流れていないとも限らないからな。念には念を入れないと』

 

決してこの靴だと歩きにくいわけじゃないぞ。違うからな!!

 

『でもその情報を知らない人が襲ってきたら?』

 

『大丈夫!!背低いから女に見えなくもないから!!』

 

ついでに言えば、声もまだ声変わり前みたいなのだ。だから服装としゃべり方では完全に女に見えるのだ。・・・キリトが黒い服を愛用するのもわかるぜ。

 

『ちょっと。抑えてよ』

 

すいませんした。

 

 

監視者が囮役について行って30分が経過。もう大丈夫かな。

 

『そろそろ行くか』

 

『そうだね』

 

互いに確認し、部屋から出て出口に向かう。

 

『そういえば菊岡は?』

 

一応ここの重役なので一言声をかけた方がいいのだが。

 

『さっきどこかに出て行ったらしいよ』

 

『なら別にいいか』

 

どのみち大して話もないからこのまま出て行くか。

 

ー横浜ー

 

最初に訪れたのは横浜港北総合病院。俺にとってもなじみ深い場所だ。

 

「入院されている患者さんと面会したいんですが」

 

「わかりました。少々お待ちください」

 

面会の手続き後、俺たちはある薄暗い部屋に面会のために訪れた。そこは個室で窓は開けられないよう密閉されている。そしてベッドの上には高校生ぐらいの少女が寝ていた。彼女の左手の手首にはブレスレットがある。

 

「久しぶりだな。『中国の裏切りもの』さん」

 

「・・・また来たの」

 

「ああ、悪いけど君は俺の管理下にあるからね。自殺されたら困る」

 

「・・・あのまま死なせてくれても良かった。今の私たちは」

 

「プライドも体もボロボロ・・・か?」

 

「・・・君はわかっていながら聞いてくるのね。本当にいい性格をしている」

 

「よく言われるよ」

 

少し物騒な会話が繰り広げられたが、彼女は先日『中国から身柄を引き取った』少女だ。

彼女はとある理由で中国に渡り、そして処刑されたのだ。それは彼女の顔に刻まれた傷跡が物語っている。

 

「残念だがこの傷は時間がかかりすぎたみたい残るそうだ。交渉に時間がかかりすぎた俺の責任だな」

 

「仕方ないわよ。元々生きてここにいるのが奇跡なんだから」

 

彼女に施された処刑、具体的には国際的に禁止されている薬物やナノマシンの実験体である。しかもそれを複数行われたため、顔面崩壊直前まで症状が悪化していたのだ。ちなみに顔の傷は暴力によるものだそうだ。・・・それにしても

 

「ずいぶん妥協的だな。昔のあんたはもっと輝いていたぞ」

 

「確かにあの頃の私は自分の才能に胡坐をかいていたからね。失敗を知らずに自信にあふれていた。だからこそ『任務』に失敗して自信なんて粉々。あなたも馬鹿ね。せっかくの交渉材料を私みたいな自信喪失した抜け殻のためにつかうなんて」

 

「俺としてはあんたらは貴重な『実験の協力者になりうる人物』だったからな。こんな実験、一般人には協力させられないし」

 

「協力者って、『実験体』っていえばいいのに」

 

「悪いがその言い方はダメ。俺自身昔実験体のために拉致されたからな」

 

「・・・あなたの経歴って謎ね。ISを動させると思えば、個人的な実験のためにこんな病院に協力させたり、こんどは元実験体?」

 

「悪いけどまだ君には言えないな。お互いに信頼があるわけじゃないだろ」

 

「それもそうね。でもここって暇だからなにかほしんだけど」

 

「ならアミュスフィアを借りればいいだろ」

 

「え?借りられるの?」

 

「ああ」

 

「もっと早く言ってよ」

 

いや、他のやつらは速攻で借りていたぞ?

 

「そういえば私よりも先に『協力』していた子たちはどうなったの?」

 

「ああ、元々『裏切もの』として悪名が広まっていたから居場所がなくてな。とりあえず全員コネがある会社でアルバイトさせている」

 

「アルバイトね。私もそこに行くのかしら?」

 

「それは君が決めることだ。無理強いはしないよ。ま、連絡先くらいは置いとくから交渉してみるんだな」

 

そういって俺はその会社の連絡先を書いたメモをそばの机に置いた。

 

「じゃあ俺はそろそろ「ねえ」なんだよ」

 

「最後に教えて・・・あんたに引き取られた裏切者は私で最後なの?」

 

「・・・総員7人の裏切もののうち、現在も活動中なのが1人、君のように交渉によって救出されたのが5人だ」

 

「最後の一人は?」

 

「・・・最後の一人は交渉によって『遺骨』が返還された。その後遺族によって密葬されたよ」

 

「・・・そっか。私も・・・そうなっていたかもしれないってことね」

 

「ああ、だから自殺なんて考えるなよ。あんたは幸か不幸かは知らないが、今も生きているんだからな」

 

「・・・そうね。ありがとう。質問に答えてくれて」

 

「今度は夏くらいに来ると思う。それまでそれ大切にしておいてくれな」

 

「ええ。私もそれぐらいは心得ているわ。命をかけても守るわよ」

 

「命をかけても本当に死ぬなよ」

 

そうして俺は病室を後にした。

 

『えーと次の行き先は』

 

『とりあえずデパートに行くぞ』

 

『あれ?次はメールで約束したあそこだよね?』

 

『渡すものがあるから買いに行くんだよ』

 

とは言ったものの、粗品って何がいいかな。

 

 

♡裏切りものサイド♡

 

