妹紅のVRMMO   作:黒狗

6 / 6
第五話

 決闘場は広く、直径で100mくらいあり、観戦席が私たちを囲んでいた。観戦客もなぜかちらほらいた。敵の数は五人、二人は盾持ちで、片方は小型の確かバックラーと片手剣、もう一人大きい盾で、槍を持っている。一番大柄な男は両手もちの大剣で、私の提案に乗った男は片手剣で盾はない。残る一人は杖持っているので補助役兼攻撃役なのだろう。剣持ちが多いのは運が良かったかもしれない。

「じゃあ、始めようか。お兄さんたち」

「このコインが落ちた瞬間が開始の合図だ」

そういってリーダー格であろうしつこい男がコインをなげる。コインは私の胸元を通り過ぎ地面につくかつかないかので大男が切りつけてきた。これってフライングじゃないのかな?まあいいか私は後ろに跳びファイアで牽制する。

「甘いな、嬢ちゃん」

横からナンパ男が突きの構えで攻撃してきた。やっぱり大男の先制はこのためだったか。

「んなの最初の攻撃から読めてたよ」

私は体をひねってそれを回避し、裏拳を背中にくらわす。そして、倒れた男の頭を思いっきり踏みつける。運が良かったのかこの一撃でナンパ男が気絶した。確か状態異常がかなり現実味を帯びていて、特定の場所へのダメージにより気絶判定が発生するし、その確率も高い。気絶した場合五分間行動不能になる。こういう場合気絶したら戦線離脱と一緒で使い物にならない。

『サンダー』

『ファイアウォール』

とっさにこの前覚えた魔法を放つ。名の通り炎の壁が現れたが、少し遅かったらしくダメージを受けてしまった。やっぱり魔法を使うやつって厄介だな。とりあえず気絶した男を大男に向かって投げ、私はそれと同時に大男に向かって走り出す。大男はそれを持っていた剣で叩き落とす。投げたのもなんだがひどい扱いだな。大男が振り下ろした剣を足場にして私は大男の顎に蹴りを食らわし、杖もちのほうに魔法を当てる。だが、盾持ちの一人がそれを防ぐそして横から杖もちが飛び出し、今度は水属性の魔法を使ってきた。私は大男を盾にして魔法を防ぐ。飛ぶ方向さえわかればよけるのは弾幕ごっこよりも簡単だな。

「隙あり!!」

後ろからそういう声がした。振り向くと杖もちの前で攻撃を防いでいた盾持ちとは違うほうの奴が剣を振りかぶってきた。ちっ、忘れられていた盾持ちの片割れか!さすがに不意打ちを回避できるわけではないので剣の腹を殴り軌道をそらし相手の内側に入る。そして、そいつの鳩尾を思いっきり殴りひるんだ隙に剣を奪い相手ののど元に突き刺し、剣を気絶している男に思いっきり投げる。少し攻撃がかすっていたみたいでHPが減っていた。

「うおおぉぉぉーーー!!!」

そう、雄たけびをあげて大男が剣を横なぎにしてきた。それを後ろに行くことで回避し大男の顔面にファイアを当て接近し腹を蹴る。私は攻撃の手を休めることなく急所などを攻撃する。魔法などの奇襲対策のために常に杖もちと盾持ちの行動を確認できるような位置で攻撃する。急所に何度か当て、ついに大男が気絶した。ステータスによって気絶判定が変わるのかな?これであと二人か。とりあえず気絶している大男から剣を拾い上げそいつの頭にさし、とどめを刺しておく。杖もちのほうを確認してみるとちょうど魔法を放とうとしていた。

『サンダーボルト』

『ファイア』

私は思いっきり横に跳んで魔法を放つ。サンダーボルトは早かったが攻撃範囲が狭くて足にかすったくらいで済んだ。弾幕ごっこだったらもうちょっとうまくよけて返せたんだけどな。

『サンダー』

「ああもうウザったい!!」

杖もちは多分MPが切れるまで打つつもりだ。これで減らしきれたら勝てるし反撃しなかったら絶対に負けるし。

『ウォーター』

『ファイア』

私はよけながら二人との距離を縮めてゆく。自機狙いの直線状の弾幕ならよけるのは簡単すぎる。輝夜から送られてくる刺客などよりも遙かに緩い。ああ、早く戻れたらいいな。二人で満月の夜に()()()()をするいつもの日々に。

「早く負けろ!!『ウォーター』」

「残念ながらそんな速さなら簡単によけられるよ」

あと5mで二人のところにつく。私は、ちょうど二人の目の前にファイアウォールを出す。これでMPがほとんどなくなってしまった。まあ問題ないけど。盾持ちが何のためかわからないが槍を壁の前に突き刺した。多分私が来そうな位置を予想してついたのだろうが、見事に空ぶってしまっていた。あと一秒もしないうちに消えるのに。空ぶった槍の方向とは反対の方向で私は消えるのを待ち、消えた瞬間前に飛び出し、杖もちのほうに蹴りを入れる。さすがに盾持ちは反応できるわけはなく杖もちに当たった。そして、杖もちの杖を持っている手をつかみ後ろに回す。そのまま杖を奪い、遠くへ投げ捨てる。首に手刀を食らわし、盾持ちのほうに蹴り飛ばすと同時に盾持ちの後ろに回り込む。盾持ちは反射で、盾を前に出すがそれは無意味な行為で後ろに回った私にまで注意が向かなかった。背中に回し蹴りを頭にくらわし、地次に背中にひじ打ち、盾を蹴りできた隙間から腹に膝蹴りをする。運よくこれで気絶になり、全員が戦闘不能状態になった。ふぅ、久しぶりに対人戦をやると結構疲れるわ。勝負が終わったことにより、私の目の前にYOU WINの文字が表示された。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。