まったく、相変わらずいろいろとうるさい男。でも今の私はあの男に命を握られているようなものだし、仕方がないか。

 

カッ、カッ

 

「何?まだなにか」

 

「やあやあ、今日の体調はどう?」

 

「・・・安岐さんですか」

 

「うん。いつもの巡回だよ」

 

彼が戻ってきたのかと思ったけど、入ってきたのは看護師の安岐ナツキさんだった。この人もなかなか底を見せないのよね。

 

「ところで、誰と勘違いしていたの」

 

「あの・・・ユウキとかいう子」

 

「そっか。来てたのか、あの子。なら彼を弄りたかったんだけどね」

 

・・・仮にもIS操縦者を手玉にとるというのか、この看護師は。

 

「・・・ねえ」

 

「うん、何かな?」

 

「あの部屋の機械のこと教えてくれない?」

 

「・・・どうして?」

 

「あの子が言っていた。興味があるならある会社を紹介するって。そこってあの部屋の機械に関連しているらしいじゃない」

 

「そっか。じゃあちょっと実物を見に行こうか」

 

「いいの?」

 

「うん。機械があるのは無菌室だけど、ガラス越しに見舞客が入れる部屋があるから」

 

そう言われ、早速車いすに乗せられて例の機械がある部屋とガラス越しの部屋に移動した。

 

「これがメディキュボイドの1号」

 

「そう。ここが最初にこの機械の稼働を始めたからね」

 

そこにはベッドに付けられた大型機械があった。

 

「って、使用してないじゃないですか」

 

「今度使う人が入院してくるのよ。以前使っていた人は、4月のはじめに亡くなったから。今は正常に動くか点検しているの。一度稼働したらずっと動かしたままだから」

 

「ずっと・・・ね」

 

確かこの機械は末期症状の患者に対して使われているんだよね。さっきは半分冗談で使わせろと言ったけど、悲しい機械なんだよね。

 

「・・・あれ?その扉はなんですか?」

 

そこにはすぐにはわからない場所に扉があった。

 

「ああ。ここは本当なら立ち入りに許可がいるんだけどなあ。でも彼に勧誘されているなら大丈夫かな」

 

そういって安岐さんは扉を開いた。

 

「?この部屋は?」

 

そこはさっきと同じように無菌室がガラス越しに見える部屋だった。さっきの部屋と違うのは。

 

「ここにあるのはメディキュボイドの臨床試験に使われた試作機。一般に発表されている5号までとは違い、例の企業以外は存在が隠されている0号よ」

 

そう。さっきの部屋の機械は完成された機械のように外見が整っていたが、こっちの部屋のは試作段階のような見た目なのだ。そしてその機械には痩せこけた少年が入っていた。

 

「この子は?」

 

「紺野健二くん。メディキュボイド試作機0号の試験者、紺野木綿季ちゃんの義弟よ」

 

「彼はどのぐらいここにいるんですか?」

 

「そうね。もう1年半は経っているかしら」

 

1年半。そんな長い間こんな機械に拘束されているんだね。

 

「この機械を使っているってことは彼も末期の患者なんですね」

 

正真正銘いつ消えてもおかしくない命なんだろうな。

 

「うーん。それはどうかな?」

 

「え?」

 

「ISが進歩するようにこのメデュキボイドも進歩しているということ」

 

「でも、これは末期症状の患者向けだって」

 

「さっきも言ったでしょ。これは0号機、試作段階だって。彼は自分の体を使って新しい活用法を模索しているの」

 

「新しい活用法?」

 

「まあ、まだまだ臨床実験が必要なんだけどね。もし彼が進めた会社に入るなら先輩に聞いたらいいよ」

 

つまり、企業機密の方法ということなのだろう。それにしても

 

「この健二って子、なんか青野ユウキに似てませんか?目は見えませんけど、顔の輪郭とか」

 

機械から見えるのは鼻から下の部分だけだ。それでも彼を連想させる少年だ。

 

「そ、そうね」

 

なんかはぐらかされた?

 

「・・・そもそもこの少年は彼とどういう関係なんですか?」

 

「彼曰く、『紺野健二は青野ユウキの・・・親』だって」

 

「親?彼って同い年ぐらいじゃ」

 

「健二君は今年16歳だね」

 

なら今高校一年生の青野と同じ年のはず・・・でも、まさか・・・ね。

 

「彼って留年とかしてませんよね」

 

「うーん。留年はしてないよ。してないけど・・・」

 

「?」

 

「私が言っていいのかわからないから、今度確認しておくね」

 

「男の年齢ぐらいでなんでそんな手間を」

 

「だってあれはできてからまだ・・・あ」

 

「え?あれって」

 

「ううん。なんでもないよ。ささ。そろそろ部屋に戻りましょうか」

 

「・・・はい」

 

なんか誤魔化されたような気もなくない。でも

 

(あの子のことを「あれ」っていうのってことは、深い関係なのかな)

 

この看護師にショタコン疑惑が出てきたのは黙っていた方がいいだろう。




今回またオリキャラを出しました。
オリキャラその1。青野ユージ。こっちに関しては別視点で話を書く予定なのでその時に。

オリキャラその2。「裏切りもの」さん・・・そして以前誰かが同じように言われていたような(すっとぼけ)。

???「イザナミだ」

最強のブラコン忍者さん。この作品にあなたの出番はないのでお帰りください。


それと以前から名前だけ出ていた紺野健二。現在メディキュボイドを使用しています。彼が行方不明なのは情報操作のためです。彼がこの物語に関わるのかはまだ謎です。
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